伝説の神岸村  投稿者:闘魂秋吉


俺は、長くにわたる旅の末、遂に見つけた!!


伝説の、神岸村を!!!


そう、俺が旅に出たのは3ヶ月前…
藤田の一言がきっかけだった。
「あかりがさ、伝説の神岸村を見つけて、その村が神と崇拝しているこれまた伝説のくま石像を
取ってきたら、お前と恋人になってもいいって言ってたぜ」
「何だってぇ!?フフフ…神岸さん、ようやく俺の魅力に気がついたのか!」
俺は、すぐにまだ見ぬ神岸村を探し始めた。
そして!富士樹海の!奥深く!!
遂に俺は!!
伝説の神岸村を見つけた!!
藤田!お前の天下は終わった!!
その村の住民は、僅か100人足らずだったが、全員神岸さんだった。
涙モノである。
ついでに鼻血も。
鼻血をたらしながら涙を流す俺を見て、ひとりの神岸さんが近づいてきた。
「○×□△!!」
むむっ!?
一般人には聞き取れない言葉だ。
だが俺には、神岸さん翻訳機がついている!!

説明しよう!
神岸さん翻訳機とは矢島に備え付けられている能力で、
神岸さんの喋った言葉なら、本人の愛と思いこみのパワーで、
どんな言語だろうと翻訳できるのだ!!
本人の都合のいい様に!!!

「神岸さん翻訳機、オン!!」
「○△□×!」
うぃいいいいいいいん
矢島訳「大丈夫なの矢島君!私の愛で治してあげるわ!!」
「う、嬉しいぞおおおおおお!!!!!」
もう藤田も学校もどうでもいい……
俺は、この村に身をうずめる事にした……

更に3ヶ月がたった。
その日、神岸さん同士で喧嘩があった。
神岸さん翻訳機によると、どうやら俺の取り合いになったらしく、
そこから喧嘩に発展してしまったらしい。
嬉しい事だが、俺はこの喧嘩を止める義務がある。
そしていざ止めようかと、二人の神岸さんに歩み寄ったとき。
俺は見た。
殴り合う神岸さんの体から見える……
機械の部分を。
「う…う…嘘だ…」
「嘘じゃないのよ、矢島君?」
ちゃんとした日本語で、喧嘩を見ていたあかりらしきものが喋った。
100人が、一斉に。
「私は、ロボットだったのよ…ついでに言うと、私はあなたに
これぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ、ぽっちも、良い感情なんて抱いていなかったのよ?」
「嘘だ…嘘だ…」
声にならない声で、矢島は言った。
「もしかして、分からなかったの・・・?あなた人生、もう一度やり直したら…?」
一人のあかりがそう言うと、その他100人のあかりが、一斉に笑い始めた。
感情の篭もっていない、無機質な笑い。
うふふふふふ… あははははは… ひいーっひっひっ!!
「嘘だ、嘘だ、嘘だああああああああああああっ!!」
俺は神岸さんの形をしたロボットを壊し、
村の中心に奉ってあった伝説の熊石像を奪い、樹海奥深くに向かって駆け出した。
首だけになっても、神岸さんのカタチをしたものは笑いつづけた。
遠くでまだ、神岸さん達の笑いが聞こえる……

2ヶ月かけて、俺は母校へと戻ってきた。
本物の神岸さんが俺を待っている。
そう、神岸さん受信機が、神岸さんが俺に会いたがっているとキャッチしたからだ。

説明しよう!
神岸さん受信機とは、
矢島の愛と思いこみで、神岸さんの声が自由自在に聞き取れるのだ!!
本人の都合の良いように!!

「神岸さん、伝説の熊石像を取ってきました!!」
「矢島君…」
「はい!」
「よくも私の仲間を…壊したわね……」
「……え?」
そういうと神岸さんの手首がぱかっ、と開いて…
その中、その中には……
「うわああああああああああああああああああああ!!!!!」
俺の周りの景色が回り、やがて全てが見えなくなった。



同時刻、
オカルト研。
そこに特別にしかけられたモニターは、
倒れている矢島を映し出していた。
そしてそれを見ていた、3人の人物……
「ククク…あははははははは!!まさかこんなに上手く行くとは!!
矢島、君は全く予想以上のしぶとさだったよ。」
「ふふふ。富士の樹海でそのまま自殺すると思ったのに。」
「これも先輩がメイドロボを提供してくれたおかげだよ」
「・・・・」
「ふふふふ・・・はーーーーーっはっは!!」
「うふふふ・・・うふふふふ・・・」
「・・・・・・ふふっ」
狭いオカルト研に、3人の笑いがいつまでも響いていた。                          
「はーーーーーーーーーーーーっはっはっ!!!!」             


                                          終わり
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闘魂「うー、超やり過ぎた」
影「ここまでやると、さすがに反省するか」
闘魂「矢島!マジでスマン!!(本音です)」
影「でも、また書くんだろ?矢島ネタ。」
闘魂「多分…」
影「やはり。……それより、まるせりおを終わらせるんじゃなかったのか?」
闘魂「あいであがでませぇ〜ん」
影「で、これか。」
闘魂「で、これだ。」