キン肉マン・マルチ 第二章(12) 投稿者:助造 投稿日:5月25日(金)23時43分
 前回までのあらすじ

 東鳩超人選手権三位決定戦。
 氷上チェーンデスマッチという全く体験したことのない
試合方法で、智子と琴音は三位を争うこととなった。
 試合開始から、氷のキャンバスの思わぬ効果に戸惑う智子。
一方、琴音は有利に試合を展開していき、遂には智子を追い詰める。
だが、琴音の勝利を誰もが確信した時、智子の反撃の一撃が決まった。

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      キン肉マン・マルチ 第二章 東鳩超人選手権編 第十二話



 蛇。

 それを見た瞬間、智子の頭にはそれしか浮かんでこなかった。
 一匹の蛇。
 鉄の身体を持った蛇だ。
 それが―――
「何やコレは!!?」
 自らに襲いかかってきていた。
 

「し、主任! 何ですかアレ!?」
 マルチが指さす。
「………!」
 長瀬は目を大きく見開いて何も応えない。
 いや、応えられない。
「鎖が…鎖が保科さんに!?」


「ぐぅっ!」
 鎖は智子の身体に絡みついてくる。
 腕を、足を、身体を縛り上げる。
蛇が獲物を捕らえるときに似ている。智子は悠長にそんなことを考えた。
 鎖が人間に襲い掛かる。
 そんなことがありえるのだろうか?
「あるワケ…ないやろ…!」
 智子は自分の愚かな考えを振り切るように鎖に手を伸ばす。
身体を拘束している鎖から逃れようとそれを掴み、引き離そうとする。
離れなければ、引き千切るまでだ。超人の力なら不可能なことではない。
「………!」
 だが、そこで智子は気付く。
 鎖があまりにも自分を締め付けているのだ。
 唯でさえ絞られた智子の身体に食い込んでいる程に。
智子は強引に手を身体と鎖の間にねじ込むことで鎖を引き離すつもりだった。
だが、予想以上に締め付ける力が強く、手をねじ込むことができない。
うまく掴むことができないので、引き千切ることもできないだろう。
 考えているうちに、鎖は腕に巻きつく。
 腕の自由を完璧に奪われてしまった。

 まずい…
 智子は思った。
この力は異常だ。普通の人間なら骨が砕けるであろうその力は、確実に
増え続けているのだ。このままでは超人の身体も…破壊できる。
 すると、これは―――
「琴音…これはあんたの能力(ちから)か!?」
「…そういうことです」
 琴音の超能力…特に念動力には伝導性に似た物がある。
自らの力を、特定の種類の物質(金属が伝わりやすいらしい)に伝え、
間接的に能力を目標に使うことができるのだ。
例えば鎖で繋がっている者に鎖を使って念動力を間接的に送り込むような事もできる。
 この場合、琴音は鉄製の鎖に能力を放出し、それを鎖に留めさせた。
こうすることで、鎖を自分の能力と同じように思うがままに操ることができる。
鎖が自分の能力の一部と化すからだ。そうなれば手足を動かすのと同じようなものだ。
少なくとも、今の琴音には。
…最も、それは能力の及ぶ範囲だけでなのだが、少なくともこのリング上は全て琴音の
能力の範囲内である。
「………!!」
 琴音が思い切り腕を振り上げる。
「おぉおおぉ!!」
 長い鎖がそれによって引っ張られ、智子の身体が琴音に引き寄せられる。
引き寄せられまいと智子も踏ん張るのだが、鎖を伝って流れ込んできた超能力によって
身体が宙に浮かされ、それも適わない。
 引き寄せられた先に待っていたのは琴音の右拳だった。
 思い切り吹っ飛ぶ。
 だが、宙にいるうちにまた引き寄せられた。
 そしてまた琴音に殴り飛ばされる。
 今度の拳は頬に当たった。
 また左腕で引き寄せられ、右腕で殴り飛ばされる。
「っ!!」
 いつまでも続きそうな攻撃だ。
 このままではいけない。この攻撃のペースを絶たねばならない。
「………!」
 また琴音に引き寄せられる。
 この先には拳があるはずだ。
 ここで止めて勢いを絶つ―――
 パンチを防御し、腕をとるなりなんなりの反撃をすればいい。
 そう思って智子は身構えた。
 
 だが―――

 引き寄せられた先に琴音の拳はなかった。
 何もなかった。智子は琴音の頭上を通り過ぎるのがわかった。
 読み間違えた!?
 琴音は智子の思考の裏を読んだ。
 わざと単調な攻め方をし、次もそう来ると思わせておいて異なった攻撃で
無防備な智子を叩くつもりだったのだ。見事に引っ掛かった。
左腕で智子を引き寄せながら、右手で鎖を掴み安定させて大きく腕を振り下ろす。
勢いのついた智子は物凄い速さでキャンバスに叩きつけられることになった。

「ダウーーーンッ!!! 保科智子ッ!!」
 智子は二度目のダウンを喫した。
 別にダウン数に制限はない…が、これが示しているものは大きい。
 試合開始から二度目のレフェリーは二度のダウンカウントを取ったが、
そのどちらもが智子のダウンなのだ。
 試合は圧倒的に琴音有利で進んでいる。
琴音は先ほどから幾つもクリーンヒットと呼べるダメージを智子に与えているが、
対して智子は琴音のスリーパーホールドから逃げる際に与えたダメージぐらいだ。
「………!」
 琴音は攻撃の手を休めない。
 ダウン中に攻撃をすることは許可されている。
もう一度智子の身体を宙に放り、キャンバスに叩きつける。
肉が叩きつけられたときの、重く鈍い音が響く。
 琴音は攻撃の手を休めない。
 憑かれたように智子を叩きつけていく。何度も…


「…強い…!」
「…………」
 マルチは無言で、何故か不思議そうな顔で試合を見ている。
「どうしたマルチ?」
「…あの能力を…」
「?」
「姫川さんは…あの超能力のことを嫌っていたと浩之さんから聞いています…」
「何故だ? あの能力、試合を進めていく上で非常に有利なものじゃないか。
 超人格闘技者として、あれは非常に羨ましい能力だぞ…」
「主任…姫川さんは元々は超人格闘技者じゃなかったんですー…」
「…そうなのか?」
 長瀬は初耳だったらしい。
「はい」
 超人はその驚異的な身体能力から、様々な分野での活躍をしている。
その中でもスポーツ分野、特に格闘技の方面ではその成果は大きい。
その所為もあってか、世間では 超人=格闘技者 という見識ができている。
「超人は…闘争本能が非常に高いようにできている。格闘技という舞台はそれを
 合法的にも…思い切り発揮できる場所だ」
 超人の中に格闘技の苦手な者は存在しない…という仮説がある。
そして、証明されてはいないがそれは事実だ。現に掃除の他に取り柄がなかった
マルチも、こうして東鳩超人選手権決勝にまで勝ち進んできている。
「姫川さんの能力は…完全に自分の思うようには制御できなかったらしいです…。
 格闘技は相手とのぶつかり合いの場ですから、唯でさえ制御しきれていない
 能力が試合中の何らかのショックで暴走しないとも限らない…」
「…………」
「全部、浩之さんから聞いた話ですけど…姫川さんはそういうものを抱えながら、
 今まで生きてきたんですー…」
「格闘技者として優れた素質を持ちつつ、それを全く発揮できずに生きてきた、か。
 しかし…その彼女が何故今になってこの大会に参加しているんだ?」
 しかも、琴音は今その能力を使って智子を攻め続けている。
 それも躊躇なく、完膚なきにまで叩きのめそうとしているように見える。
「それなんですよ。姫川さんは私と闘った時もあの能力を思い切り使ってました。
 あれだけ能力を…能力で人を傷つける事を嫌っていた姫川さんに、能力を使う
 ことを躊躇わせない程の何かが今の姫川さんにはあるんです! それが一体
 何なのか…ちょっと考えていたんですよー」
「躊躇わせない何か、か…」




 能力の暴走。それは琴音が一番恐れていたことである。
 故に琴音は自らの異常な能力を忌み、嫌ってきた。

 だが、あれは…ちょうど一年前のこの頃だったろうか。
 琴音は一人の女性と出会った。
 彼女の名は榎田亜矢子(えのきだ あやこ)。
 琴音の後の運命を変える事になる女性である。

 二人の関係は街中ですれ違った際に亜矢子に話し掛けられたところから始まる。
初めは琴音は不審に思った。亜矢子が何の面識もないのにいきなり話し掛けてきた
からだ。当時、自らの能力に悩み、人と距離を置いていた琴音は少し過度に人を
拒絶してしまう状態にあった。だが、彼女はそれを知っていて話し掛けたのだ。
 何故、自分に話し掛けてきたのか? 琴音はまずそれを問うた。
 彼女は柔らかく微笑んで言った。

 ―――大丈夫。私にはあなたのことがわかる…。

 彼女もまた、異能を持つ女性だったのだ。

 すれ違った時に、亜矢子は琴音の能力にすぐに気付いたのだと言う。
他の能力者がどうなのかはわからないが、彼女には能力を持つ者がわかるらしい。
亜矢子は琴音のその能力の大きさに驚いたと言う。そして亜矢子は琴音の中にある
大きな可能性を見つけていた。
 琴音が超人であると言うことを。
 そして、隠れた才能を。




 ばつんっ!

「!!」
 金属が出すとは思えないような音を立てて、鎖の一部が千切れ飛んだ。
琴音の能力を留め続けていたのと、叩きつける時の度重なるに衝撃に鎖が耐えられ
なくなったらしい。
 宙にいた智子の身体は勢いでそのまま叩きつけられた。
「……ぐ…ん…」
 微かに呻き声を上げながら、智子はゆっくりと立ち上がる。
砕けた眼鏡のレンズがバラバラと落ちる。意味を無くしたそれを智子は放り捨てた。
顔に青い痣ができている。リングコスチュームの下にもそれは隠れているのだろう。
 鎖が意味を無くしたことで、試合はチェーンデスマッチではなくなったと言える。
そして鎖を使った一連の琴音の攻撃もなくなることになる。
「…………」
「…ふぅ…これでもう…縛られてるのも終わりやな…」
 だが、智子もわかっている。
 もう充分に鎖での攻撃の役目は果たした、と。
 琴音はそう思っている。
智子はかなりのダメージを受けている。それだけでこの攻撃は充分なのだ。
例えとどめはさせなくても…。
「…………」
 琴音は無言で目を瞑っている。
別に挑発しているのではない。ただ、精神を集中させている。
 琴音の頬に一筋の血が伝った。先ほどの傷の出血だ。
 鈍器で殴られたようなものなので、先程から鈍痛がしていた。
 だが、もう琴音はそれを感じてはいない。神経が認識していない。
 感覚神経を研ぎ澄ましたこの状態では、目を瞑っていても智子の位置がわかる。
 智子は前に出てこない。…いや、出れない。
 先程のダメージもあり、迂闊に前に出れないでいる。

 琴音は……ゆっくりと目を開いた。




「こんにちわ〜」
「…………」

 話をしよ? と亜矢子に誘われて、琴音は小さな食堂に来ていた。
 どうやら亜矢子の行きつけの店らしい。
 結構年季の入ったような造りの店だった。夕暮れ時の薄暗さが、店内では更に
濃度を増している。全く飾りないっ気のない幾つかの蛍光灯だけがここの光源だ。
そして…見渡しても食卓がない。あるのは厨房の覗けるカウンターだけで、そこ
に椅子がある。やはり小さな店なのだ。メニューも置いてなく、メニューの書い
てある立て札が、壁に掛けてあるだけだった。
 お世辞にも綺麗とは言えない店内だが、琴音は何故かその雰囲気が気に入って
いる。古いが、そこがまたいいのだ。これが新しかったらそうは思わないだろう。
 カウンターの奥には二人の老人の姿が見える。この店の主人だろうか…。
 ―――だとすれば…なんとも店の雰囲気にあっている…。
 琴音はそう思った。

「いらっしゃい、亜矢子ちゃん」
 話を始めると老婦人…おそらくもう一人の老人の妻…が注文を取りに来た。
若い頃はやわらかかったであろう老婦人の頬には、深い皺が幾つも刻み込まれて
いる。だが、決して枯れているわけではなく、その表情は生き生きとしている。
「あ、おばさん。私はいつものでいいです」
「いつもの…ああ、きつねうどんだね?」
「うん。琴音ちゃんはどうするの?」
「わ、私も同じものでいいです…」
「はい、きつねうどん二つね。かしこまりました…」
 そう言うと老婦人はゆっくりとした動作で厨房へと入っていった。
「ここのうどんはね、おいしいんだよ!」
「はぁ…」
 亜矢子の話に適当に相槌を打ちながら、琴音は辺りを見回した。
 …どうもこの店は(こう言っては失礼だが)商売をするつもりはないらしい。
 おそらく昔は違ったのだろうが、今ではどちらかというと道楽に近いだろう。
店には亜矢子と琴音以外の客はいない…。立地条件もそれほどいい場所にある訳
でもない。おそらく亜矢子のような数少ない常連客だけが知る店だろう。
 そんな事を考えていると、奥から老婦人がうどんを二人前運んできた。
「はい、きつねうどん二人前ね」
「ありがと〜」
「…………」
 琴音は目の前に置かれたきつねうどんをじぃっと見つめてみる。
 かつおだしの風味が食欲をそそる、関西風のきつねうどんだった。
 亜矢子は側にある箸立てから割り箸を取り、早速箸をつける。
 琴音もつられるように割り箸を取り、うどんに箸をつけた。
 
 ずるずるずる…ずずず…

 うどんは熱すぎるほどに温まっていた。出来立てなのである。
 だが、それが不思議と美味しく感じられた。


「…怖い、か。…私も怖いよ人に能力を使うのは」
 うどんを食べ終えて、彼女は微笑みながらそう言う。
琴音は亜矢子のこの微笑がどうも苦手だった。
全てを見透かされているような…そんな感じがする。
いや、事実彼女はその超能力を利用して透視等をやっているのかもしれない。
そう思うと不安になる…。
「…………」
「確かにこの能力は…すごく危険な物だと思う。その気になれば簡単に一つの命
 くらい奪えるものだし。だから私もこれを人に使うときは怖いよ…」
「だったら…あなたはどうして…!?」
「覚悟、だよ…」
「…覚悟…?」
「人に能力を使うときにね、私は覚悟してる」
「…そんな! 人を殺してしまうかもしれないことをですか!?」
「違うよ。殺してもいいや、なんて思ったらお終いだよ。だけど、絶対に大丈夫
 なんていう慢心みたいなものでもない…」
「…よくわかりません…」
「うん、正直言って私もよくわかんない」
「…………」
「だけどね…それがあるから私は能力に打ち勝てる」
「必要なのは覚悟。それがあれば負けはしない。それがどんなに手強くてもね」
「覚悟……」
「あなたは…逃げてただけじゃないかな? 能力を抑えようとすることから」
「そんな…わたしは…」
「絶対に暴走させないぞ、っていう覚悟があなたにあった? 暴走が“来た”ら
 自分にはどうしようもないって、ただ諦めてたんじゃないかな?」
「…………」
「仮に暴走を止める術がなかったとしても…“来る”前に止める方法はあるかもし
 れない。あなたはそんなことを考えたことがある?」
「来る前になんて…そんなの無理です! いつ来るかなんてわからないのに…!」
「それだよ…」
「え…?」
「琴音ちゃん、やる前に無理って決め付けてる…」
「………!」
 亜矢子は微笑んだままの表情で、琴音の瞳を見つめる。
琴音はそれから目を逸らしたいのだが、亜矢子の澄んだ瞳に吸い込まれるかのように
どうしても目を逸らすことができなかった。
 不思議な女性(ひと)だ。
 琴音はそう思った。
 目を逸らす…逸らされるなど、人を避けてきた琴音にはいつものことなのだが。
 だけど…この人の視線からは逃げることができない。
 …ううん、逃げたくないのか。

 そう言えば…前にも一度こういう人がいた。
 確か…藤田さんと言っただろうか…。

「琴音ちゃん?」
「!」
 亜矢子の声で意識を引き戻される。
 琴音はハッとして亜矢子の顔を見た。
 …微笑んでいる。
「だからさ…琴音ちゃんに必要なのはその覚悟だと思うの」
「…………」
「琴音ちゃんは本気で向き合ってないんだよ、能力という障害(ハードル)と。確かに
 克服するにはすごく大変なことだと思う。自由にコントロールできるようになるまで
 は時間も掛かるかもしれない。だけどさ…逃げてちゃ克てないんだよ…」
「逃げなければ…克てるという確証があるんですか…?」
 そう言ってから、自分はなんと嫌な人間なのだろうと、琴音は自己嫌悪を覚えた。
 この人は自分のことを思って言ってくれているのに。
 だが、それは琴音の正直な気持ちでもあった。
琴音も今まで何もせずにいたわけではないのだ。何とか暴走を止めようとしてきた。
しかし、その全てが失敗に終わった。その度に琴音は絶望に打ちひしがれた。
自分で如何こうできるモノではないのだ。琴音はそう思い知らされた。
…何時しか、暴走のことは諦めていた。これ以上、絶望感を味あうのは嫌だった。
「やっぱり諦めてたでしょう?」
「………そう…ですね」
「…でも、諦めることしかできませんでした。この能力は私にはどうしようもない…」
「琴音ちゃんには、そうかもね。だけど…二人ならどうかな?」
「え? それはどういう…」
「今から私も…琴音ちゃんが能力を操れるようになるのを手伝おうと思うの」
「そ、そんな…! 私の所為で迷惑を掛けるわけには…」
「ううん、気にしないで。私がやりたいだけだから」
「…………」
「だけど…一つだけ訊いておくよ」
「…琴音ちゃんは…どんなことがあっても能力を操れるようになりたい?」
「…どんなことがあっても?」
「琴音ちゃんにとって…悲しいことになったりするかもしれないってことだよ」
「…………」
 悲しいこと?
 琴音には何のことなのかわからなかった。
 ただ、亜矢子は今までのように微笑んではいなかった。
 真剣に…琴音の瞳を見つめて話している。

「……かまいません」

 琴音はそう言いきった。
 怖いのは他の人を不幸にしてしまう結果になること。
 自分が傷つくのは…怖くなんかない。
 元々自分はいなくなったほうがいい存在なのかもしれないから…。

「………そう…」
 亜矢子が少し複雑な顔をしてそう呟く。
 だがそれも一瞬のことで、すぐにいつもの表情に戻る。

「じゃあ、やろう…今からは私も手伝うから」
「…亜矢子さん、私に…やれるでしょうか?」
 琴音が不安そうに訊く。
 それを聞いて亜矢子は微笑んだまま言った。
「大丈夫。琴音ちゃんにそれだけの覚悟があれば、ね」

「必要なのは覚悟。それがあれば負けはしない」

 亜矢子はまたそう言った。



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 次回予告

 琴音の中にある一つの覚悟。
 それには過去に起こったある出来事が深く関わっていた。
 一方、攻められっぱなしの智子に一抹の疑問を抱くマルチ。
 智子は一体どうなってしまったのか?



 どうも、ちと久しぶりな助造です…。

 本編でおとなしい(ように見える)琴音ちゃんがどうして格闘技をしているのか。
 その理由を書いてみようかと思ったわけで…。で、次まで引きます。
 実を言うと、この話を書いてる途中までそういう理由付けなんてモノは全く頭の中に
 なかったわけなのですが(爆)、その辺があまりにもテキトー過ぎたので、思い直して
 書き始めたわけです。あと、琴音ちゃんがきつねうどん好きな理由をこじつけてみたり…

 ここ数日、ここが活性化してきているようで…。
 とてもいいことですよね。