メタルギア・アヤカ 第六章 投稿者:助造 投稿日:10月3日(火)19時28分
「大佐!」
綾香は大佐に連絡をした。
それ以外何も思いつかなかったのである。

「大佐、長官が死んだわ!!」
『ああ・・・今こちらでも確認した。
 長官に外傷はあるか?』
「いいえ・・・外傷はないみたい・・・」
『綾香君、長官が死んだ時はどういう状況だった?』
「状況っていっても・・・頭を押さえて
 苦しみだしたかと思うといきなり叫び声上げて・・・・」
『そのまま死んだんだな。』
「ええ、そうよ・・・」
『外傷はなし、か・・・・となると、死因は薬物か?
 ・・・いや、待てよ・・!』
「大佐?どうしたの?長官の死因がわかったの!?」
『・・・・電波だ』
「・・・電波?」
『きっと長官は来栖川芹香の電波によって殺されたのだろう・・・』
「殺された!!?姉さんに!?」
『・・・・いや、正確には精神が破壊されたんだ』
「精神を壊された!?」
『そう、精神を破壊された物は生きてはいるが、
 植物人間とほぼ同じ。つまり長官も植物人間状態にされたんだ』
「姉さんが・・・そんなことを・・・・」
『もう彼女は君の知っている来栖川芹香ではない・・・
 彼女達を止められるのは君しかいないんだ!
 彼女達が長官を殺したという事は、他の人質の命も危ないかもしれん!
 長瀬主任、および藤田君の救出を急ぐんだ!』
大佐との通信が切れた後、綾香は再び先を急いだ。

姉さん・・・・もう、本当に変わってしまったのね・・・・

その時の綾香の顔が悲しみに満ちていたのを知る者はいなかった・・・・



メタルギア・アヤカ 第六章  『STEALTH』


12月31日 午後8時55分 HM研究所 開発会議室

「あ〜ぁ〜・・・やってもうた・・・」
智子のがっかりするような声が聞こえる。
「なぁ、来栖川さん・・・やっぱ人質殺すのはまずいんとちゃうか?」
「・・・・・・」
「えっ?殺してはいません?そりゃそうやけどな・・・
 あそこにはアイツがいたんやで?長官が死んだ事が
 向こうにもばれてしもうた・・・どうするんや?」
芹香は少し考えたが
「大丈夫です」とだけ言った。
「なんでそんなに自身があるん?」
智子は苦笑しながら訊いた。

答えは聞かなくともわかっている。
長瀬源五郎主任だ。
彼がいるから芹香は長官を殺したのであろう。
第一、あの時彼を殺さなければ綾香に
PALの解除方法を知られていたのだ。
それだけは避けねばならない・・・

「核の解除方法を知られたらうちらの絶対優位は崩れる、
 うちの作戦は完璧なんや、失敗はゆるさへん・・・」

その時、雅史が部屋に入ってきた。
右手の応急処置を終えて帰ってきたのだ。

「あれ、佐藤君・・・右手はもうええんか?」
「一応・・・大丈夫だよ。」
「聞いたよ、雅史ちゃん。右手を切り落とされて逃げ帰ったそうじゃない。」
あかりが挑発したようにして言う。
「フン・・・・!」
「雅史ちゃんが負けてもしょうがないよ、
 彼女は結構強いから・・・」
「・・・あかりちゃんから見ても彼女は強い方なのかい?」
「うん・・・まあね・・・やっぱり来栖川さんの妹って感じかな。」
雅史の問いにあかりは答える

「フフフ・・・やっぱり僕は彼女に恋をしちゃったみたいだ」
「なんやの?いきなり・・」
「また雅史ちゃんの危ない癖が始まっちゃった・・・」
「僕は彼女を可愛がってあげたい・・・」
「雅史ちゃんはいつもそうやって女の子を弄ぶよね?」
「失礼だなぁ・・・僕は僕なりの愛を表現しているだけなのに・・・」
「はいはい・・・その愛の表現で今まで何人の人を精神病院送りにしたの・・・?」
あかりが呆れた様に雅史に言う。
「・・・彼女は僕のところまで来てくれるだろうか?」
「それは大丈夫だと思うよ・・・・多分」
「どうしてそんな事がわかるんや?神岸さん?」
「勘だけどね、わかるんだよ、なんとなく。それと、もう一つわかる事があるよ。」
「?」
「私はきっと彼女と闘う事になる・・・」
「それも勘なんか?」
「ううん・・・これは勘じゃ無い、確信だよ。なぜなら」

「私の中のくまちゃんが・・・彼女を欲しがっているから・・・」

あかりはにっこりと微笑んだ。

「フン・・・あかりちゃんも僕と同じじゃないか・・・」
「えぇ〜?私、雅史ちゃんみたいに変態じゃないよ〜」
「まあまあ二人とも、それくらいにしときいや・・・ん?」
智子が監視カメラに目を向けた時だった。
綾香の姿が映っている・・・
「へぇ・・・もうこんなトコまできたんか・・・
 もうすぐあのオッサンのところやな・・・」
「いいの?保科さん?このままじゃ彼女、主任さんのトコに行っちゃうよ?」
「ん〜・・・あそこには厳重に警備兵を置いといたし・・
 そこにいる警備兵は二軍でもトップレベルの奴らばっかりや
 来栖川綾香でもそう簡単に侵入をゆるさへんと思うけど・・・」
智子が長瀬主任の警備に連絡しようとしたその時だった。
「な・・・なんやのこれは!!?」
監視カメラの映像を切り替えた智子が
驚きの声を上げた。




「ここよね・・・」
綾香は地下三階のHM開発研究煉前まで来ていた。
警備兵がここに長瀬主任を軟禁しているという情報を得たからである。
「それにしても・・・」
綾香は不信感を抱いていた。
長官が死んだ今、残っている人質は長瀬主任と浩之の二人だけ。
その主任の警備が全くいないのだ。

「一体どうなってるの・・・」
綾香は警戒しつつ部屋に続く廊下に進んだ。


そこはまさに地獄だった。
綾香がまず感じたのは血なまぐさい臭いと
硝煙の乾いた匂い。

次に累々と横たわる兵士の死体が目に入った。
体中をメチャクチャに切り裂かれて
廊下中血塗れに染めている・・・

「・・・刃物で斬られたみたいね。」
血がほとんど固まっていない事や、硝煙の匂いが
この惨劇が起こってからまだあまり時間がたっていない事を物語っている。
「一体・・・誰がこんな事を・・・・?」
綾香は先程の保科智子とSATの戦闘を思い出していた。
しかし、今回殺されているのは彼女の敵ではなく
味方であるLeaf二軍の兵士だ。
彼女がやったとは考えられない。
しかし、これほどの事をやってのける人物はそうそういるものではない。

綾香は兵士を一通り調べ終わると兵士の武器を探した。
この任務は装備も武器も現地調達なので、相手の兵士から
奪い取る他ない。
「これ・・・まだ使えそうね・・・」

綾香が見つけた銃はM4A1アサルトライフル。
今回の事件でLeaf二軍が使用している軍用ライフルである。
弾は径5.56mmフルメタル・ジャケット弾を使用し、
トリガーを引いている限り弾を撃ちつづけるオートと、
三点バーストで弾を撃つマニュアルに切り替えることができる。

ズダダダダダッ!

その時、廊下の先の方で銃声が聞こえた!
綾香は警戒しながら先を急ぐ、
そこには・・・

人が浮いていた。
人が、くの字に曲がり浮いているのだ。
綾香は初め自分の目を疑った。
しかし、くの字に曲がった兵士の口から鮮血が吐き出されると
綾香は兵士の状態を理解した。
何かで身体を貫かれ、持ち上げられているのだ。
その様子は鵙(モズ)が捕らえた獲物を枯れ木に吊るしているのに似ている。

兵士が息絶えると、謎の人物は死体を投げ捨て姿を現した。
もっとも、顔は何かの仮面で覆ってあり、誰なのかはわからない。
体型から見ると、女性のようだが・・・
「光学迷彩・・・やっぱりさっきの・・・」
武器は何の変哲もない刀。
「あんな物であれだけの事をやってのけたのかしら・・・」
仮面の女は隠れている綾香には気づいていないようだ。
そのまま奥の部屋に入ろうとしている。

PiPiPi!!

大佐からの連絡が入る。
『綾香君!今、奴が入っていった部屋は長瀬主任が
 軟禁されている部屋だ!』
「なんですって!?」
『このままでは長瀬主任が危ない!急いで彼を助けるんだ!』
「う、うん!わかったわ!」



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長瀬主任に刃を向ける仮面の女。
主任を助けるために綾香は彼女と対峙します!
そして仮面の女の正体とは!?

次回 メタルギア・アヤカ 
第七章 戦友

こんちわっす、助造です。

第五章から二週間以上経ってる(爆)
ちょっと遅すぎですよね・・・
謎の仮面の女は元ネタ知ってる人なら
一発でわかると思います。(爆)


感想です。

>AIAUSさん
『宮内さんのおはなしその三十六』 
矢島ってヤジマルチと風呂入ってるんですね・・・
浩之と同じで少しうらやましい・・(爆)
花山カヲル、相変わらず良い味だしてます。

>日々野 英次さん
『カゴノナカ』
>ダークです。とりあえず。
のコメント通りのダークさでした。
ぐちゃ、とか、めりめりぶちっていう
表現がまた・・・イイです〜。

『実はまだ』
まじアン、実はまだプレイしたことないんです(爆)
骨董品店の話なんですか?

>猫玉さん
『カノンVSトゥハート』
遂にマルチとあゆの登場ですね。
あゆとマルチのほんわかした
やりとりが良かったです。
最終話、一体どうなるんでしょうか?


頑張って読めるだけ読む努力しました。
ではこのへんで。