はるかのち冬弥 〜神岸あかりの場合〜 第一話『後悔の季節』 投稿者:紫炎
 それは春先の午後、出会いは突然来るもので…
『というわけでだ、今日にでもそっちに俺の知人の娘
さんが来るからよろしく頼むぞ』
「ちょっと待て、いきなりなんだってんだオヤジ!!」
『くれぐれも俺に恥をかかすような真似だけはせんように、
じゃあな!』
「待たんかいぃぃいいいい!!!」
 ガチャン…ツーツー…
「切れた…」
 俺は一人の女の子と一緒に暮らすこととなった。


  はるかのち冬弥 〜神岸あかりの場合〜

      第一話『後悔の季節』


「というわけで、よろしくお願いします」
 そういうわけらしい、電話が切れた五分後に
その子は来た。 
「はぁ、どうも…お早いお着きで…」
「えっと、あなたが藤井冬弥さんですよね?」
「はい…」
「で、こちらが河島はるかさんですね」
「え?」
「よろしく…」
 気が付くと横にはるかがいた。
「ってちょっと待て」
「ん?」
「なんでお前がここにいるんだ?」
「なんでって冬弥、一緒に暮らしてるから」
「誰と誰が?」
「冬弥と私…」
「暮らしてねえだろっ!!」
「あの…」
「はい?」
 俺がはるかと言い合ってるのを見てその子は困った
顔をしていた。
「あ、ごめん…いやコイツがいきなり変なことを言うから」
 というかはるかが今ここにいること自体が変だ。
「でも、お父様のお手紙には冬弥さんとはるかさんが
ここに住んでるからと…」
「へっ?」
「父公認…いえーい」
「いえーいじゃねえ、何かの間違いでしょう…えっと、
ナニさんだっけ?」
「神岸あかりと申します」
「ああ、あの神岸さん…その手紙ある?」
「はい、これ…」
 そういって神岸さんは俺に手紙をよこした。
「…どれ……あ、確かに書いてある。なんで?」
「私が付け加えといた、いえーーい!」
「いえーいじゃねえ、出てけぇぇぇえええ!!!」
「…冬弥」
「なんだよ?」
「若い男女が二人きり…どうする?」
「ど、どうするって…」
 
 ドサッ!

「へっ?」
 突然、神岸さんがかばんを落とした。
「神岸…さん?」
「え、ああ別になんでも…」
「そう?」
「押し倒すか?」
「ひっ!?」
「するかっ!!って神岸さん、あの…」
 ズリ…俺が一歩前に出ると神岸さんも一歩下がった。
「ほお、やる気になったか冬弥…さあその熱くたぎった
若気のいたりを使ってケダモノのように食らい付くがいいさ!」
「いやぁぁあああああ、浩之ちゃぁぁぁあああん!!!」
「誤解を招くようなこと言うなって…神岸さんもそんな離れ
んでも!!」
 すでに彼女は玄関を出てはるか後方にまで下がっていた。
「…さあ冬弥、あんな疑心暗鬼にかられた少女と二人きり…
どうする?」
「お前がそうさしたんだろうがっ!!」
 …といってもなぁ、確かに見知らぬ女の子と二人っきりてのは
確かに体裁…というか由綺が怖い。
「はるか…」
「ん?」
「お前の好きにしていいから神岸さんの誤解解いてくれ」
「…メンドイ」
「今夜は鍋だ…」
「ラジャー」
 よし、はるかは昔から食い物ででつるのが一番早いからな。
「あかり…」
「はるかちゃん」
 よしよし、頼むぞはるか。
「あかりが思ってるほど冬弥は酷いヤツじゃない…」
(そうだ、ちゃんと教えてやってくれはるか!)
「仮に恋人裏切って先輩くどいたり、親友殴ったり、
家庭教師をしている相手を食っちゃったりしてるけど
根はいいヤツ…ただ肉体的欲望に弱いだけ」
「待てやっ!!!」
「いやぁぁあ、犯されるぅぅううう!!!」
「ちょっと落ち着いて!!」
「おやおや、気の弱いこと」
「お前のせいだろっ、なんとかしろよ!」
「仕方がない…あかり」
「えっ?」

 ドガッ!!

「………」
 ドサッ 神岸さんが倒れた…えっ倒れた?
「落ちた」
「あっあんた、トゥハートのメインヒロインになんばするかね!?」
「…冬弥」
「はるかぁ…お前ってヤツは…」
「鍋…」
「出せるかっ!!!」
「冬弥…嘘つき……」
「お前そんなことよりっ…」
 ズガッ!
「グッ!?」
(はる…か……テメエ…)
 俺ははるかの一撃によってゆっくりと意識が薄れていった。
そして俺と神岸さんが目を覚ましたとき目の前にあったのは
巨大な鍋とカラになった財布、そして満足そうな顔をした
はるかであった。

「ご馳走さま…」
「ザケンナァァァアアアア!!!!!!!!!!」



 今日は居候が二人増えた…だがそれはあまりにも深い、深い
代償だった…… 


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 まっ、後2,3話は続きます。
ハレのちグウ&ルームメイトかもしれないが…
話が延びればウテナに変わるかもしれません…
薔薇の花嫁…はるかか理奈…でも理奈って七実なんだよなあ、
気分的に(笑)
でもはるかの兄ちゃんの名前知らんから暁生さん出れないなぁ…
まあ、よろしゅう♪

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