メタルギア・アヤカ 第四章 投稿者:助造 投稿日:9月15日(金)02時30分

メタルギア・アヤカ 第四章



12月31日  午後8時

「さて・・・先を急がないとね」
綾香は血まみれの部屋の中を先に進んだ。
その動かなくなった死体には多数の切り刻んだ痕が存在した。
SATの全滅
そしてSATをたった一人で潰した女、保科智子。

「この傷・・・ものすごく深い傷なのにきれいに切れてる・・・
 一体何を使えばこんな事が・・・?」

その時、大佐からの連絡が入った。
『綾香君・・・報告がある』
「何かしら大佐?よくない事のようだけど・・・」
『自衛隊の戦闘機F112の撃墜が今、確認された』
「撃墜って・・・まさかハインドに!?」
『その通りだ』
「ハインドでF112を撃墜するなんて・・・」
『・・そちらのSAT部隊は・・・』
「・・・・全滅したわ」
『そうか・・・・』


「大佐、一つ聞きたい事があるの」
『何だ?』

「さっき保科智子に会ったの、SATを全滅させたのも彼女よ
 そこで聞きたいんだけど・・彼女、たった1分でSATを全滅させたわ。
 SATの死体には鋭利な刃物で切られたような痕があるの。
 彼女が何をしたのか、大佐、わかる?」

『うう〜む・・・奴は超高速で移動をし、自らの手刀で相手を倒すんだ』
「手刀?」
『そうだ、君は高振動ブレードというものを知っているかね?』
「高振動ブレード?あの工業用の切断装置のこと?」

『そう、あれは刃物を超高速で微振動させる事により、
 普通では切れないような鉱石などを切断する事ができるのだ。』

「でも、あれはとても人間が持てる大きさじゃなかったはず・・・」
『彼女は高振動ブレードの原理を使って自らの手を高振動させる事により
 どんなものでも簡単に切り裂く能力を持っているんだ』
「手を震えさせて!?そんな事が可能なの!?」
『普通では考えられない事をやりとげてしまうのがLeafだろう?』
「・・・そりゃそうだけど・・・」
『奴は高振動の手刀と高速移動を使ってくるはずだ。気をつけろ』

プツッ
大佐との受信が切れた
「高振動の手刀と超高速移動、か・・・やっかいな相手ね」
綾香は独りそう呟くと研究所に向かった。


『A Devil Of Kick!』



プシュー
ドアの開く音と共に保科智子が戻ってきた。
「おつかれさまです!保科先輩!」
葵がタオルを持ってきてくれている。

「ありがと。でもそんな大した事はしてへんけどな」
智子は葵からタオルを受け取ると自分の椅子に座った。
「ところで・・・神岸さんの方はどうなったん?」
智子は答えはほとんど分かりきっていたが、あえて芹香に聞いた。
「・・・・・・」
「えっ?ばっちりです?そうか・・・まぁ当たり前やけど・・・」
「まぁ、流石、神岸さんってとこやな。ヘリで戦闘機を落とすなんて・・」

「そうそう、そう言えば佐藤くんはどこ行ったんや?」
「はい。佐藤先輩はすでに綾香さんと闘うために自分の持ち場に・・・」
「へぇ・・・最初は佐藤君か。アイツがどこまでやるのか見物やな」
そう言って智子は芹香の方を向いた。

芹香達がいる部屋はこの研究所のいたるところに仕掛けてある
監視カメラの映像を見ることが出来る。
だから綾香の行動がは全て彼女達に知られてしまっている、
と言っても良い位なのだ。

「どや、実の妹が目の前で闘うんや。あんた、どう思う?」
芹香は少し間を置いて
「どうなるのか楽しみです・・・」
と、無表情に言った。




「あれ・・何か広いとこに出ちゃったな・・・」

綾香は今、研究所の地下2階に向かっていた。
そこに小林国防省長官が捕らえられている、と
さっき兵士が話してるのを聞いていたからだ。
「ここって・・・何なのかしら・・・・?木で出来た柱みたいのがたくさんあるけど・・」
綾香は辺りを見回しながら歩いていった。
そして木の柱に隠れて大佐に連絡しようとした瞬間

ビュオッ!!

空気を切り裂き自分に向かって来る物がある!
「くっ!」
綾香は間一髪でそれを避けた!

どごぉっ!!

とっさに伏せた綾香の先程まで頭のあった部分には
黒い鈍色のボーリングの球ほどの鉛があった。

「な・・・・」
綾香は背筋が寒くなった
あれがもし頭に当たっていたら・・・

「あれ・・・おかしいなぁ、やったと思ったのに・・・」
「誰!?」
そこにはLeafのメンバー佐藤雅史が立っていた。

『何があったんだ!?綾香君!綾香くん!!』
どうやら今の衝撃で超小型カメラが壊れたらしく、大佐達には
何が起こったのか分からないらしい。

「久しぶりだね。来栖川さん・・」
「さ、佐藤君!?」
「ごめんね。これも芹香さんの命令なんだ。だから・・・」

「綾香ちゃんにはここで死んでもらわなきゃ」
佐藤雅史はそう言ってにっこりと笑った。

「さっきのは一体・・・」
「あれは僕のシュートだよ。ちゃんと気づかれないように撃った
 つもりだったんだけど・・・」

「あの距離でかわすとは・・・流石だね。」
雅史はなんとなく嬉しそうだ。

「佐藤君には悪いけど、私はここで死ぬわけには行かないの」
「う〜ん・・・じゃあどうする?」

「何が何でもあなたに勝たせてもらうわ!」

雅史はそれを聞くと一瞬眉をひそめたが、すぐにいつもの
笑顔に戻すと
「じゃあ・・・行くよっ!!」
そう言うとボール(鉛)を綾香に向かって蹴った。


ゴウッ!
綾香はとっさに木の影に隠れる。
綾香の後ろにあった柱がメキメキと音を立てて倒れる
恐ろしい破壊力だ。

「あれぇ?かかってこないのかい?」
「・・・・・・」
「ふふっ、まぁいいや。だったら・・・・・」
雅史はボールを壁に向かって蹴った

ガコォン!!

その球が壁に当たって跳ね返り綾香の方に向かって来る!

「なっ!?」
綾香は間一髪でなんとか防御した。
しかしショック吸収繊維(制服の事)越しとはいえ
綾香の体に受けたダメージは大きかった。

「くっ・・・!?どうして・・・」
「隠れても無駄だよ。僕にはボールの気持ちがわかる。
 今みたいに君がどこに隠れていようと、正確に攻撃できる。」

ボールの気持ち!?マンガじゃないのよ!?それにボールだって・・・
綾香はそう思ったが、雅史が本当に綾香を狙える事は事実。

「だったら・・・・」
綾香は雅史に向かって突進した。相手が遠距離が得意とするならば
近距離で勝負すれば・・・、そう考えたからである。
「はあぁぁぁぁぁ!!!」
綾香の鋭い一撃が雅史の顔面を捉えようとした瞬間

シュッ

一筋の閃光

ドゴッ!!

鈍い衝撃
それがわき腹から徐々に体全身に伝わり
それに伴い激痛がほとばしる

「ぐっ・・!くぅ・・・!!」
綾香は倒れこんだ。
サッカー全日本選手レベルの蹴りが捉えたものは
ボールではない。綾香の身体だった。
エクストリームで蹴りをもらう事はあったが、全日本選手の蹴りではワケが違う。

一本くらいイッたかな・・・
綾香は自分のわき腹に妙な違和感を感じていた。

「・・・君の苦しむ姿、やっぱりいいよ」
雅史はニヤニヤと綾香を見下ろしながら笑っている。

「人が・・・苦しむのが・・・そんなに面白いのかしら?・・」

「ククク・・・そうだ、もっと顔を歪ませてくれ。もっと苦しんでくれぇ!!」

綾香の脳裏にサディストという言葉が浮かぶ。

コイツ・・・クズね・・・!!

「さあ!早く立ち上がれ!!もっと僕を感じさせろ!!」

「・・・お生憎様、私が感じさせてあげるのは浩之だけよ!」
綾香はそう言って再度雅史に突っ込んでいった。

「浩之ぃ?そんなにアイツのことが好きかい?」
雅史の顔に怒りが表れる。

ゴスッ!!

次の瞬間雅史の蹴りが再度わき腹に突き刺さる!

「かっ・・・・くっ!!」
「感じさせるのは浩之だけ、か。ハハハッ!
 笑わせるね!君は僕を充分に感じさせてくれているよ!!!」

雅史は狂気じみた笑みを浮かべ、既にイってしまっている。
普段の爽やかな雰囲気は微塵も感じられない。

「・・・あんた・・ふざけるのもいい加減にしなさいよ!」
綾香は怒りに身を任せ雅史に突っ込んでいった。

「ククク・・・君もバカだなぁ。また突っ込んでくるなんて・・・
 学習能力の無い雌は少し調教してあげないとね!!」

雅史はそう言うとシュートを放った!

ドシュゥゥゥゥ!!

球がホップして綾香の顔面に向かう!!
鈍色の鉛球が綾香を捉らえようとしたが、

「たぁっ!!」
ガスッ!!

綾香の渾身の一撃が鉛球を叩き落す!
「なっ!?そんなバカな!?」
「残念だったわね!あんたみたいな変態野郎
 が私は一番ムカツクのよっ!!」
「くっ・・・!クソがっ!!死ねぇぇぇーー!!」

雅史の蹴りが綾香を襲う!
だが綾香はそれを豹のごとき速さで下に回りこんでかわす!

「相手はサッカーのボールじゃないわ!動きもするし
 蹴りをかわしたりもする!!」
シュッ!

バキィィィ!!

綾香は雅史の顎にアッパーを決めた!
雅史の身体が宙に浮き、そして落下する。



「はぁ、はぁ、はぁ」
綾香は呼吸を落ち着かせ、雅史の方を見た。
するとなんと雅史が立ち上がり始めているではないか!

「そんな・・・完璧に顎にヒットさせたはず・・・・」
「ク・・・ククク・・・確かに常人なら今ので完璧にKOだ・・
 だが僕だってLeafの一員。あの程度の攻撃でダウン
 したりはしない」
「くっ・・・・」
「さすが芹香さんの妹。いいセンスだ・・・・だけど」
雅史は懐から銃を取り出し、綾香に向けた。

「僕もこんな所で負けるわけにはいかないんだ。
 君の身体は魅力的だが・・・ここで死んでもらう・・・
 久しぶりだったよ。こんなに楽しんだのは・・」

「くっ・・・・・!!」
今の綾香には銃撃に耐えるほどの装備はなかった。
いくら特殊繊維を使った制服でも銃撃に絶える事は出来ないだろう。

こんな所で・・・・私は・・私は!!
いやだ・・・!!私はまだ・・・・!!

「さ・よ・う・な・ら」
雅史が引き金を引こうとした瞬間

ドシュ・・・

綾香は目を疑った。
「ぎゃぁぁぁぁーーー!!!」
先程まで綾香に向けられていた銃が地面に落ちていた。
雅史の右手と共に・・・

「な・・・何なの!?何が起きたの!?」
「み・・右手がぁぁぁーーー!!!」
雅史の絶叫が響き渡る!

そこで綾香は見た。
雅史の後ろに謎の姿があることを!

「くっ・・・!!この死に損ないがぁぁーーー!!!」
雅史は影に向かってボールを放った。
しかし影は鉛のボールを真っ二つに切断したのだ!

「くっ・・・邪魔が入った!また会おう!!」
雅史はそう言うと去っていった。



「あなた・・・一体何者!?」
綾香は影に向かって言い放った。
影は特殊な迷彩装備を施してあるのか姿は目に見えない。

光学迷彩・・・・
綾香はその装備に見覚えがあった。
光学迷彩とは光の屈折を利用した特殊な迷彩機能で
それを施した人物は肉眼で捕らえることは不可能。
Leafに暗殺用兵器として過去に実用が考えられていたのだが、
事情がありその実用は実現しなかったと言う・・・

「あの幻の兵器が何故ここに・・・・」
暫しの沈黙・・・
しかし綾香は臨戦体制を崩さなかった。
「もう一度聞くわ・・・一体何者?」

「名前・・・? そんな物・・・闘いの中では無意味・・・
 名前など・・・ない。」

影はそう言うと、綾香の前から姿を消した。


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小林長官を助けた綾香。
彼から事件の情報を得る事にします!
長官から告げられる衝撃の真実とは?


次回 メタルギア・アヤカ
第五章〜During The War〜


助造です。

祝! 初戦闘シーン終了!!

わ〜〜!!
ドンドン!!
パフパフ!!
(誰も祝ってくれない(祝う価値もない)ので自分一人で祝う)

はぁ〜難しかったですぅ〜!
でもやっぱ今回もこじつけくさいのが多いっすね(爆)

※今回のタイトルの意味って『キックの悪魔』っていう
 意味にしたつもりなんですけど・・
 本当に合ってるんですかね?(爆)
 英語得意な人合ってるか教えてください(爆)