キン肉マン・マルチ 第一章(4) 投稿者:助造 投稿日:11月18日(土)15時00分

キン肉マン・マルチ 第一章 研究所内最強メイドロボ決定トーナメント編 最終話


「マルチバスタァァァァァァ!!!!」

完全に極まっている。この状況からの脱出方法は皆無に等しい。
マルチは極めているセリオの両脚に力をかけ、股裂きをかける。
そして

ズドォォォォォン!!!!

轟音が会場中に響いた・・・
セリオはマットに沈んでいる。

「セリオォォォ!!!??」
真部がセリオに向かって叫ぶ。

「終わった・・・マルチバスターは有無を言わさず相手を
 戦闘不能にする技だ。あれをくらって立ち上がってこれる者など・・・」

「く・・ぐぅ・・・」
しかし、セリオは立ち上がってこようとしていた。
が、ダウン。
やはり相当のダメージを受けている。

「セリオさん・・・もう、もう立ち上がらないで!!」
マルチがセリオに言う。
「・・・それは・・・命令違反になります・・・」
セリオは淡々とした口調で言う。
いや、本当は淡々と話せる状況ではないはずだ。
 先程のマルチとの対戦でHM−13からHMX−13への
機能に移り変わったセリオは、前のように痛みを伴わない身体から、
HMX−13だった当時のように痛覚を感じる事のできる身体になっていた。
マルチバスターによって受けたダメージが激痛となってセリオに襲いかかる。
HMX−13になり、能力が向上したのはセリオにとって良かったが、
痛覚を持ってしまった事は災いしたようだ。

セリオは必死に立ち上がろうとするが、身体中がボロボロになるほどの
マルチバスターの衝撃で、身体は既に限界に達しているはずだ。

遂にセリオはマットに倒れた。

「勝者!HMX−12マルチ!!」
レフェリーが判定を下した。

「馬鹿なぁ!!?セリオが・・・セリオがマルチに劣るはずは・・・!!」
「確かに性能や力はセリオの方が上かもしれない。だが、マルチにはセリオには
 ない物を持っていたんだよ。」
「それが情動機能とでも言いたいのか!!?」
「違うよ」

「大切な人への想いさ・・・」

長瀬はそう言うとマルチの元へと駆け寄った。

「勝った・・・私、私勝ちましたあ!!」
マルチは自分が勝利した事を改めて実感した。
「あ・・・あれ・・・?」
と、同時に緊張感が抜けたのか、マルチの身体がぐらりと倒れる。
「あ、あわわ〜・・・」

ぽふっ!

そんなマルチを支えたのは

「よく頑張ったな、マルチ!」

闘いの間ずっと支えてくれたのは

「あ・・・」
「これはご褒美だ!」
なでなで
「・・・浩之さん・・・」
「よくやったなマルチ!!」

「はい!!浩之さん!!」
マルチは浩之の胸に飛び込んだ。


「セリオ、立てるかい?」
「長瀬・・・主任・・・?」
セリオは辺りをキョロキョロと見回す。
そして声の主が長瀬だとわかるとセリオの表情は暗くなった。
「真部の奴は何処かに行っちまったよ。まったく薄情な奴だ、
 自分の娘をほっといて行っちまうんだから。」
長瀬は憤慨しながら言う。
「私は負けました・・・この大会は負けたチームのメイドロボは
 廃棄処分でしたね。つまり私は・・・」
「それなんだがセリオ。」
「?」
「私の力では上司の言うその提案はどうする事も出来ない。
 まあ、自分のメイドロボ案が認められるのは嬉しい事だけど・・・」
「・・・・・・」
「だから・・・私のところに来ないかい?セリオ」
「え・・・?」
「あ、ちゃんと真部の奴から許可はもらったからね。『あんなクソロボット
 どうにでもしろ!!』、だそうだ。アイツもひどい奴だよ。」
「・・・・・・」
「君のマスターは今日から私ということになる。」
「それは・・・命令ですか?」
「命令なんかじゃない。僕はできることなら君の意思で来て欲しいが・・・」

「わかりました。よろしくお願いします。長瀬主任。」
セリオはそう言って微笑んだ。
マルチと闘ったときの恐ろしい微笑ではなく、優しい微笑だった。
「うん。君にはやはりその笑い方が似合うよ。」
「ありがとうございます。長瀬主任。」



「ふ〜ん・・・56万パワーで97万パワーあるセリオちゃんを
 倒した選手、か・・・これは面白い事になりそう。」
その試合を観戦していた観客の一人に赤毛の少女がいた。
彼女の名は神岸あかり。現在最強の東鳩超人と呼ばれる少女である。

「今度の東鳩超人選手権のためにセリオちゃんの情報集めにきていたけど、
 これは面白いお土産が手に入ったよ。」
あかりはにこにこしながら言う。
 あかりは今度の東鳩超人選手権では、最大のライバルはセリオだと思っていた。
計算され尽くした攻撃、華麗なまでのコンビネーション、そして97万を誇る
セリオの超人強度・・・どれをとっても自分の強敵となりうる。
 特に超人強度はかなり高いほうだ。97万を超える超人強度を持つ者は
この日本には存在しないであろう。

超人強度100万パワーを誇るあかりを除いては・・・

「マルチちゃん、か・・・ふふふ、今から楽しみだよ・・・選手権が」
あかりはそう言うと会場を後にした。

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こんにちは〜助造です。

う〜む今回は繋ぎの話だ。
次回から新章が始まると思います。