いつかのメリークリスマス 投稿者:皇 日輪
  12月・・・
  街はもうクリスマス一色に染まっていた
  慌ただしく人が行き交っている

  俺は閉店間際の店に飛び込み『お前』へのプレゼントを買っていた
  ・・・いつだったか欲しがってた『アンティークのオルゴール』

  ウインドウの前に魅せられたように立つ『お前』・・・

 「欲しいのか?」と聞いた俺に照れたような笑いを浮かべ
 「見てただけ・・・」と答えた・・・

  俺はただ『お前』の喜ぶ顔を見るのが幸せだった

  歌いながら線路沿いを、家に少し急いだ

  ドアをあけた先にみえる『お前』は夕食を作っていた

  誇らしげにプレゼントを見せると
 『お前』は心から喜んで
  そんな『お前』を俺は素直に抱きしめた

  いつのころからだろう・・・
 『お前』を失いたくないと想いはじめたのは

  いつのころからだろう・・・
 『お前』の横顔を美しいと思うようになったのは

  部屋を染めるろうそくの火をみつめながら

  ・・・離れることはないと誓ったあの日・・・

 『お前』は何故か涙が止まらなくて
  俺の胸に顔をうずめ泣いていた
  そんな『お前』のたしかな暖かさを感じながら
  本当に離れる日はないと信じていた

  いつまでも手をつないでいられると思っていた
  
 『お前』がいなくなることなにより恐いと思った

 『愛している』ということに気がついた  『いつかのメリークリスマス』


  いつのまにか立ち止まっていた俺の横を
  幸せそうな顔をした家族が通り過ぎていく
  俺は足早に家路へと急ぐ

  扉開けると
  微笑んだまま眠る『お前』に
  そっと口付けを交わす

 … 涙が…
 …一雫・・・
 ・・・ゆっくり『お前』頬へと流れ落ちた

『愛していた』ということに気がついた  『いつかのメリークリスマス』


  

  
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