今日、久しぶりに祐介のやつにあった。 「やあ、浩之、久しぶり。」 「よお、祐介じゃないか。どうしたんだ。」 「そういえば発売されたねえ。」 「突然だな、何がだ?」 「リーフファイトTCGだよ。」 「ああ、そういえば。」 「まだ買ってないの?」 「んー、貧乏学生の身分ではちょっと痛い出費なんだよなあ。」 「そう、それは困ったねえ。」 「いや、それほど困っちゃいないんだが・・・。」 「いいことを教えてあげるよ、困ったときのおまじない。」 「聞いちゃいねえな。」 「ふるーい古い秘密の言葉。 『すたーたー、わんぼっくす、ぶーすたー、つーぼっくす、ぷりーず。』」 ・・・・・。 「は?」 「『我を助けよ、光よ蘇れ。』という意味・・・」 「うそをつけ。」 「嘘じゃあないよ。この呪文を唱えると、かわいそうなロボットが君の元に ・・・」 「来ましたあ。」 「ほら来た。」 「・・・・・って、マルチ!!」 「お買いあげ、ありがとうございまーす。」 どさ、どさ、どさ 「こらマルチ、俺はこんなの買うなんて一言も・・・」 「代金、確かに頂戴いたしました。」 「セリオぉぉおぉぉぉぉぉぉおお!いつの間にっ!!っていうか財布返せ!!!」 「私はこれからゴリアテを墜としに行かなくてはなりません。それでは。」 しゅばっ 「逃げるなぁぁぁぁぁぁ、そして飛ぶなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「わたしもキタキの巣を見回ったりもしなきゃいけませぇぇぇぇん!」 ぴこんぽこんぴこんぽこんぴこんぽこん・・・・・・・ 「ああっ、ぴこぴこマルチ!おまえまでっっ!」 ・・・・・・・・ こうして、今月の生活費と引き換えに、図らずもリーフファイトTCGの コンプリートを果たした俺は、今日もわびしい食生活とともに一日を始める。 「さあ出ーかけーよーおー、ひときーれのーパーンー・・・・・」 (ざ・ぐっばい)