それは白かった 投稿者:笹波 燐
     ある日の事。
    「・・・というわけでさ、ちょっと琴音ちゃんの力を借りたいんだ」
    大きな荷物を運ぶのに、琴音の力は打ってつけである。その人のいい性格をみこんで
   (利用してとも言う)、浩之は彼女を呼んだのであった。
    「はい、私でお役に立てるなら・・・」
    ちょっと顔を赤くしながら、琴音ちゃんは答えた。
       
    「じゃ、頼むぜええ・・・!」
    言いながら浩之は、最初の荷物を持ち上げようとする。
    同時に琴音ちゃんが精神を集中し、力を発動させる。
    彼女の周りに風が生じ、舞い上がり──、荷物が軽くなって行く。
    「おおし・・・って・・・白・・・?」
    浩之の視線が、風によって舞い上げられた琴音ちゃんのスカートの中に向いていた。

    「・・・いやああああああ!!!!」
    ごすっ!!

    悲鳴の直後に鈍い音が響き渡り──
    浩之は全治一ヶ月の怪我を負ったのだった。

       自業自得。

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