サクセス同人ストーリー〜牙突ライフ〜 第一話『死人』 投稿者:紫炎
「はああ…」
「どうしたの浩之ちゃん?」
 その日の朝、藤田浩之は4度目のため息を吐いていた。
「ん…なんかなぁ…こうパッと…」
「?」
「パッと打ち込めるようなことねえかなぁって思ってよ」
「浩之ちゃん…もしかして暇人?」

 グサッ…

「そっか、確かに浩之ちゃんは部活なんも入ってないし、
趣味も特にないし、友達も私たちくらいしかいないもんね」

 グサグサッ…

「…あれ浩之ちゃん、どうしたの?」
「な、なんでもねえよ…ハァァアア」
 追い討ちのように続いたあかりの言葉に浩之はさらに
大きなため息を吐いた。
「…?…あ、ご、ごめん浩之ちゃん。私そんなつもりで
言ったんじゃなくて…」
「もういいってあかり、何も言うな」
「でも…でも…ホラ浩之ちゃんも私たち以外にも友達いるよ
ね…えっと、ホラホラ確か」

「矢島君!!!」

 ドサッ…
 
「あ、あれ浩之ちゃんっ!?」
 涙が止まらない。ただ浩之は男泣きに泣くしかなかった。

「って話が進まねえじゃねえかっ!!!」
「あううううううう!!!」
「つまりだなっ、俺は今…この魂(ソウル)を充たしてくれる
何かを求めてるんだよ!!!」
 そういった浩之の瞳は島本調に燃えていた。
「そう、ソウルだっ!!!このジャギーでセンチなマイハート
に注いでくれる熱い『何か』を俺は望んでるんだっ!!!」
 多分、本人も何言ってるか分かってない。
「浩之ちゃん……」
「あかり、分かってくれるか!!!」
「学校着いたよ」
 あかりは人の話をまったく聞いていなかった。バカの戯言
など聞けない…ということである。
「あかりぃぃいいい!!!」
「だってぇええ!!」

 『くくく…ハァッハッハッハッハッ!!!!!!』

「ん…!?」
「…何、この高笑いはっ!?」
 それは突然の高笑い、登校途中の生徒たちも不信気にあたり
を見回すが声の出元は判別できない。
『貴様かっ、貴様が吾輩の片腕となるべき男だったか。ついに
見つけたぞ、同志よっ!!!』
「一体どこから話してるんだっ?」
「あっ浩之ちゃん見て!!」
 何かに気付いたあかりが学校の屋上を指差した。
「アイツはっ!!!」

『とうっ!!!』

 浩之が屋上を見上げると、誰かが一気に飛び降りた。
「キャァァアアアア!?」
 あかりも目を伏せる。そう、そいつはまぎれもなく4階もある
学校の屋上から飛び降りたのだ。

 ドサッ…

「………」
「ひ…浩之ちゃん?」
「人形……」
「えっ?」
 あかりがゆっくりと目を開ける。だがそこにあったのは1/1スケール
のマルチ人形であった。
「えっ?えええええっ?」
「一体誰だっ、こんなイタズラしやがったのは!?」
「吾輩だっ!!」
「うわっ!?」
 浩之は後ろからの突然の掛け声に思わず飛び退いた。無論あかりも
動揺に数歩下がる。
「くくくく、この程度でビビリ入るとは修行が足りないなマイダーリン!」
「誰がマイダーリンだ、気色悪い。なんなんだテメーは?」
「ほお吾輩が何者かとな…相手に尋ねる時はまず自分からだと言いたい
ところだがまあよかろう」
(なんて偉そうなヤローだっ!!)
 浩之はこの突然の来訪者に怒りをあらわにしながら睨み付けた。
「ふふん、そんな舐めるような熱い視線を吾輩に送るとは…よき
パートナーとしてやっていけそうだな!!」
 戦意喪失…
「さて、マイブラザー…貴様は今かなりハードな悩みを抱えてるそうだな」
「それよりテメーのことだろうがっ!!」
「くくくく、焦る気持ちは分かるぞ。だが物事には準備が必要なのだ」
「………」
「そう、そしてその悩みを解決する方法を吾輩が握っているとしたら?」
「はっ?」
 突然の男の言葉に浩之は思わず話しに乗ってしまった。
「仮に貴様がどうしようもなくグウタラで女垂らしで、金銭感覚ゼロの
最低男だったとしよう。だがそんな貴様にも何かしらの特技があっても
いいハズ」
「この男は…言いたい放題…」
「…でも垂らしは合ってるかも」
 あかりの頭痛のタネはそこだ。
「そして貴様の特技こそ吾輩の野望を実現させるに足るものだとしたら
どうする?」
「ど…どうするって…?」
 あまりの男の勢いに浩之は反論することが出来ない。
「我が野望と貴様の能力、この二つがあればこの街を、いや国を、世界すら
牛耳ることすら夢ではないだろう!!」
 かなりスケールの大きな話だ。無論妄想としてだが…
「だからこそ貴様は描かねばならない。その手を血に染めようと肉を絶とうと
骨が折れようと貴様は我が野望の礎として闘うべきなのだ。いや闘わざるを
えまい!貴様はただ大いなる目的のために描くことだけを運命付けられた人間
なのだからっ!!!!」
「だからさっきから描くだのなんだのなんの話だっ!!!!」
「決まっておろう、この『九品仏大志』とともに同人界、ひいてはオタクの
すべてを支配し、同時に世界を手に入れることが出来る唯一の武器、
『同人誌』を貴様が描くのだっ!!!!!」


 ドドーーーーン!!!!!!!


「な…なななななな…」
「あっ、九品仏大志さんって言うんだ♪」
 あかりは冷静だ。
「なっ、なんで俺が同人誌なんかをっ!?」
「なんかじゃないよ浩之」
「はっ?」
 いつのまにか浩之の横には雅史が立っていた。
「そうか…浩之もついに同人誌を描くことになってしまったんだね」
「なんだ、なんの話をしている雅史?」
「しかしこれも宿命、勝負というのならば僕も手加減しないよ」
「だ〜か〜ら〜〜!!!」
 雅史の目は真剣そのものだった。命を賭けている…そう浩之には
感じ取れた。だがそれとこれとは話は別である。
「おい雅史、人の話を聞けってんだよ」
「さあっおいでませ。高校サッカー部のみなさんっ!!!!!」

 ズラッズラズラズラ!!!!

「おおおおおおおおおお!!!!!」
 次々と雅史の裏で組み体操が完成していく。
「ふふふふ、この僕が2年に渡って洗脳しアシスタントをこなせるまでに
成長させた部員たちだ。」
「お前、なんてことを…」
 浩之は心底サッカー部員に同情した。だが誰がどのようを幸せを掴もう
とそれはその人個人の問題である。仮にサッカー部全員ががさくら属性で
あったとしても。唯一例外なのは雅史、彼は知代属性である。
「くくくくくっ、いいだろう雅史とやら!それでは勝負は一ヶ月後に
行う!!」
「勝手に決めんなテメェッ!!!!」
「頑張ってね浩之ちゃん。」
「そうじゃねえだろ。」
「勝負の方式はどうする?」
「…では古来よりの血闘方法『駅同人』で勝負しようよ。」
「えき…どうじん…?」
「よかろう…フッ同志よ。忙しくなるぞ!」
「だから人の話を聞けっつってんだろうがぁぁぁあああああ!!!!!!!」

 そして浩之は吠えた。だが運命は次第に浩之を絡めていく。
そう、あの柵に絡み付く真っ赤な薔薇のように…


続く。

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 う〜〜〜ん、久しぶりにこんな馬鹿なモン書いたなあ(笑)
駅同人…つまり将太の寿司を思い浮かべれば分かるかも(^^
わからん人は次回まで待ってくださいね。

でわでわ!

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/