メタルギア・アヤカ 第十七章 投稿者:助造 投稿日:11月25日(土)21時41分
前回までのあらすじ

核発射を防ぐためにはセリオを破壊するしかない。
綾香はセリオのいる核兵器保存棟に向かう。
途中、姫川琴音、松原葵との死闘を制し、
遂に最後の人質である浩之の元に辿り着くのだが、
二人は些細な事で喧嘩をしてしまう。
自分に非があると思った綾香は、自分を追ってきた
浩之に謝ろうとするが、その直前、一発の銃声が響いた。

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「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
狙撃を受けた浩之は叫び声を上げ、その場に倒れた。

「浩之ぃぃぃぃ!!!!」
綾香は浩之の元に駆け寄ろうとした。が、

チィー

レーザーサイトが綾香を狙う。
狙われているのは本当は綾香なのだ。

「くっ!!」
綾香は壁に隠れ、銃撃を避ける。
すると、レーザーの向きがまた浩之に変わった!

BANG!!

「うわぁぁあ!!!」
再度、浩之が狙撃を受ける。
今度は浩之の右脚を狙って撃たれた。
「くっ・・・浩之っ!!浩之!!」
「うぅ・・・・」

相手は浩之を殺すつもりはないのだろう。急所には一撃も狙撃してこない。
あくまで浩之を囮としているのだ。
浩之を狙撃し、綾香が出て来たところを撃つ。
単純だが、実に練られた戦術だ。
きっと、相手は綾香の出方を窺っているに違いない。

「くそっ・・・一体どうすれば・・・!!」
綾香は突破口の見つからない罠に嵌ってしまったのだ。


メタルギア・アヤカ 第十七章 『Sniper』


「サア・・・どうするの?アヤカ・・・」
レミィは通信塔の二階から狙撃していた。
伏せ、相手が自分の視界の中に入って来るまでじっと待ち、
相手が狭い視界の中に入った時に撃つ。
レミィはこの瞬間が好きだった。
微動だにせず、待ち続けた後にしびれを切らした相手を狙撃する。
なかなか動かない相手なら面白さは更に増す。
現に今の綾香のがそれだ。
レミィに対して何の対抗策も持たない綾香は身を潜め、避けるしかない。
・・・たとえ大切な人が命の危険にさらされていてもだ。
隠れている獲物を狩る。
そんな感覚がレミィはたまらなく好きだった。

「浩之っ!!大丈夫!!?」
「・・・綾香・・・逃げろ・・・」
浩之が消え入りそうな声で言う。
「な・・・何を言ってるの!そんな事できないわよ!!」
「まったく・・・綾香の言ってた事が本当だったとはな・・・
 俺も・・・へへ、さすがに驚いたぜ・・・」
「浩之・・・」
「逃げろ・・・狙われてんのはお前で、俺は囮なんだろ?・・・だったら早く
 逃げてくれよ・・・頼む・・・」
「でもぉ・・・」
「綾香っ!!逃げろ!!お前はまだいろいろとやらなくちゃいけねぇんだろうが!!」
「それに・・・」
「・・・俺のせいでお前に迷惑掛けるなんて・・・ごめんだぜ・・・!!」

BANG!!

「わあああああっ!!!」
再度、銃声が響く。
今度は浩之の右腕に当たった。
「浩之っ!!浩之ぃーーー!!!」

Pi!Pi!Pi!

『綾香君!!落ち着け、落ち着くんだ!!』
「大佐・・・浩之が、浩之が・・・!!」
『落ち着かんか!!!』
「!!?」

『綾香君・・・相手はきっと宮内レミィだ。彼女はLeaf最高の狙撃手
 奴には持久戦は持ち込ませない方がいい。』
「どうして・・・?」
『奴は女性特有の忍耐力で一度狙ったターゲットは殺すまで何時間でも、
 何日でも待っている。』
「だったら一体どうすれば・・・!!」
『綾香君。奴が何処から狙撃しているかわかるか?』
「・・・通信塔・・・通信塔の二階から狙撃してるわ!!」
『そうか・・・すると今君のいる位置からは300mほど離れているな。
 そこからでは通常の兵器では届かないだろう・・・』
「・・・・・・」
『しかも、狙撃には絶好の撃ち下ろしポジション。このままでは勝ち目はない』
「だから、一体どうすれば・・・!!」
『この基地には様々な武器が置いてあるはずだ。きっと狙撃用スナイパーライフルも
 何処かに保管されているだろう。』
「それを探し出せば・・・」
『そう、君からも奴を攻撃する事ができる。』
「わかった!今から探しに行く!!」
綾香はそう言って通信を切った。

浩之・・・出血がひどい。
でも、まだ間に合う!!

「浩之・・・必ず助けてあげるから、そこで少しの間待ってて!!」

綾香はそう言うとスナイパーライフルを探しに走りだした。

「長瀬さん!!あなたスナイパーライフルが保管してある場所を知ってる!?」
『スナイパーライフル・・・ですか・・・?』
「そう!狙撃用の!」
『・・・・・・』
長瀬は何故か答えない。
その様子は場所は知っているのだが、言い渋っているように見えた。
「長瀬さん!!早く・・・浩之が・・・浩之が危ないの!!」
『・・・・地下三階、そこの兵器庫にPSG1があったと思います』
「地下三階!?・・・そこまで戻らなきゃいけないの!?」
『・・・そこ以外には・・・』

「わかった!!ありがとう!!」
『あの・・・』
「?」
『いえ・・・何でもありません・・・』

そう言って綾香は通信を切った。



「誰だ!!?」
兵器庫ともなれば警備はかなり厳重になっている。
特に、今の綾香は急ぐ事だけを考えていたので、そんな綾香が
見つかるのはすぐだった。

「ちぃっ!!見つかった!!」
綾香は後方にM4A1を掃射しながら先を急ぐ。

「待てっ!!」
兵士達が次々と綾香を追ってくる。
先程から綾香のすぐ隣りを何度銃弾が掠めただろうか・・・

「うるさいっ!!」
綾香も応戦する。



綾香は兵士を何とか撒き、兵器庫に着いた。

「スナイパーライフル・・・スナイパーライフル・・・」
念仏のように唱えながら探す。

「あった!!」

綾香が手にしたのはPSG1スナイパーライフル。
ライフル銃なのだが、連射ができる。

「これさえあれば・・・」
綾香はPSG1を抱きかかえ、M4A1を背中に背負った。



「アヤカ・・・あきらめたのかしら・・・?」
レミィは残念そうに呟く。
勿論、そんな事を呟きながらも視線はスコープの中だ。
「フウ・・・今回の獲物はつまらないわネ・・・」
レミィがそう言った。次の瞬間。

「浩之ぃぃ!!!」

綾香が叫びながら入ってきた。

「やっぱり・・・それでこそアヤカだヨ!!」
レミィは再び狙撃体勢に入った。


通路に浩之の姿はなかった。
先程まで浩之が寝ていたところに多量の血痕が残っているだけだった。

チィー

「!!?」
綾香の胸にレーザーが照らされている。
今度は浩之の時とは違う、殺すつもりで狙撃してくるのだ。
「くっ!!」

BANG!!

綾香が居たところに銃弾が飛んでくる。
綾香は壁に隠れ、銃弾を避けた。

相手は狙撃の名人・・・
とは言っても必ず、発砲までには少しの時間が要るはず!
相手が狙撃してくる前にこっちが狙撃すれば・・・!!

「・・・勝負するしかない!!」

綾香は身体を伏せ、銃を構える。
狙撃する時の基本姿勢だ。

狙撃の時に一番厄介なのは手ブレである。
緊張や、不安などの精神的なものからも来る肉体の痙攣によるものだ。
これを克服しないと銃弾は外れてしまう。
狙撃は長距離からの攻撃であるために少しのズレでも全く違う方向に
銃弾は飛んでいってしまうからだ。

相手も手ブレがあるはず・・・落ち着け、落ち着け・・・

自分の頬に冷や汗が伝うのがわかる。
周りの物音など殆ど聞こえない。自分の心音だけが異様に響いて聞こえた。
レーザーが自分の近くに寄ってくる。
レミィからは自分の姿が見えているのであろうが、自分からはレミィの姿が見えない。
探せ・・・探せ・・・

チュンッ!!

銃弾が綾香の約1cm横を掠めた。

もう一発・・・撃たれる前にこっちが撃つ!!

チィー

相手のレーザーがまた自分に近づく・・・
あと10cm・・・5cm・・・

その時、綾香の視界にレミィが入った!

「今だっ!!」

BANG!!

銃弾は真っ直ぐにレミィに向かって飛んだ。
レミィの身体に突き刺さる!!

そしてレミィは・・・力なくその場に倒れた。

「やった!!?」

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レミィとの狙撃戦を制した綾香。
しかし、綾香が進む先にレミィの姿はなかった!
そして、浩之の安否は!?

次回 メタルギア・アヤカ
 
第十八章 『支えたもの』


こんばんはー、助造です。

ここ最近やっとメールっていう物を理解し始めて(今までよくわからなかった)
フリーメール使う事にしました。