あかりのお母さんは笑わない 投稿者:雪乃智波

 今日の一発目!

 はい、ラジオネーム、もてもて君さんからのお手紙〜。って自分で言ってる
よ〜。
「えーっと、みねちゃんこんばんわ」 はい、こんばんわ〜。
「今日は僕の悩みを聞いてください」 はいはい、なんですか?
「実は僕には男と女の幼なじみがいるのですが」 へ〜、いいですね〜。幼な
じみですか。みねにもね〜、いるんですよ。幼なじみ、女の子の。中学までずっ
と一緒だったんですけどね〜。って中学まではおんなじで当たり前ですよね。
でも、高校が違っちゃったんですよ〜。
 え? 先行け? はい。
「その男の幼なじみと、女の幼なじみの母親がそっくりなのです!」 って、
これどういう意味かな? 男の幼なじみと、てん、女の幼なじみの母親がそっ
くりって書いてあるから、えーっと、え〜〜〜っ? つまり〜、幼なじみの男
の子と、また別の幼なじみの女の子のそのお母さんがそっくりってことですか?
 そーですよね〜? これって、どういう意味? なんて、あ、手紙の続きに
も書いてあるよ。え〜、
「これってどういう意味なんでしょうか? みねちゃんはどう思います?」 
ん〜とね〜。これってどーだろうね〜? 困ったなあ。とりあえず、そのお母
さんがすごく若いのか、男の子がすごい老けてるんだろうね〜?
 えーっとですね。もてもて君さん、ごめんなさいっ! みねには分かりませ
んっ! ぜひとも真実を追究して、またお手紙を送ってください。待ってますっ!

 ちゃん、ちゃちゃ〜、ちゃちゃ〜ん♪
 ちゃん、ちゃちゃ〜、ちゃちゃ〜ん♪

 Heart to Heart!!

 え、辛島美音子です。こんばんわ。
 暖かくなってきましたね。桜も満開のようで、お花見にいってらっしゃる方
も多いのではないでしょうか? みねは今年はまだお花見行ってません。
 あ〜〜ん。行きたいよぉ…………

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 ぐぅ。


 一発ネタSS「あかりのお母さんは笑わない」


 ちちっ、ちちちちっ。
 かしゃ!

 おお、なんだか今日は早く目が覚めたぞ。

 時計を見てみる。
 まだ全然余裕の時間だ。
 もう一眠りするか。
 ぐぅ〜。

 と、いつもならやるところだが、今日はしない。
 素晴らしい名案が浮かんだのだ。
 俺は手早く着替えを済ますと、鞄を手に家を出た。
 そしてあかりの家に向かう。

「あかりちゃ〜〜んっ! 起きてよ、あかりちゃ〜〜ん! 学校に遅れちゃう
よ〜!」
 案の定というか、慌てたあかりが家から飛び出してくる。
「浩之ちゃん、なにやってるの?」
「あれ? あかり、随分と髪の毛が伸びたなあ」
「あかりなら、今さっき浩之ちゃんを迎えに行くって、家を出たわよ」
「なにぃっ!?」
 良く見るとあかりんとこのおばさんじゃねぇか!
「ってことは途中ですれ違ったのか? 一本道だってのに何処を通ってやがる
んだ。あかりの奴。あ、おばさん、じゃあ俺あかりを見つけてそのまま学校行
きます。行ってきます!」
 俺は急いで自分の家に駆け戻……ろうとした。
「浩之…」
 いきなり呼び捨てにされ、振り替える。
 と、そこにはさっきと変わらずにあかりんとこのおばさんが立っていた。
 いや、でも、なんか雰囲気が違わねーか?
 ……そうだ、笑ってないんだ。
「浩之、世界に危機が迫ってる」
「な、なにいってんだ、おばさん」
「僕はあかりのお母さんじゃない…」
「な、なにを」
 言ってんだ。おまえ! と言おうとしたが、言葉にできない。
 こいつはあかりんとこのおばさんとは全然違う、そんな気がした。
「僕は自動的なんだ。世界に危機が迫っていることを察知すると自動的に浮か
び上がってくるんだ。まるで泡のようにね」
 まるで少年のような口調。
 あかりんとこのおばさん、演劇なんてやってなかったよな?
「世界のためにも、浩之、君に一つ質問がある…」
「な、なんだ?」
 世界の危機とか、わけのわかんねーことはともかく、俺は早く学校に行きた
かった。こいつに関わるとロクなことにならなねーんじゃねぇか? そんな気
がしていたのだ。
 そして、あかりんとこのおばさんの顔をしたそいつは口を開いた。
「僕たち、友達だよね?」
 にっこり。









 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!










 以上。おそまつさまでした。

 思い付いた一発ネタでした。
 今日はエイプリルフールだし、こんなのもありかな、と思って。
 なお、元ネタのブギーポップは笑わない、は、今友人に貸していて、せりふ
はうろ覚えです。

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