−遊撃宇宙戦艦セリオン・第二十三話『猛虎』− 投稿者:紫炎
登場人物一覧
   矢島:本編の主人公、独立戦闘型宇宙戦艦セリオンの艦長を務める。
   来栖川綾香:セリオンではAIセリオと組んでオペレーターを務める。来栖川グループ
           の後継者であり、格闘家である。
   松原葵:宇宙海賊ToHeartのクルーで、戦艦そのものとの直結による操縦を行
        っていた。世界でも最高レベルの戦闘能力を持つ。
   月島拓也:電波推進委員会の幹部を妹に持つ電波使い。セリオンではパイロット
          を務める。
   太田香奈子:月島拓也の恋人。電波に対しての耐性が強く、パイロットとしても
           一流の腕を持つ。
   長岡志保:有名レポーター。現在は戦場の最前線をレポートしまわっている。
           なお、ToHeartのクルーである志保とは別人。
   宮内レミィ:志保のパートナーのカメラマン。こちらもToHeartのクルーである
           レミィとは別人。
   vlad:プロレス好き。
   アクシズ:ガンダム好き。
   ESP:CCさくらのコミックスを売っ払った罪人


−遊撃宇宙戦艦セリオン・第二十三話『猛虎』−

(右っ…左、右!!)
「そこだぁっ!!」
 一瞬の攻撃を避け、綾香はvladを投げ飛ばす。
「ぐっ!?」
 だがvladは空中で体勢を建て直し、そのまま着地した!
「なんて反応が早い…」
「こっちの攻撃がお留守ナリよっ!」
「!?」

 ガッ!!

 綾香はわずかに身体をずらし上段からのアクシズの蹴りを受け流そうとした、が…
そのあまりの威力に数歩ほど吹き飛ばされてしまった。
「…!?…腕がっ…」
「ふぅ、まさか今ので倒れないなんてお前、本当に人間ナリか?」
「アンタね、仮にも女の子に何てこと言うのよ!!」
(…って、言い返してる場合じゃないか…今ので腕が痺れて…)
 綾香は自分の腕を上げ、構えをとった。だが先ほどのダメージにより
その腕はほとんど動かなくなっている。
「ふふん、元気がいいナリね。vlad、ここは我が輩に任せるナリ!」
「ちっ、さっさと決めろよ!」
(腕のしびれがとれるまでまだ少しかかる…どうする?…逃げるか?)
「では、行くナリ!」
(…駄目、逃げ切れない…やるしか…)
「ないっ!!!!」
「!?」

 瞬間、綾香は走り出し、そしてそのままアクシズに向かって飛んだっ!
「なにっ!?」
「りゃぁあああああああ!!!!!!」
 飛び乗ると同時に綾香は足でアクシズの首を絞めあげる。
「ぐっ…かはっ!?」
「イイイイイケェェエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!」
 そしてそのまま、体重を前にかけ、足で絞めた頭を重力に任せるまま
床に叩き付けた。
「グォッ!?」
「やった!!!」
「…甘いナリ」

 ガシッ!

 綾香の足がアクシズの手に掴まれる。 
「その程度の攻撃はエルクゥの力を持つ我が輩には通用しないナリよ!」
「!!」
 戦場において何よりの命取りは油断、アクシズは綾香の油断を感じ取り、
そのまま攻へと向かおうとしたのだが、実際極限にまで神経を張り詰めた綾香に
油断はありえない。それは数秒後にアクシズが知ることとなる。

 
「…まるで踊っているようだな…」
(なんだ、どうして我が輩が…)
「アナタは私と踊ってくれるのかしら?」
(アイツらがなぜ我が輩の視線より上に…?)
 アクシズは2秒ほどのブランクの間、何があったのか分からなかった。
そして、その身体はまるで動かず、感覚を認識することすら出来ない。
「アクシズの投げを逆手にとって2度目の頭部打撃…さすがにベースが人間では
動けぬよ」
(…!?…我が輩は…負けた…?)
「さて、次は俺とダンスしてもらおうか」
「まっ待つナリvlad!!!」
「なっ!?」
「タフだなぁ…」
 vladと綾香が視線を後ろに向けると、ふらつきながらも立ち上がろうとするアクシズ
の姿がある。
「まだそいつとの勝負はついてないナリ、お前は引っ込んでいるナリよっ!!!」
「うるせえっ、このままオアズケくらってるってのもシャクなんだよ…それとも他の獲物を用意して
くれるのか?」
「…私がお相手しましょう」
「「「!?」」」
 その突然の言葉にその場の誰もが声のした方向を向いた。
「あ、あんたは葵っ!?」
 そう、綾香の言葉通りそこにいたのは葵であった。だが明らかにその気配は
綾香の知っている葵のモノではない。かつて彼女が持ち合わせてはいなかった
もの…圧倒的なまでの殺気がそこには存在した。
「綾香さん…お久しぶりです」
「そう…だったわね、アンタも…ToHeartのメンバー…」
「その様子ではセリオンのメンバーはみんな逃げてしまったようですね」
「悪いけど、姉さんの命令を聞く気にはなれないの」
「……その話は後で、今は…」
 葵はvladに向かって構えた。
「お前がダンスの相手か?」「私、ダンスなんて踊れないですよ」
「身体に教えてやるさ…」
「…よろしくお願いします」
 二人の間の空気が歪む。そして葵は自らの中に殺意が満ち溢れてゆくことを
感じ、それを開放した。
「で、こっちも行く?」
「当然ナリ…もう油断はないナリよ」
「…始めっからマジだったクセに…」
「うるさいっ!!!」
 同じく、綾香とアクシズも第2戦目の戦いを開始しようとしていた。



「まったく、どういうことよっ!」
「OH、まさかエルクゥを生で見れるとは思いませんでした!」
「君らは死にたいのかっ、とっとと走れ!!」
 ここは綾香たちとはかなり離れた奥の地区、戦場ライターである志保と
カメラマンのレミィは月島に連れられセリオンのあるドックに向かっていた。
「拓也さん、こっちは大丈夫ですっ!!!!」
 前を進んでいた太田が通路の曲がり角から声をかけてくる。
「分かった、君たちもちゃんと着いて来るんだぞ」
「はいはい〜」
「急がば回れですねぇっ!!」
(ちゃうわっ!!!)
 月島はこの二人のノリにほとほと疲れながらも、安全な道を選んで進んでいた。
これは広範囲に電波を張り巡らせ、香奈子に同調して調べているのだが、無論志保と
レミィはそのことを知らない。
「ほんと、私達運がいいよねえ。化け物共に一回も会わないなんて!」
「まったくです!」
「…この馬鹿どもが…………!?…んっ?」
「どうしたんですか?」
 突然の月島の反応に香奈子が心配になって声をかけた。
「…人が…いる?」
「何言ってるのよ、ここは一本道よ!誰かいるハズなんて…」
 志保の声を無視して月島は辺りを見回した。
「…………」
「ねえ、聞いてるのっ?」
「ここだっ!!」

 カチャッ…

「えっ?」
 月島が壁の一端に手をかざすと突然、その壁が動き出した。
「電子ロックか…そのようなもの、電波使いには意味などない」
 次第に壁が開かれていき、中の風景が見え始める。
「さて、中には誰が…」
「・・・あ、ああ、これって!?」
「なんか見覚えがありまーす!」
 志保とレミィが揃って声をあげる。
「これは…学校?」
 そう、今月島達の目の前には、かつて浩之たちが通っていた高校が
存在していた。そして…



続く。


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うぃっす紫炎です。
つーわけで23話です。どーも闘いが長引いて話が進まない。
呼んでた人も忘れてるかもしれない志保&レミィですが、セリオンの乗員の
志保&レミィはまた違うものです。どう違うかは後ほど出ます故、
そこんとこはよろしくです!

>マルチ、大地に立つ!
いや最高です(^^
なぜかツボつかれました(笑)

>What'sマルチュウ?劇場版
霜焼けになってませんレミィ?(笑)
氷の中で何してたんだろうという無粋なことは置いといて、
見たいなぁ…ルギア爆誕、ウテナも見たい。そういやブレイドって
もう終わっちゃったのかしら?

デワデワ!

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/