2余り1 投稿者:雀バル雀 投稿日:12月8日(金)12時11分

ぽかぽか昼下がり
教室にて――

「ミカンの皮で目潰しをくらってさあ」
「あるある〜」
「うん、ある。…浩之ちゃんに、よくやられたよ」

浩之のバカ話に、同意するふたり。
あかりが、さらに話題を膨らませる。

「カルカンのCMって、おいしそうだよね?」
「おう」
「そ、なんかねー。ねこ用なのに」

続けて、志保も

「深夜ってさ、ハウスのCMばっかでウザくなーい?」

浩之とあかりは、ふたり揃って

「…べつに」
「楽しいよな」
「うん♪ 西田ひかる好きだし…」

うなだれる志保。

「…そ、そう」

だけどすぐに、いつもの笑顔を取り戻して、
ふたたび話の輪に加わった。

「大橋マキの笑顔って、養殖っぽいよなー」

わざとらしい彼女の笑顔を
脳理に思い浮かべて

「うん、そうだね」
「ほんとほんと」

今度は、あかりの番。
にこにこ微笑みながら、さらっと

「はなまるまーけっとって、なぜか見ちゃう」
「そーよねー」
「俺も…面白いと思ったことはねーけどよ」

そして、志保。
自信たっぷりに

「パンチョ伊藤ってさ、やっぱアヤシイわよねー。あの頭」
「ぜんぜん」
「考えすぎじゃねーの」

会話が止まる。

「………」

しばしの空白…
やがて、何事もなかったように(なかったことに)、話は弾む。

「“ちびっこ”って、漠然とした言い方だよなー」
「そうそう」
「うんうん」

浩之に続けるかのように、あかりも

「“よいこ”ってのも、へんな言い方」
「そうだな」
「わるい子ならいいの?ってカンジよねー」

ふたり志保を見つめて
きっぱりと

「いや」
「ダメなんじゃないのかな…ふつう」

呆然と立ち尽くす彼女。
それを無視して、さらに話題は続く

「マリリンモンローって、美人じゃねーよな」
「うん、ちがう」
「そ…そうよねー!」

慌てて会話に加わる志保。
自分の存在を示すかのように、明るく大声で同意。

「浅野温子も」
「ガリてるしな」


あかりに続いて
志保も得意のポーズで、ズバリと

「そうそう♪ 江角マキコも、ゴツイオバサ…」

言葉が終わる前に、
ふたりは顔を見合わせて、あっさりと

「かっこいいよな?」
「うん、かっこいい」




      *



「…ぐすん ぐすん」

志保は教室の角で膝を抱えて
みなの視線を浴びながら、泣き続けていた。

「うぇぇん」

あかりと浩之は、すまなそうに

「な、泣くなよ、志保ー」
「ごめんね」


   (おしまい)


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作品解説!

志保…かわいいゾ(^^;
では〜

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8321/