キン肉マン・マルチ 第一章(1) 投稿者:助造 投稿日:11月4日(土)13時23分
時は近未来、ある大きな変化が地球を変えていた。
Leaf強度という特別な力を持つ者が地球上に現れたのだ。
彼らは全ての面で平凡な人類より優れており、
人々は彼らを超人と呼び、崇め、そして尊敬した。


その中に一人のメイドロボがいた。
その名はマルチ。来栖川エレクトロニクスの最新型である。
だが、彼女はLeaf強度を持つ最新型にも関わらず、不器用なダメロボットとして
世間の皆様からいぢめられていた。
それを不憫に思った開発者の長瀬主任はマルチに
特技を身に付けさせようと考え、48の殺人技を伝授させる。

この物話は一人のメイドロボの、愛と力と技の伝説である・・・・

注意:タイトルからわかると思いますが、このSSは「キン肉マン」(集英社コミックス)
のパロディです。一応、格闘SSですが、Vladさんの「鬼狼伝」などの
本格格闘SSに比べ、作者の文章力などの都合により雑魚格闘SS(爆)となっております。
(いえ、決してキン肉マンが雑魚格闘漫画というわけではありません)
本格格闘SSがお好きな方は読まないほうがいいかと・・・
あと、キン肉マンを読んでいない方は技がいまいち理解できないかもしれませんが、
そこんところはどうか御了承ください・・・(自分のSSはこんなのばっかだな・・・(汗))


プロローグ・・・というか初期設定かな。

最強メイドロボ決定トーナメント・・・

「これからのメイドロボは主人の護衛くらい出来なきゃね。」
研究所所長と、来栖川の会長の一言から始まったこの大会。
全ての研究チームは大会への参加を強要され、
長瀬たち第七研究チームはマルチをこの大会に参加させる事にしていた。

研究所所長は、「この大会の優勝したチームのメイドロボ以外のメイドロボシステムを
全て廃止する」というメチャクチャな条件を出し、
長瀬たちはマルチの情動機能システムを廃止させないために優勝を目指す。

この大会に優勝するために、長瀬はマルチに48の殺人技を習得させた。
マルチには格闘のセンスがあったのか、マルチは48の殺人技のうち、
47番目の技までを驚異的な速さで習得していったのだが、
48の殺人技最強のスペシャルホールド、マルチバスターを習得できないでいた。

大会は始まり、マルチは何とか数々の他の研究チームのメイドロボを下し、
決勝戦まで登りつめた。決勝の相手は優勝最有力候補のセリオ。
長瀬はこのままでは二日後の決勝戦でセリオに勝利する事は困難と考え、
マルチにマルチバスターの習得を急がせる。

マルチの伝説はそこから始まる・・・

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キン肉マン・マルチ 第一章 研究所内最強メイドロボ決定トーナメント編 第一話



「さあ!立ち上がるんだ!そして、かかって来い!」
肉体増強スーツを着けた男が倒れている女にに叫ぶ。
リング上に立っている男は長瀬主任のようだ。

「うぅ・・・主任・・・私には無理ですぅ・・・私には
 マルチバスターなんて習得できませ〜ん・・・」
対するマルチは情けなく泣いている。

「何を言うんだマルチ!お前は48の殺人技の47個を習得したんだぞ!
 あと一つ、マルチバスターさえ習得すれば・・・」
「そのマルチバスターが習得できないんですぅ・・・」
「47個の殺人技を習得した時の頑張りはどこにいったんだよ!?
 お前が負けたらお前の妹たちは笑えなくなってしまうんだぞ!?
 それでもいいのか?!」

長瀬の言葉を聞いてマルチは顔を上げる。
どうやら練習を再会するようだ。

「行きます!主任!!」
「さあ、来い!」

マルチは長瀬にタックルをする。
しかし、相手を倒すものではない。
マルチは長瀬の頭を自分の左脇に入れ、自分の頭を長瀬の左脇に入れた。

「とぉぉぉぉぉ!!」
「そうだ!そこから相手をさかさまに持ち上げ・・・!」

相手の身体を背負うようにさかさまに持ち上げ、自分の両腕で相手の
両脚をしっかりと固める。そしてそのままの体勢で高く飛び上がり・・・

「たあぁぁぁぁ!!」

相手の両股を加速度を利用して裂き、地面に着地・・・・すればOKなのだが、

「は、はわわわわ〜!!」

ドガァッ!!

マルチの場合は身体が小さいので、どうしても自分より身体の大きい者
を担いで飛び上がると、空中でバランスを崩し、敵もろとも落下してしまうのである。
敵にも一応のダメ―ジは与えられるだろうが、これではヘタをすると相手の体重が
かかっている分、自分に来るダメージの方が大きくなるのである。

「ふ・・ふえ〜・・・」
「くそっ!また失敗か・・・一体どうすれば・・・」

結局その日はいい案が浮かばないまま、日が暮れた。


その夜、長瀬は一人考え、悩んでいた。

「マルチのLeaf強度は56万パワー・・・それに対してセリオの
 Leaf強度は97万パワーある。やはりマルチの力では力不足なのか・・・?」

今日、長瀬が練習時に着用していた強化スーツはLeaf強度を最大で99万パワーまで
出す事が出来る代物だった。
Leaf強度はセリオと同じ97万パワーに設定してあったが、
マルチの力ではそれを空中で支える事が出来なかった。

Leaf強度というのは数値が高ければ高いほどパワーが大きくなるものである。
それに比例するようにLeaf強度が高ければ重量も多くなるのだ。

「やはりマルチの力ではマルチバスターを習得する事は不可能なのか?・・・」
長瀬の前に大きな壁が立ちはだかった・・・

「・・・いや、マルチにはあの力が備わっている。あの力を使う事が出来れば・・・」

そう言う長瀬の顔には決意の色が浮かんでいた。



「あ、浩之さーん!」
「よう、マルチ。元気にしてたか?」

今日はマルチに会いに浩之が研究所に来る日だった。
大会に参加する事が決定した時からマルチは昔のように研究所に住んでおり、
浩之とは週に一回、土曜日にしか会えない。

「はい。私、元気な事だけが取り柄ですから〜」
「ホントか?・・・なんかちょっと痩せた感じがするぞ・・・」
浩之が心配そうにマルチを見る。
「だ、大丈夫ですよ〜。そんなことないです〜。」
「そうか?ならいいんだけどよ・・」
浩之の言っていた事が実は事実だったのでマルチは慌てて否定した。
「そういえばよ」
「はい?」
「決勝戦、明後日なんだってな。」
「は、はい。そうです。」
「・・・頑張れよな!俺は応援してやる事ぐらいしかできねぇけど・・・」
「浩之さん・・・・」

マルチは一瞬下を向き、そして

「はい!私絶対に勝ってみせますぅ!!」
いつもの笑顔でマルチは言った。



翌朝

「マルチ・・・リングに上がれ・・・」
長瀬は珍しく思い詰めた顔でマルチに話し掛けた。
「え?・・・は、はい!」
マルチは慌ててレオタードのようなコスチュームに着替えると
リングの上に上がる。
長瀬は既に強化スーツを装着している。

「マルチ・・・今から最後のマルチバスターの習得を試みる。」
「・・・最後?」
「これでマルチバスターを習得できなかったら、きっといつまで経っても
 お前はマルチバスターを習得できないだろう・・・そして
 マルチバスターを習得できなければセリオに勝つことは不可能に近い!」
長瀬はゆっくりと、しかし強い口調で話を進める。

「セリオに勝てなければお前のデータを妹に受け継ぐ事は出来ない・・・
 お前自体も消されてしまう事になるだろう・・・だからここでマルチバスターを
 習得できなかったら・・・!」
長瀬はそこで一瞬何か言うのを躊躇ったが、
「マルチ・・・お前の記憶、いや、メモリーを消去する!」
長瀬は強くそう言った。
「主任・・・・」
マルチは混乱して何も言えないようだ。

「行くぞ!!マルチ!!!」
「あっ!?」
長瀬がマルチに向かってタックルを仕掛ける!
思わずマルチはそのタックルでさえ転びそうになる!

「・・・マルチ。お前にはマルチバスターは無理のようだな!
 マルチバスターの失敗どころか私のタックルで倒れるとはな!!」
「お前はセリオと闘っても結果が見えている!それならば
 私がお前を消去してやるのが親としてのせめてもの心遣いだ!!」
マルチは必死で長瀬のタックルに耐えているが・・・
倒れるのも時間の問題だ。

私・・・このままじゃ・・・
でも、だめだ・・・返せないし、
マルチバスターなんてできない・・・

浩之さんとの思い出も消えちゃう・・・
浩之さん、泣いちゃうな・・・
浩之さん・・・もう会えないのかな・・・

いやだ・・・

そんなのいやだ!!


「いやですぅぅぅ!!!!」
気が付くとマルチは叫んでいた。
そして、
「なにっ!?」
「でりゃりゃりゃぁぁぁ!!!」
長瀬をさかさまに持ち上げ、高く跳躍した!!
「技への移り変わりが速い!まさか・・・!!」

「これが火事場のマル力なのか!!?」

「主任!私は・・・私はまだ負けられません!!
 私が死んだら浩之さんが泣いちゃいます!私はそんなの嫌ですぅ!
 それに・・・浩之さんは頑張れって言いました!!だから・・・
 私はまだ頑張らなきゃならないんです!!ここでギブアップできないんですー!!!」

マルチは完全に長瀬の身体を極めている。
「これだ!!マルチバスターの完成だ!!」

「マルチバスタァァァァ!!!!」」
「さあ、私をマットにたたき伏せるんだ!!」

ズガァァァァァァン!!!

凄まじい衝撃音と共にマルチがマットに着地する!

「股裂き、背骨折り、そして脳天への割れるような衝撃を一度に与える・・・
 これが・・・これがマルチバスターなんですか!!?」
「よくやったぞ、マルチ。・・・これでお前は火事場のマル力と
 マルチバスターの二つを習得したんだ・・・」
「かじばのまるちから?」
「人を愛する気持ち・・・そしてそれを守ろうとする時、
 無限大の力をお前は引き出す事が出来る・・・」
「それが私の・・・火事場のマル力なんですね!!?」
「そうだ・・・これでお前もセリオに―――
「し、しゅに〜〜ん!!大丈夫ですかぁ!!?しっかりしてくださ〜い!!」

そこで長瀬は気絶した。
マルチバスターは強化スーツ越しの長瀬の
身体がボロボロになるほどの威力を持っていたのだ。


こうしてマルチはマルチバスターを完成させた。

キン肉マン・マルチの誕生である。



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こんにちわん、助造ですぅん。

「おいおい、今度はキン肉マンかよ!!?」という
意見(苦情?)が何処からか飛んできそうです。(汗)
しかも続き物です。そこんとこちゃんと考えてやってるのか?俺(爆)

まあ、自分としては週に一話のペースでやっていきたいと
思っております。
でわ。

(最後になりましたが、AIAUSさん、夏樹さんのネタを
 借りさせてもらいました。本当にありがとうございます。)