眺める夜に 投稿者:東西
今宵、私は最も美しくなると人は言う
その私を見上げる幼き者が居る

窓から、見上げるその顔は、幼少と形容するにふさわしいモノだ

私の美しさを詠うにもまだ幼く思える

実際、その童は、私を見上げるだけで別段何をするでもない

ただ、私を見上げるだけである

私は少し訝しく思い出した

何故この童は、今、この刻に起きているのか?

いや、起きたのか?

数刻前まで、この童も眠っていたのである

ただ、その童は、私を見ながら何者かの到来を待ちわびているようにも見える





眠い……

そろそろ、目が覚めてから大分立つような気がする

夢も見ないで気持ちよく眠っていたのに急に起きちゃった……

こんなのは初めて……夜更かしがばれたら、父さん達に怒られるな

でも………胸がドキドキする

そのドキドキのせいで起きちゃったんだけど………なんでなのかな?

起きたら、お月様が見たくなってしょうがなくなったんだけど………綺麗にまんまるだ

しばらく見てよ





まだ、見ている………

退屈ではないのだろうか?

童にしてはよく保つものだ…………

ん?

童と私の間に何者かが立った………

物の怪の類か?

いや………私はこの光景を見たことがある………

遠い昔、

こことは別の場所で…………





ふぁ〜あ

眠い………なんか、ドキドキがなおんないけど

そろそろ寝ないと明日遊べなくなっちゃうからな、もう………

?

だれ?

お月様の前に誰か立った………空に浮いてる?

お化け!?

あ、でも…………何か、懐かしい感じ………

涙が……勝手に出てくる………わかんない、どうして?





時が満ちた

やっと、貴方と共に生きることが出来る

今度こそ、貴方と共に…………

また、見えましょう………人として…………





思い出せない、

でも………ドキドキが消えた

でも、胸が少し苦しい………

あの人影が消えてから、まだ、僕はお月様を眺めている

なにか………思い出せるかもしれない………





去ったか………

二人は、あの時の者達か?

このようなこともあり得るのか…………

ふ、ならば、今一度眺めさせて貰おう。

あの時の悲劇を繰り返すのか、それとも、喜劇に塗り替えるのか………

私は、眺めるだけの傍観者…………人の歴史を眺めるだけの物

されど、願わん、悲劇に終えた想い達の安息を…………