−遊撃宇宙戦艦セリオン・第十一話『死者』− 投稿者: 紫炎
『…なわけでこちら火星防衛ラインは完全に占拠されており、これの奪回は
難しいものと思われます…なお政府の公式発表では…』
「ふーーん、地球もやばくなってきたなぁ」
ここはセリオン、ブリッジの中…
「なにをのんきに言ってるんですか…そういえば艦長いつもこの番組見てますね」
「ああ、このレポーターは俺の昔の知り合いなんだよ」
『…とのことです、以上レポーターの長岡志保でした…』


−遊撃宇宙戦艦セリオン・第十一話『死者』−


「あ…CM、艦長終わりましたよ!」
「うん、もおいいや…消しといって……」
オペレーターの吉田の声に矢島が間の抜けた返事を返した…
「へぇ…まーだ私のことおぼえて見てくれてたんだ、もしかして私に気でもあったのかしらん?」
カツ…カツカツ……
「はあ…ってお前…お前はぁあああ!!!!」
「『お前』じゃなぁぁぁぁああああああい!」
ズガシャァァァァアアアアア!!!!!!!!!!
突如現われた女の蹴りによって矢島は吹っ飛んだ!
「いってええええええじゃねえか、志保ぉおおお!」
ガシッ!!
「へっ?」
そのままいきなり矢島は志保にムナグラをつかまれた!!
「あのねぇ『お前』でも『志保』でもないでしょう!私を呼ぶときは志保ちゃんでしょっ、
し・ほ・ちゃ・ん!!」
「は…はい……志保ちゃん…」
「よろしい!」
「…あの、どちら様で?」
「……へ?」
一瞬戦場となったブリッジが静かになった…

「…てぇわけで、戦場の最前線にいるセリオンに取材に来たってわけよ!!」
「カメラマンの宮内レミィでーす!!」
「うう…いてて……」
ムチウチになった矢島は居心地悪そうに志保の横に座っていた…
「ねえ…聞いてるの矢島?」
「へ…は、はい…聞いてますぅう!!」
卑屈である…
「……ねえ美和子…」
「なぁに由紀ちゃん」
「なんか艦長って…ねえ……」
「弱みでも握られてるのかしら?」
桂木と吉田の意見は少なからず…いや完全に当たっていた……
(ほーらほら、あんたのネタはまだまだこんなにあるんだよ)
(なんでまだそんなもん持ってんだよ…高校んときのことだぞ……)
志保ちゃん丸秘メモにはあらゆる情報を余すことなく書かれている…それは
矢島のことだとて例外ではない…というか高校のときはすでに主人と下僕の関係
だったとも言われているこの二人、
「それでどうしたいんですか、志保ちゃんは…」
ピクピク…
矢島はコメカミに青い筋を浮かべながら志保に尋ねた…
「え…まあ艦長や副艦長のインタビューと戦闘風景でも適当に撮らせてもらえれば
いいんじゃない…ねえレミィ!」
「OKでぇす!わたし、そのために来ました!!」
レミィはにこやかに答えた!
「ああ、そういえば副艦長はどこよ!!」
「え…そういえばいませんねぇ……というか誰だっけ?」
副艦長橋本…彼は今もセリオンのどこかをさまよっているのだろうか?
「まぁいいや…実質的な副艦長は綾香さんみたいなものだし…」
「綾香…?」
「でも綾香さんもいませんよ艦長!?」
「ねえ矢島、その綾香って、来栖川綾香のこと?」
突然の志保の質問に矢島は戸惑いがちに答えた、
「え…うん、志保…いや志保ちゃんの知り合いですか?」
考えてみると綾香は姉である来栖川芹香のいない今、来栖川グループの実質的な跡取り
である。レポーターである志保がその名を知らないはずがない…と矢島が思ったが
志保の返答は違った、
「そーそー、私の下僕の一人よっ!!」
「はっ!?」
「オーー綾香さんですかっ、確か高校んときよく志保にたかられてた人デスねっ!!」
「え…綾香さんて俺らと同じ高校だったの?」
「いやいや、なんか不幸にもヒロに惚れちゃってたみたいでしつこくウチらの高校に
足運んできてたのよねぇ…あの人!」
ダダダダダダダダッ!!!
「私は別に惚れてないわよっ、私は姉さんのためにっ……」
ジトーーーーーーーーー
「はっ!?」
『誰も信じてませんよ綾香様』
冷静な意見を出すのはセリオの役目である…
「セリオうるさいっ、大体なんであんたがここにいんのよ志保っ!!」
「あーーら、取材よ!しゅ・ざ・い!!なに慌ててんのよ綾香さん、何か心に
やましいことでもあるのかしら?」
「うぐぐぐぐ……なんてやな女…だから会いたくなかったのよ!!」
「うんうん…」
「そこっ矢島…同調しないの!!」
「ひっ…は、はい」
矢島、卑屈である…
「…あのねぇ、藤田のことはいいでしょう志保…」
「……ん、そうね…もう死んだ人間のことネタにするのは…気が引けるかな」
「は…?」
志保の言葉に矢島は何かの違和感を感じた…
「なによ矢島?」
「あ…あのさ、死んだって誰が死んだんだよ?」
「…え、矢島知らないの?」
「志保っ、そのことはっ!?」
綾香が志保の口を止めようとしたが遅かった…
「ヒロは…藤田浩之は3年前に死んだんだよ!!」


「ヒロ、セリオンの位置確認できたわよっ!」
ここは宇宙海賊ToHeartの旗艦マルチザードのブリッジ、オペレーターの
『志保』の報告がブリッジ内に響いた。
「よっしゃ、それじゃあ行こうかミンナ!狙いはセリオンの動力『タリスマン』だっ!!」
「ようやく見つかったね浩之…」
「ああ…一度はヤツラを逃したが今度はそうはいかねーぜ雅史」
「ふう、ムチャだけはしないでよ…みんなの命、浩之に預けてるんだから」
雅史はため息をついて浩之を見た…
「分かってるって、みんなのこたぁ俺が守る!!!」
「そーそーそれでこそ浩之、主人公の鏡だね!」
「うんうん…」
「それとね浩之…」
「ん…?」
「浩之は…僕が守るからね……」
浩之の肩をつかみ雅史は真剣な眼差しで言った。
「まっ雅史ぃいいいいいい!?」
「あはははは!!」
「……むぅ…お前どか壊れてんじゃねーか?」
「かもねっ!!」
雅史は明るい声で答えた。
「ワケわかんねーやつぅ」
(でもね浩之…もういやなんだよ僕は…あんな思いは)
「二度といやなんだ…」
「まさ…し?」
「なんでもないよ…浩之」
そしてマルチザードは静かにセリオンに向かって進みだした…


続く…


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どもども紫炎です!!
なんか最近書くペースが落ちてるような気がする今日この頃です!
正月も間近だというのにかなりダラけてます…ああ、はやく餅が食いたい…
栗きんとんが食いたい…伊達巻が食いたいのーーー…
そうそう、自分のHPのチャットにセリオンにも出している離珠のボットを設置しました!
よろしければ誰か育ててやってくださいね!
でわーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/