メタルギア・アヤカ 第十三章 投稿者:助造 投稿日:11月1日(水)17時48分
前回までのあらすじ

核発射を防ぐためにはセリオを破壊するしかない。
綾香はセリオのいる核兵器保存棟への潜入口である、
非常用エレベータのある地下五階を目指す。
地下四階での琴音との死闘を制した綾香は、
地下五階へと進む。
その頃、葵は琴音が綾香に殺されたことを知り、
驚愕する。葵は、智子の策略にまんまと嵌り、綾香への
復讐を誓ったのであった・・・

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葵は一人、地下五階の訓練室にいた。
(この研究所は軍事用メイドロボの開発のためだけに
作られた施設なので、ロボットの性能を確かめるための
訓練施設がある。それが訓練室である。ここには様々な
性能テスト用具があり、人間を鍛えるため
の道具も数多く置いてある。)

「綾香さん・・・琴音ちゃん・・・」
葵は先程から、この二つの言葉をずっと呟いていた。
「琴音ちゃんが殺された・・・殺したのは・・・綾香さん?・・・」
狂ったように同じ言葉を呟いていた。


葵は立ち上がり、そして

ずばあぁぁぁぁぁぁぁんん!!!!!

サンドバックを殴った。
40kgあるサンドバックが、数メートル先まで飛んでいた。

「綾香さん・・・・!!私は許さない・・・!!琴音ちゃんを・・・!!
 琴音ちゃんを殺したあなたを決して許さない!!」

葵は泣いていた。
怒り、憎悪、絶望、困惑そして悲しみ。
それが交じり合った哀しい涙・・・

それは琴音のために流された涙だったのだろうか・・・・


葵の心は復讐の念で染まっていた・・・

だが、琴音が復讐など望んでいなかった事を
葵は知らない・・・・


メタルギア・アヤカ 第十三章 『鳴らされた鐘』


『綾香君、核兵器保存棟に急いでくれ!奴らの決めたタイムリミット
 まで、もう既に9時間を切っている。』
「わかった!ここのフロアに非常用エレベーターがあるのよね?」
『そういう事だ!早く非常用エレベーターに乗り込んでくれ!』


「マルチ、どこから行けばエレベーターに一番近い?」
『す、すみません!私が研究所にいたとき、地下五階は
 私は入れなかったんですー・・・入ろうとしても
 兵隊さんから、ここは立ち入り禁止だ、って言われてて・・・』
「つまり、ここから先はマルチにもわからないわけね・・・」
綾香は溜め息をついた。
『うぅ・・・お役に立てなくてすみませ―ん!』
マルチが必死に謝る。

『マルチ君でも立ち入り禁止だったって事は、きっとそこは
 軍事用メイドロボのテスト場か何かではないだろうか?』
「軍事用メイドロボのテスト場・・・」

『そう、そこはメイドロボの実験場や。』

その時、何者かが無線連絡に入り込んできた。
しかし、綾香にはその声に聞き覚えがあった。
「あなたは・・・保科智子!?」
『まさか!?どうして奴が!?』
『くっくっく・・・こんなもん、ちょっと弄れば簡単に
 できる事やで?』
「一体どうやって無線番号を・・・!?」
『そんな事はどうでもいいんや。それより、あんたにイイ事
 教えたろうと思ってな。」
智子が不敵に笑うのが聞こえる。
「イイ事?」
『そうや、実はなぁ・・・ここには藤田君がいる。』
「浩之が・・・!!?」
『訓練施設ってのがあるんやけど、そこから行ける部屋に
 藤田君はおるはずや。』
「・・・・どうしてそれを私に・・・?」
『ふふ、あんたも藤田君が気になっとったら、思うように闘えへんやろ?』
『藤田君の安否の確認さえすれば、更に暴れる事ができる・・・そうとちゃうか?』
「どういうつもり・・・!?」
『言ったはずやで?うちはあんたとの一戦を楽しみにしとるんや。
 だから、全力で闘えないあんた何かと闘いとうない。
 ただ、それだけの事や。』
『藤田君を取られても、また取り返せば良いだけの事やしな』

智子の笑い声を最後に、通信は途切れた。

「あいつ・・・一体どういうつもり・・・?」
『奴の言ったことが本当か嘘かはわからんが・・・どうするかね?』
「・・・・行ってみるわ。今は彼女の事を信じてみる。」
『信用できる奴とは思えんが・・・・』

大佐との通信を切り、綾香は訓練施設を探す事にした。



12月31日 午後10時6分 核兵器保存棟司令室

「さて・・・これで準備は整った」
「・・・・・・」

何の準備ですか?、と芹香が訊く。

「何の準備やて?・・・きまっとるやん。あの事や」
「・・・・・・」
「そう、葵と来栖川綾香、二人の対決・・・・」
智子は、ぺろっと舌なめずりをした。
「面白い事になるで!師弟対決やからな!」
「・・・・・・」
「お互いに全てを知っとるようなもんやからな。その中で
 どちらの力が上回るか・・・うちも見に行こうとおもっとるんや」
「・・・・・・違うでしょう?」
「違うでしょう?・・・ふふ、あんたにはかなわへんな。
 確かにうちがあの二人の対決を見に行く理由はそれやない・・・」
「松原葵さん・・・綾香とは親しい仲・・・もしかすると彼女は・・・」
「・・・そう、うちは葵の監視役や。」

葵と綾香との絆は強い。
葵は綾香に憧れて格闘の道を志したのだから、
いざ、闘ってみるとなると、変なことを起こしかねない。
その危険性を考慮した上で、智子はこの闘いを監視する事にしていた。

「ま、それも無駄かもしれんけど・・・」

用心するに越した事はない・・・

智子はそう考えていた。



「ここが・・・訓練施設・・・・」
綾香は訓練施設と書かれた部屋の前に来ていた。
流石に訓練施設というだけあってかなりの広さである。

この先に・・・浩之が・・・

綾香は訓練施設の中に入る
そこには――――

「リング・・・・?」
綾香が目にしたものはリングだった。
そう、エクストリームなどで使用しているリング。
「どうしてこんなものがここに・・・・」
綾香はリングに近づく。

「ようこそ、訓練施設へ!」

突然、上から声が聞こえ、綾香は咄嗟に上方を向く。
「来栖川綾香、歓迎するで。」
そこには智子がいた。
「ここの相手はあなたってわけ?」
綾香は戦闘態勢にはいる。
「まあまあ、早まんなや。それに、ここの相手はうちやない・・・」

綾香はその時リング上に誰かがいるのが見えた。
見覚えのある顔付き・・・・

「葵・・・・」

葵だった。
葵は綾香の方をじっと見つめている。
いや、睨んでいた。

「どや?あんたらが闘うにはうってつけの場所やろ?」
智子はリングから何まで全てエクストリームを再現させていた。
だが、行われるのはエクストリームではない。
相手が死ぬまで闘いあう事になるだろう・・・殺し合いだ。


「綾香さん・・・もうわかっているでしょう?」
「・・・葵、いつかはこうなる事はわかってた・・・・けど」

綾香はリングに入る。

「葵・・・あなたとは、こんな形で闘いたくなかった・・・」
「・・・あなたは・・・琴音ちゃんを殺した・・・!」
「やっぱり、あなたと姫川さんは・・・」
「・・・友達でした・・・たった一人の・・・」
「・・・・・・」
「でも・・・いなくなったんですよ・・・」
「葵・・・・」
「私はあなたを殺す・・・!!琴音ちゃんのためにっ!!」

避けられぬ闘いが始まる。

復讐を胸に秘める者

それを受け止めようとする者

そして・・・

「さあ、闘うんや・・・闘って、闘って、殺しあえ・・・くくく・・・」

カァーン!!

闘いの鐘は鳴らされた


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智子の策略により、対峙する二人。
復讐に燃える葵を綾香はどう
受け止めるのか!?

次回 メタルギア・アヤカ 
第十四章 「Roll」


どーも、助造ですぅ。

結構、間が空いてしまいました。(汗)
今になって、委員長が自分の事を「うち」とは呼ばず、「私」
と呼ぶ事を思い出してしまいました。
どうしよう・・・・

まあ、いっか!このままで(爆)