女の闘い 投稿者:雀バル雀 投稿日:2月3日(土)09時19分

「なによっ」

バシィ!

理奈の平手が由綺の頬を打つ。

「きゃっ」

後方へよろめく。
目から涙が零れた。

「…くっ」

それでも怯まず相手を睨み返すと

「そっちこそなによっ!」

普段の温厚な彼女の面影は消えていた。
先輩であることも、友人であることも構わず…

「先輩ヅラしてんじゃないわよっ、オガタぁ!」

ごきっ

渾身の力で相手を打つ。
拳骨で…

「低学歴のアンタにゃ、ア・イ・ド・ルがお似合いかしらねっ」
「なんですってぇ〜、ロクに大学行ってないクセにっ」

やられたら倍返し。
スカートであることも忘れて、大きな弧を描いたキックを腹に打ち込む。

「ぐはっ」
「顔は大事でしょ。あんた、それしかウリないもんね」
「そっちこそっ」

(どこで覚えたのか)古武術に伝わる完璧なフェイントに隠された必殺の貫手が炸裂!

「ぐはっ」

崩れ落ちる緒方理奈。
由綺は勝ち誇ったように宣言。

「私は“アーティスト”なの。あんたとは違うの」
「う…うっさいわねぇ」

額には脂汗。
だが、トップアイドルとしての己の矜持が倒れることを許さない。

「自分で作詞も作曲もしたこともないくせに、アーティスト言うなぁっ!」

まさに正論。
立ち上がる勢いのまま、顎にガゼルパンチ炸裂。

「グっ…あんただって兄貴に踊らされてるダケじゃないっ」
「うっさいわねぇ。タイアップじゃなきゃテメェのヘタな歌なんて誰が聴くかっ」
「そ、そっちだって…自力でベストテンに入ってみろーっ」

ぼかすか…














「………」
「………」

セットの脇で事態の推移を見つめる男が二人。
妹と恋人の過激なキャッツファイト…もとい、本音でぶつかり合う二人を、哀しそうに見つめていた。

「理奈…」
「お、俺に止める権利なんか…もう、ないよな…」


  (おしまい)
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あとがき

こんにちは。
少し本音がでてますね…(^^;
倉木麻衣サイコー(いろんな意味でネ)

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321/