LF98(23) 投稿者:貸借天
第23話


 ボディ二発からあご撃ち一閃、神速のコンビネーション。
 まともにもらって足もとがぐらついたが、なんとか持ちこたえた。そのあとの畳
みかけるような追い打ちもどうにかブロックしてしのぎ、間合いを広げる。
「はあっ……はあっ……はあっ……」
 肩で息をしながら、好恵は目の前に立つ少女を睨むように見据えていた。
 その鋭利な眼光は、相手のどんな小さな動きでも見逃すまいとしているかのよう
に、冷たく澄み渡っている。
(見逃すわけにはいかないのよ、このコが相手だと……!)
 対峙しているのはHM−12Xフラン──翡翠の光沢を持つ髪と瞳、大きな飾り
を耳から下げ、額には禍々しい色彩と形状のサークレット。
 なんの感情も読み取らせない能面を顔に張りつけた、少女の姿をした魔道人形だ。
 戦闘能力を持たない来栖川製魔道人形のなかに、たった二体だけ例外がある。
 それは、宗家の長姉“月影の魔女”来栖川芹香を守護する者たちで、その実力は
最強のガーディアンと呼ばれるに相応しいものを持つ。
 好恵は、そのうちの一体と拳を交えているのだ。
(それにしても強い……! 以前闘った時と比べてあたしもだいぶ腕を上げたはず
なのに、完全に押されている……!)
 残りの一体は(どういう経緯があったのか知らないが)いまの主人である狂人め
いた老魔道士ドグルスの命令に従って、どこか違うところへ走り去っていった。
 なにやら、「女を殺せ!」という怒声が耳に入ったが、どこに行ったのかはわか
らない。フランを前にして、よそ見をしている余裕はない。
 さらに、はじめは手を抜いていたようだが、ドグルスが「手加減無用」の命令を
とばし、フランがそれに短く応えて以来、攻めが圧倒的に激しくなった。反撃はお
ろか、守り抜くことですら精一杯だ。
(さすがは、“武神”長瀬源四郎直伝……あたしもまだまだね……って感心してい
る場合ではないか……どうする……?)
  心の中で必死に焦燥感を押さえようとするが、どのみち勝ち目は無いことはわか
っている。
 走り去った方──HMX−13セリオと闘っていた男、英二は今は別の人物と手
合わせていて、幾たびか目の端でとらえた限りではかなり苦戦しているようだった。
 だがそれも無理はないだろう、と好恵は思った。
(素人ばかりとはいえ大勢の敵と闘い、あたしと闘い、あのセリオと闘ってたんだ
から……)
  とりあえず、助力を仰げる状況ではないことは理解した。しかし、このまま一人
でフランと正面からやり合っても、いずれ力尽きて殺されるのは目に見えている。
(……ど、どうする……?)
 焦りと恐怖が心を支配する。
 そのどちらもが、実力のすべてを発揮するためには最大の障害となることをわか
ってはいるのだが、それらが重い鎖となって身体の内側を縛り上げてゆくのを止め
ることができない。
(どうす……)
 答えのない謎かけを続ける好恵の胸中を見透かしたように、フランが前へ出た。
「……うッ!!」
 わかってはいたが、踏み込みの迅さが尋常ではない。
 好恵があわてて萎えかけた闘志を奮い立たせた時には、フランはすでに間合いに
入り込んでいて、肩の高さから右の拳を真っ直ぐ突き出したところだった。
 間一髪、後ろへ退がってかわす。
 フランはさらに踏み込んで、右を戻すのと入れ替わりに横腹めがけて左のフック
を放った。
 無駄がなく鋭いそれを、好恵は肘を下げてかろうじてブロックすると同時に地面
を蹴り、力の流れに逆らわずにそのまま空中を移動した。
 だが、着地したスキを狙ってフランは容赦ない猛攻を加えてきた。
 どうにかこうにかさばいてはいるが、反撃の糸口がまったくつかめない。
 技の一つ一つが精密で正確で、ブロックをせずに、身上としている回避にこだわ
っていれば間違いなくやられてしまうだろう。
 かといって、筋肉などカケラも付いていないようなほっそりとした腕であるにも
かかわらず、一撃一撃がやたらと重くて、まともにブロックするだけでも確実に体
力を削られてしまう。
 おまけに、フランには殺気が無いから次の攻撃がすこぶる読みにくく、表情が無
いから不気味さを禁じ得ないし、諦めの気持ちが沸き上がってくる。
 この時間は永久に終わらないのだろうか……と。
 疲れでも見せてくれたら、希望を見い出すこともできるのだが……。
(くっ、くくっ……! 『裏当て』を決めればまだ勝機はあると思ってたけど、防
御で手一杯だなんて……ッ)
 真正面から右拳が飛んできた。
 顔を振ってかわすが、フォローの左がこない。第二撃を対処するための好恵の右
腕は、反射的にカウンターの正拳を顔面めがけて繰り出してしまった。
 その直後に罠だということに気がついたが、時すでに遅く、フランは正拳をあっ
さりと左手でいなしてから手首をつかみ、外側へとひねりながら強く引っ張って前
のめりに崩した。さらに、自分の背中を好恵の腹にぶつけるように懐に踏み込みな
がら同時に右腕を巻きつけ、好恵の右肘の逆関節を極めながらの一本背負いを打っ
た。
(ッ! 逆らったら、折れるッ……!!)
 瞬時に判断して、好恵は自ら地面を蹴って投げられるに任せた。視界が大回転し、
次に襲ってくる衝撃に精神と肉体を備えさせる。

 ドオオォッ!!

「っぐぅッ……!」
 投げるというよりは落とすと表現した方が適切であるような技だった。
 中途半端ながらも受け身をとったが、それでも硬い石畳に背中から強く叩きつけ
られて息が詰まり、動きも止まる。そこへフランは無慈悲の拳を打ち下ろそうとし
た。
(やっ、殺られるッ……!)
 好恵は小さく息を呑んだ。
 が、フランはいきなり身体ごと向きを変えて、突如、真横からきた蹴りを受け止
め、弾き散らした。さらに反対側から伸びてきた蹴りを、大きく跳びすさってかわ
す。
(!? な、何が……)
「大丈夫ですか、好恵さん?」
  仰向けに倒れたまま何事が起こったのかと目を白黒させていた好恵が、自分を気
遣う聞き覚えのある声を聞いて、現れた二つの気配が誰なのかをようやく理解した。
「ええ……なんとかね……」
 差し伸べられた手を握って、引っ張り起こしてもらう。
「……助かったわ……」
 ふう、と息を継ぎながら二人の友人(ライバル)に感謝の目を向ける。
 だが、
「再会を懐かしむのはあとにして……好恵。あなた、私たちの敵なの?」
 瞳になんの感情も含ませることなく、綾香が訊いた。
「……敵だった……というのが正解なんだけど……ね。人身売買組織ということを
知らずに雇われてたのよ、あたし……」
 好恵が苦い笑みを浮かべてそれに応じる。
「じゃあ、今は味方ってことですよね?」
 葵がホッとしたように言った。
「……実は、あたしにも状況がいまいちよくわかってないのよ。でも少なくとも、
あんたたちと争う理由はあたしにはないわね」
 好恵は浮かない顔ながらも、はっきりうなずいた。
「とりあえず、いったいどうなってるのか説明してくれる? 好恵」
 フランの動きに気を配りながら、綾香。彼女が一番知りたいことは当然、スキ無
く立って無表情にこちらを見ているフランのことだ。
 好恵はそれをわかってはいるが適当な言葉が見つからず、困ったように切り出し
た。
「そうね……でも、どう言えばいいのやら……。戦闘能力を持ったHMはあんたの
姉さんを守護するあの二人だけってことに、今でも変わりはないの?」
「ないわ」
「じゃあ、あたしたちの前に立ってるあのコは、HM−12Xに他ならないってこ
とね。ディクシル伯爵に雇われた傭兵のなかに老年の魔道士が一人いるんだけど、
フランとセリオはそいつの命令に従ってるみたいよ。あたしこそ訊きたいわ。あの
コたちは芹香さん専属じゃなかったの?」
「いいえ、間違いなく姉さん専属よ。ちょっと待って、セリオもいるの?」
 綾香の“氣”がかすかに揺らいだ。
 一瞬、フランが仕掛けてくる素振りを見せたが、葵が闘気を叩きつけて牽制する。
 警戒は葵に任せて、二人は会話を続けた。
「ええ。今どこにいるのか、ちょっとわからないけどね。だけど、この分だとお互
いに的確な状況説明はできないみたいね。なぜ、あのコたちがあたしたちの前に立
ちふさがるのか。……芹香さんならわかると思うんだけど……って、ひょっとして
彼女の身に何かあったの、綾香……!?」
 好恵は、はっと顔を強張らせて綾香を見た。
 どうして、今になってようやくそのことに思い至ったのか不思議に感じたが、そ
の疑問にはすぐに答えが出た。それはフラン、セリオ、芹香の組み合わせに限って、
滅多なことなど起こらないと心の底から思っていたからだ。
 フランとセリオの強さは身にしみて知っているし、芹香は“月影の魔女”の二つ
名を持つ魔道士だ。その実力は定かではないが、相当強力な術を操るに違いない。
 すなわち、このパーティを打ち破ろうと思ったら、よほど腕の立つ者でない限り
不可能なのだ。
 そう考えていたから、今まで想像もつかなかったのだ。では、ドグルスはそんな
芹香たちに勝ったというのだろうか。
 しかし、好恵にはそれが信じられなかった。あの老魔道士には配下とおぼしき者
が何人かいることは知っていたが、そこまで腕の立つ人物が混じっていたとは思え
ない。もちろん、全員を知っているわけではないので、今はまだなんとも言えない
のだが。
 内心で首をひねっていると、綾香は気難しげな顔を向けてきた。
「たぶん……ね。実は、姉さんがすぐそこにいるのよ……」
「えッ!?」
 目を見張る好恵に、綾香がうなずく。
「いったい何があったのか私も知らないわ。でも、とにかく何かあったことは確か
ね。だから直接姉さんに訊くのが一番手っ取り早いんだけど、その前にまずはフラ
ンをどうにかしないと……」
 ここと芹香がいる場所との間にフランが立ちふさがっている形になっている。そ
して、すんなり通してくれるとは思えない。
「だけど、あのコを生け捕りにするのは途方もなく至難の業よ。単純に三人掛かり
で闘って勝つのなら、十分可能でしょうけど……」
 しかし、手加減できる相手ではないので破壊してしまう可能性も高い。だがそれ
は無論のこと、綾香も芹香も望むところではないだろう。
「……それでも、やるしかないわ。なんとか気絶させて……」
「すいません、綾香さん。ちょっと……」
 フランを見据えながら、葵が会話に割り込んだ。
「なに? 葵」
「フランさんの額を見てください。あの変なのはなんでしょうか……?」
 言われて、綾香と好恵はそれを注意深く観察した。
「……サークレットね。また、えらく禍々しい感じね……」
「あれは……確か、ドグルスも同じものを……」
「ドグルス?」
「さっき言った、あのコとセリオを従えている老魔道士よ。あのじいさんの額にも、
あれと同じものがはめられていたわ」
 その言葉に綾香の瞳がキラリと光った。
「……怪しいわね……チョー怪しいわね。でかした、葵。まず、手始めにあれを引
っぺがすわよ」
「はい」
「そうね。でも、そのことに気をとられすぎたら危ないわよ」
「もちろんわかってるわよ。先に、ある程度のダメージを与えてから行動に移るわ。
ちょっと心苦しいけど……」
 綾香はほんのわずかな時間、かすかに顔を伏せて視線を落としたが、
「……二人とも、そのつもりでお願い」
 ふたたび顔を上げた時には、その表情に迷いはなかった。
「はい」
「いいわ」
 うなずく葵と好恵の顔もまた、戦士のそれである。
 フランは軽く腰を落として構えを取り、攻撃の機会をうかがっていた。
「……先手は私が仕掛ける。強引にスキを作り出すから、そこを狙ってちょうだい」
 言い様、葵と好恵が無言でうなずくのを確認することもなく、綾香が力強い足取
りで一気に前へ出た。直後、葵と好恵も地面を蹴り、綾香の左右を固める。
 ダンッ!!
 フランから五歩ほど手前で綾香は翔び上がり、トップスピードに乗った身体の勢
いをそのまますべて空中での突進力へと換えてフランに挑みかかった。
 いきなりの大技!
「はああぁぁッッ!!」
 疾風空中四段蹴り!!!
 低く鋭い跳躍からの、風を裂いて疾る強烈な蹴りをフランは冷静に見極め、ひと
つ目、ふたつ目、みっつ目までをかわしたが、旋風脚に似た最後の回し蹴りを避け
きれず、肘を上げてブロックした。ガードを上げたフランの左脇腹に大きなスキが
生じ、小柄な身体が衝撃に傾いで体勢が崩れる。
 その刹那、綾香の右手にいた葵がフランを攻撃圏内にとらえた。
 石畳の地面を蹴り砕くかのような豪烈な踏み込み―─震脚によって生み出された
パワーを足首と膝のねじり、腰のひねりによって螺旋状に伝え、一瞬のうちに爆発
寸前にまで圧縮された“力”が拳に乗って、フランのがら空きの左脇腹へと吸い込
まれる。

 ギシイイィィ!!!

 激突音としては相応しくない、何かが重く軋んだような音。
 命中する寸前、フランの右腕が動いて葵の崩拳を手のひらで―─正確には、手の
ひらからわずかに離れて浮かび上がっている魔力文字で受け止めたのだ。
 しかし、耳の奥を激しくこすり立てる不快な音を響かせただけで、フランは小揺
るぎもしなかった。
 だがそれと同時、綾香の左手にいた好恵の中段突きがフランの右脇腹に入った。
 が、フランはひるんだ様子を見せず、いま着地したばかりの綾香のスキを狙って、
勁力を魔力で代用した発勁を繰り出した。
 綾香の全身の毛が逆立つ。
 絶対に避けられない完璧なタイミングだったが、葵がフランの身体に体当たりを
仕掛けてバランスを崩し、必殺の一撃は必殺ではなくなった。それでも、まともに
もらった綾香は腹部を押さえて数歩よろめく。
 綾香が発勁を食らったのと同じ時、好恵は地面から左足を跳ね上げ、先の中段突
きから連続して上段回し蹴りをフランの延髄に打ち込んだ。さすがのフランも今回
はよろめき、さらに好恵は蹴り足を振り上げて、かかとを脳天へと打ち下ろした。
 同時に葵がローキックを入れて、膝が落ちたフランの側頭部に掌打を叩き込む。
 そこへ、復帰した綾香が好恵に鋭く声を飛ばしてから正拳を放ち、察した好恵は
タイミングを見計らってサークレットに手を伸ばした。
 だが、フランは驚異的な脚力で後方へと一気に跳び退き、そのどちらからも逃れ
る。
 葵が慌てて蹴りを放ったが、それはかすりもせず、フランはその場を一瞬にして
離脱してしまった。
 そして両者は、先ほどよりも大きな距離をとって対峙した。
「ふうっ……やっぱり手強いわね……三段目までは、かすらせることもできないな
んて……まったく、セバスは偉大だわ」
「綾香、大丈夫?」
「ええ……葵のおかげでね」
「なんとか、間に合ってよかったです。それにしても、崩拳をああも簡単に止めら
れるとは思いませんでした……」
「だけど、腕を上げたわね、葵。以前よりもはるかに迅かったし、物凄い力感が伝
わってきたわよ」
「そ、そうですか? 好恵さんだってさっきの足技、さらに磨きがかかってました
よ」
「ちょっとちょっと。感心するのはあのコを止めてからよ。結局、あっさりと逃げ
られちゃったんだからね」
 綾香が苦く笑う。
 フランはやや右半身に構えて綾香たちをうかがっている。三対一、そして先の攻
防を見ても明らかに不利であるにもかかわらず、その無表情は微動だにしない。
「……ねえ、綾香。HMが疲れることってあるの?」
「少なくとも、私は見たことないわね」
「あたしと闘ってた時も休みなく攻め続けてきたんだけど、息切れ一つしないんだ
から、なんていうか、やりにくいのよね……」
「それはそうかもね。『こちらが優勢だ』って気がしないっていうか……」
「だけど、それでもやっぱり私たちの方が押してますよ。早くフランさんをなんと
かして、今度はセリオさんを止めに行きましょう。私たちならきっと上手くいきま
す」
 葵が意気込んで言った。
「……そうね。よし、もう一度私が先制するわ。フォロー頼むわよ」
「はいっ」
「…………」
「?」
 好恵の気配が妙なことに気がついて、綾香は声をかけようとした。と、
「ごめん、二人とも! フォローして!!」
 綾香が何かを言う前に、好恵がいきなりダッシュをかけた。
「えっ!?」
「エッ!?」
 まばたき一つの戸惑いを見せるが、綾香と葵は即座に好恵の後を追った。
 フランと好恵の距離がみるみる詰まってゆく。フランは腰を落として両の腕を上
げ、拳を軽く握り込んだ。
 しかし、好恵はフランの間合いに入るわずか手前で、ほぼ直角に移動して距離を
とり、叫んだ。
「攻撃して!!」
 好恵が何を考えているのか判断がつかなかったが、綾香と葵が攻めに出た。
 と、同時に好恵はふたたびダッシュをかけた。しかし今度はフランの方ではなく、
通りの先――ドグルスたちがいる方向にである。
 フランに下されていた命令はドグルスに敵を近付けないようにすること、並びに、
そのような者を全力をもって排除すること。
 忠実なフランはその命令を遂行するために反射的に好恵を追いかけようとして、
ほんの一瞬だけスキを見せた。
 しかし、それを見逃す二人ではない。葵の鋭い一撃から連続して綾香のハイキッ
クがまともに入り、フランは吹っ飛んで石壁に叩き付けられた。
 だがすぐに起き上がり、もう一度好恵を追って駆け出そうとする。
 そこへ、葵の崩拳!!
 ……を、フランはやはり手のひらでガッチリと受け止めた。が、同時に仕掛けら
れた綾香の足払いにはさすがに対応しきれず、耳障りな軋み音が響くなか、小柄な
身体が宙を舞う。
 フランは着地と同時に受け身をとって素早く跳ね起き、大きく飛び退いて追撃を
許さなかった。
 だが、好恵へのフォローは十分に果たせた。
 その肝心の好恵がどこへ向かったのか、綾香は確認しようと背後をチラリと振り
返り、すぐに納得した。
 倒れている一人の女性と、そのそばで頼りなく立ちすくんでいる二人の女性。そ
して、その三人の女性の方へゆっくりと歩を進めている魔道士姿の人物。
 たぶん、あれがドグルスとかいう魔道士ね、と綾香は推測した。
 三人の女性が誰なのかは知らなかったが、それでも彼女たちが大ピンチだという
ことはわかる。好恵はそれを阻止すべく、この場を離れたのだ。
「……だけど、じゃあ葵とふたりでフランをどうにかしろってこと? ……まあ、
いいわ。やってやろうじゃない」
 綾香の端正な顔立ちに不敵な表情が彩られていく。
「……ったく、しょーがねーなあ! ですね」
「くすっ、そうね」
 葵の言葉に白い歯をかすかに覗かせ、綾香は不敵な笑みをますます強くした。




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崩拳の描写はうそっぱちです。
なんかもう、このシリーズは嘘とデタラメで塗り固められてる気がする……。
まあ、何をいまさらってとこですけど(苦笑)

フランの名前の由来、わかる人は……まあ、いないだろうな……。
それはいいとして、なんか彼女、TH三大暴力娘にイジメられてるみたいだ(笑)

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