「なぜこんな事に…」 病院の白いベッドを見て、綾香が呟いた。 「一体誰がこんな事を…」 あかりの声は震えている。 「許せまセン!犯人は絶対ワタシが捕まえて見せマス!」 レミィも怒っている。 そして俺は…… 「う〜、う〜っ!!」 (そこだ!そこの綾香がやったんだ〜っ!) 喉を狙われて、しばらく喋れない。 二人になった病室。 「…ごめんね浩之♪」 「…」 (綾香、虫が良すぎる…) 「お詫びに、ヴァルキリー、あなたの言う通りに改造してあげるわ…」 (マ、マジで!?前言撤回、許しちゃう!!) 「それでいいかしら…?」 (こくこく) 「許してくれるのね!?」 (こくこく) 「ありがと、浩之…」 (よせやい、照れるじゃねえか) 「じゃ、まず具体的に図にして」 (よーし、ここをこうして、これを…) 「ふんふん。」 (それでここをこうやってって…) 「成る程、分かったわ。じゃあ浩之、この通りに改造しとくから、2週間後をお楽しみに!」 (うーん、綾香って本当にいい奴だなぁ…) もはや浩之の記憶の中には、全治2週間の重傷の原因が綾香であると言う事実は抹消されていた。 そして2週間後。 すっかり声の調子も良くなった俺は、完成したヴァルキリーを見に、綾香の家へ行った。 いくら勘当されて一人暮らしとは言え、さすがお嬢。 前の俺の家よりも広く、綺麗だ。 「さ〜て、お・れ・のヴァルキリーはどこかな〜っと」 俺はかなり上機嫌だった。 インターホンのボタンを押す。 『は〜い、あ、浩之?ヴァルキリーなら出来てるわ、中へどうぞ』 そういうと、門がぎぎっ、と言う音を立てて開いた。 「浩之、お茶よ」 「おう、サンキュ」 俺は応接室に通された。 う〜ん、ここも広いぜ。 ずずっ… うむ、お茶が美味い。 「で、綾香。早速ヴァルキリーを見せてくれ」 「はいはい、せっかちねえ。こっちよ」 「おう」 俺は綾香のあとを着いて行った。 地下格納庫でもあるのかな? そう考えながら歩いていると、綾香が止まった。 「おっとと…」 俺はぶつかりそうになったが、すんでの所で踏みとどまった。 「これよ!」 綾香が指差した先、そこには……… 「お、おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」 俺の描いた図と寸分違わぬヴァルキリーが横たわっていた。庭に。 うう〜ん、庭にヴァルキリー1台分寝かすスペースがあるとは… 勘当されても、来栖川家侮りがたし! 感動だぜっ! …スマン。 その頃あかりやレミィはと言うと、 「じゃーん。熊型ギター!!」 「OH!ベリーキュートね!」 「そう?やっぱり?」 幸せそうである。 おれはヴァルキリーに乗ってみた。 いいね。 この、何とも言えない… これだよ、これ。 「どう浩之、乗り心地は?」 「サイコーだぜっ!!」 「よかった。」 「これなら、あの戦争屋に唄をたっぷり聞かせる事が出来るぜ!!」 そのとき。 ウウウウウウウウウウ、ウウウウウウウウウウウ…… 街に警報が響き渡った。 「早速来たか!行くぜぇ!!」 「浩之!ギター型操縦桿の使い方は覚えたの!?」 「何言ってんだよ!俺が設計したんだぜ!!」 「ふふ…そうだったわね」 「よっしゃ、発進するぜ!下がってな!!」 「浩之!気をつけてね!」 「当たり前だ!!」 ぶぅおおおおおおおおおおおん…… 出力は安定している… 行ける!! 「うおおおおおおおっ!!ダイナマイトヴァルキリィィィィ!!! 行くぜええええええええ!!」 ばしゅうううううううう……ん。 浩之が飛び立っていったのを見ていた綾香は、ふと家の電話が鳴っているのに気づいた。 「はいもしもし、来栖川…あ、姉さん?」 「……………」 「うん、こっちは上手くいってる。私の勘が正しければ、きっと浩之はやるわ。」 「……………」 「うん、お金の件は、ありがとね。じゃあね、姉さん」 かちゃ。 一人の部屋で、綾香は呟く。 「まさかここまで予定通りに行くとは…思わなかったわ」 20045年。 地球人類と異星人、ぜんとらーでぃの間に戦端が開いてから、30年以上の時が経った。 人は母なる地球を捨て、外宇宙にあらたな希望を見出すため旅立った。 彼らの前には、途中、幾多の困難が立ち塞がる事だろう。 だが、それでも、それだからこそ、 「俺の唄を聞けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 藤田浩之は、唄い続ける!! 最終話 跳べ浩之!ダイナマイトヴァルキリー発進!! To Be Dynamite. ================================================== 闘魂「いぇ〜す、第1部完結ぅ〜♪」 影「っていったって、あまり書きなおしてもいないくせに…」 闘魂「うるさい!」 影「はいはい」 闘魂「次回は、まだ第2部ではないけど、トゥハート7プラス1をお楽しみに!!」