メタルギア・アヤカ 第二十二章 投稿者:助造 投稿日:12月23日(土)00時17分
前回までのあらすじ

雅史の拷問を耐え切り、通信塔に
潜入した綾香。
綾香は屋上で重攻撃ヘリ「ハインドD」を駆る
あかりと対峙する。
何とかハインドを退けた綾香は、遂に核兵器保存棟
へと進む。
だが、そこにはレミィが待ち受けていた。

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BANG!

乾いた銃声が雪の舞う景色に響く。

「アヤカ…あなたはワタシが狩る…!」

身を隠し、スコープの中から綾香を見つめる。
そこからは綾香の全てが見える。
綾香の心の中も…

「まさか…この吹雪の中で狙撃が出来る人物は…!!」
綾香は身を低くし、何とか銃撃を凌ごうとする。

『大丈夫ですか!?』
長瀬からの通信が入る。
「ええ、今のところは…。それより…今、狙撃を受けてる。」
『狙撃…?』
「それも、こんな吹雪の中でね…」
『……まさか…レミィ!!?』
「きっとそうでしょうね…」
『……』
「…長瀬さん? どうしたの?」
『…綾香お嬢さん、あなたはレミィを殺すんですか…?』
「…長瀬さん?」
『…綾香お嬢さん…レミィを…レミィを…』
「長瀬さん…あなたまさか…!?」

『綾香お嬢さん、お願いです! レミィを殺さないで下さい!』
「目を覚ましてっ!!」
綾香は一喝した。

『彼女は…悪い人じゃないんです…話せばきっとわかってくれるはず…』
「彼女はそんな甘い世界に生きてはいないわ!!」

その時、別の人物が通信に割り込んできた。

『この場所からはあなたがよく見えるワ!』
「あなたは…レミィ!!?」
『言ったわよネ? あなたはワタシが狩る、って…』
『だめだっ! レミィ、君なら話がわかるはず―――
『あなたは黙ってなさい!!』
レミィは長瀬の言葉に耳を貸そうとしない。

『さあ、アヤカ! 今こそ決着の時ネ!』
「あなたは浩之を撃った……あの時の借りは返すっ!!」
『感情的になったエモノは狩りがしやすい…返り討ちにしてあげるヨ!!』
『二人とも、だめだっ!!』

通信はそこで途切れた。

「くそっ! どうして、どうして二人が闘わないといけないんだ!!?」
長瀬はそう言って走り始めた。

「行かなきゃ…私があの二人を止めなければ…!!」


メタルギア・アヤカ 第二十二章 『重なる姿』


『アヤカ…あなたはPSG1を装備していないわネ?』
レミィが通信を入れてくる。
『エモノは強ければ強いほど面白い…あなたが入ってきたトビラの
 横を見てみなさい。』
綾香はレミィの言った通りにそこを調べてみる。
「これは…!?」
そこにはPSG1が置いてあった。
弾丸も…装填されている。

「一体何のつもり?」
『言ったはずよ…ワタシはハンディのある闘いに興味は無いの。』
レミィはそう言ってボディアーマーを剥がした。
『これで両者ともジョウケンは同じ…さあ、楽しみましょう!』

BANG!

レミィの銃弾が綾香の横を掠めた。

「くっ…見えない…!?」
綾香はスコープの中を覗き、レミィを探すが、姿が見えない。
探そうとしても、猛吹雪が視界を邪魔しており、姿を捉えることが出来ない。
しかし、レミィはこの吹雪の中でも的確に綾香の姿を見つけ出し、
狙撃を繰り返している。
先程、レミィが言ってたようにレミィが地理的に有利なところにいるのもある。
それに経験の差も踏まえると……綾香の勝率は低い。

「探せ…探せ…」
綾香に向かっているレーザーサイトの光は向こう側から来ている。
つまり、レミィは向こうにある丘の上から攻撃しているのである。
丘の上には多数の木が植えてあり、身を隠すには絶好のポイントとなる。
サイトから覗けば、遥か遠方の木まで捉えることが出来るが、
その何処にレミィが隠れているのかはわからない。
この寒さなら、呼吸をする時の蒸気が見えるかもしれないが、
それもこの吹雪に交じり合ってしまい、見分けがつかない。

「……!!」
綾香は焦るが、レミィの姿は見つからない。

チィー……

レミィの姿を見つけることに気を取られてしまっていた綾香は、
自分に迫っているレーザーサイトに気付かなかった。

レーザーが綾香を照らした瞬間、
「!!?」
綾香はそれに気付き、身をひねって避けようとするが

BANG!!

綾香は左腕に僅かだが被弾した。

「ぐぅっ…!!」
怪我としては浅いのだが、痛みと出血がひどい。
思わず綾香は腕を押さえてうずくまってしまった

「くうぅっ…!!」
うずくまっている綾香にも、レミィは牙を剥く。
レーザーサイトが綾香の頭部に当てられた。

「GoodBye! アヤカ…」
レミィが引き鉄を引こうとした時、
サイトから覗く綾香の姿の前に誰かが立ちはだかった。


「やめろっ!! レミィ!!」
「な、長瀬さん……!?」

綾香の前に立ったのは長瀬だった。
両腕を広げて、綾香の前に仁王立ちになっている。

「What!? 一体何のツモリ…?」
レミィは驚き、銃を下げる。


「もう、やめるんだレミィ! これ以上は…二人にとって意味が無い!!」
「無駄よ!! 何度言えばわかるのよ! 彼女はそんな甘い世界には
 生きてはいないわ!!」
綾香が長瀬を自分から遠ざけようと、必死になる。
だが、長瀬はそこから断じて動こうとしない。

「どいてっ!! はやく!!」
「どきません!! 私は…絶対に…!!」
綾香にはそう言う長瀬の身体が震えているのに気付いた。
彼は恐怖しているのだ。

「………」
レミィが銃口を長瀬に向ける。
レーザーの先が…長瀬の脚から、そして身体へと伝っていく…

「…私は…動かない…」
長瀬の身体が強張っているのがわかる。
何故彼がここまでするのかがわからなかった。
綾香にも…そしてレミィにも…

BANG!!

銃弾が長瀬の横を掠める。
だが、長瀬は動かない。

「くっ…」
綾香はPSG1に手を伸ばす。
長瀬が自分の前から退かない以上、レミィの動きを止めるしかない。



「ドウシテ…?」
レミィは長瀬に銃を向けつつ、一人、呟いた。
「ワタシは…ハンター…エモノには容赦しない…」
自分に言い聞かせるようにそう言って、レミィは銃口を向ける。

長瀬の脚…

長瀬の身体…

下から徐々にレミィは標準を上に向けていく…

「次…ヘッドを一発で撃ち抜く…」
レミィは銃口を長瀬の頭に向ける。

そしてレミィが引き鉄を引こうとした瞬間

「!!??」

だが、レミィは引き鉄を引くことが出来なかった。


綾香の前に立つ長瀬の顔が…

自分の身を犠牲にしてまで綾香を庇っていたあの時の浩之に重なったから…

「ヒロユ――――



BANG!!!



レミィの言葉は最後まで発せられなかった。

「グッ……」

綾香の銃弾がレミィの身体を撃ち抜いていた。

力なく崩れるレミィ。


「レミィぃーーーーー!!!!」


長瀬の悲鳴にも似た叫び声が

雪原に響き渡った―――――



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綾香の前に倒れたレミィ。
長瀬はレミィに救いを与える事が
出来るのか!?
そして長瀬の想いの行方は!?


次回 メタルギア・アヤカ

第二十三章 『私には何が出来た?』



どーも、助造です。
やります。やってみせます。(謎)