セリオファイル番外編1 投稿者:ジーク・リーフ 投稿日:1月29日(月)13時33分
 1月某日
 
 「どーしよーか」
 「大丈夫です。ここに過去の記録を残してあります。これを参考にすればよろしいかと」
 「これ?」
 部屋の奥のボックスを差す。
 「ハイ、企画書やプログラム、脚本から設計図、見積書などはファイルに。
  当日の様子や、会の途中で使用した映像などはDVDに記録してあります」
 と言って、ファイルや数枚のDVDを取り出す。
 「へー、DVDから見てみようかな?』
 「では、とりあえずこの年のからにしましょう」


 数時間後

 かなりげんなりした様子で、
 「これ、本当にやったの?』
 「はい、そうですが。何か問題でも?」
 しれっとして答える。
 「・・・、参考になったよ』
 「これを参考にすればお喜びなさると思います」
 「(反面教師的に参考にね)』

 もう一度書類に目を通して、
 「とりあえず料理くらいが無難かな」
 「それでしたらいいものがあります」
 と言って後ろから何かを取り出す。
 「セリオお姉ちゃん、料理手伝ってね』
 「(チッ、無視されましたか)わかりました」


 1月23日

 部屋が飾りつけされている。
 「飾りつけも終わったし、料理に入りますか」
 「でしたらこれを」
 エプロンのポケットから取り出す。
 「セリオお姉ちゃん、冷蔵庫から昨日のあれ出して」
 すごすごと冷蔵庫にむかい、
 「・・・これですか」
 「うん」
 どうやら無事に料理に入るようだ。

 
 同日夜

 暗くなった部屋に玄関が開き、光が入る。
 「ただいまー。いないのー」
 パンパーン
 クラッカーとともに部屋の電気が灯される。
 「おたんじょーびおめでとー」
 「なになに」
 「お誕生日おめでとうございます」
 「あっ、ありがとう」
 「さ、早く早く。料理もいっぱい作ったから」
 「さぁ、さぁ」
 「ちょっ、ちょっと。靴ぐらい脱がせてよ」


 「おいしいわね」
 「でしょ。セリオお姉ちゃんと一緒に頑張ったんだもん」
 「私なんて手伝っただけです」
 「ありがとうね、二人とも」
 と言って頭をなでる。
 「えへへ」


 「お母さん、はい、プレゼント」
 「ありがとう。なにかなー」
 包装を開ける。普通はあげた本人の前では開けないもんだが・・・。
 「わぁ、高くなかった?」
 「そんなことないよ。気に入ってくれたかな?」
 「気に入ったわ、ありがとう」
 「私からも」
 「ありがとう。セリオのはなにかな」
 また開ける。お嬢様のはずなのに・・・。
 「せりおさん、これはなにかな?」
 と言って、中の物をセリオに向ける。
 「見ての通り、薬とジャムですが」
 「で、これはなんのために?」
 「そろそろ気になってますよね? 化粧品の補充ペースが早くなってきてますし』
 「ギクッ。そ、それで」
 セリオ、薬の方に目を向け、
 「こちらの薬はですね。昔ある少年を若返らせた薬です。ただし、もともとは毒薬ですので使用にはご注意を」
 「・・・」
 続いて、オレンジ色のジャムの入ったビンに視線を移し、
 「こちらのジャムは若さを保つ事ができるジャムです」
 「こちらは普通そうね』
 「ただしジャムですが甘くありませんし、原材料は不明で、私でも作る事はできません」
 「・・・」
 「ですから直接製作者のところに赴いて分けていただきました」
 「へ、へぇ」
 「お孫さんもいるのにかなり若く見えました」
 「すごいわね」
 「しかし同居なさってる方々全てが、『食うな』と言ってましたが」
 どうやらこれもとても危険な物の様だ。
 「・・・」
 「どうしました?」
 「せ・り・お」
 「なんでしょうか?」
 「毎年毎年、プレゼントくれるのはうれしい」
 「それはそれは」
 「けどさ、どーして何時も極端なものをくれるのかな?」
 ちょっとこめかみがピクピクしている。
 「いえ、それは」
 「どーしてかな?」
 「普通のものでは新鮮さを感じてもらえないと思いまして」
 「新鮮なもの感じなくても、普通のものでもプレゼントは感謝してるわよ。だから・・・」
 珍しくやさしく言う。
 「それでは面白くないですから」
 さも当然のように返す。
 「ほー、そうか。わかったわ」
 「どうしたんですか?」
 「セリオ、長い付き合いだったわね」
 こぶしを握っている。そろそろやばいぞ。
 「あっ、綾香様。プレゼントとは本人が喜ぶ品も良いけど場を和ませる必要もあるからと長岡さんが・・・」
 「大丈夫。後であっちも同じとこに連れてってあげるから」
 「あっ、綾香様」
 
 「あーあ、また始まったよ」



 P.S
 「芹香お姉ちゃんからもプレゼントきてるよ」
 「そう言えば芹香様から魔女の秘薬も・・・」
 「まだいうか』
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 一週間近く遅れの綾香様聖誕祭記念SS