「一日目」 俺が茶の間でTVを見ていると、楓ちゃんがやってきた。 耕「あっ一緒に見るかい」 楓「勉強…」 見ると教科書を持っている。 楓「○×が…わからなくて」 耕「えっ?楓ちゃんができない問題?」 楓ちゃんはこれでも県下有数の公立高校へ通っている。 しかも成績は抜群。上から数えたら両手で足りる順位にいつもいるそうだ。 その楓ちゃんがわからない問題。馬鹿な大学生には到底無理に違いない。 だが見つめる楓ちゃんの目。うっ…あの目で見つめられると。 楓「…」 耕「…わっわかった。ちょっと見せて」 渡された教科書の開いたページを読んでみる。 『避○の方法には…』 耕「…」 ひっくり返す。表紙には『高校保健・体育』 耕「…」 楓「…」 耕「…ここじゃ教え…にくいな」 楓「…」 耕「部屋に…行こうか…」 楓「…はい」 頬を赤らめている。でも嬉しそうだ。 俺も嬉しかった。 「三日目」 耕「え?…また…勉強?」 楓「こくり…」 耕「う…うん」 毎日楓ちゃんと勉強。このままでは体力が…。 ところが、部屋を出たところで救いの主が現れた。 初「あっ…耕一お兄ちゃん。探してたんだよ」 耕「うっ…初音ちゃん(…良かった)うん、どうしたの?」 楓「…ちっ」 耕「え?」 初「…え?」 楓「…」顔を赤らめる「…初音…何?」 初「勉強…見てもらおうかなって…思って…」 耕「ああいいぞっ……って、何の勉強だい?」 初「こっこれなんだけど…」俺にだけこっそり見せる。 『○妊の方法には…』 「五日目」 耕「え?…また…勉強?」俺はすっかりやつれていた。 楓「こくり…」 初「おっお兄ちゃん…今夜は私だよ」 楓「…初音」 初「うううっ」 耕「うううっ」 楓「…じゃあ二人で」 初「あっ…うん。そうだね」ぱっと顔が明るくなる。 耕「…ふ…た…」 そこへ廊下の向こうから走ってきた…梓。 梓「こっ耕一〜っ教えてくれよっ」 一同「…」 梓「なっ何だよ。みんな集まって…」 俺には梓が何の本を持っているか、見なくてもわかっていた。 「十日目」 耕「さあ、もうわかったぞ」 梓「何が?」 夕食を並べている梓。レバニラ。オムレツ。ガーリック炒め。 ここんとこ毎日、やたら精のつく料理ばかりつくっている。 耕「次は高校生でもないのに、あの人が本を持ってくるんだろうな」 梓「…さっきから柱の陰で、じっとこっちを伺っている人のこと?」 耕「…げっ…千鶴さん…いつから」 千「…ひどいわ。みんな私だけのけ者に…」 梓「千鶴姉は教科書なんか関係ないじゃん」 千「ふっ…これを見なさい」 耕「ちっ千鶴さんっその格好は」 梓「セッ…セーラー服!」 千「私だけ…教えてくれないの?耕一さん」 耕「ぐわあああああ」 梓「あんたには…羞恥心ってもんが…」 「二十日目」 俺は下宿に帰った。 静かな部屋。冷たいシーツ。孤独な眠り。 あまり嬉しくて泣いてしまった。 「1ヶ月目」 初「耕一お兄ちゃん!遊びに来たよ〜」 楓「…耕一さん」 梓「あれ?耕一」 千「いないなんて…どこへ『逃げた』のかしら」 一瞬早く俺は、ベランダから飛び降りて走り去っていたのだった。 こうして、俺と四姉妹との長い追跡/逃亡の日々が始まったのだが、 それはまた別の機会に語られる…であろう(たぶん) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− どうも初めまして。 本家にはこの間、初音ちゃんもので初投稿したのですが、こちらではこれが最初のSSになります。 でもいきなりネタが(T-T)すみません。