メタルギア・アヤカ 第十一章 投稿者:助造 投稿日:10月18日(水)19時52分
前回までのあらすじ

核発射を止めるにはセリオを破壊するしかない。
綾香はセリオのいる核兵器保存棟を目指し、
核兵器保存棟への唯一の潜入手段である、通信塔行
非常用エレベーターのある研究所地下五階に向かう。
しかし、地下五階への階段のある所長室には
Leafのサイキック、姫川琴音が待っていた。
浩之を愛するがゆえに、琴音は綾香と対峙する・・・

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キィンキィンキィン・・・

耳鳴りがする。
琴音の念動力の影響によるものだ。

「・・・私は・・・あなたを・・・殺します!!」

今まで人に向ける事はなかった最大の力。
人を殺すことの出来る力・・・

「・・・あなたを殺し、藤田さんを振り向かせて見せる!!」
                     
今まで使わなかった力を解放してまで壊したいモノ・・・それは

「・・・悪いけど・・・浩之は譲れないわ!!」

琴音の視線の先には綾香がいた。


メタルギア・アヤカ 第十一章『決着』


先程より、綾香の耳鳴りはますます強くなっている。
確実に・・・琴音の力は高まっていた・・・

「はぁっ!!」

琴音が叫ぶと同時に整理してあった本棚の書物が
一斉に綾香に迫る!

ズダダダダダダダッ!!!

綾香はそれをM4A1の連射で蜂の巣にする!
バラバラになった書物は辺りに舞い落ちる。

「えいっ!!」

琴音が念じると今度は机に置いてあった花瓶が砕け散った!
そしてそれを綾香の方にぶちまける!!
「ちぃっ!」
四方八方から飛んでくるそれを、綾香は後退してかわす!
ガラスの破片はまるで散弾銃のように散らばり、
床に突き刺さっている。



「・・・・?」
琴音の攻撃が続かないので、綾香は不思議に思い、琴音の方を見た。
琴音は目をつぶり、ぴくりとも動かない・・・
「一体・・・何を・・・?」

キィンキィンキィン!

耳鳴りが更に強くなる!
それに伴って琴音の周りにある物が浮き始める!
「何か・・・ヤバそうね・・・」
壁の所々がいきなり吹き飛んだり、ガラスにヒビが入ったり、
琴音の周りの不可思議な現象は暫く続いた・・・


キィィィィィィン!!!

耳鳴りが一際強くなった瞬間!

「ぐっ!?」
綾香は視界が少し沈んだ感じがした。
正確には綾香の体勢が低くなっただけなのだが・・・

「こ・・・これは・・!?」
体勢を立て直そうとするが、
まるで自分の背に重りでも乗せたかのように、
綾香の身体は沈んだままだ。
「・・・三倍・・・」
琴音が何か呟く、

ずしぃっ!!

「くあっ!!」
綾香の身体が更に沈む!
立ったままでは耐え切れないのか、綾香は遂に膝をついた!

みし、みし・・・

綾香の身体が悲鳴を上げる!
「ま・・・まさか・・・これは・・・!!」
「そう・・・重力変化・・・」
重力変化・・・
先程、琴音は「三倍・・・」と呟いた。
これがもし、重力を三倍にした。、という意味であれば
琴音の能力範囲のすべての物の重量が三倍に膨れ上がった事になる。

サイコソルジャーの中には単にただ勘が鋭い程度の者から、
自然災害級の破壊を起こす者までいる。
姫川琴音は最高の力を持つサイコソルジャーだ、と綾香は大佐から聞いた覚えがある。
重力変化まで起こす事が出来るという事は、その話は嘘ではなかったようだ。


「・・・あなたの体重を仮に40kgと考えると、
 現在のあなたにかかっている負担は120kgになります・・・」
「ぐ・・・!!」
「ふふふ・・・あなたはいつまで耐える事が出来るでしょうか・・・・」

このままじゃ・・・殺られる・・・!!

綾香は咄嗟にM4A1を取ると、琴音に向かって掃射する!

ズダダダダダダッ!!

「!!?」
琴音の顔に緊張が走る!
が、やはり銃弾はは琴音までは届かなかった。
琴音は銃弾を念動力で軌道を変え、自分の位置から逸らす!

「ちっ!」
「さすがですね、この重力場の中で攻撃をするなんて・・・
 今の私はあなたを攻撃する事に集中していたので、
 あなたの思考までは読めませんでした・・・ですが!」
琴音は更に重力を引き上げる!
「重力・・・五倍です!!」

ズゥゥゥン!

「がはっ!!」
綾香が空気を吐き出す。
背からの負荷重力が上がったために、遂に綾香の肺が膨らみにくくなってきたのだ!
「ぎ・・・く・・・」
声にならない声が綾香の口から漏れる。
綾香は重さを支える事が出来ず、床にうつ伏せに倒れこんだ。

このまま長引けば、長引く程不利になる・・・
読心能力が無くなったんだから、きっと打撃戦に持ち込めば
勝てるはず・・・でも、この状態じゃ至近距離まで近づくどころか
前進する事も・・・できないっ・・・!!
何とか・・・何とか彼女の周りのあの念動力をなくす事が出来れば・・・!


勝てる!・・・この人に勝てる!
私は・・・私はこの人を打ち倒して藤田さんを
振り向かせて見せる!!

みし、みし、みし・・・

綾香の身体が軋む!
「くっ・・・・!!」
「・・・そろそろ限界ですね・・・」
琴音は静かに呟く・・・
「・・・限界?・・・そんなものっ!あなたに決められる
 筋合いはないわ!!」
その一言を聞いた綾香が叫ぶ!
「勝手に人の限界を・・・決めてんじゃ・・・ないわよっ!!」
「・・・・・・」
「まだ余裕があるんでしょう?・・・私は全力で来なさいって言ったはずよ!」
「・・・・・・」
「・・・それとも何?まだ「私を殺せない」、とか?」
綾香は琴音を挑発する。
そういう余裕はもちろん既にない―――
「・・・もう一度言うわよ・・・あなたみたいなねぇ、中途半端な気持ちを持った
 人なんかに・・・浩之は渡せないわっ!!」
「!!?」
「・・・それとも、浩之への気持ちも中途半端なその程度のものなの!!?」

「違うっ!!藤田さんへの気持ちは中途半端なんかじゃありません!!」」
琴音の表情が変わった!
今までの落ち着き払った表情が、一変して怒りの形相へと変わる!
「見せてあげます・・・これが・・・これが私の本気です!・・・」
隙間のない所長室に、どこからともなく風が起こり、
その風は琴音の周りで吹き荒れる!
「重力・・・10倍!!!」

ズゥゥゥゥゥンン!!!

「がはっ!!?」
綾香にかかる負担が更に上がる!
「くっ・・・・!!」
琴音も反動が来るのか、つらそうな表情をしている。

ぎし、ぎし、ぎし

重力が変化したせいで、天井が変形し、
今にも落下してきそうだ。

綾香は必死で負荷400kgに耐えていた。
攻撃に全精神を集中させた時、きっと琴音の周りの
念動力は消滅する!
その時が攻撃のチャンスだ!

逃せば・・・次はない――――


バキッ!

その時だった!
琴音の周りで吹き荒れていた風が本棚を破壊し、
本棚の木材が琴音に向かって飛んできた!
「!!?」
琴音はそれを避ける事も、念動力で軌道を変える事も出来なかった。
あまりにも攻撃に精神を集中させていたため、何も出来なかったのだ!
木材は琴音の頬を切った。
琴音の顔が一瞬引きつる!

「今だっ!!」
琴音の周りに念動力が張られてないのを今ので確認した綾香は、
M4A1を手に取る!だが、
「くっ!!?お、重い・・・!!」
重力場は綾香の周りにも当然効果がある。
重力十倍の状況では、普段は片手で撃てるM4A1も、
何十kgにもなり、手に持つ事すらままならない!

―――はずだった!!

「おおおおお!!!」
「!!?」
しかし、綾香はそれを持ち上げた!
「そんな・・・どこにそんな力が余って・・・!!」
「あぁぁぁぁぁ!!!!!」

ズダダダダダダダダダッ!!!!

綾香はフルオートでM4A1掃射する!!
琴音も念動力でそおれを防ごうとするが、遅かった!!

無数の銃弾が琴音の身体を容赦なく貫く!!

「か・・・は・・・」


琴音の身体が

壁に叩きつけられた―――――


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琴音を破り、先を目指す綾香。
琴音の死を知り、復讐を誓う葵。
運命は二人の絆をも断ち切ってしまうのか!?

次回 メタルギア・アヤカ

第十二章 『約束の終わり、復讐の始まり』


ぐっどいぶにんぐ、助造です。

またまた予定だったタイトル&内容を変えてしまいました。(汗)
原因は琴音との闘いがいろいろ手を加えてたら長くなったからです。(爆)

次回から葵との闘いが始まる予定です・・・多分(爆)

でわ〜。