メタルギア・アヤカ 第三十章 投稿者:助造 投稿日:12月31日(日)02時00分
前回までのあらすじ

好恵の死に、綾香の力が覚醒する!
圧倒的強さでセリオを退けた綾香は、
遂に芹香との闘いに臨む!
憎しみを全て吐き出し、
心の内を綾香にぶつける芹香!
闘いの勝負の行方は!?

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「それじゃ何にも取り戻せないのよっ!!」

芹香をとらえた綾香の拳は、その勢いで芹香を
数メートル程吹っ飛ばした!

「クッ……! 何ですって……!!?」
「姉さんは…間違ってる!!」

「私が間違っている!!?…あなたにそんな事を言われる
 筋合いはないわ!! あなたに…私の気持ちはわからないのだから!!」

芹香が殴りかかる!

ズドォム!!

「か、は……」

だが、綾香は芹香にカウンターを合わせ、その動きを止めた!


「……確かに私は姉さんのような苦しみは受けてきていないわ…
 奪いたくなる気持ちもわかる…」

「でも! あなたは一つ大切な事が間違っているわ! 私に浩之を
 奪われたとあなたは言った!! けど、それは違う…!」

「何…ですって…!!」

「他の人を選んだ浩之を認めず、それを逆恨みしているに過ぎないのよ!!」

「今のあなたは浩之の気持ちを何も考えちゃいない!! ただ自分の気持ち
 だけを押し付けて、それを押し通そうとしてるだけよ!!」

「………!!」

「そんなの……ただの我儘じゃない!!!」

綾香のパンチが芹香の頬に入る!

「浩之の事が…他の人が選ばれたことが認められないくらいに
 浩之の事が好きだったなら…」


「どうして気持ちを伝える事ができなかったのよっ!!!」

綾香の蹴りが芹香の腹に入った!!



メタルギア・アヤカ 第三十章 『失った者』



芹香は防御を取る事もなく、後方に吹っ飛ぶ!

「ハア、ハア、ハア……けほっ!」

綾香の口から血が吐き出される。
吐血量は少なくはない…

「立ちな…さいよ……。まさかこれで終わり、って事はないでしょう?」
綾香の言葉に反応したのか、芹香の身体がゆっくりと起き上がる。


ドォォォォォォォォォン!!!!

何かの爆発音が聞こえ、部屋中が揺れる。
その揺れで綾香と芹香はバランスを崩し、床に倒れこむ。
この部屋が揺れているという事は、施設全体が揺れていると思って間違いない。

「これは……!!?」
「フフ…政府の連中はあなたを見捨てて、この基地の攻撃に移ったようね…」
「まさか…もう空爆が!?」
「そのようね…。これで…お互いに逃げ道は絶たれたわ…!」


「時間がないわ…! この一撃で終わりにする…! あなたが正しいのか、
 それとも私が正しいのかはあなたを殺せばわかる事…!」

芹香の周りに今までとはワケが違う巨大な電波が収束していく…

「浩之さん……ごめんなさい。あなたには…この闘いの生贄と
 なってもらうことになりました…。」

後ろに横たわっている浩之に言う。

「………………」

「さあ、始めましょうか……」
「………………」

「あなたが勝てば…空爆までの僅かな時間だけど浩之さんと
 愛し合う事くらいはできるかもしれない。」
何がおかしいのか、芹香はフフッと笑う。


「………………」

「………………」

お互い無言ままで暫く睨み合う……
心音がやけに大きく聞こえた…



浩之さん……

私が綾香に勝てたら

あなたは私の方を向いてくれると信じています。

だから…私は綾香を殺す!



「はあああああっ!!!!!」

仕掛けたのは綾香だった!
自分の潜在能力を極限にまで引き上げて、芹香に突っ込んだ!!

「………!!!!」

芹香は無言で毒電波を放つ!!
二人の電波がぶつかり合い、弾けながら辺りに散る!

「あああああああ!!!!!」
「………………!!!!!!」

流れ出た電波が飛び交い、物理的な衝撃は無いはずの
電波が、辺りを破壊し始める!
聞こえるのは電波の弾け飛ぶ時に出る音だけ…


だが、いつまでも続くかと思われたそれも、
少しずつだが、状況は変わっていった。

綾香が押され始めたのである。
綾香の電波は、芹香の電波の壁を打ち破る事が出来ない!

「クッ…!!」

「残念ね綾香…いくらあなたでも、覚えたてのあなたの
 電波と使い慣らしてきた私の電波とでは……私の方が
 勝っていたようね…!!」
「クッ……!!!」

芹香の電波が一層の力を増す!



勝てる…!

綾香に勝てる!

私は遂に綾香より勝る物を手に入れることが出来た!

私は…綾香を殺して全てを取り戻してみせる!!

浩之さん……あなたは私の方を振り向いてくれるんですね!?

浩之さ―――――――



だが、そこで見えた浩之は……芹香に向かって微笑んではいなかった。


浩之……さん…? どうして……



「はああああああ!!!!!!」

芹香の意識が他に向いた今を狙って、綾香が電波の力を上げた!
だが、芹香は電波の力を上げない。

綾香の拳が…芹香の電波の壁を破った!

「これで……終わりよっ!!!!」

綾香の正拳突きが芹香に入った。




「…姉さん、さっき、電波の力を急に下げたでしょう?」

「………………」

「どうして…そんな事を…?」

「あなたの……言う通りだった。」


「結局、私は……勝っても負けても……失ってしまったわ…」


芹香の頬に、一筋の涙が伝った。


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闘いは終わった!
空爆の始まる研究所から脱出を図る綾香!
夜明けはもう、すぐそこに……


次回 メタルギア・アヤカ

最終章 『夜明け』


ども、助造です。

現在、後書きの特別ばーじょんを製作中(笑)
このSSも次で終わりです。