こみパの券 投稿者:初心者A
        【注意】この作品はネタばれがあります。

○この創作小説は『こみっくパーティー』(Leaf製品)の世界及びキャラクターを使用しています。
○この作品はフィクションです。劇中に登場する団体及び個人は実在する団体、個人とはなんら関係ありません。また、演出上の要請により、一部登場人物が危険な行為、または道義的に反する行為等を行っておりますが、二次創作小説ですので寛大な心で接して下さい。
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               『こみパの券』
    第6巻<こみパ残悔積歩拳! お前の在庫を抱いて死ね!>

「さっさと来い!」
「手こずらせやがってこの野郎!」
 黒服の屈強な男二人に捕まれて、若い人物が椅子の前に引きずり出された。他に並べられたアルミのパイプ製と同じであったが、背もたれに掛けられている豹のなめし革がその椅子だけ異様に浮かび上がらせている。屋内であり空調は暖気を保っているにもかかわらず腰を下ろすだけの場所にさえさらに一層の防寒を施しているのは、ここが外へ通じる扉に最も近しい配置がされているためであった。
 カバーとなった毛皮によって吹き抜ける風に身体を冷やされないよう工夫された椅子には、落ち着いた観のある儚げな少女が腰を下ろしていた。彼女は二人の黒服によって床に放り出された被捕縛者を下目に見、ただ薄く笑いを浮かべている。その瞳は憐れむことを示さず、さりとて欲情に漲らせることもなく、淡々と状況だけを観察していた。
 乱暴に投げ出された人物は固い地面に一度顔を打ち付けられた後、素早く面を上げて眼前にいる少女を凝視した。
「あ、彩ちゃん? 彩ちゃんなのか?」
 彼女はその問いに無言でコクリと首だけ動かして応えた。動作は緩慢で明快な意志表現に乏しい。
「どうして君がこんな……創作一筋だっただろう?」
 今度はふるふると首を横に振って返事をする。先程と等しく唇を微塵も動かしはしない。
 日本国同人誌界三大イベントの一つとされる春季こみっくパーティー、通称春こみは毎年3月末に開かれている。名は春とはいえまだ風は冷たく、ここのような壁際しかも端では真冬並に衣服の重ね着が必要となる。そのような劣悪な条件にあってもこの場所は売り側の参加者にとって憧憬の対象となっている。
 床に倒れ伏している大学一回生男子、千堂和樹にとって彼女がここにいるのは似つかわしくないことこの上なかった。同人誌活動を初めて4〜5年と聞いていたが、創作系個人でありしかも地味な絵柄のためか年間での本の売上総数は両手の指の数に足りないほどの弱小サークルである。参加競争率の激しい春こみに落選せずいられるのは、この長年の活動に対する運営側の恩赦に他ならない。
 それなのに今彼女がいるのは近年最も参加数が増加しているゲームパロディ系でしかも長蛇の列が出来ることを前提にした角の壁際である。この超一等地は少なくとも一回のイベントで2000部前後の販売がなければ配されはしないだろう。無論それは前人気も含まれるが実績がなければ宛われはしない。壁際故に背後は大量に本を置くための空間が確保されており、現在和樹がいるのもブース内のダンボール置き場だ。高く積まれた新刊入りの箱に囲まれているので、外からはここで起こっている事は見えないようになっている。
 数ヶ月前、突如姿を消した彩が何故このようなスペースに……。そして開始直後の多忙な時間帯にわざわざ貴重な労働力を割いて和樹を拉致したのは……。疑問だらけで言葉に詰まっている彼を半ば無視して、彩と呼ばれた少女は束ねた長い黒髪を肩から背中に回し、和樹を連行してきた男たちの袖をクイックイッと引いて合図した。
「は! これでございます彩様」
 彼らには一動作の施しもせず、彩は恭しく差し出された一冊の本を左手で受け取り右の頬杖を付いたままペラペラと中を眺める。彼女の細い指の隙間から見える表紙は和樹にとって確かに覚えのある物だった。
「そ、それは俺の新刊」
「……ふふ……相変わらず丁寧に作ってありますね……その上ネタも活きがいい……」
 乏しい表情に僅かに浮かぶ恍惚、それは作品への感動ではなく全く別の実利に対する値踏みのようであった。彩は最後までじっくり読むことはなく表紙と前から半分まで目を通し、最後に奥付の有無だけ確認して本を閉じた。
「……どうやらこの本は最高の木人形(デク)になりそうですね……。早速全てこちらに運び、このブースで販売を始めなさい……」
「な!?」
 和樹には彩の言い出したことがよく理解できなかった。このような一等地で自分の本を委託販売してもらえることは幸運この上ないが、それにしてもやり方が以前の彼女と比べて……いや彼女には考えられないほど強引である。
「こんないい場所で売ってもらえるなんてうれしいけどさ、でもどうして壁際に君が……?」
「……そんなことはどうでもいいんです……それより和樹さん、委託の代わりに一つ、私のお願いを聞いてくれませんか?」
「え、いいけど」
 その返答と同時に和樹はまた彩配下の逞しい二人の男に腕を捕まれ背中に捻り上げられた。男たちは彼の関節を折ったり筋を切ったりするつもりではなかったので痛みはなかったが、突然そのようなことをされた和樹は驚きを禁じ得ない。
「な、何を?」
「……今から突発コピー本を描いていただきます。ネタは……そうですね、カ○ンのあ○×○琴がいいでしょう……」
「な、何だって!? そんなまだ買ったままインストールもしていないゲームを!?」
「……ふ……心配しないで下さい……新しい流行の究明です……成功すればあなたのこみパ内評価は倍になります……」
「だからってそんな、うわっ、離せっ!」
 もがく和樹の意志など完全に無視し、男二人は哀れな被害者をパイプ椅子に縛り付け、人通りのある全面に彼を押し出した。それは彩の座っている豪勢な装飾とはかけ離れたへんてつもないものであったが、前にある机には『突発カノ○本16P ○ゆ×真○ネタ・あと一時間で100部限定発売!!』などと書かれた多少豪勢で目立つ看板が立てられている。
「こ、こんなことできるかぁ!」
「……やらなければあなたの信用と新刊がどうなることか……」
「くくぅ」
「……ふふふ……気力です……気力で描き上げ、羞恥心を封じるのです……」
 容赦ない策謀に和樹は諦めて下書きを始めようとしたとき、それまで静閑にあった彩が突如立ち上がり平積みにされていた彼の新刊の一冊をもぎ取るように手にし、購買のため早足で往来している一般客の群に向かって一気呵成に投げつけた。
「ああっ俺の本〜」
 そんな制作者の情けない声など省みる素振りも見せず、彩は本を飛ばした方角を厳しい眼で凝視している。「ぐみゃあ」との声が間を置かず上がり、驚いた群衆はその場を避けるように広がった。
「にゃ……にゃあ……ひどいですぅ」
 空けられた人垣の端で誰かが倒れ込んだ。どうやら84頁フルカラーの本がまともに激突したようで、痙攣しながら哀れな屍をさらす数歩手前となっている。
「ちょ、ちょっと彩ちゃん、これはまずいんじゃない?」
「……ん?……間違えましたか……」
 どうやら着弾点がずれていたようで目標の横にいた人間が巻き込まれてしまったようだ。即刻退場を宣されかねない行為をしておきながら、沈んだ色彩の洋服を纏う加害者は平然と自分の肯定を弁じる。
「……可愛い女の子を出して、いぢめ倒すのは売れる基本パターンなのです……それに……私が狙ったのはあの子じゃありません……」
 和樹は直後に2回「え?」と言った。最初は彩の言葉に対して、もう一つは倒れた女の子の後ろから現れた人物に対してである。
「ふ……久しぶりですね……牧村さん……」
「なぜ……なぜ変わってしまったの、長谷部さん」
「ん〜?!……なんのことですか? フフフ……」
 不可抗力とはいえ印刷所の女の子を身代わりにしてしまった牧村と呼ばれた女性は悲しい目をして彩を見つめた。どことなく婦人警官を連想させる紺色に白い上着の制服とサンバイザーと連結したインカム、そして激務故の対衝撃強度を想定した厚めのフレームを使用した眼鏡が特徴の彼女は『こみっくパーティー』を開催している運営会社社員だ。現場に勤務するようになってまだ数年のはずだが、その性格故に人望が厚く古参の同人作家たちにも顔が利く。少なくとも10代の参加者たちにとっては頭の上がらないお姉さん役である。
「なぜブラザー2の新刊の海賊版を販売したの?」
「え!?」
 それは彩に対し発せられた質問であったのだが、驚いたのは和樹の方であった。先程の約束では自分が突発コピー本を描くのと交換に委託販売してくれるはずだ、と和樹は覚えている。しかし南がはっきりと口にしたサークル名は自分のものである。
「そ、そんな……」
 和樹は急いで積み上げられている自分の新刊を確かめた。一見どこにも改竄した後は無かったのだが、注意すると全部の本に最後のページを開いたような跡がある。
「なっ!?」
 和樹はそこを見て驚愕の声を上げた。元々印刷されていた奥付が消され、その上に発行元として別のサークル名と、作者として長谷部の名が記載されていたのだ。
「し、信じられない……なんてことだ」
 つまり発行したのはブラザー2ではなく彩のサークルと言うことになり、当然本の売上は全て彼女の手中に入る。抗議しようにも、全ての本がこちらに運び込まれてしまった今となっては逆に和樹の方が海賊版を出したと反論されかねない。権利問題が混沌とされたまま運行しているこの世界にあって、正当なるは既成事実と消費者の認識だけである。そうするとまだ一冊も売っていないブラザー2では立証する証言も証拠も無いのだ。
「……ふっ、まあいいです……こんな創作本など売れてもたかが200冊……」
 ざわめき始めた観衆に少しは気を取られるのか、彩は瞬時解決のつもりで次の断を下した。
「……捨ててきて……私の求める同人誌はまだ遠いわ……」
 彩の詔を解した売り子たちが一斉に和樹の新刊を持ち上げ始めた。未だ180冊近くはあったが5人も売り子を雇っているのでゴミ捨て場への運搬もさほど手間はかからない。5分もしない内に十数時間かけて描いたフルカラーの表紙はその数倍の手間を費やした中身と共に再生紙工場行きのトラックへ積まれてしまうことだろう。
 椅子に縛られたままで身動きも出来ないで居る和樹の代わりに南がそれを制止しようと立ちはだかった。
「わ、私の知っている長谷部さんはもっと澄んだ目をしていたわ。なぜこんなことを?」
「ふ……私は変わりません……時代が変わっただけです。買い手が良質の創作よりも手軽なパロディーを必要としているだけのこと……」
 静かさを残していた彩の瞳が狂気に染まっていく。それは昔日の彼女からはとても想像だに出来ない狡猾な怜悧さだけを突出させている眼光であった。彼女の指がついと動いて机の端に貼られた一枚の紙を指し示す。
「完売……500冊完売です。……以前使ったネタを再利用し、顔を新作ゲームやアニメのキャラに変えただけなのに……仕上げもちゃんとしてなかったのに……開始1時間もしない内に」
 あからさまな手抜きを彩は平然と語ってのけた。確かに流行りものは時間との勝負になる場合が多い。昨夜放映を開始した新番組の本を徹夜でコピー製本することもある。しかし多くは出来る限り正確なキャラの描写をしようとする目的が故の苦肉の策であって、彩のしたような労を用いずウケ狙いや数をさばいて目立とうとするための手段ではない。
「……牧村さん……和樹さん……売れセンはいいですよ……フフフ……」
「あ、あなたは……あなたは昔の長谷部さんじゃないわ!」
 どこにぶつけていいのか未だ定まらない怒りで南は振るえていた。そんなこみパ運営員を見てブースの前に並んでいた客に動揺が走り始める。彩はその場でスタッフと口論するとサークルのイメージダウンに繋がると判断し、ブースから出て館外へ出た。それを南も追いかけていく。
 出入り口のすぐ横で彩は歩みを止め振り返った。すぐ先にこみパ会場敷地からの出口専用ゲートがあり、そこから出ると一般客と一緒に並んで再度正面口から入場するしかなくなる。本当はもっと離れた場所で決着を付けたいのだが、それらの理由でこの地点を選ばざるを得なかったのだ。
「長谷部さん……なにがあなたを変えたの?」
 追いついた南が出口ゲートぎりぎり立つ彩に向かって尋ねた。その言葉には変わってしまった彼女への最後の信頼がまだ残っている。
「……ふ……そんなに知りたいのでしたら教えましょう……。あれは3ヶ月前の冬こみの時……」
 細身で折れてしまうそうなほど華奢な腰と不釣り合いといっては失礼かもしれないがやはり豊かなバストがゲートの支柱に寄りかかる。自らの艶やかなロングヘアを撫でながら、彩は顔を斜め上に向けて少しだけ過去の思い出を話し始めた。
「……あのイベントでは珍しく列の端になったのです。……多分何かの手違いか、整理上の都合なのでしょう……私は手に取ってさえもらえない自分の作品を呼んでもらえるチャンスだと思いました……でも……!」
 髪を愛でる彩の指に力がこもり、撫でるのを止めて堅く掴んだ。動揺に唇にも強張りが加わる。
「でも……ほんの数分ブースを空けた時……向かいの壁にあった創作サークルが突発アニパロ本を出しました……それ目当ての買い手の列がこちらに向かって延び……私のブースの前を塞いでしまったのです……! ……それまで期待していたものは一瞬にして崩れ去り、残ったものはいつも通りの在庫の山でした……」
 南の脳裏には血の涙と彩がその時感じた慟哭と同音の響きが伝わってきた。確かに創作系でも売れセンの本は出すときがある。だがそれは前もって察知は不可能であり熟練しているこみパスタッフでも予測に限界がある。且つ列の生成の有無は出来てからでないと解らないので、このような軋轢が生じてしまうのも無理なからぬ事であろう。
「……私はそのとき悟りました……私の夢など所詮戯言にすぎないことを……そして同人誌本来の道は……まさにお手軽売れセンパロディであることを……」
 南にはその見識に対する反論が躊躇われた。同人は確かに楽しむものであるが、楽しみ方は十人十色であり、尚且つ資金がなければ始められないし継続もできない。彩の主張は完全でないが充全性に近い含みがある。
「ちょっと待て〜!」
 納得に流されてしまいそうになっていた南の心はその一言で押し留められた。戒めから脱した和樹が屋外へと出てきたのだ。
「そんな理由だけで俺の新刊を全て台無しにしたのは、いくら彩ちゃんだって許せないぜ!」
 南が止める暇もなく、怒髪天を付く勢いの和樹は一直線に彩へ向かって突進して行った。あのままでは荒々しく掴みかかるのは必至であろう。しかし彩は慌てもせずひらりと身をかわし、懐から一冊の本を取りだした。
「見て……和樹さん、牧村さん……これが新しく発行した激・新刊です……」
「ぐ、ぐはぁぁぁっ!」
 その本を眼前に差し出された和樹はそれまでの勢いをぴたりと止め、内容を凝視している。そして急激に紅潮し、息を荒げ始めた。
「は……はぅっ! はわわあっ!」
「……ふふ……この新刊は心臓の運動を急激に増加させます……理性すら破るほどに……」
「そ、それはまさか……い、いけません和樹さん!!」
「……フフフ……無駄です。……そのジャンルを封じる方法はありません」
 南の危惧通り和樹は既にその本の虜となっていた。エロパロ本……H禁止のこみパでしか活動していない和樹にとって、それは全く免疫のない劇薬であった。清白の布地にインクが染み込むように、和樹の知識に禁断の世界が進入していくのが端から見て解る。お手軽で確実に売れる、ビジネスライクに徹した場合最適ともいえるジャンルであろう。
「……どうですか和樹さん……同人にはまだまだ隠された神秘があります……牧村さん、それを知るには犠牲が必要だとは思いませんか……?」
 彼の衝動を封じる術を持たない南にはもはや何も出来ずにただ立ち竦んでいるだけであった。
「退きぃ!!」
 派手な破砕音と声が後ろからして、南は我に返って振り向いた。自分たちのくぐった扉から筋肉質の男二人が飛び出し、地面に横転してそのまま失神する。
「ふぅ、なんとか間に合うたわ」
「あ、あなたは由宇ちゃん!」
 顔の半分を覆うほど大きめの眼鏡が早春の陽光を反射して光っている。猪名川由宇、こみパに最近進出し始めた関西のパロ中心同人作家である。背丈は低いがパワーは大の男二人分を超えるほど漲っていて、放っておくと乱闘を起こしかねないので南がいつも世話いや制御をしている女の子だ。
「どうしたの、こんなに遅れて?」
「ちょっと雪に足止め食ろうてな。それより……目ぇ醒まさんかい、このどアホ!」
 由宇の手から投げられた円筒物が和樹の頭部に当たって甲高い音を立てた。
「い、痛てぇ!」
「地元の温泉名物炭酸煎餅や。缶入りで湿気に強いからじめじめした関東には最適やろ。有り難く受け取り」
 彼女の実家は神戸市にある某温泉の一角に在する。猪名川温泉説も捨てがたいが筆者が片方しか行ったことがないので有馬にしておく(笑)。それに屋号に○ノ坊と付いているのはこの温泉地の由緒ある療養施設の証だ。ちなみに梅田からは直通バスが出ているが、難波からは無いはず。
「そんなボケツッコミはどうでもええって。肝心なんはな、牧やん……そいつは長谷部さんやあらへん」
「え?」
「そいつの正体は詠美、かつてウチとユニット組んどった大バカ詠美や!」
「ええ〜!?」
 南と和樹は同時に声を上げて彩を見た。彼女は半ば背を向け、自らの髪に隠れるように俯いている。由宇は「あんたらサークル名見てわからんかったんかい」とのツッコミ視線を投げかけたが、南にはそれにも気付いていないようだ。
「詠美、他のは騙せてもウチの目は誤魔化せへんで。変装までして長谷部さんになりすますとはな……」
 鋭く睨む由宇の眼光が彩に突き刺さる。その暴露に観念したのか、顔を背けていた彼女は正面を向き直って吐露した。
「フッ……クックックッ……まさか温泉パンダが閉場までに間に合うとは思ってなかったわ。あんたの言うとおり、私は詠美ちゃんさまよ! うわーはっはっはっ!」
 正体を現した彼女は彩のカツラを脱ぎ捨て5cmはある上げ底の靴を放り出した。胸も何枚かパットを入れてあるのだろう。
「じゃ、じゃあ本物の長谷部さんは一体?」
 戸惑いを隠せない南が即刻詠美に問い質した。糾弾されていいはずの詠美の方は逆に開き直っていて、悪びれも見せずに答えを返す。
「ん〜彩ちー? 彩ちーのブースを襲った悲劇は本当だけどさぁ、あんなことでめげるなんてしょせん二流って感じよね。大体こうしたいって言ってきたのはあっちなんだからぁ、私は別に悪くないもーん」
「こらぁ、もっと他人に解るように話さんかいっ」
「うっさい子パンダねぇ。売れる本の作り方教えてほしいって言うから、こーかん条件出しただけじゃないの」
 どこまでも自分本位の会話しかしない詠美の説明はどうにも理解しにくい。少し置いて行かれつつある南は、それでも追いつこうと再び説明を求めた。
「だからその条件って……」
「ん〜ふふふ。今、彩ちーは私の身代わりに卒業補習を受けてんの。ついでに短大の入試試験も受けてきてーってめーれーしてあるのよ」
 あっさりとそう言ってのける詠美に、他の3人は一瞬意識が白くフェイドアウトするのを感じた。
「……」
「……」
「……」
「どぉ? どぉ? ど〜お〜? 恐れ入った? あっちはもう進学も決まっちゃって、すること無いって言うから、タイミングばっちしのぎぶあ〜んどていくのちょおOKって感じよね」
「……」
「……」
「いや、アホやアホやと思っとったが、ここまで大バカとは思っとらへんかったわ。あんたの同人路線と一緒で、常識もまともに落ち着かんな」
 言葉を失っていた和樹と南と違い、つき合いの長い由宇は早めに詠美の超常世界から抜け出したようだ。的確な比喩で嫌みを言っている。
「な、な、なぁ〜! ほ、ほざくな〜このパンダぁ〜! このちょお天才の私が考えた戦りゃくがどー間違ってるってゆーのよぉ!?」
「ふ、アホが。“略”の漢字も知らんのか」
「ぐ……」
「それに入学試験には健康診断データや写真を使っての本人確認があるんやで」
「それがどーしたってのよぉ」
「短髪で背の低いあんたが上げ底やカツラで長谷部さんに化けられても、ロングで背の高い長谷部さんがどうやってあんたに化けんのや?」
「……あ」
「卒業補習かて、あんたをよう知っとる学校の先生をどうやってごまかすねん」
 和樹と南の脳裏には、試験中あからさまに疑惑の目を受けながらも必至に詠美の演技をしている健気な彩の姿が浮かんだ。補習では詠美の学校の先生が同情と諦観の涙を流して気付いていない振りをしていることであろう。
「うう〜〜〜、も、もうどーだっていいのよっ! もう一度言うけど私はちょお天才なんだからっ! この才能が有れば怖いモノなんて無いんだからぁ!」
 詠美の話の一段落により、それまで何も切り出せなかった南がやっと割り込めるようになった。その表情には火山のマグマをコーティングした耐熱プラスチックのように、かなりの危うさが見受けられる。
「詠美ちゃん、もう馬鹿なことは止めて。長谷部さんは売るためだけの流行りものを学ばなくても充分実力あるし、それに彼女の気の弱いところを利用するなんてだめよ」
「え〜何ぃ〜、牧村さんまでそんなことゆーのぉ? くっ、彩! 彩 ! 彩! どいつもこいつも彩! どーして彩ちーを認めてこのちょお天才の私を認めないのよっ!?」
「だって詠美ちゃん……はっ、そういえばこの本は!」
 南は扉口から見えている卓上の本をさっと見渡してあることに気付いた。どれも詠美の新刊ばかりだが、そのタッチは彼女のものとは微妙に違う。何万の同人作家を見てきてこの業界屈指の鑑定眼を持つに至った南にはその差を見分けるくらい容易いことである。念のため目次や奥付を確認してみたが詠美一人で描き上げたことになっており、彩の名は何処にも見あたらなかった。
「またかあなた、自分のゴーストライターまで彼女に……」
「こ、こうかん条件よ、こうかんじょーけん。今月カードの引き落としがちょおヤバだから仕方ないじゃない」
「こんなことさせたら長谷部さんが自分の原稿描く時間がなくなっちゃうじゃない!?」
「だって! だって! だってぇ〜! あいつってばこの詠美ちゃんさまの顔を叩きやがったのよぉ〜!」
 和樹は心の中で「ええ!?」と声を出した。自分も何度か彩と一緒に執筆作業をしたことがあるが、どう考えてもあの気弱な少女が“怖いお姉さん”と未だそこに倒れている印刷所の女の子から言われるほどの詠美を叩けるとは思えない。第一、逆らえないから無理があると判っていても言い出せずに身代わりになっていたりしているはずだ。
「ちょっと詠美」
「なによぉパンダ」
「これは何ちゅうんや?」
「ああ〜りょうくうしんぱんするなぁ〜」
 由宇がちょっとだけ詠美のブースの卓上に手をかざすと、そのスベースの主催者はヒステリックに叫び回る。
「じゃあこれは?」
 由宇は詠美にずいっと近付くと右手の小指で彼女の顔をつんと軽くつついた。
「ああ〜お母さんにも叩かれたことがなかったのにぃ〜!」
「やっぱな……」
「彩ちゃんのことだから、ちょっと立ちくらみでもして詠美に寄りかかったんでしょう」
「たまたま顔に手が当たっちゃったとか、そんなところね」
 以上は詠美・由宇・和樹・南の順での発言で、下3つはため息混じりである。なにやら蔑視されていることを感じて、詠美はさらに弁解を繰り返す。
「ち、違うわよ! 彩ちーの奴に本当に叩かれたんだってばっ!」
「じゃあ詳しく説明してみぃ」
「い、いーわよっ。人外のパンダにだって判るように説明したげる」
 由宇に追求されて、詠美は実際に起こったことを回想シーン的に話し出した。

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「はいはいペン入れ終わりね。ちゃっちゃとやっちゃうわよ。あーもーそんな細かく描き込んでどーすんのよ。てきとーにトーン張ってごまかしときゃいーの」
 ……コクリ
 音声ではなく最小限の身体表現で返答する彼女を詠美は扱い辛さを感じていた。どこかの温泉珍獣なら期待通りかそれ以上の反応が返ってきて会話が続くのだが、自分の指導に何ら批判を挟まず黙々と描くだけのこの娘相手では必然的に無言の時間が多くなる。
 それにこのペンタッチは何なのであろうか。コミュニケーション嗜好の違いと同じく、作業が早く躍動的でキャッチャーだが紋切り型と言えないこともない自分の画風と対照的に独特の繊細な線が停止している世界に底知れぬ深みを醸し出している。暗部が多く気分を沈静させてしまう効果は、購入に瞬決をもってする即売会では余地無く不利な要素だ。詠美もそれを知っていてさっぱりと白地が多い原稿を意識しているし、この突然の弟子も注目される技術を請うている。
 それなのに詠美は彩の絵に、嫌悪と等価の羨望も感じていた。もてはやされないことが確実に予想できるその沈んだ構図を心から締め出すことができない。もどかしさは苛つきに似た不機嫌さとなって表出する。
「だぁ〜もぉ〜、カメなんだからぁっ! ちょっと貸しなさいよ!」
「……は、はい……でも……あ」
 彩の注意は、自分の原稿を取ろうとする詠美の肘の下に集中した。彼女の原稿のインクは艶が消えて一見乾いているかのように思われるが、少しでも触れれば擦れてしまうのが彩には判った。詠美の使用しているインクは乾きが早すぎるのに定着性が悪く、彩にとってはお勧めできない商品であった。しかし見栄で値の張る画材だけを使っている彼女はそんな選別など気にしていない。ブランド物のバッグや化粧品と同じで高かろう良かろうとの認識なのだ。確かにスクリーントーンはその判断でもほぼ間違いはないが、全てそうだと一般化してはいけない。
「あ……いけません……!」
 彩は、脆く崩れやすい原稿に今にも触れんとしている詠美の肘を抑えようと机の上に身を乗り出した。
「きゃ……」
「うわわっ」
 慌てていて原稿しか眼中になかった彩は自分の膝の上には机の板があったことを忘れていた。立ち上がろうとして机自体を膝頭で蹴ってしまった彩は、バランスを崩して板ごと転倒する。ついでに詠美も巻き込んで、だ。
 パシッ
 そんな音が自分の指先でしたような気がした。しかし彩は今にも床に落ちんとする詠美の原稿を追うのに夢中で気に留めている余裕はなかった。描いた面が下になって床に触れる寸前、彩は自分でも驚くほど素早くそれを拾い上げることに成功した。
「……ふ……ふぅ……よ、よかったです……」
 安堵の息を吐いて顔を上げた彩の目に、頬を抑えて歪めている詠美の顔が映った。彩は最初、詠美が原稿を心配して険しい表情をしているのだと考えて、にこやかな笑みを浮かべコクリとうなずいた後無言で無事な原稿を差し出した。

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「解った? 解った? 解ったぁ〜? あの子ったらこんなふうにちょお天才の顔を叩きやがったのよ〜!! むっきぃ〜!!」
「……」
「……」
「……立ち眩みとほとんど変わりないやんか、やっぱ」
 呆れてさらに憐れみが厳しくなっていく3人の視線に対し、詠美はひねくれ気味のプライドをかけて一層の防衛を試みる。
「と、とにかくっ、ごめんしてあげるんだから身代わりと代筆くらいあったりまえだっちゅ〜のっ!」
「だからって変装までしなくても」
 もうかなりの部分を諦めている和樹が一応の付け加えのつもりで口を挟んだ。それを聞いた詠美は胸を反らしてへへ〜んとひとさし指を一本立てる。
「あんた何も知らないのぉ〜? 同じ人間が二人もいるとパラシュートボックスで本物が死んじゃうのよ」
「はい?」
「……それをいうならパラドックスやろが。ついでに、会うたら死ぬんはドッペルゲンガーやで、大バカ詠美」
 和樹は半秒だけ時間をおいて「ああ」と相槌を打ち、語彙力の無さを指摘された二重分身娘は「“カ”を入れないでよっ!」とくってかかる。
「つまりそーゆーえらい人のかがくてきりろんで……」
「どーゆー理論やねん」
「いちいちつっこまないでよっ! こ、細かいことはいいとして、私のくぁんぺきっなへんそーで彩ちーを居ても居なくても同じなくっらーい島のマイナーから壁常連の売れっ子同人作家に覆してあげたかっただけなのよ!」
 その言葉にレンズの奥に隠されている南の秀麗な白眉が僅かにつり上がった。
「島の参加者が居ても居なくても同じですって……?」
「そうよっ! ついでに来月から本物の彩ちーにはどえっちなアニパロやおいを描かせて一気に発行部数倍に増やして、そんでもってあの子のサークルを私んトコの委託専用にして申し込ませるつもりっ」
「自分で描くならまだしも、売るためだけに他人にそんなもの描かせようなんて……」
「もう一度言ったげる。詠美ちゃんさまはちょお天才なのよ〜っ!!」
 側にいた由宇には南の眼鏡に亀裂が入り始めたのが分かった。レンズのフレームと繋がった部分が細かく振動している。ついに眠っていた休火山(いやおそらく初めてであろうから新火山)の爆発が迫っていることを温泉地生まれの彼女は直感的に悟った。
「バ、バカ詠美、そのくらいで止めとき。牧やんの怒りに火を注ぐだけやで」
「うっさい! うっさい!うっさぁ〜い!! 売れない同人誌や自己満足のマイナー作家なんて無い方が会場すっきりしていーじゃない。彩ちーはただのお耽美作家、こみパはただの集金場! くふふっ、もはやだ〜れも疑わないわよっ!」
 その瞬間、南の双眸から雷のごとき閃光が迸り出て強化プラスチックのレンズがチタンコーティングされたフレームごと高い音を立てて粉砕された。
「ゆ、許しませーーーーんっ!!」
 初めて裸眼を衆人の前で公開した南は身全体から怒気の陽炎を立ち上らせ、仏のごとき救済と慈悲を形にしていた普段の顔は阿修羅面に変貌していた。注意はすれど厳命はしたことがないこの運営会社女性社員の趨勢に甘えていた詠美は、刹那後悔のため前意識的に半歩後退してしまったが、すぐに持ち直して虚勢を張り重ねた。
「な、な、なによ〜っ! たかがてーへんの平スタッフがちょお大手サークルの主催者に対してなまいき〜っ!」
 強気を演じているらしいが、詠美が内心かなり動揺……平易に表すればびびりが入っているのは誰もが一目でわかる。ただもうこうなったら意地で後には引けないだけなのだろう。詠美の雑言に揺らされる心も無いように、南は真っ直ぐ身体を伸ばしゆっくりと歩を進めていった。
「あなたは長く居すぎたようですね」
「だだだから、ななななんだってゆーのでしょうかよぉ! ぼぼほぼぼぼぼんじんがこの私に勝てるわけありませんですじゃない!」
 ある程度元々だったが日本語として機能し得なくなっていく詠美の台詞が彼女の心情を全て物語っていた。しかし一度忍耐の糸が切断された南は一片の恩赦もかける素振り無くニセ長谷部彩の目前にまで切迫し終える。
「詠美ちゃん……最期です。せめて祈るがいいでしょう」
「ふ、ふみゅぅぅぅん……! こ、こうなったら泣かす! 牧村さん泣かして一発逆転しないっ!」
 どうしてそうなる、などのツッコミはこの際無意味だった。重い威圧を噴き出しながら何やらサイドポーチから取りだそうとしている南に応じて、詠美はいわゆる浅慮の破れかぶれで先手必勝とばかりに自分のバッグから銀色のレトルトパックを取り出した。
「こ、これが鶴来屋ホテル特製『田舎雑炊』だぁ〜! 家庭栽培のキノコを入れてさらに美味しくなってる、って箱に書いてあるんだからぁ〜! これで私のゆーこと……」
「ぅあたぁっ!!」
 意味のない反撃は文字通りやはり無意味だった。賄賂に気を留めることもなく、南は怪鳥音を発して詠美の眼前に何かを突きつける。
「あなたの足は意志に関係なく後ろに進むわ。地獄まで自分の足で歩いて行きなさい」
 直後はきょとんとしていただけの詠美だったが、南の右手に摘まれている小物体が何であるか認識すると東山三十六峰に轟き渡るほどの大悲鳴をあげてゲートの柱まで後ずさった。先程の後退は前意識的だったが今度のは反射的だ。その後も柱に背を押しつけながら最大限小物体から離れようと身を後ろに反らす。
 過剰なまでの詠美の反応を怪訝に思った和樹は目を凝らして素の顔の南が持っているそれを見た。
「げっ、それは……」
「私の一人暮らし歴は○年! 親のすねかじっている小娘如きに極められる同人ではありません!」
 同人は関係ないのではと思う和樹であったが、兎に角多くの家庭において台所の隅に置かれているそれを抵抗無く持てるのは確かに何でも自分でやらねばならない独身生活の賜であろう。ちなみに年数の規制はプライバシー保護のためである。
 厚紙製の低い立方体の中では何やら数個の小物体が粘着物に捕らえられてもがくような音が聞こえている。聞きたくないのにそれが耳に届いてしまった詠美はさらに身を固くして脂汗を流した。
「と、止めてぇ〜っ! その音を止めてぇ〜!!」
 だが南は意に介することなく一歩一歩着実に間合いを詰めていった。詠美は堪りかねて柱の後ろへと逃れようとする。あと少しで柱を4分の一周せんとする寸前、彼女は急にブレーキをかけ停止した。それはさすがこみパ熟練参加者の為せる瞬時の判断だった。彼女のしがみついていた柱は出口専用ゲートのものであり、あと半身も回れば外に出たことになっていたのだ。
「あ、ちょっ、ちょっ、ちょっとたんま〜っ!」
 焦燥と恐怖に挟み苛まれながら詠美は忍耐能力を限界まで酷使して踏みとどまっていた。その間にも眼鏡を外した女性こみパスタッフの持つ小物体捕獲装置が距離を縮めてくる。
「やだ、やだ、やだぁ〜! ここから出ちゃったらどうやって戻ればいいのよぉ〜!?」
「もう一度自分で入場すれば?」
 普段は温かみのある態度で参加初心者にそう説明している南だが、同じ台詞を突き放すような情緒の無さで言い放った。
「だって一般と一緒に入ってたら昼過ぎに……。あ、そうそう、サークル入場券が……ああ〜っ! 入ったときにもう係員に渡しちゃってるぅ〜!」
「券が無うては入りようがないか……」
 ここまで南をキレさせてしまったからにはもう何もできない、そう察して由宇は憐れみの視線を喧嘩友達に向ける以外にできることはなかった。
 ついに悪魔の小箱は崖っぷちにいる少女の手前まで辿り着いた。所々切り取られている窓からはちらちらと細い触覚と茶色の光沢が見えている。
「い、いいの? いいの? いいのぉ〜? この私が会場に居なくなったらおたくどもがスケブ描いてもらえなくて困るわよ〜っ!!」
「安心して。大手作家一人のわがままでどうにかなってしまうこみパではないわ」
「そ、そんなぁ〜! いやぁ〜!」
 何を言われても南の二つの瞳が酌量の方向へ揺らぐことはなかった。詠美は藁でも掴まんとするように手辺り構わず無我夢中で既知に救助を求める。
「子パン……じゃなくて由宇ちゃぁ〜ん! 助けてよぉ〜!」
「い、今更“ちゃん”てなんやねん。わ、悪いけど今の牧やんには逆らえへんわ。堪忍な」
「はくじょおものぉ〜! なぜぇ〜!? ちょお天才のこの詠美ちゃんがなぜぇ〜!?」
 最後の力を振り絞り柱にしがみついている自称天才の顔の前に例の箱が掲げられた。そして南の手によってゆっくりとその箱の天井の蓋を開いていく。
「あなたはもう落ちている」
「ふにゅ……ふにゅ……ふにゅうううううぅぅぅ………………ぅわらばっ!」
 顔色を青から紫・黄・緑と目まぐるしく変えて、詠美は意識の縁から滑り落ちたような悲鳴を上げた。そして耐えきれず目を回した彼女の体はゲートの外へと倒れ込む。
「はい、出ましたね。退場です」
 間髪入れず柵が動かされ、詠美の正面でガチャンと鉄と鉄のぶつかり合う音がした。彼女の意識はそのまま白く心地よさそうな棺桶に両足を突っ込んで消えていく。
「あなたのことを一番知らなかったのは、あなた自身だったようね」
 会場の中からゲートの外を見下ろしながら、南は正常に戻った即売会の空気を満喫するのであった。

                               完

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            自壊……次回予告

 詠美に続いて彩を拉致した謎の人物!
 それは実力ある者を青田刈りし、コミック界を支配せんと企む巨大な力であった!
 過去に封印された禁断のあだ名『うっかりミナ兵衛』と呼ばれ動揺する南!
 そして地獄の収容所に集められた同人作家たちの運命は?!
 同人の涙が乱を呼び、南の怒りが天を砕く!!

 次回・こみパの券
  <凄絶!田舎高校漫研師弟 サワダではない! 編集長と呼べ!!>

 「あなたはもう、落ちている」

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 こんにちは ここでは初めまして

 本家リーフさんの即興小説コーナーが無くなるらしいので、こちらの方に投稿させていただきました。INETのBBSは読み込みに時間がかかるので本来あまり寄らないのですが……。

 ところで私はニフティサーブでLeaf専用二次創作パティオ『若葉の閲覧室』も開設させていただいております。もしよろしければそちらの方も一度巡回なさってみて下さい。

 では
  若葉の閲覧室ID及びPASS ID:KHF11063 PASS:無し(FREE)
  一括ダウンロードデータライブラリ FCGAMEX 4番