To Heart7 ぷらす1  投稿者:闘魂秋吉


今日はライブだ!!
唄いまくるぜ!!
小気味良い音を響かせステージへと続く階段を上ると…
俺を待っている、観客達!!
このごろ、綾香とレミィのお陰か、観客も増えてきた気がするし。
ぴきゅりりりん!!(ニュータイプの例の音)
あ、あれは!!!!
矢島だぁ〜〜〜っ!!

トゥハート7ぷらす1

あのヤロー、またあかりだけを見に来たか…。
そっちがそうくるなら、こっちにも考えがある。
俺はブロックサインで、バンド各員に連絡を取った
『矢島発見、矢島発見、各員、作戦用意!!』
『了解!!』
あかり、レミィ、綾香がそれぞれ同じサインを返す。
ここまでで、0.201秒。
『準備完了!!』
0. 382秒。
さて、それじゃ…
「1曲目だが、今日は特別メニューでいくぜ!!」
おおおおおおおお!!
盛り上がってる、盛り上がってる…
「いくぜええええええ!!!」
ばきゃああああああん!!(SE)
さあ、ここからが矢島の地獄の始まりだ!!
「…ルゥパ−ン、ルゥパ−ン、ルゥパ−ン、ルゥパーン…♪」
じゃん♪じゃん♪
「ルパンザサーァドゥ♪」
じゃん♪じゃん♪
びくっ、びくっ。
掛かったあああああ!!!!
その時俺は、幼少の時の親父との会話を思い出していた…

回想シーン
親父「浩之、ルパン3世は好きか?」
浩之「うん。結構…」
親父「そうか。じゃあ、お前にルパン第1シリーズの話をしてやろう…」
浩之「どんな?どんな話!?」
親父「今では『不〜二子ちゃ〜ん』なんて言ってるルパンだがな、昔は…昔は、
なんと胸毛が生えていたのだあああああああっ!!」
浩之「な、なんだってええええ!!」
親父「驚くのはまだ早い…その頃のルパンは偉く真面目で、偉く普通にものを盗み、
偉く普通の性格で、そして偉く大人向けのアニメだったんだ!!」
浩之「そ、そうなのおおおおおおお!?」
親父「更に、胸毛も生えていたんだあああああ!!」
浩之「それはさっきも言ったああああ!!」
親父「そうかああああああ!!」
浩之「しつこおおおおい!!」
親父「わ、分かった…普通に話そう。だがな、その第1シリーズには思わぬ悲劇が待っていたんだ。」
浩之「悲劇?」
親父「そう。このシリーズはあまりにも大人向けすぎた。その為視聴率の低迷にあえぎ、
遂にはスタッフ総入れ替えという悲劇になってしまったんだ…」
浩之「そ、そうなの…?」
親父「残念な事だが、そうだ。…ところで、そのシリーズのオープニングテーマ…その名も
『ルパン・ザ・サードのテーマ』というのだがな、このテーマは何と前半3話しか流れなかったのだ。」
浩之「え?たった3話だけ?」
親父「確か…」
浩之「で?その唄が何なの?」
親父「そうそう、その唄なんだがな、第1シリーズのファンには決して聞かせてはならん」
浩之「な、何で?」
親父「その曲を聴いたが最後、たびたび鳴る効果音にあわせて体が反応し、
遂には踊り出してしまうんだ…!!」
浩之「そ…そんなバカな!!」
親父「いいか浩之、この曲を決して…
決して第1シリーズのファンの前で聞かせてはならんぞ…ならんぞ…らんぞ…んぞ…(エコー)」
回想終了

親父は歌うなといった…
だが、矢島の前でなら良いよな…
親父もきっと許してくれるさ…
「ルゥパーン、ルゥパーン、ルゥパーン、ルゥパーン…」
「や、止めろ藤田!!それを聞くと俺は…!!!」
聞こえない、聞こえない。
「ルゥパンザサード♪」
じゃん♪じゃん♪
「止めてくれええええええええ!!!!」
「ルゥパンザサード♪」
「う、うわああああああ!!!!」
遂に矢島は踊り出してしまった!!
観客からクスクスと失笑がもれる。
「く、くそ!覚えていろ、ルゥパアアアアアアン!!」
矢島は耐え切れなくなったのか、踊りながら
更に銭形の物まねをするという高等技術を駆使して、逃げていった。
ざまあみろ。
俺は矢島のいなくなった広場を見、こう言った。
「夜はまだまだこれからだぜええええ!!」

その日、俺は夢を見た。
その夢のなかで、親父が、
「よくやった、浩之」
と言っていた。
ありがとう、親父。