『幼少時代』 浩之とあかりは熱いお茶を飲んでいる。 あかり:「あっ、あつっ……!」 浩 之:「きをつけないとシタをヤケドするぞ、あかり」 あかり:「う、うん……ちょっとヒリヒリする……」 浩 之:「しょうがないな……ほら、かしてみ」 あかり:「あ……」 浩 之:「ふーーーっ、ふーーーっ……」 あかり:「…………」 浩 之:「……こんなモンかな? あかり、のんでみろ」 あかり:「うん」 ずっ、ずっずずずーーーーっ。 あかり:「うん、ちょうどいい」 浩 之:「そうか」 あかり:「ありがとう、ひろゆきちゃん」 浩 之:「おう」 あかり:「(……だいすき)」 藤田母:「(クスッ)ホントに仲のいいこと」 神岸母:「(クスッ)そうね。いつ頃かな? あかりを嫁にくれ、って言ってくる の」 藤田母:「もう、気が早いわねえ」 神岸母:「クスクスクスッ」 千鶴と梓は熱いお茶を飲んでいる。 梓 :「あっ、あつっ……!」 千 鶴:「気をつけないと舌をヤケドするわよ、梓」 梓 :「う〜ん……ちょっとヒリヒリする」 千 鶴:「しょうがないわね……ほら、貸して」 梓 :「あ……」 千鶴は鬼を解放した。 ミュージックNO.18「見えざる敵」 スタート ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン……♪ 炎すら凍てつくまなざしで、梓の湯飲みの中を覗き込んでじっと見つめる。 千 鶴:「……こんなものかしら。梓、飲んでみて」 千鶴は鬼を封じた。周囲の気温は元に戻り、音楽も消える。 梓 :「うん」 ずっ、ずっずずずーーーーっ。 梓 :「ちょうどいいよ、ちづるねえ」 千 鶴:「そう? よかった」 梓 :「……ありがと(ぼそっ)」 千 鶴:「?」 梓 :「……なんでもない」←少し顔を赤らめる 柏木父:「……千鶴もふーふーが上手くなったな」 柏木母:「ホントに。鬼加減もいい感じ」 柏木父:「ところでな、初音がお兄ちゃんを欲しがってるのを知ってるか?」 柏木母:「ええ……でも、どうしようもないわよね……」 柏木父:「いや、その代わりっていうか、弟で我慢してもらおうかなと思ってるん だが……」 柏木母:「え?」 柏木父:「今晩……どうだ?」←抱き寄せる 柏木母:「あなた……(ポッ)」 『現在』 祐介と沙織は熱いお茶を飲んでいる。 祐 介:「あちちちっ……!」 沙 織:「あ、大丈夫、祐くん? 舌、ヤケドしなかった?」 祐 介:「ん……少しヒリヒリする……」 沙 織:「ね、ちょっと貸して」 祐 介:「あ……うん」 沙 織:「ふーーーっ、ふーーーっ……」 祐 介:「わっ。い、いいよ沙織ちゃん。自分でやるから……」 沙 織:「いいからいいから。ふーーーっ、ふーーーっ……はい、どうぞ」 祐 介:「あ、ありがと」 ずっ、ずっずずずーーーーっ 沙 織:「どう? まだ熱い?」 祐 介:「ううん……ちょうどいい」 沙 織:「そう? よかった(にっこり)」 祐 介:「(ドキッ)あ……さ、沙織ちゃんの、僕がやろうか?」 沙 織:「え? えへへ……なんだか恥ずかしいな」 祐 介:「……ふーーーっ、ふーーーっ……こんなものかな? はい」 沙 織:「うん」 ずっ、ずっずずずーーーーっ 沙 織:「おいしい……」 祐 介:「熱くない?」 沙 織:「ちょうどいいよ」 祐 介:「ん」 沙 織:「えへへへ……ね、祐くん」 祐 介:「なに?」 沙 織:「お茶は冷めたけど……私の祐くんへの想いは、ふーふーしたくらいじゃ 冷めないからね♪」 祐 介:「え……さ、沙織ちゃん……」 沙 織:「えへへへ♪」←頬を染めてしなだれかかる 耕一と楓は熱いお茶を飲んでいる。 耕 一:「あちゃちゃちゃ……!」 楓 :「あ、大丈夫ですか、耕一さん?」 耕 一:「うん、大丈夫大丈夫。ちょっとあわてて飲んじゃったかな」 楓 :「私がふーふーして、冷ましてあげます」 耕 一:「え……はは、なんだか照れるな」 楓 :「では、いきます」 耕 一:「(? なんか気合いが入ってるな)」 楓は鬼を解放した。 ミュージックNO.18「見えざる敵」 スタート ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン……♪ 炎すら凍てつくまなざしで、耕一の湯飲みの中を覗き込んでじっと見つめる。 耕 一:「な……」←唖然としている 楓 :「……はい、どうぞ……」 耕 一:「あ、ありがと……(これのどこがふーふーなんだ?)」 ずっ、ずっずずずーーーーっ 楓 :「…………(ドキドキ)」 耕 一:「…………(ぬるい……)」 楓 :「ど、どうですか?」 耕 一:「あ……う、うん。おいしいよ」 楓 :「そうですか……よかった」 耕 一:「…………(なんだかなあ……)」 千 鶴:「(…………)」←物陰から隠れて見ている その夜…… 千 鶴:「楓。ちょっとこっちへいらっしゃい」 楓 :「……? なに、千鶴姉さん?」 千 鶴:「今日、あなた、耕一さんのお茶にふーふーしてあげてたでしょ?」 楓 :「あ……見てたの、姉さん」←顔を赤らめる 千 鶴:「楓……あなたはまだ修行不足よ」 楓 :「え……?」 千 鶴:「私から見るに、あれは鬼加減が甘かったわ。あのとき耕一さん、ぬるい って思ってたはずよ」 楓 :「そ、そんな……」 千 鶴:「耕一さん、おいしいとは言ったけど、ちょうどいいとは言わなかったで しょ?」 楓 :「あ……」←愕然とする 千 鶴:「さあ、楓! 耕一さんに熱くもなくぬるくもない、ちょうどいい温度の お茶を飲んでもらうために特訓よ!」 楓 :「はいっ!」 楓は鬼を……以下略。 ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン……♪ 千 鶴:「ぬるーーい! やり直し!」 楓 :「はいっ!」 ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン……♪ 千 鶴:「あつーーい! やり直し!」 楓 :「はいっ!」 ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン、、、、、、ザンザン……♪ 死ぬまでやっとれ。 **************************************** 「ほのぼの」と「ギャグ」のミックスにチャレンジしてみました。 結果は惨憺たる有様です。 「見えざる敵」ってどの曲なのか、わかりますよね? 頭の中で実際に流してみると、少しは面白くなるかも。 幼少時代に一部ひらがながあるのはそれっぽく表現したかったからで……浩之、あ かり、梓は小学校2、3年生ってところなのですが、ひらがなだけってのはもう卒 業してる頃かなあ? そのとき、千鶴さんは中学生ですから漢字なのは当たり前な のですが……。 ところで、ハートマークって、なんで無いんでしょうね? やむなく音符記号にしましたが……。 ジャンル:ほのぼのギャグ(?)/色々/色々 コメント:熱い飲み物にはやっぱりこうしますよね。