サクセス同人ストーリー〜殺意の知世〜 第二話『冤罪』 投稿者:紫炎
               −解説−
 『駅同人』とは、よく新幹線などの駅の売店で売られている同人誌の
ことである。地方によって様々なバリエーションがあり、ポピュラーな
モノとしては幕の内同人、鮭同人、シュウマイ同人etc...高価な
ものでは伊勢海老同人などがある。伝説のお宝同人は10万円もの価値が
するらしいがどうやらうたたねひろゆきが一枚噛んでるらしいとの噂。

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「くそっくそっくそぉぉおおおおおおおおお!!!!!!」
 その日、極限状態の雅史は猛烈な勢いでペンを走らせていた。
「僕は知世属性だぁぁああああああああ!!!!!!!!!!!」
 前回、知代属性と書かれたことがよほどのショックだったらしい。
しかしKEYのトモヨはどんな漢字だったか?
「待っててよ浩之、僕は僕としての最高の作品をぶつけてみせる!!」
予定の日にちまであと3週間、雅史はそのぎりぎりまで作品の質を
上げるつもりだった。その魂を削りながら漫画は完成に向けて着実に
進んでいく。


「同人作家に必要なモノとは何かっ!」
「……ハァ…ハァ…」
「それは一に体力、二に体力、三、四がなくて五に体力、
すべてにおいての基本は体力、まずは鍛えよっ!!!!
さすれば自ずと同人への道は開けよう!!」
「んなわけあるかぁあああ!!!!!!!!!」
 大同人養成ギブスを身につけ、ひたすら兎跳びをさせられ
ていた浩之はすでにその命を果てようとしていた。

「うう、浩之ちゃん可哀相…」

 遠くの木の影から応援するあかり、しかし父ちゃんは
そんなこと意に介せず浩之を鍛え続けた。
「くくくくくっ、この父の愛は空よりも広く、海よりも
深いぞ!!」
「テメエなんか父ちゃんじゃねえ!」
「くやしかったらダディと言ってみよ!!!」
 また分からないネタを…ちなみに☆●ュウマはかつて
上流階級の作法を教えられ、父のことを素で『ダディ』と
呼び、さらに父に素で返されたという逸話がある。いや、
ただそれだけなのだが…
「くそっ、やってられっか!」
「またんかい同志っ、貴様今ここで投げるというのか?」
「俺は元から…」
「いいや、貴様にこの勝負を投げることは出来ない。なぜなら
貴様が逃げるということは貴様のもっとも大切な友人を裏切る
ことになるのだからなぁっ!!」
「ぐっ!?」
 大志の言葉が胸に刺さる。そう雅史は勝負することを決めた
(無論、一方的な話だったが)日からろくに学校に来ていない
のだ。時々来ても顔を青白くして寝ているだけで、起きている
ときがあっても浩之の顔をチラチラと眺めてはニヤニヤ笑っている
だけなのだ。ここ最近、一切の会話はない。言うまでもないが
他のサッカー部員も同じようなものだった。
「どうした、貴様はチキンかっ、いやそうではあるまい。貴様は
いずれ世界を支配する男だぞ。ここで終わるような存在では
断じてないハズだ!!!!」
「…クソッ……この男は…」
 だが浩之の性格から逃げることは出来なかった。そうどんな
イヤなことであろうと友との約束を破ることなぞできるハズ
などないのだ。
「クソクソクソクソォォォォオオオオオ!!!!」
「さあ次は鋼鉄Gペン上げ2000回いくぞぉぉおおお!」
「ああ、もうやってやるぜっ、ヤリパンサー!!」
 九品仏大志、この男…やりたい放題である。




 そして勝負の当日は来た。
「みんな乳ヨークへは行きたいかぁあああ!!」

『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

 大盛況である。
「うわぁ、すごい人だかりだねえ」
「乳ヨーク?」
 一発変換である。
「ふーーーん、ってなんなんだこの人数はっ!?」
「くくくくく、この日のために前宣伝、新聞広告は勿論、
電車のチラシやCMなどなど、様々なメディアに情報を流して
おいたわっ!!」
「テメエ、なんつー恥ずかしいことをしてくれるんだ!?」
「チケットは勿論『チケットぴあ』オンリーよ!」
「…………」
 
「あら浩之君…」
「えっ?」
 突然の呼び声に浩之が振り向くとそこにはあかりママがいた。
「あらやっぱり浩之君じゃない、あかりから聞いてはいたけど
アナタ『オタク』だったんですって?」

 ズガーーーーーンッ!!!!

(あかりぃぃいいいいいいいいいいいいい!!!!)
 浩之は心の中で絶叫し、血の涙を流していた。そう、オタクに
とって近所の方々にそのような噂を流されることくらいツライもの
はない。特に親戚のおばさんなどに言われることほどイヤなもの
はないハズなのだ(秋葉原で100人の方に聞いてみました(嘘))

「クスクス…」
 ちなみにあかりはその様子を影で笑いながら見ていた。

「もお、おばさんもちょっとビックリしちゃったんだけど浩之君、
抱き枕っていうの?…キャラクタの絵が描いてあるヤツ…それを
夜な夜なギュッて抱いて寝てるんだって?」
「いやーーそこまでは…」
 浩之、100のダメージ…
「キャラグッズで部屋が埋まってるってホント?…この間なんて
雨の日、ピカチュウとたれぱんだの貯金箱を袋がなかったんでそのまま
持って帰って、途中電車の中とかで猛烈に恥ずかしかったってのも
本当なの?」
「貯金箱の話は作者自身の…」
「保存用、鑑賞用、貸し出し用に3枚も同じLDを買ってるらしいじゃ
 ない。おばさん、そんな無駄遣いはあまり感心しないな」
「…うーーん、そいつはオトナ買いっていいましてって…ん?…
アレ?」
 浩之は目の前にいるあかりママにかすかな違和感を覚えた。この
オタクな会話が次々と飛び出してくることもそうだが、その髪もどうも
ヅラっぽい。なによりポケットの携帯のストラップがト…知世?
「知世…ちゃん?」
「えっ…あ、あああ…」
「確か知世属性は…………雅史…」
「……………」
「……………」
「……バレた?」
「うん…」
「…………」
「殺す…」
 


 続く。

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 ん〜〜〜〜〜、すんげーキレの悪い終わり方(笑)
次回『雅史編』怒涛の最終回…のハズ。

>……とりあえず頑張れ、雅史! 知世属性として!(爆)
前回は知代と書いてしまった。海よりも深く反省(笑)

んでわーーーー!!
 

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/