タイトル:「桜舞う写真」 「冬弥君、桜が綺麗だね」 「そうだな。と言っても、もう散りかけてるけどな」 「くすっ、桜吹雪も私は好きだよ。だって、桜の自己主張だもん」 「なんて言う?」 「ん〜・・・『私は、最後まで綺麗です』って言う感じの・・・」 「自信なさげに呟くな。 でも、ま、そうかも知れないな」 「冬弥君もそう思う?」 「ああ。でも、散って道に落ちたら邪魔だけどな」 「あ、でも、でも、落ちていくのもまた「風情」だと思わない?」 「ぷっ、くっ・・・はぁっはっはっは」 「あ、れ? 私変なこと言った?」 「はぁ、はぁ・・・いや、「風情」か、いや、由綺らしいなと思ってね」 「私・・・らしい? 私らしいのがそんなにおかしい? う〜ん・・・」 「深く考えるな。じゃ、その「風情」を写真に撮っておくか?」 「あ、じゃ、私が桜吹雪の中にいるところとって♪」 「って、おい! そんなにはしゃいだら!」 「きゃっ!」 「・・・・・・冬弥君・・・」 「どうした?」 「今、撮ったでしょ?」 「ああ、ばっちりとな」 「撮り直し!」 「いや、これもまた「風情」があって、由綺らしいぞ」 「冬弥君の意地悪〜!」 「はっはっは、来年な。また来年、ここに一緒に来て撮りなおそう」 「来年も一緒に来てくれる?」 「ん、来年も、再来年も、ずっとずっと、しくじったら撮りに来よう」 「え〜、毎年私こけるの?」 「俺が「これぞ!」と言うのを撮れるまで」 「えへへ・・・じゃ、一生とり続けないとダメだよ?」 「かもな」 「絶対! だって、冬弥君の前でなら、ずっとずっと好きが大きくなっていくから♪」