メタルギア・アヤカ 第五章 投稿者:助造 投稿日:9月23日(土)13時29分
メタルギア・アヤカ 第五章



12月31日 8時20分 HM研究所 開発会議室


「ヘェ・・・アヤカもなかなかやるネ。」

レミィは先程の綾香と雅史の戦闘のビデオを
見ながら綾香の分析をしていた。

「・・・POWER、SPEED・・・どちらも
 一級品だし、格闘技術にもムダがない・・・。
 流石はセリカのSisterだね!」
レミィはにこにこしながら芹香の方を向く。
芹香はそれに気づいているのかいないのか、
ただ無言のままだ。
「まぁ、確かに少しはできるようやな・・・
 おもろうなってきたやないか。佐藤君を潰すなんて・・・
 でも、佐藤君はうちらの中で一番弱い人物や。
 彼は元々拷問担当やからな」

「ところで佐藤さんは・・・?」
琴音は雅史の右手が何者かに切断されたシーンでビデオをとめた。

「彼のことや、右腕切り落とされたくらいで
 くたばる奴やないやろ。今頃、こっちに帰ってきてるんやないの?」
「佐藤先輩の右腕を切り落とした人物ですが・・・一体、誰でしょうか?」
「あんな奴、Leafにいたんか?少なくともうちは知らへんなぁ・・
 もしかすると政府の奴かもしれんな。
 それにしてもあの装備、確かどっかで・・・・」

「・・・光学迷彩だよ」

「えっ?」
場にいる全員が声のした方を向く。
そこにはあかりが立っていた。

「なんや、神岸さん。帰ってたんか」
「うん。ついさっきこっちについたよ。」
「神岸先輩、いつからここに?」
「えぇ〜っと・・少し前からかな、一分くらい」

葵はその言葉を聞いてあかりの実力を改めて思い知った。
超一流の集まりである自分達があかりの気配にまったく気づかなかったのだ。
ただ一人、芹香を除いてはだが・・・

「ところで・・・神岸先輩、その光学迷彩というのは一体・・・」
「松原さんや、姫川さんがLeafに入る前の話になるんだけど・・・
 今、私達が人質にしてる人に長瀬さんって言う人がいるよね?」
「あの馬面のオッサンのことやな。」
「うん、で、あの人がLeafの兵器開発担当主任なのはみんな知ってるよね。
 あの人が昔作った兵器の中に光学迷彩スーツっていうのがあったの。
 その特殊な迷彩を施すと、人間の肉眼では姿を捉えきれないっていう兵器らしくってね。
 でも、コストとかの問題で実用は断念されちゃったらしいけど・・・」
「そんなもんがあったんか・・・言わば肉眼でも捉えられないステルスやな。」

「ま、あいつが何者か?なんてことはどうでもいいことや。
 一つだけわかってることは・・・」
「あの人が敵って事だよ」
あかりと智子は不敵に微笑んでいた。


『During The War』


「くっそ〜・・・あいつら一体なんのつもりなんだよ・・・
 もうとっくに夜になっちまってるじゃねーか・・・」
浩之は無駄とわかっていつつ、芹香たちに文句を言っていた。
その様子に気づいた芹香が浩之の方に近づいていった

「うぅ〜せんぱぁ〜い・・・ここから出してくれよ〜・・・」
「・・・・・・」
「えっ?それはできませんだって?どうしてだよ〜」
「・・・・・・」
「えっ?すぐにわかる?あなたにとっても重要なこと?
 うぅ〜そんなのどうでもいいから早く帰らしてくれ〜」
「・・・・・・」
「えっ?なんでここから出たいのですか?そ、それは・・・」
「・・・・・・」
「あ、綾香が待ってるんだよ・・・俺の家で今も・・・
 だから・・・」
「・・・・・・」
「えっ?綾香は待っていない?どうしてそんなことが
 先輩にわかんの?もしかして魔術とか?」
ふるふる
「えっ?ちがう?えっ?あのスクリーンを観てて下さい?
 それとこれに何の関係があんの?」
芹香は「すぐにわかります」、と言うと部屋を出て行った。
「・・・スクリーンに何があるってんだよ・・・」

そのスクリーンは研究所の監視カメラの映像が入り込んでくる物だった。




綾香は呆然としていた。
いきなり自分の前に現れて自分を危機から救ってくれた謎の人物。
「一体・・・何者なの・・・?」
解けることの疑問が綾香を困惑させた。

敵?味方?それとも・・・

「・・・考えても、仕方ないわね・・・」
綾香がそう思ったとき、大佐からの連絡が入った。

『大丈夫か。現在状況はどうなってる?』
「最低のクズ男をぶっ飛ばしたトコ。少し危なかったけどね。」
『そうか・・こちらの小型カメラもようやく映像が回復してきたところだ。
 これからは、また君の様子もカメラから見ることができる。』
「あれ、壊れてたの?そのカメラ。」
『さっき君が戦闘してたときの衝撃でな・・・』

「さてと・・そろそろ任務再開と行きますか!」
『そうしてくれ。そこのフロアに小林長官がいるはずだ。
 何とか探し出して救助してくれ。』
「わかった!」





「えぇっとさ・・・佐藤先輩が負けちゃったってことは
 次は琴音ちゃんが・・・綾香さんと闘うんだよね・・・」

葵は琴音と二人で会議室に残って話をしていた。
他のメンバーは各フロアにいる兵士に綾香のことを伝えに行っている。

「そうですけど・・・それが何か?」
「えっ!?・・・いや、大した事じゃないんだけど・・・」
葵は何か言いにくそうにしている。
琴音は目をつぶると
「そんなに私の事が心配ですか?」
と言った。
「えっ!?どうして・・・ってあぁ〜〜!!琴音ちゃん
 私の心読んだでしょ!!」
「松原さんが何か隠していたようなので・・・・」
琴音は少しムスッとしているようだ。
「松原さんは私が来栖川綾香に負けるとでも・・・・?」
「えっ!?そ、そんなこと思ってないよ!ただ・・・」
気まずい空気が二人の間に流れる・・・

「・・・・・クスッ」
沈黙を破ったのは琴音の吹きだした声だった。
「えっ・・・?」
「少しヒドイ言い方をしてしまいましたね・・・すいません。
 松原さんがあまりにも慌ててましたから・・・」
「こ、琴音ちゃん・・・もしかして私が慌てるのを見て
 た、楽しんでたの・・・?」
「ふふふ・・・すいません・・・つい、面白かったから・・・ふふふ」
琴音は必死で笑いをこらえている。
「うぅ〜〜・・・ひどいよ〜琴音ちゃ〜ん・・・」
「ふふふっ・・・すいません・・・・・」

「それにしても・・・琴音ちゃんの読心能力(リーディング)ってさ、
 相手の心が読めちゃうんでしょ。
 それに琴音ちゃんは遠くにあるものを動かしたりもできるんだよね!
 あと・・・予知もできるんでしょ、やっぱり琴音ちゃんってすごいよねぇ・・・」
すると琴音は一瞬悲しそうな顔をし、
「そうですね・・・」
とだけ言った。

あっ!・・・そうだった・・・琴音ちゃんは自分の能力を
あまりよく思ってないんだっけ・・・・
葵は自分の鈍感さを恨んだ。

「えっと・・・あの・・・私・・・」
葵が謝ろうとすると、
「いえ・・・気にしないで下さい・・・」
と言った。
「私・・・前までこの能力が嫌で嫌で堪りませんでした・・・
 私の忌むべき力・・・この力のせいで今までどれだけ苦しんだ事か・・・
 何度も死んでしまおうとも思いました・・・・でも」
琴音は顔を上げると
「今はそこまで嫌いなわけじゃないんです。
 藤田さんと出会えたのもこの能力のおかげですし、
 十分に制御する事もできる様になったんです。
 この力が何かの役に立つという事もLeafに入ってわかったんです。
 だから今は・・・・この能力がある事を憎んだりはしてません。」
そう言って琴音は微笑んだ。
葵は琴音を心から「強い子だな・・・」と思った。
そしてこの任務で琴音を死なせたくないとも思った。

「琴音ちゃん・・・一緒に生きてこの任務を成功させようね!」
琴音は優しく微笑むと
「もちろんです・・・」
と答えた。


姫川琴音、松原葵

二人は親友であった。






ゴキッ!!
「ぐえっ・・・!!」

ドサッ!

「さぁてと・・・これで邪魔者はいなくなったわね・・」
綾香は数人の警備兵を仲間を呼ぶ前に気絶させると
小林長官の捕まっている牢屋の中に入っていった。

「君は・・・・?」
小林長官は顔を上げると綾香を見つめた。
「あなたみたいなお偉いさんを救うためにこんな所で
 年を越す羽目になったかわいそうな女の子よ・・・」
綾香はそう言うと長官の隣に座った。

「私はあなた達を助けに来たわけだけど・・・
 どうしてこんなことになったのか説明してくれる?」
「我々はただ新型メイドロボの試験稼動に立ち合わせていたら・・・
ガシッ!
綾香は長官の胸倉をつかむと睨み付けた。

「惚けるのもいい加減にしなさいよ・・・普通のメイドロボの試験稼動に
 何でわざわざ政府の重役が出てくるわけ?どうして闇の特殊部隊
 が出てくるわけ!?」
「うぅ・・・わ、わかった。せ、説明するから・・離せ・・・離してくれ・・」
綾香は長官を離すと再び長官の隣に座った。

「たしかに・・・君の言う通り、今回の試験稼動はただの
 メイドロボの試験稼動ではない。今回の試験稼動の対象は
 HMX−13、通称「セリオ」とよばれるれっきとした兵器だ。」
「兵器?ただのメイドロボがどうやったら兵器に・・・」
「確かに外見はただのメイドロボだ。しかし、セリオには特殊な
 能力が付いている。」
「特殊な能力?」
「そう、君はサテライトサービスを知っているか?」
「サテライトサービス・・・人工衛星から必要なデータを
 受け取る事によって、受け取ったデータのスペシャリスト
 になる事ができるシステム。」
「そう、そして今回サテライトサービスの軍事利用が決定された。」
「軍事利用?・・・まさか!?」
「そう、サテライトサービスであらゆる戦闘技術、知識を得る事によって
 どんな状況にも最適の対応をする事ができる傭兵としてセリオを利用するのだ!
 どんな状況にも対応する判断力と、改良すれば不死身といってもいいメイドロボの体・・・
 戦争の歴史を覆す代物だ!」
「今回の試験で不都合な点がなければ量産して世界中の戦場に派遣するつもりだった。
 人間じゃないので人件費なども一切必要ない!!
 傭兵セリオはわが国の重要な収入源になるであろう!!」
「収入源、か・・・上の連中はいつも金の事しか頭にないのかしら!?」


「つまり、その最強の兵士が今回奪われてしまったってワケね・・・」
「そう、奴らがセリオを使って何をするつもりかははっきりしてないが・・」
「そんな事はさせないわ!セリオはそんなことのために作られたんじゃない!」

セリオは昔、綾香の高校で試験稼動をしていた事があった。
綾香とセリオはその時に出会い、友達になった。
少なくとも綾香はそう思っている。
「セリオを軍事利用するなんて許さないんだから!!」



「もう一つ聞きたい事があるの・・・」
「なんだ?私が知っている限りなら話してやるが・・・」
「テロリストは核を撃てるの?」
「核か・・核発射能力は確かにある・・・」
「なんてこと・・・でも、核弾頭には安全装置がついているはず・・・」
「PALの事か?」
「PAL?」
「パーミッシブ・アクション・リンク。暗号入力式の安全装置だ。
 PALを使わずに核ミサイルを発射することは出来ない。
 確かに私が暗号を知っていた・・・」
「その暗号は・・・・」
「奴らに知られてしまった・・・!」
「そんな・・・・」
「私だって抵抗はしたんだ・・・・雅史とかいう奴の拷問には耐えた!・・だが・・・」
「Leafのサイキック、姫川琴音は人の心を読める・・・どうする事も出来ん・・」
「読心能力か・・・・厄介ね・・・」


「つまり、もうどうする事も出来ないってワケね・・・」
綾香は力なく項垂れた。
「いや・・・どうする事もできないと言うわけではない・・」
「えっ・・・?」
「緊急事態に備えて核兵器には緊急解除システムがついている・・・
 それを使えばミサイルをの脅威を無力化できるはずだ・・」
「それは一体どうすればいいの!?」
「鍵だ」
「鍵?」
「PALキーを使うんだ。」
「PALキー?それは何なの?」
「さっき言っただろう?核兵器には緊急解除システムがついているんだ。
 それを起動させるのに必要な鍵のことだ。」
小林長官はポケットからカードを取り出した。
「これがPALキー・・・」

PALキーは傍から見ればただのトレーディングカードのように見えた。
長官が言うにはテロリスト達もこれをただのトレーディングカードと思い、
取り上げたりはしなかったらしい・・・

「それでこれをどういう風に使えばいいわけ?」
「それは・・・P

その時長官の様子が変わった。
頭を押さえ、うめき声をあげている!

「なっ・・・!?馬鹿な・・!?・・・
 ここまでの力が!?・・・」
「ち、ちょっとどうしたのよ!?」
「がわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
いきなり叫んだかと思うと、長官は苦しみ始めた!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!た、助けてくれ!!
 頼む!!」

必死に綾香に助けを乞う長官。
しかし綾香は何も出来なかった。 
いや、何をすればいいか思いつかなかったと言った方がいい。

「ぐがやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

長官は断末魔の叫びを上げるとそのまま息絶えた・・・



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こんにちわ、助造です。

今回は次回予告なしです。
次回は全く思いついてないです(爆)

感想

AIAUSさん、DEEPBLUEさん
『too hard』
遂に完結してしまいましたか(残念)
レミィが死ななくてよかったです。
『現実はいつも予想外のドラマを用意している。』
まさにこの文の通りだと思いました

猫玉さん
『カノンVSトゥハート』
これはまさに夢の競演じゃねぇですか!!
選択肢をえらびた〜〜〜いぃぃ!!
続きが読みたいです。

ではでは〜。



お詫び
以前、STARTの事を書く兵器削減条約と書きましたが、
あれは間違いでした。
正確には戦略兵器削減条約でした。

以上、どうでもいいことの訂正でした〜(爆)