メタルギア・アヤカ 第八章 投稿者:助造 投稿日:10月11日(水)17時55分
「好恵・・・・」
綾香は混乱していた。
様々な思いが頭を駆け巡るが、言葉が出ない。


どうして好恵が生きているの・・・?
好恵は私を庇って・・・
私の代わりに殺され――――


「さあ、綾香・・・続きを始めましょうか?・・・」
そんな綾香とは対照的に、坂下は綾香との闘いを続行しようとしている。
「・・・・・」
だが、綾香は坂下に銃を向けようとはしない。


私は・・・好恵を・・・

撃てない・・・・


「何をやっているの!?さあ!はやく!!」
坂下は既にAS12に弾を装填していた。
銃口が綾香の方を向く!
綾香は呆然として弾を避ける気配はない。
まるで自分の置かれている状況がわかっていないかの様に・・・

「ふん・・・あなたは闘う心が死んでしまった様ね・・・!!
 さようなら・・・・・綾香!!」
坂下の指が引き鉄を引き―――

「ぐっ、ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

が、綾香に向けられるはずであった銃撃はなかった。
坂下が絶叫し、突然苦しみ始めたのだ!


メタルギア・アヤカ 第八章 『一年前』


「・・・な、何なの!?」
「があぁぁぁああぁああ!!!!」
「一体どうなって・・・?」

坂下は絶叫しながら頭を押さえ、床に膝を付いていた。
その表情は苦悶極まりない表情となっている!

ドゴォン!ドゴォン!!

綾香はさらに混乱した。
突然、坂下が苦しみを誤魔化すかのように暴れ始め、辺りの
物を破壊し始めたのだ!

「あぁぁあああぁあぁあ!!!!」

ドゴォン!ドゴォン!!

AS12が火を吹く。
綾香は何もしなかった。
いや、出来なかった。
坂下を止めることもせずにただ呆然としてその光景を見ていた。


「一体、外では何が起こってるんだ・・・・?」
長瀬はロッカーに隠れながら考えていた。
長瀬は先程から何度も外の様子を覗こうとしていたが、
その度に銃声が聞こえてきて長瀬はつい、躊躇してしまう。

「それにしても・・・よっぽど激しい戦闘が行われてるのか?
 さっきから異常に銃声が多いが・・・」

長瀬が隠れているこのロッカーにも既に何発も銃弾が撃ち込まれている。
まぁ、このロッカーは重要な書類などを保存するための
特殊なロッカー(と言うか金庫のような物)なので、
長瀬自身は傷一つ負っていないのだが・・・・

「・・・あれ?・・銃声が収まった?・・・・」


「好恵・・・・?」
坂下は辺りの全ての物を破壊すると、力果てたのか
綾香の前で膝を付き、何かブツブツ言っていた。
その様子から見ると、坂下は既に正常な意識は失っているように思える。

そして床に一つ、また一つと落ちてゆく雫。

「好恵・・・泣いて・・・?」
それは坂下の流す涙だった。

「私が消える!私、が消、える!わた、シが
 消、えル!ワ、タしガ、キエる!ワタシ、Ga
 kie、る!わ、たシが、消えru!わta、しが
 キエ、る!ワ、タしがキ、エ・・・!!

坂下は顔中を涙でくしゃくしゃに濡らしながら
狂ったように同じ言葉を叫んでいた。
いや、本当に発狂してしまったのかもしれない。
綾香がそう思うほど、坂下の様子は異常だった。

そして

「ああああぁっぁっぁぁぁぁぁああああaaaRrrr!!!!!!!!」

まるで断末魔に似た叫びを残し、坂下は消えた・・・・・



PI!PI!PI!
綾香は大佐に連絡した。

「大佐・・・どうして好恵が生きて・・・・」
綾香の言葉には戸惑いと、そして怒りの念が混じっているように聞こえる。
『・・・・・・』
綾香の問いに、大佐は何も答えない。
そのまま暫く重い沈黙が続く・・・・



『・・・わかった。話そう・・・」
沈黙を破ったのは大佐だった。

『彼女は、一年前のあの時、敵兵に撃たれ死んだ。
 いや、死んだはずだった・・・』

一年前に起こった悲劇。
そして、それが綾香がLeafを除隊した理由。


その時、綾香と坂下は共同で、ある任務を遂行していた。
要求のあった部隊の救援の任務だった。
その部隊の所属している地域は他の地域との紛争が相次いでおり、
いわゆる紛争の手伝いをする事になっていた。
綾香たちLeafコードネームメンバーや、二軍の活躍もあり、
綾香たちが支援していた部隊の勝利は時間の問題だと思われていた・・・

だが、

相手部隊が西側諸国からの支援を受け始めた事により、
戦況は逆転した。
これに対し、日本政府は特殊戦闘集団Leafの存在が、
他国にばれる事を危ぶみ、綾香たちLeafメンバーに極秘裏に撤退命令を出す。
しかし、撤退命令を出したとは言っても、日本政府側は何の支援もしなかった。

政府側に撤退支援時に裏に日本の存在があったことが
ばれては意味がないと、支援に反対する勢力があったためだ。
大佐たちはこれに反対したのだが・・・・


「ふふっ・・・政府の連中はいつもそう。
 自分達の立場が悪くなると、何とか隠蔽しようとする・・・」
綾香が冷笑を浮かべながら言う。


結局、綾香たちは何の支援もないまま、闘いつづけた。
しかし、いくらLeafとは言え、数の上で圧倒的に負けていては
どうしようもなかった。綾香たちの部隊は日に日に弱体化していき、
遂に敗北を喫してしまう。
敗走の途中、死亡者も多数出た。同じLeafの仲間も死んだ。
そして気付けば、生き残っていたのは綾香と坂下のみになっていた。

何とか逃げ切って、綾香たちは撤収用のヘリの用意してあるヘリポートまで
辿り着いた。
しかし、二人とも、既に肉体的にも、精神的にも限界に近い状況だった。
その二人に政府が出したのは支援ではなく、
『自力で祖国まで帰って来い』というあまりにも無慈悲な対応だった。

そして、さらに悲劇は続く。
いまから脱出、という時になって、綾香たちは敵側の軍に発見されてしまった。
綾香たちは応戦したが、圧倒的に数で不利な状況で勝てるはずもない。
綾香たちが殺されるのは時間の問題だ。

その時、綾香に向けて一発の銃弾が放たれた。
綾香にはそれを防ぐ術はなく、このままやられる、と綾香自身も
そして、誰もがそう思った。

しかし、その銃弾は綾香にあたる事はなかった。

「気が付いたら目の前に好恵が立っていたわ・・・
 腹部を押さえて、血を流しながらも、私を庇って応戦してた・・・」

しかし、坂下は相手軍からの幾つも銃撃を受け、遂に力尽きる。
坂下が最後に言った言葉は

「・・・綾、香・・・逃げ・・て・・・」

その言葉を最後に坂下は動かなくなった。

その瞬間、綾香の中で何かが弾け飛んだ―――


「それからの事はよく覚えてないわ・・・気が付いたら敵兵が全部
 私の周りで死んでて・・・迷彩服がべっとりと赤く染まってて・・・
 そして、奴らの基地が炎に包まれていて・・・」


そして綾香は一人で日本に帰還する。
誰もが絶望的と思っていた中、綾香はたった一人生き延びたのだ。

そう・・・独りだけ・・・



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大佐から語られる坂下の真実と
長瀬から語られる今回の事件の真の目的。
この戦いに終わりはあるのか・・・

次回 メタルギア・アヤカ
第九章 『METALGEAR PROJECT』


こにゃにゃちわ〜!(爆)助造でしゅ。

いやぁ〜、坂下の壊れるところ、読みにくいったらありゃしない(爆)
しかも話は進んでないし、説明ばっかだし、話の雰囲気変わってきたし・・・
おまけに次回予告と全然違うし(爆)・・・
(それどころか次回が前回の次回予告の内容になりそうだし・・・(爆))

次回こそは話し進めますから〜


              ・・・多分(爆)



>日々野さん
感想とレスありがとうございました。
初心者に連載物は、やっぱつらいです(笑)

>感想は連載終了時に感想を差し上げます。
ありがとうございます!
でも、まだまだ長くなりそうです・・・(苦笑)

では〜。