メタルギア・アヤカ 第二十六章 投稿者:助造 投稿日:12月26日(火)22時32分
前回までのあらすじ

遂に核兵器保存棟に辿り着いた綾香。
そこには保科智子が待ったいた。
激戦の末、綾香は智子を下す。
死の間際に智子が言った言葉に
綾香は決意を固め、先を急ぐ!

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2001年 1月1日 午前3時07分 核兵器保存棟

核発射指定時刻まであと1時間53分



「クッ…」

綾香は智子と闘った部屋を出た後、肩の傷の処理をしていた。
制服の袖を破り、肩をしばる…簡単な処置だった。
肩の傷は深く、このまま先に進むのは本当は難しいかもしれない。

でも…私は…私は行かなきゃいけない……

「浩之が……待ってる…」

綾香はそう呟き、歩を進める。

『大丈夫なのか…? 綾香君……』
『あうぅ……綾香さんの肩からいっぱい血が…血が出てますぅ…!!』
大佐たちからの通信が入る。

「うん……まあ…大丈夫、じゃないかも…」
綾香はそう言って苦笑する。

『傷口の手当てまでとはいかなくとも、応急処置くらいは
 しておいた方がいい。特に出血を止める事は急いだ方が良いぞ。
 出血の血痕が見つかるとまずいからな…』
「傷口の処理はしたわ…」
『腕を動かすのに支障はないか?』
「少し痛みはあるけど…問題ないわ…」

『そうか…つらいだろうが、任務遂行を急いでくれ。時間が無い…』
「わかってる。…ところで大佐、奴らは何処に核を撃ち込むつもりなの?」
『そのことか…先程、着弾地点が通告されてきたんだが…奴ら、東京の
 中心に核を落とすつもりらしい…』
「何て事を…!」
『予想される被害は半端な物ではない。死者負傷者は3000万人を超えると
 いう計算が出ている…』
「最悪ね…」
『奴らの好きにさせてはいけない! 全ては君に掛かっているんだ!!』
「…………」
『頑張ってくれ!!』
「わかってる。絶対にそんな事はさせない…!!」



メタルギア・アヤカ 第二十六章 『認めてあげる』



綾香が現在向かっているのは核兵器保存棟地下二階。
エレベータを使い、下に降りている途中だ。
核兵器保存棟は地下三階の構造になっている。


「グオオオオオオオ!!!!」
「!!!?」

エレベータを降り、廊下に出た途端にいきなり聞こえた
猛獣のような叫び声に、綾香は辺りを見回す。

「く…熊…?」

綾香が今いる廊下は壁が鉄格子になっていた。
その中に無数の熊が入れられている。

「熊の歓迎…ね…」
綾香は苦笑いしながら先に進む。

熊たちはひどく殺気立っていた。
全ての熊が綾香に向かって吼えているのだから…
目は血走り、今にも鉄格子を破ってきそうな勢いである。

いや、違う…殺気立ってはいない。
ただ何かに興奮している。
今から始まる何かを……楽しみに待っている。

何故か綾香は熊たちを見てそう思った。
だが、その何かが何であるのかは知るよしもない…

「……!」
ふと前を見ると、綾香にもその答えがわかったような気がした。

綾香が立っているのは…とてつもなく大きな扉の前なのだから。

「……第二関門…ってわけ?」

さっきは似たような扉の奥に保科智子がいた。
今度も誰かが待っているに違いない…
だが、それが誰なのかはわからなかった。

おそらく、ここにいる人物は保科智子より実力者なのだろう。
でなければ智子の後に出てくるはずが無い…

では一体誰か?
智子はかなりの実力者だ。
彼女を上回る実力を持つ人物はLeafとは言えそうそういるものではない。

と、すれば…

「まさか……ここに姉さんが…!!?」

綾香の辿り着いた結論はそれだった。
考えてみれば、残っているのはもう芹香しかいない。
芹香なら智子より実力も上かもしれない……。
Leaf実戦部隊リーダー、それが芹香だ。
戦闘力はほぼ間違いなくLeaf1であると言える。

この先に……姉さんが…!!

綾香はいつの間にかそう思い込んでしまっていた。
確かに普通に考えれば芹香しかいない。


だが、綾香は忘れていた……

Leafは普通では考えられない事を起こすのだ。

結局、綾香の予測は見事に外れる事になる。



「姉さん……」
綾香は扉を開いた。

中は異常な寒さだ。これは気象による物ではないという事が
綾香にはすぐにわかった。
ここは巨大な冷凍庫のような場所なのだ。
辺りには氷漬けにされた巨大なコンテナが無数にある。


「ふふ…やっぱり来たね。綾香さん…」

綾香は誰かに話し掛けられ、咄嗟に振り向く、
綾香にはその声に聞き覚えがあった。


「あ、あなたは……!!」

綾香の目の前には…神岸あかりが立っていた。

巨大な機関砲(バルカン)を装備し、背中には多量の弾薬を背負っている。


「そ、そんな……あなたはあの時ハインドと一緒に…!!?」
「うん、落ちたね…あの時は私もヒヤリとしたよ…」
あかりはニコニコ微笑みながら話す。
これから戦闘を行うようには全く見えない。

「でも、それで死んじゃったって決めつけるのは早かったね。」
嬉しそうに微笑む。

「通信塔では納得のいかない終わり方だったからね。」
「納得のいかない…?」

「そうだよ。あんなのは闘いって呼ばないからね…私は綾香さんと
 闘いをしたいんだよ!」
「…………」
「あの時はあなたの事をくまちゃんと一緒に傍観してたの。
 あなたが闘うに値する人物であるか…」
そう言ってあかりはくまのぬいぐるみを出す。

「それで…くまちゃんはあなたを戦士として認めた…」
あかりが機関砲を綾香に向ける。

「喜んでね、あなたはくまちゃんに認められているよ…」

あかりの機関砲が…回転を始める!!

「くっ!!?」

「まずは……挨拶代わりだよっ!!!」

ズガガガガガガガガ!!!!!

砲身を回転させながら、あかりのバルカンが火を吹く!!
綾香は近くのコンテナの陰に隠れた!


「綾香さん…こんな寒い場所に「緑の葉っぱ」は似合わないよ…
 流されて飛んできたとしても…すぐに枯れてしまう…。」

「…今の言葉はあなたの運命だよ。あなたは…死の宣告を受けた!」


「さあ、あなたがどの程度の戦士なのか…たっぷりと見させて貰うよ!!」


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まるで全てを読んでいるかのように
あかりは綾香を追い詰めていく!
綾香はあかりにどう挑むのか!?

次回 メタルギア・アヤカ

第二十七章 『必要とされる者、必要とされない者』


助造です…

ああ、やっとあかりんです。
あかりと綾香、どっちも好きなキャラなんで…(^^ゞ