メタルギア・アヤカ 第十章 投稿者:助造 投稿日:10月20日(金)00時41分
注意:このSSはToHeartのキャラで、KONAMIの作品「メタルギア/ソリッド」
のパロディ(?)をやっちまおうという、作者の妙な発想によって始まったSSです。
よって、「メタルギア/ソリッド」の話を知らない人は、いまいち話がわからないかもしれません。
(わかるように精一杯努力はしてますが・・・)
あと、設定(詳しくは予告編参照)が結構メチャクチャです(爆)が、そこはどうかご了承くださいませ。


前回までのあらすじ

2000年 12月31日 午前8時00分・・・

明日から新世紀と、みなが浮かれている中、その事件は起こった。

新型メイドロボの試験稼動に立ち会っていた
特殊戦闘部隊Leafのメンバーと、彼らの率いていたLeafの予備部隊が突如、蜂起。
HM研究所兼核兵器研究所のある小笠原諸島硫黄島を占拠し、政府に要求を出してきた。
要求を明日午前五時までに受け入れない場合、テロリストは核を発射するとも通告してきた。

このテロに参加したLeafメンバーは以下の7人。
神岸あかり、保科智子、宮内レミィ、
松原葵、姫川琴音、佐藤雅史、そして綾香の姉である来栖川芹香。

これに対し、日本政府は極秘のうちに旧Leaf司令官ベン・ヤックマン元大佐を
呼び出し、テロ鎮圧作戦の全指揮権を与え、テロリストの鎮圧を図った。

ベン・ヤックマン大佐はこの任務を遂行できる人物は、Leaf最高の称号である
『リーフ』のコードネームを持っていた、除隊した来栖川綾香以外に考えられないと考え、
除隊していた綾香を呼び戻した。
テロリストは国防省長官の小林長官、HM開発の権威である長瀬源五郎主任、
そして、綾香の恋人である藤田浩之の三名をテロの人質として捕らえていた。
綾香は恋人である浩之を救うため、単身、硫黄島に向かう。

数々の死闘を勝ち抜き、綾香は遂に長瀬を救出する事に成功するが、
長瀬から、核発射を防ぐにはセリオを破壊するしかない、と告げられる。


(うわ〜・・・全然あらすじになってねぇ(爆)・・・しかも、長いし(汗))
では、本編をどうぞ。

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「長瀬さん?セリオは今どこにいるのかしら?」

綾香は長瀬に連絡していた。
先程、長瀬と別れたばっかりの綾香だったが、
最も肝心な、セリオの居場所を訊くのを忘れていた。
綾香らしくないミスである。

『セリオはきっと核兵器保存棟で整備されているはずです。
 でも、核兵器保存棟には地上からの潜入は
 はっきり言って不可能です。地上ルートには地雷原や、
 多数の兵士が見張っていますから・・・』
「それじゃあ、何処から潜入すれば・・・・」
『綾香お嬢さんが今いる所はHM研究所、地下三階です。
 HM研究所には地下五階に非常用エレベーターがあるんです。
 このエレベーターは核兵器保存棟につながる通信塔Aに直結しており、
 通信塔A屋上の渡り廊下、または通信塔A五階にある渡り廊下から通信塔Bに渡れます。
 通信塔Bのエレベーターは核兵器保存棟に直結してるんです。
 それを使えば・・・』
「安全に核兵器保存棟に行ける、ってわけね。」
『そういうことです。もう、テロリストの通告してきた核発射の時間まで
 8時間程しか時間がありません。急いでください!』
「わかった。今から地下五階に向かうわ!」

綾香はそう言って長瀬との通信を切った。


メタルギア・アヤカ 第十章『Psyco Soldier』


12月31日 午後9時17分 HM研究所地下四階 所長室

「ここから地下五階にいけるはず・・・なんだけど・・・」
綾香は地下四階から地下五階に続く階段のある所長室に来ていた。
兵士から聞き出した情報によればこの部屋から地下五階に行かねばならない。
しかし、その階段がなかった。
あるのは整然とした、所長が使っていたと思われる机と、
資料のつまった本棚。
そして応接用のソファと机だけである。

綾香が階段を探している時だった。

「なっ!?くぅっ・・・」
綾香はいきなり激しい頭痛に襲われた。
それと同時に頭の中に何かの映像が流れ込んでくる!

綾香が見たのはモノクロの映像の中で、
綾香には見たこともない映像ばかりだった。

なにこれ・・・
あれは・・・葵?誰かと喋ってる・・・相手は一体誰?
それにここは何処?・・・何かの機械がたくさんある・・・

いきなり映像がフラッシュして場面が変わる。

「この霊媒女〜!」

「彼女ってなんかヤバイんでしょ?なんか超能力がどうとか・・・」

「あいつに予言されると必ず不幸になるらしいぜ、気味悪いよな〜」

「あんた何か死んじゃえばいいのよ!この疫病神っ!!」

また画面がフラッシュし、綾香は意識を取り戻した。

「今のは・・・一体
何?と、言おうとしたところで綾香は言葉を止めた。
先程まではなかった気配がこの部屋にある・・・
「・・・誰かいるわね・・・何処なの!?」
綾香が叫んだと同時に、何者かが姿を現した。

「さすがですね・・・来栖川綾香さん・・・」
何もない空間から現れたのは、一人の少女。
「あなたは、いった―――
一体誰、という言葉を言い終わる前に、
「はじめまして、姫川琴音といいます。」
彼女はそう名乗った。

「じゃあ、あなたが―――
「そうです、Leafコードネームメンバー「サイコ」は
 私のことです。」
「・・・・・」

先程から綾香は妙な違和感を抱いていた。
綾香が言葉を言い終わる前に彼女はそれを読んでいたかのように
質問に答える。
・・・心を読む?・・・まさか・・・!!
「そう、私は人の心が読めます・・・勿論、あなたも
 その例外ではありません・・・」

そうだったのだ!思い出した。
長官は彼女に起爆コードを知られてしまった、と言っていた。
その時綾香は厄介だな、と思っていたのだが・・・
「それがあなただったなんて・・・」
「ふふふ・・・わかりませんでしたか?」

「でも、あなたがここに現れたって事は・・・やっぱり、ここに
 地下五階に行く階段があるのね!」
「そうです・・・だから私はあなたを・・・」

「みなさんの為にも・・・ここであなたを止めなければなりません・・・」
琴音は静かにそう呟いた。

「私は見ました・・・あなたの未来を・・・」
「私の・・・未来・・・?」
「そう、私の予知ではあなたは・・・」
「ここで倒されています、私の手によって・・・」
「・・・へぇ・・・」
綾香の表情にわずかに怒りが浮かぶ。
「私の予知は絶対・・・外れる事はありません・・・」
「・・・じゃあ、試してみる?きっとこれがその予知とやらの
 初めての失敗になるわよ?」
「・・・まだ、私の能力を信じていないんですね・・・」
すると琴音は少し悲しそうな表情をした後に、
「さあ・・・始めましょう・・・」
そう言った。



先に仕掛けたのは綾香だった。
素早く琴音との距離を縮め、琴音にパンチを放つ。
まずは軽めのジャブ。
これは牽制のつもりで打った。
すっ。
琴音はそれを移動して難なく避ける。

シュッ!シュッ!

右からのワンツー!
すっ。
これも避けられる。

シュッ!シュッ!

左ジャブの後に右ストレート。
すっ。
これも避ける。
しかし、そこに綾香のミドルキックが待っていた!
琴音が移動した後の位置も踏まえてのキックだった。
が、
すっ。
琴音はそれを後退してかわす。

今のは正直驚いた。
きっと琴音はあまり、運動神経はいい方ではないはずだ。
それにもかかわらず、綾香の攻撃を全て難なく避けている。
危なげのない、実にうまい防御だ。
先程のミドルキックは琴音の移動を見越して放ったものだ。
しかし、それすらも琴音は表情一つ変えずかわした。

「ちっ!」
綾香は思わず舌打ちする。
綾香は続けて右ジャブ、左フック、右ストレート、
そして、間髪いれず蹴りを放つ!
しかし、それも琴音にはまったく当たらない。
琴音はまるで水の上の木の葉のように綾香の攻撃を避ける。

そんな!?心を読める相手に勝ち目なんて・・・

「・・・無駄です。あなたの心は全て読めます。
 攻撃の位置、技のコンビネーション、思考・・・
 全てが手に取るようにわかる・・・・
 ふふふ・・・焦っていますね来栖川さん・・・」
「なっ!?」
「そして、あなたは焦りに飲み込まれ・・・自分の姿を見失う!」

琴音が綾香が動揺した隙を突き、腕を振り上げる。
と、同時に綾香の脇腹に今までに受けた事のない
衝撃が走る!

ズドン!

「かっ・・・はっ!!」
後で考えてみればそれは言うならば内臓を直接殴られたかのような衝撃だった。
「念動力(サイコキネシス)・・・今、私はあなたの身体に空気の塊を
 送り込みました・・・
「くっ・・・!」

綾香はM4A1を取り出し、琴音に向かって掃射した。

ズダダダダダッ!!

しかし、弾は琴音の前で方向を変える。
琴音が念動力で方向を変えているのだ。
「無駄です・・・」
琴音は再度、綾香に念動力を送り込む!
「あうっ!!」
綾香は部屋の壁まで吹き飛ばされた。

「な・・・・!?」
琴音は驚愕した。
壁に叩きつけた綾香が起き上がってきたからだ。
「はぁ、はぁ、」
綾香はさすがに苦しそうな表情をしている。
当然である。
琴音は念動力を利用し、一度は圧縮した周りにある空気の塊を、
そして、二度目は綾香自身に力をぶつけ、壁に叩きつけた。

このままでは・・・来栖川さんを殺すことになって―――

「何処見てるのよっ!!」
琴音が気付いた時には既に綾香の拳が琴音に直撃していた。
「うあ・・・」
琴音の体がぐらつく!
「もう私に・・・」
右のフック、

バスッ!

「勝ったとでも・・・!」
左のストレート、

ドムッ!

「思ったの!!?」
右のハイキック、

ズバンッ!!

琴音の体が宙に浮いた・・・

ドサッ!
琴音は床に叩きつけられた。
しかし、まだ意識はあるのか、すぐに立ち上がろうとする。

「・・・あなた、さっき私を殺すのを躊躇ったわね・・・?」
綾香が琴音に問う。
「・・・・・・」
立ち上がった琴音は無言で綾香の方を見ている。

琴音は始めから綾香を殺すつもりはなかった。
琴音はLeafに入り、何度か自分の能力を人に向かって
使った事もあった。
しかし、いつも相手を殺すことはせず、相手を動けなくなったら
すぐに攻撃を止めていた。
何度かその事で保科智子に叱咤されたこともある。
「あんたは甘い」といった感じに・・・

確かにその通りだった。
Leafはあくまで戦闘集団である。
相手を殺すことも躊躇ったりしてはならないはずだ。
しかし、琴音にはそれが出来なかった。
それゆえに、琴音はLeafの中でも、戦闘ではなく、
主に諜報の類の任務に就いていた。
いくらLeafに入ってから人に念動力を使えるようになったとは言っても、
琴音は昔からこの力で人を傷つける事を何よりも恐れていたのだ。
それが今回、裏目に出てしまった。

綾香が立ち上がったのは余裕があるからではないはずだ。
きっと、かなりのダメージを受けている。
琴音にも、そして綾香自身にもその事はわかる。
しかし、それにもかかわらず綾香は再度立ってきた。
その時に、琴音の中にまた、
自分の力で人を殺してしまうかもしれない、という恐れを甦らせたのだ。

「そんな、中途半端な気持ちで戦場に赴くからこんな事になる。」
「確かに、あなたの力はすごいわ。でもね・・・」
綾香はそこで言葉を区切ると
「今のあなたには負ける気持ちがしない!」
綾香ははっきりそう言った。
「だから、あなたには浩之を渡すわけにはいかない!」
浩之・・・その言葉を聞いたとき、琴音の表情が変わった!
「藤田さんは・・・あなたの物じゃありません!!」
その表情をみた綾香はふっ、と不敵に笑うと
「浩之が欲しければ私を倒してみなさい!!」
と琴音に言った。


私は・・・私は藤田さんが欲しい!!
そのためにはこの人を倒さなければならない!
この人は私に全力を出させる人!
全力を出さねばならない人!!

私は・・・私はこの人を殺します!!


ふふふ・・・いきなり目の色変えてきたわ!
そうよ!そうでなくっちゃならない!!
ほら、浩之が欲しいんでしょう!
だったら、私を砕きに来なさい!!

私が・・・あなたを打ち砕いてあげるわ!!



二人の闘いは終末へと近づいていた―――


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全力と全力のぶつかり合い!
琴音は遂に能力を限界にまで引き上げる!
琴音と綾香、この二人の決着は!?

次回 メタルギア・アヤカ
第十一章 『決着』


こんばんわ〜、助造でぷぅ。連日のアップは疲れたぁ・・・

う〜ん、最後の方、かなり琴音ぶっ壊れてますねぇ(爆)
次回で琴音VS綾香の対決終了です。

今回で遂に連載十回か・・・
ほんのちょっぴり達成感のある今日この頃です。

なんとか今年中には終わらせたいです。
一応、話が2000年の12月31日の話って事になってるので
本当に2000年の12月31日に終わらせてみようなんて考えてます。

予定だと多分25話位まで続くんじゃないでしょうか・・・