思い出す 月の林で見た幻 仮面のような表情に ほのかに見えた寂しさ 炎の中の死の女神 鬼の力を放ち 屍の山を築いていく 白く綺麗な胸 細く折れそうな体 やさしい微笑み 腕の中で消えていく温もり ただ抱いてやることしか できない 俺は 思い出す 月の林で見た獣 凛とした空気の中で 不思議そうな顔をしていた 血まみれで立ち上がる戦士 消えそうでなお 猛り狂う命の炎 大きな声に仕草 たくましい胸 置き去りにされる子供のように 死んでいく私を見つめている ごつごつした顔に 似合わない 涙 泣かないで また会えるから いつか別の世界で 青く晴れた空、風が渡る草原を ただ手をつないで歩く 月の綺麗な晩、静かな湖面に 歌いながら船を漕ぎ出す きっと別の世界で 光輝く都市、空を巡る回廊の 鏡のような窓に映る 大きな銀色の鳥、遥かな高みから 遠く霞む陸と海を眺める いつかきっと 不思議な機械から 音や姿が溢れてきて 私たちは物語をつむぎだす たとえ別の姿になっていても あなたと歩いている 二人で歩いている そんな気がする だから大丈夫 だから もう泣かなくていいの 泣かないで 次郎 衛門 −−−−−−−−−−−−−−−−− 少し真面目なものを…と思って書いてみました