バレンタイン・サーガ−矢島最後の日− 投稿者: 紫炎
「ふふふ・・・・」
今日の矢島はご機嫌だった、そう今日は待ちに待ったバレンタインデー!!
もしかしたら憧れのあの子が告白してくれちゃうかもしれない特別な日!!!!
「ああ、あかりさん・・・テレ屋だからなあ、まあここは男として俺がリードして・・・・・」
早くも矢島は妄想モードに入っていた、すでに学校前なのにシナまで造ってる、
回りの視線が痛い・・・・
「はっいかんいかん・・もっとこうビシッっとしてなきゃあかりさんも手渡しにくいだろうな・・・ん?」
校門の前ではすでに何人かの女の子がチョコを手渡していた。
「くうううううう、やっぱバレンタインだよなぁ!さーーー待っていてください
あかりさーーーーん!!」
そういった途端、矢島は下駄箱まで走り出した。喜びを絶望へと変えるために・・・


今日の矢島の収穫:

0個・・・・・・・・

ここに一人の鬼が生まれた。


「ねえ佐藤君・・」
「え・・なに?」
「あのこのチョコ・・・・」
今日の雅史は何かと忙しかった。そう実際のとこ雅史はモテる!
志保の推定では今年は100個は確実だとすら言われているほどの
強豪である。
したがって今日の雅史の下駄箱はチョコでいっぱいになり、朝から休み時間
には必ず女の子が雅史の元にやってくるのだ!!
「いや、別に僕はいいんだけど・・・」
とは本人の言葉である・・・が、そんな彼を快く思わない男がここにいた。
「グル・・・グルルルルルルルル・・・・・・」
そう、すでに野獣と化した矢島である。そのパワーはハンマユージローに
匹敵する。
「あ、雅史ちゃーん」
「あかりちゃん・・どうしたの?」
すでに殺気に満ちた目で見られていた雅史の前にあかりが現れた。
「え・・ほら恒例の義理チョコ!今年もたくさん作ったから・・」
無論、たくさん作った中に矢島のはなかった・・
「ありがとう・・あ、そうだあかりちゃん!」
「何?」
「ボソボソ・・(浩之ならさっき屋上にいったよ)」
「えっ・・う、うん」
途端にあかりの顔が赤くなる。
「じゃっ頑張って!!」
「もう雅史ちゃんたら、じゃあまた後でね!」
あかりは顔を真っ赤にしながら廊下を走っていった。
「はは、あかりちゃんも素直じゃないなぁ」
「我は無敵なり・・」
「え・・?」
雅史は後ろを向いた瞬間、血の涙を流していた矢島の武技言語は完成していた。

その剣の名は勇気・・・・


ここは某温泉街・・柏木一家は毎年チョコレートケーキを梓が作り、みんなで食べると
いうのが恒例となっている。
「先輩・・待っていてください・・・今このチョコを・・・」
日吉かおりはその先日から柏木家の庭に張り込み、梓にバレンタインチョコを渡す
タイミングをはかっていた。
だがここにも修羅が迫っていたのである!

ズサササッ

「えっ?」
かおりは後ろを見た・・・がそこには誰もいなかった。
「気の・・せい・・?・・・え!?」
それは一瞬のことだった、そう『ヤツ』が来たのだ!!
「きゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!」


「なんだ?」
ここは柏木家の食卓・・・すでにチョコレートケーキはお皿に分けられ、今まさに
仲良く食べようとしている時だった!
「今の声は・・・・かおり?」
「かおりってお姉ちゃんの友達の?」
「うん・・でもまさか・・・・・・」

ガシャァァァァアアアン!!!!!

突如、窓を破ってかおりが吹っ飛んできた!!
「かおりぃぃいいいいい!!!」
「せ・・・先輩・・」
かおりは傷ついた身体で梓によりそった。
「どうしたんだよかおりっ、何が・・・」
「胸・・・・」
「へ?」
「ムネ、ムネムネムネェェェ!!!!!この胸がいいのぉーーーーー!!!!!」
「やめんか−−−−−−−いっ!!!!」

バキッ!!

「あう・・・・」
梓はかおりにトドメをさした、
「あ・・かおり、かおりぃぃいいいいいい!!!」
「・・梓お姉ちゃん・・・」
「くそぉおおおお、かおりをこんなにしたのはどこのどいつだぁああああ!!!」
(あんただ!)
その場にいた全員が思ったが口には出さなかった、そのとき外からなにか声がした。
「けしからんなぁぁああああああ!!!」
そこにいたのはやはり矢島だった。
「!?」
「知っているか貴様ら、かつてヨーロッパではチョコレート中毒が流行り、
一時はチョコレート禁止令が出たことをっ!!」
「だからなんだっ!!!!」
耕一は吠えたっ!
「貴様らはその歴史を再び繰り返す悪魔だっ、よって俺が成敗する!!」
無茶苦茶な話である・・・
「・・・そうなんだ・・私・・私今まで知らなくて・・・」
初音ちゃんがただ一人、真に受けていた。
「あ・・あのねえ初音・・」
(くくくくくくく・・・・感じる、感じるぞっ!激しく燃える命の炎が!!)
「え・・!?」
「この声は・・・」
ギシッ!
「耕一さん、上ですっ!!」
「なにっ!!」

ズシャァァアアッ!!!!

突如天井が破られ柳川が降ってきた!!!
「はぁっはっはっはっはっはっはっ!柳川裕也ここに見参!!!!」
「ちょっとアンタ、人ん家の天井突き破って何偉そうにしてんのよぉぉ
おおお!!!」
「気にするな、エルクゥたるもの常に破壊を心掛けねばならんのだっ!!」
こいつも無茶苦茶である・・・
「んでそこの男っ!!」
柳川は矢島に向かって高らかに叫んだ!
「貴様のことは上司から聞いている!『バレンタインクラッシャー』の
矢島だな?」
すでに矢島は警察にまでマークされていたらしい、
「ほお、俺のことを知っているとは・・ただのネズミではなさそうだな・・」
誰だお前は?・・というくらい似合わんセリフを言いつつ矢島は構えた。
「くくく、決まっているじゃないか・・・今日はバレンタインデー」
「柳川・・お前・・・」
「私はこの憎きバレンタインデーを破壊しに来たのだぁああ!!」
この男も腐っていた・・
「バレンタインンンン!!!許せん、許せんぞぉぉおおおお!!」
人ん家の食卓に勝手にお邪魔してなにを言うか、という感じである。
「柳川っ、なぜバレンタインをそんなに怨むんだっ?」
「何をいう・・生まれてこの方、私はバレンタインという『行事』に参加したことすら
なかったのだぞぉおおおおお!!!!!」
柳川の目が血走っていた。
「分かる、分かるぞぉぉおおおおおおお!!!!」
矢島も共鳴のオーラを発していた!!
「耕一さん・・この二人のパワーは尋常じゃあ・・!?」
千鶴が耕一を見るとそこには涙があった。
「耕一さん・・・」
「分かる・・分かるよ・・・・」
「貴様に何が分かるというんだっ!ぬくぬくと暖かい環境に育っていた
貴様に何が分かるというんだぁあああ!!!!」
「だって・・俺も同じだもの・・・・」
「耕一・・?」
「俺だって・・俺だって去年まではお前らと同じだったさ・・・」
「あんた・・・・」
矢島は耕一を見た、
「高校んときも中学んときも俺は一つも貰えなかった・・・人は俺のことを
無冠の帝王と呼び、常に俺は孤独だったんだ・・・」
「・・・耕一お兄ちゃん・・・」
「そして今・・ようやく・・ようやくこんな俺にもバレンタインというモノを体験
ようって時になぜアンタらは邪魔をするんだぁあああああああ!!!」

ブワッ!!

耕一の目からは大粒の涙が雨のように流れ落ちていた、その涙は本物だ!
「く・・・出来ねえ・・」
「矢島?」
「俺にはできないっ、こんな男のささやかな幸せを摘むことなんて出来ない!」
矢島はガクリと肩を落とし、泣いていた・・・
「・・・何を甘いことを・・くそっ、そのケーキを貸せ!」
「あっそれはっ!」
柳川はテーブルの一番近くにあったケーキを獲った!
「あれ・・・そのケーキ、私が作ったものじゃあ?」
「こんなものはこうだぁあああ!!!」
柳川は一気にそのケーキを食った!!
「よせぇええええええええええええええええ!!!」

ゴクンッ・・・

「わ・・・私の作ったケーキが・・・」
千鶴は震えた声で言った。
「え?」
すべての人がそう言った瞬間だった。

カッ・・・

柳川を中心としてその付近100M四方すべてのものが消滅した・・・
そう、それはすでに料理とは呼べるものではなかったようだ。

一方会話に参加してない楓は・・・
「あ・・終わった・・」
途中から退場していて現在はコタツのなかでヌクヌクと
ミカンを食っていた。


そしてその後も矢島の攻防は続く!!

そこはどこかの喫茶店・・
「冬弥君・・これ」
「由綺・・あ、そっか・・」
「うん今日バレンタインだから・・・」
だが幸せな時間は長くは続かない・・
「ピンポーン!ここで問題です!!!」
「え?」
「次に幸せなカップルのアナタ達のすることはなんでしょう?」
「え・・なになに?」
由綺は突然の来訪者に戸惑っていた。
「では3択でお応えください!
1:二人でラブラブ!!
2:ホテルへGO!!
3:地獄へ行く!!
さあ、一体どれでしょう?」
矢島はプラカードまで出していた。
「え・・・ええ?」
由綺は赤くなっている。
「そーだなぁ」
「さあ、一斉にお応えください!どーぞぉぉおおお!!!」

「1」「2」

「あ・・あれ?」
「もう・・冬弥君のH!!」
1番が由綺で2番が冬弥である。
「・・・・・」
「でも・・冬弥君が望むなら・・」
「由綺・・」
「不正解です・・・・」
「「へっ?」」
「正解は3番・・二人まとめて地獄にいけやぁぁああああああ!!!!」

ズドォォオオオオオオン!!

その日、一つの喫茶店が消滅したという・・


ところ変わってここはある学校の裏庭、
「ぐるるる・・・ここにもチョコの匂いが・・・・むっ!?」
「電波、電波、電波・・・」
「電波、電波ぁあ!!!!!」
クルクルクルクルクル・・・
矢島がそこを見るとなぜか瑠璃子と祐介が手を天にかかげながらチョコを
中心に円を書きながら回っていた。一緒になぜか月島兄もいる。
「・・・・・・・ここは・・・・・いいか・・・・・」
「電波、電波、電波、電波・・・・・・」
その儀式は次の朝まで続けられたと言う・・・・

そして舞台は戻って浩之たちの学校へ、
「・・・浩之ちゃん」
「ん、あかりか・・どうした?」
あかりは雅史に聞いた通り、浩之のいる屋上に来ていた。
「え・・と・・あのね浩之ちゃん・・」
「なんだよ?」
「あの・・・」
あかりはなかなか言い出せないでいた。
「・・ん?・・なんもないなら俺は行くぞ」
「まってよ浩之ちゃん」
「あかり・・?」
「浩之ちゃん・・・あ・・これ・・・・・」
「いけませんあかりさぁぁああああああん!!!!」
ズシャアッ!!
矢島が空から降ってきた!!
「矢島君!?」
「なんだよ矢島・・なんか用か?」
「きききき、貴様・・あかりさんからバレンタインのチョコを受け取ろうなどと
は、なんと破廉恥なぁぁああああ!!!」
「ちょっと矢島君っ!?」
「ん・・・ああ、そっか今日バレンタインだったっけ・・あかり今年もくれんだろ?」
「え・・うん、これ・・一生懸命作ったから・・」
スッ・・
「おう、サンキュー!」
「はぁあああああああ、チョコを、チョコをををををを!!!」
「どうしたんだよ矢島?・・あかり、こいつの分はねーのか?」
「うん、忘れちゃってて・・」
グサッ・・
「まあいいじゃねえか矢島、チョコ程度でカリカリするこたあねえって・・」
グサグサ・・
「しっかしあかりも冷たいヤツだよなあ、こいつの分くらい作ってやれよ!」
「冷たくないよ、矢島君以外の男子にはみんな義理上げたよ!」
グサグサグサッ・・
「なんで矢島の分、つくんなかったんだよ?」
「だって『印象薄い』んだもん!!」

ドグサァァアアアアア!!!

トドメの一撃が決まった!
「く・・くそ・・もう俺は駄目なのか・・・」
(あきらめるな矢島)
「は・・柳川さん・・・」
(僕だって今年はゼロだったよ・・・美咲さん・・グスン)
「君は彰君!!」
(さあ立ち上がるのじゃ小僧!!!!!!)
「って、なんでアンタが生きてるんだ早乙女博士!!!」
(ふはははははワシは簡単には死なん、地球最後の日を見届けるまではなぁ!)
「くそぉぉおおおチェーンジゲッター・・・」


「ふへ・・ふへへへへ・・ゲッタービームぅぅうう・・・・私は早乙女の娘なんかじゃぁ・・」
「浩之ちゃん・・矢島君、なんか『変』だよ」
「打ち所悪かったんじゃねえか?・・いいから行こうぜ、もう授業だしよ!!」
「うん・・」
こうしてバレンタイン戦争は終わりを迎えた。
「へへへへ・・・みちるぅぅうう・・・・身体半分インベーダー・・・」
たった一人、ある意味地球最後の日となった男を抜かして・・・

合唱!


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というわけでバレンタイン!
今年は日曜日のため、このようなシチュエーションは絶対に
ないです(笑)
うーーーーん実は俺、完全にバレンタインSSのこと忘れてまして
急いで書いて、今電車の中でノートパソコン開いて書いていたりします(笑)
ああ、書きつかれた・・・そんなわけで目的の駅にも近づいたのでこれにて失礼
します!!
でわでわ!!!!!


http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/