やあ!皆、俺のことを知ってるかい? (耳に手を当てて)………うんうん。 そう!俺の名は矢島!今日までにもう知ってた奴、 そして今日始めて知った奴、どっちもこれからヨロシクな!! さて、今日も今日とて俺は学校へと向かう! 何でかって?そりゃあ勿論我が愛しのハニー、 神岸あかりさんに告白するためサ! 勉強はどうでもいいのかって? うん!どうでもいい! 俺が学校に行く理由、そんなの神岸さんへの愛、それだけで十分だ! さて、今日も神岸さんに告白するか! 「あかりならいねえぞ」 こ、この憎ったらしい声は!! 「藤田!どういう事だ!あかり…もとい!神岸さんがいないとは!」 「知りたいのか?」 「当たり前だ!!」 「本当に…いいんだな?」 なんなんだ一体! 何か深い理由があるというのか!! 「いい!教えろ!!!」 「…仕方ねぇ…あかりは、お前が告白しなくなるなる日まで、学校には もう絶対に来ないってさ!」 俺の周りの景色が、音を立てて崩れ去った。 「な…なんだって…そんな…そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 俺は教室を飛び出した。 まだ朝の学活前で、先生が来ていないので今日は欠席になることは免れないが、 そんなことどうだっていい!なぜなら俺が学校に来ている理由は、 神岸さんに愛の告白をするため!! その神岸さんがいない今、俺はこの学校にいる義務は皆無!! 神岸さんがこのままダブって学校を辞めるなら、俺も辞める!! 俺はそのくらいの覚悟はあるんだ!! 神岸さんの為なら!! ・ ・ ・ ・ ・ 俺は、気がつくと神岸さんの家の前に立っていた。 ……どうする? 神岸さんは、俺がいる限り、もう学校には来ないと言った。 だとしたら、ここに俺がいてはいけないんじゃないか? しかし……… そんな事を考えてると、 がらっ。 2階の窓が開いた。 そこから顔を出したのは、 紛れも無い、神岸さんだ!! 今だ! 今なら俺の愛の叫び、神岸さんに届く! 藤田はデマを言ったんだ! そうだ!そうに決まった!! 「神岸さぁぁぁぁん!!すぅきぃどぅわぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 「…へッ、矢島だよ…」 …は? 何だろう、この対応は… 「手前、学校で少し友達ぶったらいい気になりやがってよ、目障りなんだよ!」 何だ?何でなんだ? 学校でも振られつづけた事は確かだが、 なぜこうまでひどいいわれを受けなきゃいけないんだ!? 「ぺっ」 びちゃ。 ・ ・ ・ ・ ・ トドメだった。 「う、うわああああああああああああああああああ!!!!」 俺は、遂に耐え切れなくなり、神岸さんの家の前から逃げた。 あ、泣いてるのか…俺…? いや違う、これは… 神岸さんの唾だ!! きらきら光って綺麗だ… ぜひとも子ビンに入れて保存しよう!! やはり神岸さんのような聖女ともなると、唾までが光って見えるぜ… 今日はきっと、ちょっと虫の居所が悪かったのに違いない!! そうさ! さあ!明日も告白だ!! 場所は変わって、あかりの部屋。 「行ったよ、浩之ちゃん」 「おう。わかった」 タンスの中から、浩之が姿を現した。 「俺の指示通りにはやったみたいだな」 「うん。でも浩之ちゃん、私、凄く恥ずかしかったよ〜」 「すまねえ、あかり。で、結果はどうだったんだ?」 「…うん、途中までは上手くいってたんだけど… なんかスキップしながら帰ってったから、失敗みたい」 浩之は信じられない、と言った顔をして、 「これも駄目なのか!?くそっ、あとは先輩の力を借りるしか…」 「浩之ちゃん…」 あかりが、心配そうな顔で浩之を覗きこむ。 「安心しろ、あかり。あの寄生虫は一刻も早く排除してやるからな」 するとあかりの表情が明るくなって 「…ありがと、浩之ちゃん」 ち、言った。 「ちっ、照れるじゃねえか」 浩之は柄にも無く顔を赤らめる。 「うふふぅ」 「あ〜、なんかムカツク!その笑い」 「そんなことないよぉ〜」 「いや、ある!!」 お幸せに。 最後に矢島君、一言あればどうぞ? 「寄生虫はひどいっすよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 うるさいです(はぁと)。