キン肉マン・マルチ 第一章(3) 投稿者:助造 投稿日:11月12日(日)23時06分

「行きます・・・48の殺人技、マルチバスター!!」

マルチがセリオに突進する!
マルチバスターは組み技なのでまず相手を捕まえなければ意味がないのだ。
セリオはそれをサッと避ける。
「捕まってくださ〜〜い!!!」
マルチが叫びながらセリオに突進するが、
悲しいほどにあっけなく避けられる。

「残念だったな長瀬!貴様のマルチではセリオを捕らえるのは
 不可能のようだな!!」
真部の笑い声が響く

「くそっ!!・・・あの技さえ決まれば・・・!!」


キン肉マン・マルチ 第一章 研究所内最強メイドロボ決定トーナメント編 第三話


「はあ、はあ・・・」

段々とセリオを追うマルチのスピードが落ちてきた。

「まずいな・・・あれだけの出血(潤滑油?)量があれば体力の減少も速いはずだ。
 このまま長期戦に持ち込まれると・・・」
リングには既にマルチの血が多量に落ちている。

「はあ、はあ、ふ、ふえ〜・・・」
遂にマルチが立ち止まる。
ロープに背をかけてぐったりとしている。

「セリオ!マルチに休む暇を与えるな!!このまま終わりにするんだ!!」
真部がセリオに叫ぶ。
「了解。」

今度はセリオがマルチに突進する!
セリオはマルチを一撃でノックダウンさせる力を出し、
マルチに猛然と殴りかかる!

「この時を・・・待ってましたぁ〜!!」
マルチはそう叫ぶとロープを利用して跳躍した。
あっという間にセリオの背後に回り、セリオを突き飛ばす。
「・・・一体何をするつもりだ!?」
真部がその様子を見て訝しそうに呟く。

 マルチはセリオの首から上の部分をロープの間に突っ込ませると、
セリオを上に向かせる。そしてリングの外側に回り、セリオの首に
自分の脚を巻きつけ、膝関節の部分でセリオの首を挟む、ロープを掴み、身体を固定して
徐々に下に体重を掛けていき、セリオの首を圧迫する。

「あれは・・・48の殺人技の一つ、超人絞首刑!!?」

首の部分だけをリングの外に出されたセリオは、リングの外側にいるマルチに
手が脚が届くはずはない。故に脱出するのもほぼ不可能。

 激しい運動時などには通常のバッテリーだけでは電力を補いきれず、
マルチやセリオは水素を使用した燃料電池で補助発電している。(PS版マルチシナリオ参照)
つまり、マルチやセリオは現在、常に酸素の供給が必要である。
首を圧迫され、酸素が取り込まれなくなると、水素と酸素を反応させて
電気を作るという作業が不十分になり、遂には電力の供給が行われなくなってしまう。
そうすればセリオはバッテリーが落ちた状態となり、人間で言う落ちた状態になる。

「そうか!そうすればセリオを・・・!!」
「しまった・・・!!」

「これで・・・おしまいですぅぅぅ!!!」

ぎりぎりとセリオの首を圧迫するマルチ。
バッテリーの落ちる音が聞こえる。

その時だった!

セリオの目がカッと開かれたかと思うと、
「!!??」

マルチは心から驚愕した。
いや、恐怖したといった方がいいかもしれない。

セリオが・・・あのセリオが微笑んだのだ!!
しかし、それは可愛らしい微笑などではなかった。
相手への殺意、そして手強い獲物を得た時の肉食獣の物・・・
マルチは自分の顔が真っ青になっていくのがわかった。

「セ、セリオスマイル・・・!!まさか!!?」
一番驚いているのは真部だった。
「真部!?どうしたんだ、一体!!」

「昔、セリオがまだHMX−13、つまりテスト稼動中だった時の事だ・・・
 その時、セリオはある事から感情を持ってしまった時があった。
 我々は総力をあげて原因を究明したが、とうとうわからなかった。
 結局、コンピューターのバグという事で片付けられたが・・・」
「それが・・・セリオスマイル・・・それが何らかの衝撃、つまり
 マルチに追い詰められた事でいきなり再起動したという事か!?」
「このセリオには試験機のデータが受け継がれているんだ!」


セリオはマルチの力が抜けた事で、あっさりと技から抜け出した。

「ふふふ・・・まあ、いい!!情動機能を持つメイドロボは好かんが、
 これでセリオの勝率は更に上がった!!」
「何!?一体どういう事だ!!」
「貴様は知らないだろうが、セリオはHMX−13当時の方が性能は上なのだ!
 しかも、運のいい事にセリオは優しさや、同情の感情は復活していないと見える!
 つまり、冷徹な氷の精神を持った究極の殺戮マシーンになったんだ!!」


「これで終わりです・・・マルチさん」

セリオはマルチを持ち上げ、マルチの身体を自分の両肩に背負う。
マルチの体の中心を後頭部にあて、そしてマルチの首、脚に体重をかける!

「な、何だあの技は!!?」
「フフフ・・・セリオ最強の技、セリオブリッジ!!」
「セ、セリオブリッジだと!?」
「あの状態で上半身と下半身に体重を掛けられてみろ!どうなると思う!?」
「あの状態で体重を・・・?」
「相手の体は背骨から真っ二つに折れ、身体も真っ二つに裂ける!!」
「そうか!橋の中心に下から力をかけ、両端に力をかければ橋は真っ二つに
 へし折れる!」
「そう、つまり橋がマルチでその中心に当たる場所がセリオの後頭部に
 接している部分だ!そして脚、首の部分が橋でいう両端なのだ!!」

「きゃあああああ!!!!」
マルチの悲鳴が会場に響く!

みし、みし、みし、みし・・・

「逃げろマルチーー!!早くその技から逃げろーー!!!」
長瀬が叫ぶ。

「くぅぅぅ!!!」
マルチは必死にじたばたするが、セリオブリッジから逃げ出す事が出来ない!

「おとなしく・・・して下さい・・・!!」
セリオの声に僅かな怒気が篭っている。

グググッ!!
「わああああああ!!!!」
次の瞬間、マルチにかかる負担が上がった!
マルチの腹部の合成繊維がぶちぶちと音を立てて千切れる!!
そこから流れ出た血がセリオの顔を伝うと、
セリオはまた笑みを浮かべた。

「マルチーーーー!!!!」
「はっはっは!!無駄だ!セリオブリッジは脱出不可能の技、
 どんなに足掻こうと身体への負担が多くなるばかりだ!!」

みち、みち、みち、ボキッ!!

「あ・・・う・・あ・・」
遂にマルチの背骨の一本が折れた。
メイドロボにとっても背骨は重要な器官がある。

マルチは絶望の中にいた。
体中に走る激痛。
もう、耐えられない・・・

どうしてこんなに我慢してるのかな・・・
ギブアップしちゃえば・・・楽なのに・・・

ぼきっ

あ、また折れた・・・
もう、だめ・・・
私・・・負けちゃう・・・

マルチも、そして長瀬もあきらめたその時、

「マルチぃぃぃぃぃ!!!がんばれぇぇぇぇぇ!!!!」

声。

聞いたことのある声が耳に入った。

私を応援している声。

好きな人の声

「がんばれえぇぇぇぇ!!!マルチぃぃぃぃぃ!!!!」

この声は・・・

浩之さん?

浩之さんが来てる・・・

そうだ・・・思い出しました。

私が頑張る理由。

「がんばれえぇぇぇぇ!!!!!」

私が・・・頑張れる理由!!

「火事場のぉぉぉ!!!マル力ぁぁぁぁ!!!!!」
マルチが吼えた!!

「なっ!!まだそんな力が!!?」
セリオが驚愕の声をあげる。

どうして、どうしてマルチさんはここまで頑張れるのです!?
わからない、わからない!
理解不能、理解不能、理解不能、理解不能、理解不能・・・・

「たぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マルチは身体を異常といえるほどまで反らせた!
そして、セリオブリッジからの脱出を図る!

「セリオ!!マルチを逃がすな!!捕らえろ!!」

しかし、真部のその叫びもセリオには届かない。

プシューッ!!

セリオの体から蒸気が噴出される。
「まさか・・・!!セリオがオーバーヒートするなど考えられん!!」
「時間だよ・・・」
「何っ!!?」
「セリオは今まで全ての闘いを10分以内で倒してきた。
 つまり、10分以上このような激しい闘いを続ける事が出来ないんだ!!」

真部は自分の腕時計を見る。

時間は・・・試合開始から11分。

「これで終わりですぅぅぅぅぅぅ!!!!」

セリオブリッジから脱出したマルチはセリオを抱えあげる!

左脇にセリオの頭部を入れ、セリオの左脇に自分の頭部を入れる!
そこから持ち上げ・・・両脚を固める。

そして・・・跳躍する!!

「いけぇぇぇぇぇぇ!!!!」
長瀬が叫ぶ。

「よんじゅうはちのさつじんぎぃぃぃ!!!」

「マルチバスタァァァァァァァァ!!!!!」

ズドォォォォォォン!!!

轟音が会場に響き渡った。

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どーもぉ、助造です。

さあ、セリオをぶちのめしました!(爆)
それにしても展開速すぎ(汗)
次回から新章 東鳩超人最強決定戦が始まる・・・かも(やっぱりかい!(爆))