メタルギア・アヤカ 第二十五章 投稿者:助造 投稿日:12月26日(火)00時03分
前回までのあらすじ

レミィとの再戦を制し、核兵器保存棟に
潜入を始めた綾香。
核兵器保存棟には保科智子が綾香を待ち受けていた。
綾香は葵を殺した智子に復讐を誓う。
その姿は一年前のあの綾香の姿であった。

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「殺す……!!」
綾香はMP5A5を智子に向け、撃ち放つ。
銃弾が一直線に智子に向かっていく。

ヒュッ!

だが、銃弾が智子に命中する事はない。

「ハアッ!!」
「!!?」
背後に現れた智子の手刀を間一髪で綾香は避ける。
いや、避けたつもりだったが綾香の背中には一筋の血が伝っていた。

「超高速移動……」
「何や? 知ってたんか、うちの能力。」
智子が驚いたような顔をする。
「あんたは別に驚きはせんようやな。」

「Leafのコードネームメンバーで、特に実力上位の者は他のメンバーには
 ない特殊な能力を持っている。それは訓練で産み出される物と個人が持つ
 天性的な物の二つがあるわ……。」

「極限まで脚の加速能力を高める訓練の結果、
 産み出す事ができる能力。だが、その訓練に耐えられる者は
 僅か少数…やはり天武の才があった、ということね。」

「Leafは各地から超優秀な人材を集めて作られる部隊や。その中で
 上位の実力を持つ者は普通の人間の力では到底不可能な事をやってのける。
 逆に言えば普通の人間ではLeafのトップには立てん、という事や。」

「うちの超高速移動は今やったように銃弾なんかも避ける事が出来る。
 そして、うちの手刀は人間の身体をいとも簡単に切り裂く事が出来る。」

「……関係ないわね。私はあなたを殺す!」


メタルギア・アヤカ 第二十五章 『異世界から来た者』


綾香が仕掛ける。
綾香の渾身のパンチは智子の顔面を完璧にとらえるはずだったが
またもや智子はそれを避ける。

「無駄や、無駄。そんなんじゃうちは倒せへん。」
智子の姿が消える!

瞬間、綾香は上に殺気を感じ、後方へ飛び退いた!

智子の上方から振り下ろした手刀は地面を抉っている。

「チッ…!!」
「ほらほら、どんどん行くでぇ!!」

刃と化した智子の手刀が綾香に間を与えず斬りかかる!
綾香はMP5A5で智子を追い払う!

だが、それでも綾香は確実に後退していた。

「クッ!!」
綾香は手刀を何とか避けてきたが、それでも身体には
いくつかの傷があった。
あまりの速さと、高振動により、一種のかまいたちが起き、
近くにある物を切り裂いているからだ。

「さあ、あんたはいつまで逃げれるんやろなぁ!!」
智子が笑みを浮かべながら襲いかかる!

「!!?」
後退を続けていた綾香は不意に背中に何かぶつかった感触を
感じ、後ろを見た。
もう既にこの広い部屋の壁際に追い込まれていたのだ!

「もろたっ!!」
ここぞとばかりに智子が手刀を振り上げる!
「くそっ!!」
綾香は咄嗟に身をひねって横に逃げる。

ガキィィィン!!

智子の手刀は綾香にはあたらず後ろの壁にめり込んでいた。
避けていなければ……綾香の脳天がこうなっていたのだ。

「……何を安心してるんや?」
「なにっ!!?」
綾香の右肩の上にあった智子の手が動き始める…!
「まだ……うちの刃は折れとらんで!!」
そう言って智子は手刀を無理矢理に振り下ろした!

「きゃああああ!!!!」
綾香の右肩に智子の手が食い込む!
あまりの激痛に、綾香は絶叫を上げた。

「クッ…あああああ!!!!」
「な、何を!!?」
だが、綾香はその体勢のまま肩に食い込んでいる智子の腕を掴み、
逃げられないようにする!

ミシ、ミシ、ミシ……

綾香の異常な握力に、智子の腕が軋む!
だが、全力で腕に力を篭めているため、綾香の肩の傷口から出ている
多量の血が止まる気配はない。

「は、放さんかいぃ!!!」
智子がもう片方の腕を手刀に変え、綾香の左肩を斬る!
「クッ…!!!」
だが、綾香の力が弱まる気配はない。

コイツ…自分の腕を犠牲にしてうちの右手をヘシ折る気か…!?


「あ、あんた…そろそろ放した方が…良いんとちゃうか?」
智子が引き攣った笑いを作りながら話し掛ける。

「……そうね…もうそろそろ放さなきゃ…こっちが…」
智子の腕を掴んでいる力が落ちる。

「ほらっ! 放してやるわっ!!」
だが、綾香は間髪入れず、蹴りを放った。
「がほっ!!」
見事に蹴りを脇腹にもらった智子は、数メートルの距離を吹っ飛んだ!


「ハア、ハア、ハア……うっ!!…」
綾香は思わず肩を押さえる。
致命傷ではないが、この状態で長時間運動すると、出血が多すぎて
危険な状態に陥るかもしれない…

「………ク、ククク…」
智子がゆっくりと起き上がってくる。
あまりにも綾香と密着した距離だったので、蹴りの威力が半減したのだろう。

「残念やったなあ…あんたの捨て身の策も…この通り、まだうちは…闘える…」
智子もまた、かなりのダメージを負っているのだろうが、まだ戦闘が行えない
程の痛手ではない。

「確かに今の蹴りで肋骨の1、2本は折れたかもしれん。その前の奴で右腕も
 イカれた。そやけど…」
智子が綾香の肩を見る。
「それに払った代償が大きかったな…その様子じゃあ…あんたはもう闘えへん。」
「…………」
「まだうちには左腕がある…この勝負…うちがもろたで!!」

智子が真正面から仕掛ける!

「あんたの頭を真っ二つにしたるわ!!」
左腕を振り上げ、上段からの手刀。

綾香はそれに対し、右腕で防御をとろうとしている!

「肉を切らせて骨を立つ、か!!? でもな、うちの刃は
 骨ごとぶった斬るんや!!」

智子の腕が綾香の両腕に触れる!!
綾香の両腕が容赦なく斬り落とされる――――

――――ハズだった。

ガキィィィィィィン!!!!!

「な、何やと!!?」
智子は驚愕した。
絶対に斬り落とされるはずだった綾香の両腕はしっかりと
綾香にくっついていた!

智子の手の下にある所から、黒光りする物が智子の目に入った。
それは――――

「……残念だったわね。骨は斬り落とせても、コイツは
 斬り落とせなかったようね!!」
綾香の制服の袖の上にあったのは……MP5A5だった!!


んなアホな…!! 攻撃を受ける部分を見越して腕に
銃を乗せて置いたと言うんか!!!?


智子は綾香から離れようとするが、
「グッ!!?」
突如脇腹に激痛が走り、智子の脚が止まった。


クッ…!! 折れた肋骨に今までの負担が掛かって…
移動が…できへん!!?


「はあああ!!!!!」
綾香はMP5A5をフルオートで撃ちまくる!

「がほっ………」

無数の銃弾は容赦なく智子を貫き、智子は倒れた……




「…………」
綾香は無言で智子に寄る。

「ククク…うちの作戦も…あんたには敵わへんかった、っちゅうことか…」
「…そういうことになるわね」
「……キツイこと言ってくれるわ…」

綾香は不思議な気分になっていた。
先程までの智子への強い憎悪感が嘘のように薄れていた。
それが何故かはわからない。
だが、徹底的に叩き潰してやろうという感情は起こらなかった。

「どうや? 目ェ覚めたか?」
「目…?」

「あんた、うちと闘う前に物凄い憎悪があったわ。全てを飲み込んでしまいそうな…
 でも、もう元に戻れたみたいやな。」
「元に…戻れた?」

「うちは全力のあんたと闘いたかった。そう、一年前のあんたと。」
「一年前の…?」

「特別な特殊能力も持たず、たった一人であんたは相手の部隊を全滅させた。
 それからだったな。あんたが「リーフ」の称号をもろたんわ…」

「正直言うと、うちは嫉妬してたんかもしれん。何の能力も持たない
 人間が、自分より上に評価されてた事が…」
「…………」
「うちはそれを認めたくなかった。だから…今回はあんたを試させてもろた。」
「私を…試した?」

「そう、一年前のあんたの力の源は怒りだった。
 だから…うちは…葵を殺した…」



綾香は智子の頬に涙が伝うのに気付く。

「あんなこと言うたけど…ホンマはごっつう悲しかった…殺したくなんて…
 なかった…。いくら冷静になってる、いや、冷静な振りをしてるだけかも
 しれへんけど…そんなうちも非情なんかやない…共に…闘ってきた
 仲間を…殺すなんて…堪らんかったわ…」
「…………」

「あの時…葵を殺したとき、うちは笑う振りをしとった…でも、
 葵の返り血を浴びたまんまで…うちは泣いた…泣いとったんや…」

「……あなたは…どうしてそんなに苦しい思いをしてまで自分を
 欺き通したのかしら?」

「それは…それでも…うちはあんたと闘いたかったんやろな…」

「私には…それだけ評価してもらえる資格は無いわ…」
綾香は悲しそうな表情をしてそう言った。



「…これを…」
智子が一枚のカードを取り出す。

「これは…?」
「セキュリティカードや。これでそこの扉が開く…」
綾香はカードを受け取った。

「ありがとう……」
綾香は一言だけ感謝の言葉を言って歩を進める。


「一つ聞きたいことがあるんや……」
智子が後ろから綾香に問う。
だが、綾香は後ろを振り向かない。


「あんたらは…一体何処から来たんや?」

「あんたも、そして来栖川さんも…うちらとは何かが違う…
 まるで…別の世界から来たような…」

「知っとるか? この世には終わりの無い闘いはないんや…
 どんな闘いにも…必ず終わりがある…どれだけ血が流れようとも…
 絶対に終わりがあるはずなんや…」

「そやけど…あんた達は違う……」


私には…終わりが無い…?


「あんたの闘いに…終着駅はあるんやろか…?」

「終わりのない闘いに身を置くあんたを慕う…藤田君は幸せなんか?」

「今のうちには…その答えはわからへん…」

「だから……うちは…あの世で…最後を見届ける事にするわ……」



保科さん…

私の闘いに終わりがあるのかはわからない。

でも、これだけは言える。


私は……浩之に後悔はさせない。


これだけは…約束するわ…


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智子を倒し、進む綾香の前に
第二の闘いが待ち受ける。
そこにいる綾香を待ち受ける人物は!?


次回 メタルギア・アヤカ

第二十六章 『認めてあげる』


…助造です。
何か今回もパクリっぽくなりましたねぇ。(やっぱり)
う〜…頑張らねば…
あんまり綾香復讐の鬼っぽくなってないし…(汗)