メタルギア・アヤカ 第三章 投稿者:助造 投稿日:9月10日(日)11時01分
メタルギア・アヤカ 第三章



ゴボボボ・・・・・
ゴボゴボ・・・・・


ザバァッ!

嵐によって荒れている海から一つの人影が現れた。

彼女の名は来栖川綾香。

日本の未来を任された一人の少女である。



12月31日  午後7時14分   硫黄島

「ハァ、ハァ、ハァ・・・着いたわね」
綾香は硫黄島HM研究所の連絡船専用港に着いていた。
とたんに大佐からの連絡が入る。

『無事に到着できたようだな。御苦労。しかしこれからが本番だ。
 グリーン、気を引き締めて任務を遂行して欲しい。』

「大佐・・・」
『なんだ?』
「そのグリーンっていう呼び方どうにかならない?」
『しかし、任務の際はコードネームで呼ぶのに慣れてしまっているのでな・・・』
「それはもう昔の事でしょ!今の私にコードネームは無いわ・・・」
『そうか・・・なら私の事も大佐と呼ぶのはよして欲しい・・・・』
「えっ?どうして・・・」
『私はすでに大佐ではない・・・・もう一年半も前に除隊しただろう?』
「う〜ん・・・でも大佐は前からずっと大佐だったし、
 これからも私にとってはやっぱり大佐は大佐だから、
 できればいつまでも大佐のままがいいかなぁ〜って思って―――」

『・・・・・』
「さ〜てと・・・そろそろ始めますか!」
『綾香君、まずは研究所への潜入だ』
「わかってるって!マルチ、どこから研究所には潜入しやすいかしら?」
『えぇ〜っとぉ・・・・確か西側の研究員専用通路から潜入すれば
 研究室まではすぐだと思いますぅ』
「西側ね・・・う〜ん・・・やっぱりどこも警備が厳重ねぇ・・・
 いっそのこと警備を強行突破しようかしら?」
『それは危険だと思うが・・・何か別の方法は無いのか?』
『うぅぅぅ・・・私はいつもそこの通路しかつかってませんでしたから・・・』
「しょうがないわね・・・自分でさがすわ」
『すまない、そうしてくれ』
『うぅぅぅ・・・お役に立てなくてすみませぇぇん』
「はぁ、マルチと一緒に居ると緊張感がなくなるわ・・・」
綾香は苦笑いした。

綾香は一人研究所に潜入するために行動を開始する・・・・

それは綾香にとって、つらく長い一夜の始まりであった・・・・



『長い夜の始まり―――』




「さてと・・・それにしてもいたる所にいろいろ仕掛けられてるわ・・・
 施設のあちこちに監視カメラが設置されてるなんて・・」
綾香は監視カメラの前で手を組んで考えていた。

この手の監視カメラは見つかったら面倒な事になる。
侵入者発見のブザーが取り付けられているので、
たちまち警備の兵士達に見つかってしまうだろう。

「う〜ん・・・どうしようかしら・・・・」
綾香が一人考えていた時、綾香はあるものに気づいた。

この嵐の中でもはっきりと聞こえるプロペラの音。
暗闇の中に鈍く光る漆黒のボディ。
離陸準備なのかせわしく動き回る警備の者達。

「あれは・・・・ハインドD!」

綾香が見たものは今にも飛び立ちそうなロシア製重攻撃ヘリ
ハインドDであった。

そしてそれに搭乗するに似つかわしくない赤い髪の少女・・・・

「私は今からうるさい人たちを落としてくるね。警備は頼んだよ!」
綾香はその少女に見覚えがあった。

神岸あかり・・・・
コードネーム「ベアクロウ」
浩之の幼馴染であり、浩之に恋心を寄せている少女・・・
そしてLeaf内でもかなりの実力者であり、
綾香と共に任務についた事もある。
何故、彼女が浩之を・・・・?


とりあえず、綾香は大佐に連絡をとった。

「大佐・・・ロシアの重攻撃ヘリが何故こんなところにあるのかしら?」
『私にもわからん・・・だがやつらが我々の陽動作戦に引っかかったのは
 確かなようだ』
「陽動作戦!?何よそれ!?聞いてないわよ・・・!?」
『三十分前、自衛隊の戦闘機が2機そちらに向かった。
 今ごろは奴らのレーダーにも捕らえられていたはずだ』
「そんなことを・・・・」
『奴らがそちらに気を取られてる間に君は潜入をしてくれ!速く!』
「わかったわ。すぐに行く!!」
その時

ズゴォォォォォォンン!!!!!!


一閃の光と共に聞こえた轟音
それと同時に綾香に向かってくる凄まじい爆風

「きゃぁぁぁ!!」
綾香は爆風に激しく吹き飛ばされた

数メートル程飛ばされたところで爆風は止んだ。

「くっ!!た・・大佐・・・」
『大丈夫か!?綾香君!!』
「い・・今のは・・・何?」
『言っただろう?陽動作戦を行っているんだ。
 今のはSATの部隊が突入したんだ!』
「SAT!?日本警察の特殊テロ対策部隊がなぜここにいるの!?」
『陽動作戦の一環として政府が呼んだらしい。
 彼らが敵を引き付けているうちに君は潜入
 をするんだ!早く!!』
「わかった!」
そう言うと、綾香は研究所に向かい走り出した



「・・・一体なんの騒ぎや?」
智子はめんどくさそうに問う。
「外で何か起こってるみたいだね・・・」
雅史はのんびりとした口調で言う。
いや、雅史だけではない。
ここにいるLeafのメンバー全員がとても落ち着いていた・・・
まるでこの騒ぎが起きる、と予知していたかのように・・・・

その時、一人の二軍兵が部屋に駆け込んできた。
「ほ・・保科参謀長!!大変です!!」
「はぁ・・・その参謀長って言うのやめてくれんか?
 堅苦しくてしゃぁないねん・・・で何の騒ぎや?」
「は・・はっ!報告します!!先程爆発物の爆破と
 共にSATの部隊が乗り込んできました!!
 その爆発とSATの部隊との交戦で死傷者が多数出た模様です!!」

その兵士は実戦は初めてなのかわずかに震えていた。

「で、そいつらは今どこに居るんや?」
「今こちらに向かってきているようです!!」
「よし、わかった。つまり既にあんたらで手に負える状況じゃ
 ないってことやな。もう行ってええで。」
「はっ!・・・失礼します!!」

「さて・・・そういうことらしいねんけど・・どないする?」
「やっぱり誰かが騒ぎを収めないといけないよネ。」
「まぁ、そこで誰が行くのか、ってことになるんやけど・・・」
「ワタシが行くヨ!!」
レミィはさも、待ってました!と言わんばかりに喜んでいる。
「いいえ。宮内先輩の力を使うまでもありません。
 この私が行きます!」
「私も別にかまいませんけど・・・」

「そうやなぁ・・・神岸さんはうるさいハエを落としに行って今はいないし、
 かといって来栖川さん、あんたの力を借りるまでも無いしなぁ・・」
そして智子は一瞬考え込んだがすぐに
「よし!うちが行こう!!」、と言った。

「わざわざあんた達に無駄な労力を使わすのも何やし、
 うちが行ってくるわ!!」
そして智子はゆっくりとドアの方に向かって行った・・・・



「さてと・・・どこから入り込もうかしら・・・?」

綾香は数人目の兵士を眠らせた後、一人考えていた。
『大佐さん!綾香さんって本当に強いんですね!
 私とてもびっくりしちゃいましたぁ。』
『あぁ・・彼女は武器の扱いも超一流だが、彼女の
 もっとも得意とするものは格闘技なんだよ。』
『格闘技、ですか?』
『そう、彼女がエクストリームの女子日本チャンプというのは
 マルチも知っているだろう?』
『はい。一応は、ですけど・・・』
『あれでも彼女は手加減をしてるんだ。彼女はLeaf隊員で、
 相手はただの格闘少女。綾香君が手加減しなければ
 相手は一瞬で再起不能か死ぬことになるだろうな。』
『す・・・・すごいです・・・』

『綾香さんはどうしてそんなに強いんですか?』
『彼女の知り合いに戦後直後の東京でストリートファイトの不敗伝説を
 持っていたかなりの実力者がいるらしくてね。彼女が日本に帰ってきてから
 その人の格闘術を習い始めたんだ。
 その格闘術ってのがまたすごくてねぇ・・・相手をいかにして動けなくするか、
 っていう事だけを考えた格闘術だったんだ。その格闘能力を買われて彼女は
 Leafにスカウトされたんだけどね。』
『へぇ〜、すごいんですねぇ綾香さんは。』
『あぁ、彼女はすごいよ』

それにしても・・・この無線機、大佐たちからはつながりっ放し
になってるみたいね・・・無駄話まで聞こえてくるわ・・・・
こんな所は改善すべきね・・・
と、綾香がそんな事を考えていると急に研究所の中が騒がしくなり始めた。

「何かな?何か起こってるみたいね・・・」
綾香はそこの窓から中を覗いた。
そこには一人の同じ歳くらいの少女と、
それを取り囲むSATのメンバーの姿があった。
「あの娘は・・・!!」
その少女は綾香の知った顔の少女であった。
保科智子・・・・
コードネーム「セイバー」
浩之のクラスの学級委員長を務める少女。
そしてLeaf内で最高の頭脳を持つ人物。
彼女の考えた作戦は数々の歴史を変えてきたという・・・
「彼女・・・何をするつもりかしら・・・」



「えらくまたぎょうさん来たな・・・あんたら警察の特殊部隊SATやな?」
智子はSATのメンバーの中で指揮をとっている男に話しかけた。

「そうだ。われわれの事を知っているようだな。」
「一応あんたらは有名やからね」
「ならば我々の力も知っているはずだ。おとなしく降伏してもらおう・・・!」
SATは銃を一斉に智子に突きつけた。
その場に緊張が走る・・・・・

「・・・・・ぷっ」
場の沈黙は智子の吹きだした声で破られた。

「!?」
「くっくっく・・・あははははは!!!」
智子はいきなり笑い始めた。
SATの隊員は呆然としている・・・

「な、何がおかしい!!」
「くっくっく・・・これが笑わずにおられるかいな」
そう言うと智子はまるで相手を視殺するかのような鋭い視線で
SATを睨み付けた。

「あんたら・・・本気でうちらに勝てると思うてんのか?」
「なに・・・・!?だいたい貴様何者だ!!?」
「セイバー・・・これから死ぬ奴らにはコードネームだけで充分や」

そう言うと智子はSATの前から姿を消した。
いや、正確にはSATには見えなくなったのだ。
「ど・・・どこにいった!?」
「あわてるな!!落ち着け!!」
そして次の瞬間

ザシュゥッ!!

「ギぃャァーーーーー!!!」



「なっ!?い、一体どうなってるの!?人が・・・
 人が次々と切り裂かれていく・・・・!!」

綾香が見たもの・・・
それは断末魔の叫びをあげて倒れていくSATのメンバーだった。
「な・・何だこいつは!!化け物か!!?」

ぞぶっ!!ズシャアッ!!どしゅうっ!!

「ぐギャァーーーー!!」
「う、撃て!!撃つんだー!!」
鳴り響く銃声。
しかしその銃声もひとつ、またひとつと少なくなっていく・・・・

部屋は鮮血で彩られた地獄絵図へと化していく・・・・

そこに見える景色はただ赤、赤、赤・・・・・・・・


「あんたらSATは被害を最低限に抑えるために人を殺すことを
 ためらう連中や。そんなただのテロ対策部隊が
 人を殺すのをためらわないうちら特殊戦闘集団Leafに勝てるはずが無いやないの・・・」


戦闘が始まって1分・・・
SATは全滅した。



「さてと・・・来栖川綾香。そこにいるんやろ?」
智子は綾香のほうは向かず話を続けた。

「これがいまのうちらの実力や。あんたが居た頃より
 実力が高くなっとんのはもちろんわかるよな?」
「いまあんたと勝負しようとは思わへんけど、いつかは
 あんたと戦う事になるやろなぁ。」
「・・・・・」
「あんたとの勝負、うちは少し楽しみにしとるんや。
 少しはうちを楽しませてよ」
綾香は智子の前に姿を出す。

「ふふっ・・面白い事いうのね・・・大丈夫よ、嫌というほど
 楽しませてあげるから。」

「ほぅ・・・それは楽しみやな」

そう言うと保科智子は姿を消した。



「保科智子・・・かなりできる奴ね・・・」


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小林長官を助けるために地下二階に
向かう綾香。そこには雅史が待っていた!
あきらかになっていく雅史の本性に綾香は!?

次回 メタルギア・アヤカ

第四章〜A Devil Of Kick!〜


こんにちは。助造です
ようやく本編に入りましたぁ!(爆)

自分ってネーミングセンスないなぁ・・・・
今回、改めて痛感しました。
綾香のコードネームなんて『グリーンリーフ』だし・・・
和訳すると「緑の葉」っていう意味になるし・・・
何か、グリーンリーフってお茶の名前みたいだなぁ(爆)