−遊撃宇宙戦艦セリオン・第十話『エルクゥの王』− 投稿者: 紫炎
「…う…ああ…」
ピチャンッ…
「……起きたか梓…」
「耕…一……?」
ここは旗艦ジローエモンの一室…
「あれ、私は…あのセリオンと……」
「ここはジローエモンの中だ…お前を転移させ、連れ戻した」
「耕一が…私を?…」
「ああ、俺にはお前が必要だ…死んでもらっては困る……」
「耕一……」
「ゆっくり休めよ」
「……うん…」
(耕一…耕一が私を必要っていってくれた……耕一が私を…)
そして再び梓は眠りに着いた…だが少女はまだ知らない…
自分がその愛する者によって殺される運命にあることを……

−遊撃宇宙戦艦セリオン・第十話『エルクゥの王』−

ガチャンッ…
「耕一さん…」
「千鶴さんか…なにか?」
廊下に出た耕一の前には千鶴がいた…
「あの、梓の様子は?」
「心配ない…眠ったよ……」
「そうですか…」
千鶴はわずかに安堵した表情を見せた、
「…それで連合の動きはどうなった?」
「今のところはなにも…ただ?」
「ただ…?」
「あの梓のやられ様、地球側はエルクゥに対抗できる『力』を手に入れたのかもしれません…」
「ふふ…そうかもね……でもそんなこと関係ないさ」
一瞬、耕一の瞳に狂気が宿った…そう千鶴には感じられた、
「耕一さん…あなたはまだ耕一さんなんですよね…?」
「どうかな…俺は俺だよ…俺が耕一だろうと…『エルクゥの王』だろうと…」
「……」
「進むべき道は変わらない…」

「緒方司令、現在のところエルクゥたちの動きはありません」
ここは連合軍本部『パティオ』…
「そう…ありがとう篠塚さん、でっあの『兵器』の生産ラインの方は?」
「順調です…後10日ほどで前線に配備することが可能になるでしょう!」
「それじゃあ、これから…」
ピッ!!
緒方英二がなにか言おうとすると突如、通信が入った!
『緒方司令、大変です!!』
「ん、どうしたっ!?」
『日本領域のスーパー秋葉原に所属不明の部隊が降下してきました!!』
「…こ、降下だって!?」
『現在、秋葉原の代表である仮面慎太郎氏が指揮をとって被害を止めておりますが
いかがいたします?」
「軌道衛星上の防衛システム『CP』は働かなかったのかっ!?」
『識別信号が我が軍のものだったので手を出すことが…』
「くっ…!?」
(なんだというんだ…戦争反対派によるゲリラか?……だがこの時期に…)
『緒方司令…いかがいたしますか?』
「ん……篠塚さんっ!」
「はい?」
弥生は怪訝そうに英二の方を向いた、
「ホワイトアルバムのメンバーは今たしか日本にいるんだったな?」
「はあ…現在は日本支部の『電波推進委員会』の調査をさせてますが…」
「では至急秋葉原に飛ばしてくれ!降下した連中を捕獲、または殲滅を第一に
行動させるように…」
「ホワイトアルバムを……分かりました…すぐ手配します!」
「頼む…というわけだ、仮面氏と連絡をとってその馬鹿どもをなんとかしといてよ!」
『了解しました、それでは失礼します!』
ピッ!!
モニターに写っていた兵士が消えた…
「緒方司令…この所属不明の部隊……まさか『電波推進委員会』が!?」
「ふむ…ヤツラが本格的に動き出したのかもしれないね…」

一方、セリオンでは…
「巨乳ぅぅううううう!!!巨乳連れてこいっっっ!!!!」
ガシャガシャッ
「と…まあ捕まえてからずっとこんな感じで…」
「うん…ねえ綾香さん」
プルプル…
「言わないで…分かってるから……」
「確かにエルクゥを捕獲してくれとは言ったけど…」
「知らなかったのよっ!エルクゥが巨乳好きのレズだったなんてぇえええええ!!!」
もう分かってるとは思うけどセリオンはかおりを捕獲していた…
「巨乳ぅぅうううううううううううううううう!!!!!!!!」
『データ分析終了…この人物は98.7%の確率で重度の巨乳フェチであると識別されました』
「見りゃ分かるわよっ!!」
セリオが追い討ちをかけた…
「ちょっとアンタァッ!?」
「ふん、そんな平均以下の胸が私に話し掛けないでっ!!!」
プチンッ…
「てってめぇええええ、殺すぅぅうううううううううう!!!!!!!!!!」
「わーーーー綾香さん落ち着いてっ!!」
ガシッ、
「離してっ、離しなさいよぉぉおおお!!!」
「そんな涙流して叫ばんでも!?」
「ふん…」
「きいいいいっ、『ふん』ってなによぉぉおお!!!!!!」
「綾香さんっ…もう出ますよ、お前もそこでおとなしくしてろよっ!!」
「巨乳の配給は…?」
「あるかーーーー!!!!」

ガチャンッ!!!!

「……出ていったわね…」
カツ…
「俺以外はな…」

ゾクッ…

「…えっ!?」
カツカツ…
振り向いたかおりの瞳に映った人物は柳川であった!
「あ…あんた……」
(気配を感じなかった…エルクゥの私が…?)
「驚くことはないさ…たかが下級のエルクゥが俺を感知することはできるハズも
ないのだから…なあダリエリ!」
「ダ…ダリエリ…?…まさか!?」
(久しいな…我が同胞『ジルエル』…)
柳川の影が巨大な鬼の形に形成された…
「お前…い、いやあなたがなぜここにっ!?」
「戦うためさ…ヤツとな……」
(そう…我が内にありし闘争…そのために我は存在している)
「かつての遺恨のみで我等を裏切るというのですかダリエリ様?」
(お前には分からぬよジルエル…)
「じゃあな…ジルエルとやら!」
カツカツ…
「ダリエリ様っ!?」
「もう用は済んだ…お前の態度から今回の『事』はエルクゥ全体の総意だな!」
(そしてエルクゥを束ねることが出来る存在はただ一つ…つまり)

「耕一…ひいてはジローエモンの魂は…はるか昔、いずこかに
消え去っていったエルクゥの王『グイン』…だな?」

続く…

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どもっ紫炎です!!
今回は伏線だらけの話となってしまいました!!
まあ今までの話の進み具合が遅かったんでここらでピッチを上げようかと…
話の中に某初心者さんもでてましたがあれも伏線(笑)
ちなみにグインの名前は分かる人には分かると思うが豹頭の王様から!
ではではまた今度!!

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164