To Heart7 第5話 物件王誕生?  投稿者:闘魂秋吉


前回までのあらすじ

浩之「戦争が…始まったのか…?」
あかり「浩之ちゃん!?どこへ行くの!?」
綾香「大丈夫よ、浩之には何か考えがあるのよ、きっと…」
浩之「親父の形見のヴァルキリー、やっと使うときが来たぜ…!」
矢島「何なんだ、一体…」
浩之「俺の歌を聞けぇ〜〜〜!!」

第5話 物件王誕生!

「あんなオンボロヴァルキリーじゃ、俺の唄を聞かせられねぇ…。一体どうしたらいいんだ!?」
浩之は悩んでいた。
高校入試でもこんなに悩まなかっただろう。
それ程までに、唄を聞かせたいらしい。
それにしても、これまで『親父の形見』と大事にしていたヴァルキリーを、
使えないと分かるやオンボロ呼ばわり。
……ひどいね。
と、そこへ、
「私が何とかしてあげましょうか?」
綾香が現れた。
「…何の用だ、綾香」
「つれないわねぇ〜。最新型のヴァルキリーを買う方法を教えてあげようとしたのに。」
「!!」
「敵の前で唄ったんでしょ?浩之が何をしたいか、私には分かるわ。言ってあげましょうか?」
「…いや、いい…」
(一生綾香には隠し事できねぇなこりゃ…)
「で?どうやって買うんだ?」
「ん?」
「ん?じゃねえよ。ヴァルキリー」
浩之がそう言うと、綾香はやっと思い出したように、
「あ、そうだったわね」
といった。
「…お前な」
「ん?何?」
「…いや、いい。」
「じゃ、教えるわね。但し条件があるわ。今日一日、今から私の言う通りに行動する事。いいわね?」
「お、おう」
浩之は、内心嫌な予感を感じた。
「まず…」
「まず?」
「家と道路、ついでにヴァルキリーも全部売っちゃいなさい」
浩之は一呼吸置いて、
「何〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
と、絶叫した。
「冗談じゃねえ!お前にそんな権利が…」
「ヴァルキリーいらないのね?」
「うっ……」
それを言われると、今の浩之は弱い。
しかし一人で住んでいるとはいえ、家を売るのは大英断だ。
悩む事3分。
浩之は、家(その他)を売った。
あまり深く考えないことが、この男という存在を支えているとすれば、至極当然でもある。
ヴァルキリーは現在では競技用にも使われているタイプのためあまり高くはつかなかったが、家(と道路)は結構いい値がついた。
一般人ならここで、戦争の無いほかのシティへと逃げ出すかもしれない。
しかし彼は、何処まで行っても藤田浩之なのである。
ここで逃げたら男がすたる。
奴らの俺の唄を聞かせてやる。
そういった想いが、今の浩之をこのシティにとどまらせているのだろう。
「…で、どうすんだ?ヴァルキリーくらいは買える金が手に入ったけど、これじゃ住む家がねえんだぜ?」
「まあ黙って着いてきなさい。」
「へいへい」
歩きつづける事40分。
「…おい、綾香」
「何?浩之」
「…何分歩いたと思ってるんだ?」
「ん〜、40分くらい」
「さらっと言うな!」
…更に20分
いい加減浩之がブチ切れそうになったとき、
「着いたわよ」
「……ここ、何処だ?」
あまりの暑さと疲れのため、浩之は自分の歩いたコースを思い出せないのであった。
「やだ浩之、夢遊病?」
「うるせー…で、結局何処なんだよ」
「悪所よ」
「悪所ぉ?」
(…そーいや、聞いたことがあるな。
勝手にシティにドッキングしてくっついてきた不法居住者の集まる船、悪所。)
「ここならどの家に住もうとただよ。なんせ不法にくっついてきた船だもの。
ただ、殆どの家は半壊してるけどね」
「別にそれはいいけどよ。電力とか水はどーすんだ?」
「全部シティから引いてきてるらしいわよ」
「おいおい、こんなとこに住んで捕まらないだろうな」
「ん〜、私から姉さんのほうに言っておけば大丈夫よ」
すげぇな。完璧だ。
だが、何で綾香はここの事こんな詳しく知ってるんだ?
まぁ、いいや。
「じゃ浩之、お好きな家をどうぞ」
「ん〜、これ」
俺は真正面の、見た限り一番住みやすそうな家に入った。
前に住んでいた奴の痕跡がだいぶ残ってるな。
おお!クーラーがある!
つくかな?
ぴっ。
ぶぉ〜〜
ううっ、埃臭い。
「臭いわね」
「…ああ」
まあ、これは何とかなる。
クーラーが動くってことは、電気が通じてるのは本当らしいな。
「よ〜し、ここに決めた!」
3階建て(半壊)悪くないぜ。
「じゃ、一旦シティに戻って、ヴァルキリー買いに行きましょうか」
あ。
「もしかして、また、1時間…?」
「そうなるわね。」
先に買っておけば良かった……
むぎゅう…
ぱたっ。


                       To Be Continued…



次回予告
あかり「レミィ…」
レミィ「アカリ…」
浩之「何やってんだあいつら?」
綾香「出番無かったからねぇ…」
浩之「次回!二人きりのドライブ!」
三人「誰と?」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
闘魂「うぃ〜っす、闘魂で〜す」
影「お〜っす、影で〜す」
闘魂「ここらでちょっと、トゥハート7質問会でも開いてみないかい?」
影「お、良いねぇ…」
闘魂「つまり。」
影「俺が質問して、」
闘魂「俺が答える。」
影「…うわっ、寂しい」
闘魂「ぐさり。」

Q.なぜ一部の登場人物の名前が片仮名?
A.それはね…何となく。やってみたら変だったので、次回から直すッス。


影「おい、闘魂」
闘魂「何だ?」
影「この質問、前もしたような気がするのだが。」
闘魂「…それは言っちゃいけませんぜ、親分」
影「誰が親分かっ!!」