篠塚弥生という女 投稿者:貸借天

「それでね、冬弥くんったらね……」


 落ち着いた雰囲気のレストラン。
 のんびりと食後のコーヒーを飲みながら、私は目の前に座る由綺さんの話に耳を
傾けています。
 今日は由綺さんの仕事はなく、一日オフ。
 そして私も、前日に仕事を片づけていたので休みでした。


「くすくすくす。でね、冬弥くんって、けっこうお茶目なところがあってね、その
時に……」


 最初は、由綺さんの大学の話から始まり、私の学生時代の話などをしていました
が、いつからか由綺さんの話には、頻繁に藤井さんの名前が出てくるようになりま
した。
 私はもちろん、普段由綺さんに接するのと同じように話を聞いていました。
 その時の私の表情は、他の人に向けるそれよりも大分やわらかいことでしょう。
 ですが……。


「でねでね、冬弥くんがね……」


 ――由綺さん……胸が、苦しいです。


「……その日は私が当番だったんだけど、でも冬弥くんがね……」


 ――心に、何かが突き刺さってくるようです。由綺さん……。


「そこでね、冬弥くんがこう言ったの……」


 その何かが突き刺さった心から、ジワジワと血がにじんでくるようです……。


「……なの。もう、ホント冬弥くんってかわいいとこあるよね。それでね……」


 あなたを誰よりも愛している私の目の前で、あなたは、あなたの愛する私じゃな
い別の人の話をする……それも、こんなにも嬉しそうに、楽しそうに……。

 ……藤井さんはあなたの恋人ですから、それも仕方がないことなのでしょう。

 ――それでも。

 とても……とても切ないです。
 胸が……張り裂けそうですわ、由綺さん……。
 私だって、あなたのことを愛しているのに……。
 藤井さんなんかに負けないくらい、あなたを愛していますのに……。
 だけど、そう。そんなこと、言えません……言えるわけがありません……。
 恋って……耐えることなのですね……。


「あっ、ごめんなさい弥生さん。なんか、私ばっかり話しちゃって」


 ひとしきり話を終えて、由綺さんが慌てたように言ってきました。
 そんな由綺さんを安心させるように、私は淡い微笑みでもって応えます。


「いえ。由綺さんの話を聞いてるだけで、私は楽しいですから」


 ……嘘……ですけどね……。


 私は表情に一切の哀しみをまじえず、ただ胸の内で呟きました。
 でも、「私の前で藤井さんの話をしないでください」なんて、そんなことどうし
て言えましょう。
 由綺さんが藤井さんの話をするたび、私の心は切り裂かれてゆきます……。
 ああ……愛って……耐えることなのですね……。


「えへ。弥生さんって優しいね」


 由綺さんが屈託のない笑顔で私を見つめます。
 瞬間、私にはその笑顔が光り輝いて見えました……。
 そして、そのきらめく光をいっぱいに浴びた私は、心の痕がゆっくりとふさがっ
ていくような錯覚を覚えました。

 由綺さんの笑顔が……まぶしい……。
 でも……あたたかい……とても、あたたかい……。
 私の中の壊れかけた大切な何かがみるみる癒やされていくような、そんな感じが
します……。
 なんでしょう、このぬくもりは……。
 由綺さんの笑顔から放たれる優しい光が、私の心も身体も丸ごと包み込んでやわ
らかく抱きしめてくるようです……。
 そうですわ……これは……フェイス・フ○ッシュ……。
 由綺さん、あなたの正体は……キ○肉星の王位正統継承者だったのですね……。
 いいですわ。
 それならば……私は今ここに、新たなる決心を固めようと思います。
 そう、私はビ○ンバとして、あなたの妻になることを……。

 だけど、由綺さん……あなたは、とてもひどい人……。
 言葉の刃で生け花のように私を切り刻み、そして、フェイス・○ラッシュでカシ
ミヤ100%コートのように私を優しく包み込む……。
 まるで、嵐の海の小舟のように、思うままに私を弄ぶ由綺さん。
 私は為す術もなく、あなたに翻弄されるの……。
 そう、由綺さん。あなたはとても、とてもひどい人……。
 だけど私は、そんなあなたに首ったけ……。
 この想いは……もう、止まらない……。


「……ね、弥生さん。そろそろ出よっか」


 正午を半分回ったほどの時間帯。店の出入り口には、順番待ちの人たちがまだか
まだかと並んでいます。
 そうですね、ここらが潮時でしょう。
 彼らを気にかけた由綺さんの言葉にうなずき、私たちは席を立ちました。




 会計を済ませて店を出ると、柔らかい日差しが降り注いできました。


「はぁーーー、いいお天気。ねぇ弥生さん、どこに行こっか?」


 由綺さんがまぶしそうに空を見上げ、それからくるりと振り返って私へ微笑みか
けます。

 ああっ、胸キュン!!

 その仕草があまりにも可愛らしく、私は思わず彼女を抱きしめてしまいそうにな
りました。
 なんとか、必死の自制心で自らを律します。


「そうですね……由綺さんは、どこかリクエストはありますか?」
「うーーん、そうだね……」


 はぁぅっ!!

 私は先よりもはるかに強い自制心を発揮して、勝手に動こうとする身体を押し止
めなければなりませんでした。

 いけないいけない。
 質問を返されて小首を傾げる由綺さんに、私はもう少しで頬ずりをしてしまうと
ころでした。
 ああ、由綺さん。どうしてあなたはそんなに可愛いのでしょう?


「えっとぉ……」


 あああっ! 悩殺ポーズ!!

 唇に人差し指を当ててうつむき、考え込む由綺さん。
 その仕草は、私にとっての「だっちゅーの」です。
 もうたまりません。


「んーとねぇ……」


 はぁぁぁぁん!! セクシィィーーーーッ!!!!

 私は、地面をゴロゴロと転がりまくりたい衝動に駆られました。

 もーダメですッ。ダメなんですッ!
 首をほんの少し傾け、人差し指でプニッと頬をつきながら思案する由綺さんを見
ているだけで、僕ァ……僕ァ……!

 彼女の一挙一動に私の熱い想いは絶えず高ぶり続け、留まるところを知りません。
 ああ、由綺さん……あなたを奪いたい……あなたをさらって北へ逃げたい……。
 藤井さんなんかに渡したくありません……。
 私は……どうすればいいのでしょう……?


「うーんと、うーんと……」


 いつものように表情には出さず、胸の内で独り悶々とする私の前で、由綺さんは
ただひたすら私を悩殺し続けます。
 私はもう、鼻血ブー寸前です。


「……あれ? ひょっとして、由綺ちゃん?」


 私がポケットからティッシュを取り出そうとした矢先、誰かが由綺さんに声をか
けてきました。
 その瞬間、私はキリリと顔を引き締め、由綺さんの一歩前に出ます。
 声をかけてきた者がもし「度が過ぎたファン」だった場合、それなりの対処をし
なければなりません。
 その口調は知った者への親しみが込められているようでしたが、念には念を入れ
なければ……。


「あっ、美咲さん!」


 由綺さんは顔をほころばせて、満面の笑みを浮かべます。


 きしり。

 私の中の歯車が、小さく不協和音を奏でました。

 花がほころびたような今の由綺さんの笑顔……私は一度も向けてもらったことが
ありません。
 嫉妬が燃え盛る炎と化して、私の身体をジリジリと焦がします……。
 しかし、決して表情に出てくることはありません……。


「うわぁ、偶然! こんなところで美咲さんに会えるなんて……」
「私もびっくりしちゃった。由綺ちゃん、今日は仕事お休みなの?」
「うんっ」
「あ、それじゃ、藤井くんと一緒なんだ?」
「う……ううん。冬弥くん、今日はちょっと都合が悪いって……」
「あ、そ、そうなの……」
「うん……それで、今日は弥生さんと……あ、そういえばお互いに初対面なんだよ
ね」


 由綺さんが、私と、もう一人の女性の顔を交互に見比べます。


「美咲さん、紹介するね。こちらは私のマネージャーさんの……」
「はじめまして、篠塚弥生です。縁あって、由綺さんのマネージャーを務めており
ます」


 由綺さんからの紹介の言葉を引き継ぎ、私は軽く会釈をします。相手もまた会釈
を返しました。


「それで、こちらが澤倉美咲さん。高校、大学ともに私の先輩なの」
「あ、はじめまして。澤倉美咲です。えっと……」


 澤倉さんがかすかに頬を染めて何かを言おうとしましたが、それよりも早く私が
口を開きました。


「ええ、澤倉さんですね。由綺さんから時々お話を伺っております」
「え……?」


 澤倉さんがきょとんとした顔になり、それから由綺さんの方へやや戸惑ったよう
な顔を向けました。


「えへ。以前何度か、すっごく優しい先輩がいるって話を弥生さんにしたことがあ
ったから。さっきもこのお店で美咲さんの話とかしたの」
「や……優しいだなんて、私……そんな……」
「ううん。美咲さん、とっても優しいもん」
「ゆ、由綺ちゃん……恥ずかしいよ……」


 澤倉さんはますます頬を染めて、そわそわと視線を泳がせています。


「Excuse me……」


 ちょうどその時、私たちを見比べてにこにこしている由綺さんに、またもや話し
かける者が現れました。
 今度はなんでしょう?
 言葉は英語のようでしたが、やはり油断はできません。


「はい?」


 由綺さんが振り返り、私と澤倉さんも第4の人物に目を向けます。
 第4の人物は、金髪碧眼で背が高くて鼻も高い、見るからに欧米人といった風貌
の男でした。
 注目されていると悟った男が、言葉を続けます。


「Excuse me,could you tell me where 
 the train station is?」
「え……」


 かなりゆっくりとはいえ、英語で訊ねられた由綺さんの表情が少し狼狽気味です。
 でも、由綺さんのそんな顔も、とっても素敵です……。
 いつか機会があれば私もひとつ彼女を困らせてみようか、などど考えてしまうほ
どです。


「えっと、えっと……」


 いきなりの展開に対応できず、由綺さんはパニック状態に陥ってしまったようで
す。
 でも、由綺さんのそんな様子も、とっても素敵です……。
 正直な話、できればずっと彼女を見ていたかったのですが、そういうわけにもい
かないでしょう。
 それでは、ここはわた……。


「Well,go straight up this street and 
 turn right at the second corner.
 It's on the left」
「Oh,thank you very much!」
「You’re welcome」


 ……私が由綺さんに変わって答えようと思ったら、澤倉さんが一足早く答えてし
まいました……。
 由綺さんにかっこいいところを見せる絶好のチャンスでしたのに……不覚です。
 澤倉さんは、礼を言って離れていった男を見送っていました。
 ややあって……。


「す、すっごぉーーい。美咲さん、すごいすごい!!」


 由綺さんが興奮して、すごいすごいを連発しはじめました。
 澤倉さんは耳までも赤く染め、


「ゆ、由綺ちゃん。大げさだよぉ……」
「だってだって。私、全然分からなかったのに……。美咲さんって、やっぱりすご
ーい!」


 澤倉さんは前にも増してせわしなく視線を泳がせ、そんな彼女に由綺さんが尊敬
とあこがれの眼差しを送っています。
 そんな二人を見て、私は愕然としました。

 な、なんてことっ!?
 あと一歩早かったら、由綺さんのあの熱い眼差しは私のものでしたのにぃぃ!!
 くぅぅっ、澤倉美咲! この目立ちたがり屋め!!
 ちゃんと答えられたとはいえ、なめらかとは言い難いその話し方、貧弱脆弱なそ
の発音とイントネーションでは、てんでお話になりませんわっ!!
 英検1級の私だったら文字通りペラペラペラッと答えて、由綺さんの眼差しの熱
さも3倍増しは確実だったはず!!
 ちぃぃぃっっ!! おのれ、おのれ、おのれぇぃっ!!

 煮えたぎる想いをしかし表情には一切出さず、私は二人のやりとりを見ています。


「はぁ〜〜。美咲さんって、ホント素敵だよね。私、断然あこがれちゃうなぁ」
「ゆ、由綺ちゃんだって、あこがれの対象じゃない。アイドルなんだし……」
「でも、そんなこと言ったって、私、かっこわるいもん。さっきの私見てたら、き
っとファンの人もイヤになっちゃうかも……」
「そんなこと……」
「ねね、美咲さんって、英検とか持ってるの?」
「う、うん……いま、準2級だけど……」
「うわぁ、すごぉーーい!」
「ゆ、由綺ちゃん、大げさだってば……」


 え、英検準2級ですってぇ!?
 たかが準2級の分際で、1級の私を差し置いて……!
 おのれっ許すまじ! 澤倉美咲!!
 私の中では、いまからあなたの呼び名は準2級ですわっ!!

 由綺さんと準2級は、二人だけでなおも会話を続けます。
 ちょぴり寂しい……。
 由綺さん……私を見捨てないでください……。


「はぁ……やっぱり美咲さんって、いいなぁ……」
「も、もう……由綺ちゃん……」
「――あ、そうだ。ね、美咲さん。来週の水曜日って何か予定入ってる?」
「来週の水曜日……? ううん、特には……」
「あっ、それじゃ、久しぶりに美咲さんの家に行っていいかな……? ほら、もう
すぐ試験だし、英語の勉強でちょっと教えてもらいたい所とかあるから……」
「そうなんだ。うん、私はいいわよ」
「ほんと? やったっ♪」


 ガーーーーーーーン!
 なーーんということでしょう!!
 私はまたもや愕然としました。

 由綺さんが準2級の家で英語の勉強……。
 お、おのれっ準2級!
 さては、こうなることを見越して、私よりも先に答えたのですね!
 不覚っ! 篠塚弥生一生の不覚ですわ!!
 もし私が先に答えていたら、由綺さんと二人っきり、甘々でラブラブなイングリ
ッシュ・タイムを過ごすのは私の方でしたのにぃぃぃ!!
 きーーーーーっ! 悔しいですわっ!!
 私は心の中で地団駄を踏み、ジタバタと暴れまくりました。

 密かに狂暴化している私には目もくれず、由綺さんと準2級は言葉を交わし続け
ます。


「あ……ごめんなさい、美咲さん。私、美咲さんの都合も考えずに勝手に頼み事な
んかして……。意外な所で会えたものだから、つい浮かれちゃって……」
「ううん、いいのよ。私も由綺ちゃんに会えて嬉しかったし」
「……えへ、やっぱり優しい……。美咲さん、大好き」
「ゆ、由綺ちゃん……もう……」


 はうあぁっ!!
 ……そんな……そんな……。
 由綺さんのバカーーーーーっ!!

 私は真っ赤な夕陽に向かって、一目散に駆け出したい気分でした。
 由綺さんが……由綺さんが、準2級のことを……。
 しかも、『好き』じゃなくて『大好き』……そんな……。
 ああ……由綺さん……あなたの心はもう、準2級のものなのですね……。
 私では、逆立ちしたって手の届かないところに行ってしまったのですね……。
 逆立ちしたら両手がふさがってしまいますから、ますます届かなくなるような気
もしますが……それはさておいても。
 由綺さん……私のことなんてもう、振り向いてもくれないんですね……。

 その時、落ち込んでイジイジしている私に、誰かが声をかけてきました。


 ――ダメだぜ、弥生! そんな弱気じゃあ!


 この声には、聞き覚えがあります。
 彼女は熱血弥生さん。いつもクールな私の、もう一人の私だそうです。
 私が沈んでいる時には、必ず現れて力づけてくれる、とても頼りになる人です。
 そしていつものように、私は彼女に教えを乞うことにしました。


 熱血弥生さん……由綺さんを準2級に奪われてしまいました……。
 私はどうしたらいいのでしょう……?


 ――決まってるだろっ。取られたら取り返そうぜ、ホトトギス! そんな簡単に
諦めるなんて、あんたの由綺への愛はその程度だったのかいっ!? まったく、さ
っきから黙って聞いてりゃウジウジウジウジ、鬱陶しいったらありゃしないッ。


 そんなことおっしゃられましても……どうせ私では、準2級にはとうてい歯が立
ちませんわ……。


 ――タックルは腰から下ぁーーーーーーッ!!!!


 ドドドウゥッ


 あううっ、痛いですわ、熱血弥生さん。


 ――そんな弱気でどーーーする!! 世の中、略奪愛だっ!! 


 略奪愛……。


 ――そうだっ! 奪われたんなら、奪い返せばいいんだよっ!! 体当たりの愛
で、由綺のハートをゲットだぜ!!


 体当たりの愛……! 分かりましたわ、熱血弥生さん! 私、体当たりの愛で、
由綺さんを必ず取り戻して見せますわっ!


 ――その意気だっ! タックルは腰から下ぁーーーッ!! はい、リピートォ!


 タックルは腰から下ぁーーーーーーッ!!!!


 ――よっしゃーーーーーーーっ!!! 行けっ、弥生!!


 ラジャーーーッ!!


「あの……弥生さん……?」


 ドキッ!!


 ふと気が付けば、由綺さんが覗き込むようにして、不思議そうに私の顔を見つめ
ていました。
 ああ……つぼみが花開いたような由綺さんの唇が、すぐ目の前に……。
 突然の接近に、私の胸が激しく高鳴ります。


「……はい」


 一瞬言葉が出てきませんでしたが、なんとか返事をすることができました。
 いっこうに静まろうとしない鼓動が、由綺さんの耳に届いていないか、とっても
心配です……。


「どうかしたの、弥生さん? さっきから、なんだか上の空だけど……」
「いえ……なんでもありませんわ」
「そう?」


 はぁぁ……。
 ようやく心臓が落ち着きを見せ始めました。
 人心地ついて周りを見ると、いつの間にか準2級の姿が見えません。


「あの、由綺さん……澤倉さんは……?」
「え? 美咲さん? 美咲さんなら、もう行っちゃったけど……」


 その言葉を聞いた途端、私はポーカーフェイスを保ったまま、心の中で中指をお
っ立てました。

 おほほほほほ、準2級!!!
 さては、私の体当たりの愛に恐れをなして逃げたのですね!?
 そう、あなたのタックルには腰が入っていないのですわ!
 まだまだ甘いですわね、準2級。それだから、あなたは準2級なのです。
 ま、いいでしょう。去る者は追わずです。今回は見逃して差し上げますわ。
 おーーーーっほっほっほ。


「美咲さんが歩いていくとこ、弥生さん見てなかったの?」


 由綺さんの質問に、心の中で勝ち誇っていた私は思わず返答に詰まってしまいま
した。


「え……その……」
「そっかぁ、弥生さんでもぼんやりする事ってあるんだぁ。うふふ、今度冬弥くん
にも教えてあげよっと」
「ゆ、由綺さん……」


 悪戯っぽい瞳で私を覗き込む由綺さんは、まるで真夏の小悪魔のようです。
 ああ……由綺さん。あなたはなんて罪な人……。
 そうやって見つめられているだけで、弥生は……弥生は……。


「ね、弥生さん。私、行きたい所思いついたんだけど……いいかな?」
「ええ、かまいませんわ。今日の私は、由綺さんの専属ドライバーですから」
「もう……弥生さんったら……」


 はにかみながら、気恥ずかしげにうつむく由綺さん。
 あまりのプリチーさに、私はもうメロメロのフニャフニャです。
 はぁぁん、由綺さぁぁぁぁぁん。
 そして、由綺さんとの楽しい楽しいドライブが始まりました……。




 由綺さんとのラブラブデートも終え、私は自宅に戻ってきました。

 ふう……今日はなんだか、とても疲れてしまいました。
 明日も早いことですし……もう寝ることにしましょう。
 お休みなさい、由綺さん……また、明日……。
 といっても、すぐに夢の中でお会いすることになるんですけどね……ふふ。




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 弥生さんを壊してみました。でも、なんかダメダメです。オチも無いし……。
 キャラを壊すのって、難しいや……。

 このSSは先日、某所を歩いている時に外人さんに道を訊ねられたのをきっかけ
に書いたものですが……不必要に長くなってしまいました。ああ……。

 作中の人物とは違い、アジア系の人だったんですが、いきなり英語で訊ねられて
パニクッてしまいました。

 その人は周辺一帯の地図を持ってて、「ここへはどうやって行けばいいのか」み
たいなことを訊いてきたのですが、まったく答えられなかったオレはやたら長い時
間地図とにらめっこしながら考えこんだあげく、「あっち……かな」と日本語で言
って、方向を指さすことしかできませんでした。超カッコ悪いですね。(苦笑)

 でも、その場所はその日初めて来たところだったので、地図見せられても全然分
からなかったんだよぅ。外人さんはそれでも一応納得してくれたらしく、礼を言っ
てオレの示した方向に歩き去っていきましたが、たぶん埒があかんと思ったんじゃ
ないかなぁ……。うう、ごめんよう。
あの人、目的地にちゃんとたどり着けてたらいいんですけど……。

弥生ファンの方、ごめんなさいです。
久々野様から、跳び蹴りでもかまされそうなSSだな、これ……。(汗)


タイトル:篠塚弥生という女
ジャンル:ギャグ/WA/弥生
コメント:いつもクールな女、篠塚弥生。彼女の真実に迫る。(大嘘)