Our time〜AYAKA〜 投稿者:助造 投稿日:12月15日(金)17時35分
前回までのおはなし

綾香の提案で俺、先輩、綾香は最近オープンした
大型リゾート「クルス・パーク」に三泊四日の
旅行に出ることとなった。
俺は今回の旅行で先輩との関係を一気に発展させてしまおう
という野望を持って参加した。
クルス・パークに着き、俺たちは今晩泊まるホテルまで
行ったのだが、なんとそこはジャングルのまったただ中にある
テント以下の家(と言うか、たて穴式住居)だった。
リゾート地まで来て、なぜこんなトコに泊まらねばならんのだ
ということに少し動揺しつつも、俺たちは泊まる準備を始めたのだが・・・

******************************************


             『Our time〜AYAKA〜』

         
 

「マジかよ・・・」

俺は水滴の降ってきた空を見上げる。
今にも大雨が降ってきそうだった・・・

そしてその考えは間違っていなかった。
ポツリポツリと雨の降ってくる間隔が狭くなってきて

ザアァァァァァァァァ!!!

見る見るうちに物凄い大雨となった。

「ジャングルって気候の変化が激しいんだな・・・」

クルス・パークは島全体を大きなドームが覆っている。
それによって様々な気候や気温などを作り出し、こんなジャングルを作り出してるんだそうだ。
聞けばジャングルの他にも砂漠なんてモノまであるらしいとか・・・

「う〜む・・・こんな雨まで作り出せるとは・・・科学の進歩はすごいね・・・」

もちろん俺は傘など持ってきていない。
服が水を含んで体に張り付き、とても動きにくい。

「フッ・・・雨の滴るいい男ってか?」

ザアァァァァァァァ!!!

そういう冗談を言える状況ではなかった。



芹香は一人、部屋に篭って二人の帰りを待っていた。

いきなりこんな雨になるなんて・・・浩之さんは大丈夫かしら・・?
それに綾香も心配です。
いくら原始時代でも適応できそうな肉体と精神力を持つ綾香でも
これだけの雨を浴びつづけたら風邪をひいてしまうかもしれません。
ああ、私があの時綾香を脅かしたりしなければこんな事には・・・
でも、仕方ありませんね。私の妹でありながら蛇を怖がるなんて、
私の妹としてはおかしいのですから。失格ですよ、綾香。

それにしても、このまま遭難したりしてなければ良いのですが・・・
あ、でも浩之さんと綾香なら大丈夫でしょうね。
いざとなればその辺りにいる獣を食べてでも生き残るでしょうし、
サバイバル能力も何となく高そうです。
これなら安心ですね。私はもう寝ることにしましょう・・・

・・・芹香は勝手に決め付け、部屋の電気を消して寝た。



「くっそ〜・・・そろそろ道がわからなくなってきたぞ・・・」

浩之は綾香がへし折ってきた木を辿って来たのだが、
それもそろそろ数が少なくなってきており、道がわからなくなってきていた。

「あの馬鹿〜・・・ただじゃおかねぇぞ・・・」
綾香に文句を言いつつ、俺は先に進む。

いろいろと言っているが、やはり少し綾香の事が心配なのだ。
少しだけだがなっ!!

「しかし・・・どうするかねぇ・・・」

降り続く雨で足場は悪くなり、先を急ぐスピードも遅くなってきている。
綾香は錯乱したままだったから帰り道がわからず、きっと困っているだろう。
しかし困っているのは綾香だけではなかった。

「どうしよ・・・帰り道わからん・・・」
既に俺が綾香を探す理由は綾香を助ける、ではなく、綾香と協力して
帰るになってしまっていた。



「ん?・・・」
その時、誰かを見つけた。

こんな雨のところで、しかもこんなジャングルで
一人佇んでいるの人物と言えば答えは決まっている。
綾香だ。

「この野郎・・・やっと見つけたぞ・・・」
どんな文句を言ってやろうかと考えながら綾香に近づく、
しかし、綾香の様子がいつもと違うところに気付いた。

「おい、綾香。」
俺は綾香に声を掛ける。
「ひ、浩之・・・・」
振り向いた綾香は・・・泣いていた。

「ひ、浩之ーーー!!!!」
「おわっ!!」
綾香がいきなり抱きついてくるという予想外の事態に俺は
綾香を受け止めれず、その場に倒れてしまった。
泥水が飛び跳ね、俺は泥まみれになる。


「お、おい・・・綾香・・・?」
「浩之ぃ・・・怖かったよぉ・・・・」
いつもの綾香からは考えられない姿に少し動揺してしまった。
綾香は俺の胸に顔を埋め、肩を震わせて泣いている。

こうやって抱いていると綾香もやはり女の子なんだなァ・・・
身体も意外と小さいし、思ったより柔らかだ・・・特に・・・
身体にぴったりとフィットしている豊満な奴が・・・
くぅ〜!たまらん・・・
しかし、そろそろ綾香を泣き止ませないとな、早く帰りたいし・・・

俺はそう考えると綾香を泣き止ませよう作戦を実行した。

「お〜、よしよし、もう怖くないぞ〜?」
普段ならぶっ飛ばされそうな事を言いながらあやすように綾香を抱きしめてやる。
綾香はさっきからずっと泣き続けていた。

「こわかった・・・気付いたらいつの間にか迷ってたし・・・
 周りからはわけのわからない鳴き声が聞こえてくるし・・・
 ただでさえ一人でこわかったのに・・・雨まで降ってきて・・・
 どうしたらいいかわからなくて・・・」

コイツは猛獣とかは別に怖がらないくせに何故かオカルト系とか
爬虫類系はダメなんだよな・・・面白い奴だ・・・
ま、そんなとこぐらいは女の子らしくてちょうど良いんだよな。

「オイオイ・・・いつまで泣いてんだよ。ほら、もう泣きやめ。
 もう怖くねぇから・・・」
そう言って綾香の頭を撫でてやる。
綾香の頭からは先輩と同じいい匂いがした・・・



「・・・落ち着いたか?」
「・・・・うん」
あれから抱き合ったまま、3分ほど時間が経った。
俺が宥めてやった事もあり、綾香は既に泣き止んでいる。

「・・・そろそろ離れろ・・・」
「えっ?・・・あっ!?きゃあっ!!」
綾香は叫んで俺から飛び離れた。
「何だその反応は・・・自分から抱きついたくせに・・・」
「うぅ〜・・・」
顔を真っ赤にしながら俯く綾香。
見てて面白い。

「さて、そろそろ戻るか。先輩も心配してるだろうしな。」
「うん・・・」
綾香は相変わらず顔を紅くしている。

「で、ここでお前に相談なんだが・・・」
「何よ?」

「帰り道、わかんねぇ・・・」

 ・

 ・

 ・

 ・

「・・・帰り道がわからないですと・・・?」
「そうなんだ。だからお前と協力して帰り道を探そうと思ったんだが・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

ザアァァァァァァ・・・

雨の音だけが嫌に聞こえていた。


「・・・でも、帰るしかないでしょ・・・・?」
「そう・・・だな・・・このままじゃ身体が冷え切ってしまいそうだ・・・」
「浩之、訊きたくないけど・・・これって・・・」

「「遭難した。」」


「・・・早く行こうぜ。こんなとこで猛獣の餌とかになりたくねぇしな・・・」
「ええ・・・」

こうして俺たちは生き残るために決死のジャングル脱出を試みるのだった・・・



-----------------------------------------------------------------------

どうも、助造です。

これからはりーふ図書館が50000ヒット毎に
書いていこうと思っとります。


管理人様

拙い出来ですが、りーふ図書館130万ヒットの
記念と、これからのますますの発展を願って
このSSをお贈りします。