メタルギア・アヤカ 第七章 投稿者:助造 投稿日:10月8日(日)17時01分
「ははは・・・やっぱりあなたは私を殺すんですかねぇ?」
間の抜けた声が聞こえる。

長瀬源五郎は仮面の女に殺されようとしていた。
しかし、その口調からは恐怖という感情はあまり感じ取れない。
長瀬自身は恐怖を感じていないわけではないのだが・・・

それ程、長瀬はのんびりした口調で話していた。

「・・・綾香は・・・何処?」
仮面の女が長瀬に問う。
「綾香?・・・ああ、綾香お嬢さんのことですか?
 いやぁ〜、私は知りませんが・・・」
「・・・知らない?」
「すみませんねぇ、お役に立てなくて・・・」
相変わらずののんびりした口調で長瀬が答える。

そうか・・・
もうこいつは用無しね・・・・

仮面の女が刀を振り下ろそうとした時

「待ちなさい!!」

と声が響いた。

懐かしい声

そして

私が求めていた声

「・・・綾香!!」
「あれ・・・?綾香お嬢さんがどうして?」
そこには綾香が立っていた。


メタルギア・アヤカ 第七章 『戦友』


「な、何よ・・・・?」
いきなり正体不明の仮面の女に自分の名前を呼ばれた綾香は
不覚にも少し怯んでしまった。
仮面の女はと言えば先程から綾香の方をずっと見つめている・・・
「・・・私の顔に何か付いているかしら?」
M4A1の銃口を女に向けながら綾香は仮面の女に問う。
先程の雅史との戦いで綾香を助けたのは、間違いなくこの女であろう。
光学迷彩を装備していた事が、その証拠である。
その点から見れば、この女は少なくとも綾香の敵ではないと言える。

しかし、今は違う。
仮面の女は長瀬に刃を向けているのだ。
『長瀬を救出する』という任務を達成するには、
彼女を「排除」しなければならない。
そうなると少し面倒な事になってくる。
彼女は先程、たった一人で何十人という兵士を殺しているのだが、
いくら光学迷彩を装備していたとはいえ、たった一人で
あれだけの人数の訓練された兵士、しかもLeafの兵士を殺害するのは容易な事ではない。
それを彼女は傷一つ負うことなくやってのけたのだ。
相当な実力者と見て間違いない。

「あなたは一体何者なの!?味方?」
「・・・・・・」
「それとも・・・敵?」
「敵?味方?フフッ、そんなくだらない物で言い表せるほど
 私とあなたの関係は単純じゃない・・・」
「・・・どういう・・意味?」
「・・・敢えて言うなら、そんな関係を超越した物、と言えるわね。」
何が可笑しいのか女はフフッと笑った。

「じゃあ・・・あなたの目的は一体何?」
「ずっと待っていた・・・二人きりで勝負をつけたい。」
女が答える。
「勝負・・・?」
「そう、だから邪魔な奴らは排除した・・・こいつを除いてね!」
女は長瀬を睨みつけた。
長瀬の、のんびりした笑顔が一瞬にして凍りつく。
それ程の鬼気迫る表情だった。

「でも、どうしてそこまでして私との勝負を?・・・私に恨みでも?」
「恨み?・・・そんな陳腐な感情なんかじゃない。」
「あなたとの勝負だけが私を解放してくれる・・・
 私を救い出してくれる!!」
「・・・・・・」

綾香は目で長瀬にどこかに隠れろ、と合図する。
最初は何の事かわからない顔をしていたが、
綾香の意図を理解すると、すぐに近くにあった
内側から鍵をかけるタイプのロッカーに逃げ込んだ!

「ふん・・・いいわ、そこで観ていなさい!殺すのは後でいいわ!」
「その人は必要なの・・・手出しはさせない!」
綾香は女と対峙した。


相手の武器は刃物一本。
接近戦に持ち込ませなければ安全に戦うことができる!
そう考えた綾香は容赦なくM4A1をフルオートで撃ちまくった。

ズダダダダダダッ!!!

ガキキキン!ガキン!ガキキン!!

「なっ!?」
しかし、弾が相手に当たる事はなかった。
なんと女は全ての銃弾を刀一本で斬り落としたのだ!
「まさか!?一秒間に10発の弾丸を放つあの連射で
 全ての弾の位置を見極めたって言うの!!?」
人間離れした動体視力だ!

「フン!こんな物で私を倒せるとでも―――
女は自分の身長の三倍ほど跳躍をし、
綾香に向かって
 ―――思ったの!!」
刀を振り下ろした!!

ガキィィィンン!!

「くっ!!」
「はぁぁっ!!」
綾香は寸でのところでM4A1の銃身で防御した!
銃身には、くっきりと刀の痕が残っている!
あの刀・・!!ヘタをすれば鉄骨でも切断でき―――
綾香の思考はそこで中断させられた。
女の二撃目、刀による横薙ぎが来たのである!
「ヤアァァッ!!」
「うっ!!?」
綾香はかろうじて後ろに退いた!
が、肩の辺りを少しばかり斬られたらしく、
制服には血が滲んでいる!

しかし綾香もやられてばかりではない!
中段蹴りで牽制し、女を追い払うと
すぐにM4A1を掃射する!

ズダダダダダダダダッ!!!

しかし女はそれを後方に退いて避ける!
「ちぃっ!!なんて反射神経なの!!?」

「綾香、あなたが兵器を使うような闘いを望むのなら・・」
そう言うと女は背中に手を伸ばし、何かを手に取った。
「私もこれを使わせてもらうわ!!」
「エ、AS12!!?」
女が手にした銃はAS12コンバットショットガン。
勿論、鳥や獣を撃つための猟銃ではない、暴徒鎮圧用対人兵器だ。
最大の特徴は一度に20発の12ゲージショットシェルを装填、
そして連射できるということだ。
これにより、ポンプをスライドしてショットシェルを排莢、装填するという
ポンプアクションを必要としない。
戦場ではポンプアクションなどのいわゆるリロード時は
時に致命的な危機をもたらす。
しかし、このショットガンはそのショットガン最大の危険性が殆どない。
正に最強の化物ショットガンと言えるだろう。

ドゴォン!!

綾香は咄嗟にデスクの下に伏せてなんとか攻撃を避けた。
しかし、頭上にあったパソコンやらの機械は木っ端微塵に破壊されている!

「じょ、冗談じゃないわ!!あんな物くらったらひとたまりも―――

ドゴォン!!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!!

「いぃぃぃぃぃっ!!!?」
「綾香!!隠れてないで出てきたらどう!!?
 もっと私を楽しませて頂戴!!」

「くっ!・・・一体どうすれば・・!!」
『綾香君!いくらAS12とはいえ、必ず弾を
 リロードしなければならない時は来る!
 AS12の最大の弱点はそのリロード時にある!
 なぜなら一度に20発もの弾薬をリロードしなければならないので
 リロードにかなりの時間がかかるんだ!その時を狙え!!』
「くっ・・・わかった!やってみる!!」
綾香はデスクの下から出て、わざと女の攻撃を誘ってみた。
・・・とは言ってもただ逃げ回っているだけだが・・・
「そこね!!」

ドゴォン!!ドゴォン!

「ちぃっ!!」

ドゴォン!!ドゴォン!!

綾香はM4A1で応戦しながら弾が尽きるのを待つ。

ズダダダダダダダッ!!

・・・が、弾は空しく女が先程までいた床を縫い付けていくだけである。
それ程、女の身体能力、特に反射神経は優れていた。

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!!
ズダダダダダダッ!!

「うくぅぅぅぅぅっ!!!」
「いつまで逃げてるつもりなの!?綾香!!」

ドゴォン!ドゴォン!!
ズダダダダダダッ!!

辺りは既に先程までの整然とした面影は微塵もなく、
硝煙の匂いと、破壊し尽くされた機械類の残骸だけが残っていた。

ズダダダダッ!カチッ!カチッ!!

「しまった!!弾切れ!?」
綾香がリロードを始めた時、既に女は綾香の前まで詰め寄って来ていた。
「フフ・・・ここまでね綾香・・・」
女はゆっくりと銃口を綾香に向ける。
銃口は綾香の顔の数十cm前で止まっている!

女が引き鉄を引く―――


カチッ・・・・


が、女のショットガンも、既に弾切れになっていた!
綾香の作戦が功を成したのだ!

「ちぃっ!!!」
「ハァッ!!」
刹那、綾香の蹴りが高々とショットガンを蹴り上げる!
まだ足が地面につかぬ内に綾香は右のストレートを放つ!!
女は後に下がるが、綾香のパンチはそれを逃さない!!

ごりっ!!

そんな何かを砕いたような音がした。
女は4〜5mほど後方に飛んだ!

だんっ!!

女は壁にしたたか体を叩きつけられた!
しかし、女はゆっくりとした動作で起き上がってくる!

さっきの何かを砕いたような音は女の仮面を砕いた音らしく、
女の顔が露わになっている。
その顔は――――

「う、うそ・・・・どうして・・・」
「ふふふ・・・驚いたかしら?」
「そんな・・・あなたは一年前に死んだはず・・・!」

女は一年前、綾香を庇い、命を落としたはずの人物

坂下好恵だったのである。


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何とか長瀬主任を助け出した綾香。
主任からこの事件の発端となったセリオの情報を得る。
セリオの本当の開発目的とは!?

次回 メタルギア・アヤカ 
第八章 『METAL GEAR PROJECT』


こんちわ〜っすぅ、助造です。

仮面の女の正体はなんと坂下でした〜♪
えっ?バレバレ?(爆)

今回は戦闘シーンは結構、(っていうかかなり)オリジナル入ってます。
本当は坂下と綾香の肉弾戦のはずだったんですが、
綾香には今後、何度か肉弾戦をしてもらう(葵など・・・)予定なので・・・

今更ですが、なんつーかもう既に「げげっ!!?何処がメタルギアじゃい!!」って感じですね(爆)
メタルギア知らない人はもっと話わかんねーんだろうなぁ・・・(爆)
そこら辺をどうしていくか、が今後の僕の課題ですね。

感想は書けませ〜んん!(爆)
今回はあんまり読んでないんですぅ〜。てへっ!(死)ホントにごめんなさい!

では。