−遊撃宇宙戦艦セリオン・第十七話『鬼と雷』− 投稿者: 紫炎
「鬼に負けたか、緒方さんは・・」
「どうするの長瀬ちゃん?」
白い聖地・・そこには二人の男女がいた。
「もう仕掛けてある・・・さあ第2幕の始まりだ」


−遊撃宇宙戦艦セリオン・第十七話『鬼と雷』−


タッ・・・

戦場の中心、アクア・プラス・ウィルのブリッジ・・・

「お初にお目にかかります・・緒方英二さん」
そこにはエルクゥの王、柏木耕一が降臨していた。
「なるほど・・瞬間転移・・・そんなものがエルクゥには
あったのか」
「はい・・貴方の負けです」

ガタッ・・

「!?」
「うあああああああああああ、エルクゥ死ねぇぇえ!!」
船員の一人が突如立ち上がった、
「よすんだ!!!」

ガン・・ガンガンガンッ!!!!

古式の拳銃から弾丸が射出される・・だがその発射された先に耕一の姿は
なかった。
「・・いない・・・ハッ!?」
「止めてくれ柏木耕一!!!」

グシャッ!!

ピッ・・ピピピピッ・・・

瞬間的にその男の体はミンチになりブリッジ内に散乱した。
「ッキャアァアアアアアアアアアア!!!」
「駄目じゃないか緒方さん、部下の教育はちゃんとしてないと・・
でないとミンナ死んじゃうよ?」
一瞬にして場を移動した耕一は笑ってそう言った。
血にまみれた顔が醜く歪む。
「・・・部下には手を出すな・・・・・」
「結構・・別に殺し合いに来たんじゃない・・ねえ楓ちゃん」

チャッ・・

「楓ちゃん・・」
「緒方さんはさがっていて下さい・・あの人は私が殺します。」
緒方の横には、先ほど光っていた剣を耕一に向けている楓がいた。
剣はさっきよりも遥かに輝いてる。
「かつてジロウエモンがエルクゥを壊滅せしめたエルクゥ殺しの剣『ネルフ』、
そうやってまた昔のようにエルクゥを裏切るんだね…楓ちゃん、
いやエディフェル!!」
「…違う、あなたは…あなたは私の知っている耕一さんじゃないっ!」
楓は耕一に剣をかざし、にじり寄った。
「耕一さんはこんな・・・こんなひどいことをする人なんかじゃない・・
こんなの耕一さんじゃあ・・・」
「なにを言っているの楓ちゃん?」
(エディフィル・・・さあ我を受け入れよ)
「な・・!?」
「みんなのためなんだよ・・全部・・俺は・・・」
(すべては・・このグインの意志の元・・)

「あなたは・・・・」

(私の従え・・皇族の娘よ!!)

タンッ!

「楓ちゃんっ!?」
「消えろっ、耕一さんの中からぁぁああああ!!!」
楓はいつもの冷静さを捨て、耕一に飛び掛かった。
(なるほど・・・)

ガシッ・・

だが楓の一撃はあっけなく耕一に片手で止められた・・
「・・・効かない・・?」
「無駄だよ・・エディフィル、この剣はエルクゥでは使えない・・
まだそこにいる緒方英二が使った方がまだマシだよ・・もしくは
エルクゥを超えた人間・・」
(この耕一・・ジロウエモンではなくてはな)
「く・・ああ・・」
(しかし貴様が我が制約を拒否できるとは・・ジロウエモンとの交わりに
より、エルクゥである因果を開放したということか?)
「あなたは・・一体?」
「さよならだね・・楓ちゃん」
そういうと耕一は楓から剣を奪い取った。
「・・来・・て・・・・」
「ん・・?」
「我がヨーク、エディフィルよ!!」
ズシャァァアアッ!
「なんだとっ!?」
一瞬にして奇妙な触手が床をぶち破り現れた。
「楓ちゃん!?」
「緒方さん・・逃げます」
「・・・だが私は・・・」
楓の言葉に緒方はとまどった・・今自分が逃げてしまえば
多くの部下の命が危険にさらされる、その考えが彼の行動
を止めてしまったのである。
「逃げてください!!」
「篠塚さん・・・・・・だが・・・」
「あなたがいればまた私たちはやり直せます!!」
「・・くっ・・・分かったよ」
「逃がすかっ!」

ザッザザザ・・・・
パシンッ!!

「なっ!?」
追いかけようとした耕一に電流が走った!
「なんだこれはっ、身体が・・・?」
ザザア・・・ピシッ・・パリ・・・・・・

ピッ!!

『お気に召したかい・・・エルクゥの王様?』
突如ブリッジのモニターが開き、男が現れた。
「お前は・・・」
『僕は人の王様さ・・・・』
その男の名は長瀬祐介・・『電波推進委員会』の教祖たる人間である。
「長瀬祐介・・か・・・なぜ貴様が・・・・・」
『緒方さんには何かとお世話になっているからね、恩返しだよ』
無論、今の言葉を緒方が聞いたら冗談じゃないと思うだろう、
それほど軍は電波推進委員会に手を焼いていた。
『それとね・・おみやげそっちにあるから・・もらってよ?』
「なにっ?」

ヒュッ・・

突然、兵士の一人が飛び出してきた!
「ふん・・こりない奴等だ・・・くらえっ!!!」
耕一はその手にある剣を一閃する・・だが・・・・・
ガシッ!!
「甘い・・・」
「なんだとぉ?」
その兵士はこともあろうに耕一の攻撃を受け止めた!
そしてその兵士はその身体をわずかにひねり、耕一に蹴りを
あびせたのだ!!!
「くっ!?」
耕一の身体がわずかにゆらぐ、だが次の瞬間には耕一の身体は
宙に舞っていた。
ズダンッ!!
「くうっ!?」
『あははははははは、どうだい僕のDOLL『くま』の力は?』
「ドールだと?」
耕一は自分を投げた『くま』と呼ばれた兵士を見た。
「こんにちわ・・耕一さん」
くまは笑いながらそう答えた。
『彼には人間の限界を超えるよう、リミットを外してある・・エルクゥと
いえど人間形態のままでは少々骨だろうね』
「お前らの目的はなんだ?」
耕一は長瀬に向かって吠えた!
『・・・今日は挨拶だけだよ・・・・いずれちゃんとした形で事を起こすつもり
だけどね・・もおいいや戻っておいで『くま』さん』
「はい・・・長瀬様」
そういったくまの身体に電流が走った。
「電波使い!?」
「ではまた・・・・・」

パンッ!!!

くまの言葉とともにブリッジの電気がショートし、すべてが闇に支配された。
「くそっ!?」

パッパパ・・・

非常灯が灯る・・だがそこにくまの姿はなかった。
「電波推進委員会・・・やっかいな相手だ、だが・・・」
電気が回復したモニターには逃げ出していく楓のヨークがあった。
「俺を止めることなんて出来はしないさ!」


続く・・・

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ういっす紫炎です!
くまさん、とりあえず出演していただきました。
他の某SS作家連合の方も順次登場していくでしょう。
んでわ次は−遊撃宇宙戦艦セリオン・第十八話『さよなら』−です!
よろしく!!!

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/