−遊撃宇宙戦艦セリオン・第三十三話『戦場の行方』−  投稿者:紫炎


『梓…お姉ちゃん?』
 遠く静かな時の記憶…
『初音なの?』
『うん、ようやく会えた…みんなここに来たんだね』
『みんな…?』
 浮かび上がるは3つの魂…
『梓…姉さん』
『そうか、お前も選ばれた者というワケだな』
『アズエル、やはり次はお前であったか…』
『楓、柳川、ダリエリ…そうか私はネルフによって…』
『創世、始まりより存在せし7つの箱船<セラフ・ヨーク>、
私たちはそれを駆る意志となるために今存在しているの』
『そして残りは2つ…もうじきすべてが終わる、いや始まる
のか?』

−遊撃宇宙戦艦セリオン・第三十三話『戦場の行方』−

「………」
「ついに始まりますか…つらいですな」
「………(こくっ)」
「それではセリオンを発進させます」
 そうして私はセリオンは発進した、極秘裏に建造したマルチザードの
サポートとして奪わせるために。そうしたのは宇宙連合軍やエルクゥたちの
目を欺くためだ、藤田さんを救うために必要なタリスマン…それを手に入れる
ためには力が必要だった。当時対した力のなかった電波推進委員会に裏で
援助していたのも、組織内では反対の多かった兵器産業に手を染め宇宙連合軍との
渡りを付けたのもすべては『力』が必要だったから…そうしなければあのエルクゥ
を滅ぼすことは出来ないと思ったからだ。なぜなら7つあるタリスマンの内
最後のタリスマンの行方はあのエルクゥの母艦『ジロウエモン』の原動力だった
から…

「お嬢様、少しお疲れではないですかな?」
「……(ふるふる)」
「そうですか、どうやら基地内の戦闘は大幅カタがついたようです。
ですが…」
「………藤田…さん」
 そこは火星上空にある機動衛星『クルス』の中央管理センター…
「彼らは無事のようです。ただクルーの1人である保科智子が戦死しました」
「…………(コクリ)」
「では参りましょうか芹香様」
 セバスの言葉により芹香は立ち上がり、そしてゆっくりと扉に向かって
歩き出した。



「ハァ…ハァ……」

「どこだぁ、探せぇぇえ!!」

 聞こえる…人間の声が……

「こっちだ、こっちにエルクゥがいたぞ」

 駄目…身体が思うように動かない、ここで終わりか?

「おーい、こっちだぁって!?…お前はっ…ぐあっ!!」

 ドサッ!

「あ…?」
「間に合いましたね、かおり様」
「お前は…ESP?」
「まったく探しましたよ、どうです動けますか?」
「…なんとか…動くことくらいは…」
 だがまだ身体が鈍い…エルクゥの回復力では直らない、
神経系の部分をやられたせいだ…
「ちっ、今人間どもがエルクゥ狩りをやっています。
すぐにここから立ち去らないと…」
「ヨークは?」
「大方のヨークはすでに破壊されました。かおり様のは
光学迷彩がかかっておりましたので」
「無事…か」
「はい、『アクシズ』、『vlad』らもすでに乗り込んで
おります。急ぎましょう」
「何?…アクシズ…vlad…二人とも確か死んだハズじゃあ?」
 そう、あの二人は確かに綾香と葵たちの手によって殺されたハズ…
「ふふ、分かりませんか?」
「?」
「真に仕えるべき主は耕一様ではなかった…ということです」
 バキッ…
「お前…その身体は…?」
 ビキ…バリ…
「さあ、アナタも…」


『こちら側の世界へっ!!』





 
 …ィィイイイイイン…

「えっ!?」
「どうしたの?」
 そこはセリオンのブリッジ…オペレーターである
吉田と桂木はそこでセリオンのクルーとともに避難していた。
「…あれ…ううん、桂木さん…今の?」
「えっ、何よ?」
「あ、気のせいかな…なんでもない」
 突然の吉田の反応に桂木は多少不振気に思ったものの
それ以上は口にしなかった。だがそれは疑問を感じなかったから
ではない。視界にある二人がよぎったからである。
「…あれ?…ちょっと吉田、アレ見てよ!」
「えっ!?」

 ピッ…

 モニターにこの格納庫の一部がUPで写される。
「あ、月島さん…それに香奈子ちゃんだ。二人とも
無事だったんだぁ」
「でも、なんであの二人セリオンの中に戻ってこないの?
あっちはたしか機動兵器用の…」
「あ、何かに乗り込んだ。見たこともない機体だよ、でもなんか
強そう…金ピカだし」
「あ、出る…なんで?」
 月島と香奈子の乗り込んだ機体はゲートに向かって
歩き出していた。
「…ちょっと、何これ…あの二人どうするつもりよ!!」
 ピッ!
『あれは形式番号KODS−08A<OZ>(オズ)です。』
「セリオ、…形式番号SKOD−08って廃棄されたKODシリーズの8番目…」
「それのカスタムタイプってこと?」
『軌道、角度調整などから計算してあのマシンが向かう先は…』
「…向かう先は?」
『地球です…』
「地球…ですか、あのマシンで?」
「無理に決まってるでしょ!」
『いえ…それが可能なのです。このセリオンが独立戦闘型宇宙戦艦
というならば<アレ>は独立戦闘型機動兵器とでもいうべき兵器…
さらに航行距離や速度も戦艦をはるかに凌いでいます』
「それを、月島さんと香奈子さんが…でもなぜ地球に?」
『それは…分かりません』
「一体…何だというの?」


 続く…


−ウンチク−

SKOD−08A
名称:OZ(オズ)
 金色をした電波使い専用の機動兵器。かつて来栖川が
開発し、そのバランスの悪さ故に日の目を見ることなく廃棄
されたKOD−08(ベアルス)をベースにしている。
が、その能力についてはベアルスはおろか現在において存在して
いるすべての機動兵器をはるかに凌ぐ能力を持っていて、この
機体一体で艦隊を全滅ことすら可能である。またこの機体において
特筆すべきはODPフィールドと呼ばれる独自のシールドである。
このシールドは電波使いより発生した電波を増幅、変換したもので
セリオンのクリスタルフィールド同様あらゆる攻撃を跳ね返す。
またそれだけではなくこのシールドを張ることにより、空間と時間に
一定のズレが出来る。これによりこのオズは亜光速で移動が出来、
戦艦以上の航行距離が可能なのである。またこのマシンには他に
隠された能力があるが、それについての説明はこの姉妹機である
SKOD−08B<OM>(オム)で語ろうと思う。



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 ども紫炎です。ようやく泥沼の状況から開放され、SFに戻れた
気分(笑) とりあえずアクシズさん、vladさん、ESPさんら
まだ出てください(突発的に生き返った(笑))
後、次回かその次くらいから仮面さん登場してくださいね〜〜♪
 くまさん、八塚さんはちょい先(^^
そういやセラフ・ヨークって名前…誰かSSで使ってましたっけ?
ん〜〜〜なんかなじみのある名前なんだが…誰か覚えがあったら
許してください(^^

出羽出羽〜〜〜♪
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/