−遊撃宇宙戦艦セリオン・第七話『開戦』− 投稿者: 紫炎
 2237年10月23日、宇宙標準時間14:23…木星圏A−13ポイント、
 そこはかつての戦場の跡……
「艦長、第5艦隊大破…」
 今、かつてのように幾重もの閃光と光球がこの宇宙に散りばめられていた…
 そしてそれは一つ光るごとに確実に何十もの人がこの世を去っていることを意味している……
「第3艦隊、第2艦隊も現在交戦中…」
 ここは戦場ではない…ここは狩り場…鬼たちの狩り場
「もう艦隊が持ちません!!艦長、指示をっ!!!」
 ズドオオオオオオンッッッッ!!!
「隣の艦が…うあ…敵の艦が・・こちらに…」
「く…くそぉ…化け物どもがあああ!!!!!!!」

カッッッッッッ!!!

 その日、火星艦隊『Pio』が全滅した…エルクゥと呼ばれる者達によって
 全滅させられた艦隊はこれで6つとなったのである


−遊撃宇宙戦艦セリオン・第七話『開戦』−


−宇宙連合軍本部−
「…やられたか……」
 ピッ
 ホログラムのボードにまた一つ赤い点が付いた
「アクシズ艦隊のトワイニング副長の話によれば…やつらは自らをエルクゥ…
そしてそれを告げた女は『皇族四姉妹の長…千鶴』を名乗ったらしいな…」
 ドサッ
 連合軍司令長官・緒方英二…彼は苦々しい顔をしながら席に座った…
「はいっ…現在、諜報部に情報を集めさせていますが、まだ結果は出ておりません」
「…引き続き、頼むよ篠塚さん…こちらも頑張ってみるから」
「戦争終結から5年…度重なる軍縮に次ぐ軍縮……痛いですね緒方司令」
「今回のことで老人たちも重い腰を上げるだろうさ…まあ後1年…いや半年あれば奴等を
叩くことの出来る戦力が戻ってくる…」
(そして新たなる戦争が始まる…敵がなんなのかも分からずに……)
 たった5年の平和…それが今、確実に崩れ始めていた……


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
 セリオンがこの木星圏内に入ってからすでに3ヶ月…
「暇だあああああああ!!!!!!」
 がばああっ
「きゃあっ!!」
「ふむ…白か……」
「……し…白かじゃなああああああああああああい!!!!!!!」
 ズガアアアアアアアッ!!!!
「がああああああ!!!」
 ズドドドドドドッ
 矢島は綾香の一撃によって壁にめり込むほど吹っ飛んだ!
「職場で公然とスカートめくりなんてしてんじゃないわよっ!!」
「えぐ…えぐ……」
 スカートをめくられた桂木美和子は泣いていた
「ぐ…うう……綾香さん、だって暇なんだもん」
 セリオンはここ一ヶ月、戦闘らしい戦闘を一つもしていなかった…あれほど激しかった
宇宙海賊やゲリラたちの動きがぱたりと途絶えたのである……そのため暇な矢島は
腐っていた
「だからって職場セクハラなんてしてー、オヤジかアンタはぁ!」
「しくしく…」
「えーーーい男がめそめそ泣くなああああ!!!!!」
『邪魔ですね』
 セリオンのAIであるセリオもウィンドーを開き、言葉を加えた
「まあ…暇なのは認めるけどね……」
 ピタッ
 矢島の泣き声が止まった
「………あんた、本当に泣いてんの?」
「……!?…しくしく…」
 ドガッ
「ぐあああっ」
「次は本気でいくよ…」
「す…すみません……」
「ふん、分かればよろしい」
 やはり矢島より綾香の方がこの艦では偉かった!!
「たく…海賊たちはいなくなったけどあのエルクゥとかってのがまた出没しはじめてる
んだから、気を抜かないでよ!!!」
「ふわあい…」
 満身創痍の矢島は正直に返事を返した
「たく…こんなのが艦長とは…あんたも大変よねセリオ」
『仕方ありません…こんなのでも艦ちょ……』
「ん…どうしたのセリオ?」
 ピッ…ピピピ……
 ブリッジ内のモニターが一斉に光り始めた
『…が…あ…データ受信……送ります』
「えっ!?」
 ピッ
 中央にあるホログラフィモニターが何かを写し始めた
 ザ…ザザ……
『…ラ…エル…ゥの…ちか…』
 !?
「あ…綾香さん…これって……」
「エル…クゥ……」

 モニターは次第に何かを映し出していった…そこは装飾に彩られた豪華な一室…
だが妙に殺伐としていて、どこか薄暗かった…そしてそこには一人の男が映っていた、
鬼気たる雰囲気を漂わせ王座に座るそいつの名は…
『私は柏木耕一、貴様ら人間どもの上位に位置せし種族『エルクゥ』の王!!
この銀河に置いて最強たる存在だっ!!!!!』

「お…緒方司令っ!!!」
 ここは連合軍本部、この電波ジャックに気付いた何人もの将校たちが慌ただしく
動いていた…
「ふん、派手なデモンストレーションだ…まあじっくりと演説を聞かせてもらおうか…」
 連合軍司令長官・緒方英二はゆっくりと席に座った

『私たちは今、この場を持ってすべての生命の支配権を主張する!!!』

「長瀬ちゃん…」
「ふふ…僕のおもちゃたちの支配?…無駄だよ!!」
 白い部屋…『電波推進委員会』の本部、そこにいる長瀬祐介の瞳はじっとモニターに
いる柏木耕一を見ていた…

『貴様らには我等を止める権利も力もないっ、ゆえに抵抗するだけ無駄だっ!!』

 セリオンの一室…柳川の部屋…
「馬鹿が…思い上がりやがって、分かってるなダリエリ……」
『くく…ああ、ようやくやつを見つけた……もう逃がしはしない』
 柳川の影のなかから圧倒的な力と気配が浮かび上がる…それの気配は憎悪とも歓喜とも
とれるような、そんな感じだった

『だが悲観することもない…私たちが真の王位についたとき…貴様らは平和と平等を
手にすることだろう!』

「そのためになにを犠牲にしてもいいってのかっ!俺達はてめーのエゴに付き合わされる
ために生きてるんじゃねえ…」
 マルチザードのブリッジ…
「あれがエルクゥ…僕らの敵……」
「ツラは覚えた…もう忘れることはないで…柏木耕一……」
 その場にはいいようのない『憎しみ』と『悲しみ』があった

『もう一欠けらのパンのために争うこともないっ、誰一人飢えること
なき世界を約束しよう!!』

「そんなことをいう人がなんで私たちの平和を奪うの?…変だよそんなの…」
「由綺…仕事中よっ!!」
「あ…うん理奈ちゃん、今いく!」
 ホワイトアルバムの由綺と理奈はブラウン管から離れ、仲間の元に走り出した

『貴様らに与えられた選択肢はたった1つだ…我等に従い、平安を得よっ!』

「拓也さん…」
「大丈夫だよ香奈子、君は僕が守る…もう何も失ったりはしない」
「…はい」
 そこは月島拓也の部屋…香奈子は安心したように月島にもたれ掛かった

『我に従えっ人間たちよっ!!!!!!』

 …ピッ…
 ……ザザ…ザ…ザザ……
 …………
 ……
 …
「…終わったわ…艦長…おそらくこれはエルクゥたちからの降伏勧告よ……今ごろ
太陽系全土で大騒ぎになっているでしょうね」
「ふん…選択肢は1つだって…」
「艦長…?」
 矢島は不敵な笑いを浮かべ、さきほどまで耕一の写っていたモニターを見ていた
「はは…ジョーダンじゃねえ…自分の運命は自分で決める…てめえなんかに
決められてたまるかよ」
 ザッ!!
その瞳には決意があった…抗うことの出来ない決められた運命…
矢島はなによりも『それ』が嫌いだった
「こっちから宣戦布告してやるさっ!まってろよ柏木耕一っ、てめーは俺が…
このセリオンが潰してやる!!!!!」


エルクゥの勧告から3日後…宇宙連合軍は進軍を開始した…そして戦争が始まる……


続く…



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どもーー紫炎でーーす!
宇宙戦艦セリオンもようやく話が進みました…同時にかなりleafから遠ざかっていってる
ような………(汗)
次回は遊撃宇宙戦艦セリオン7.5話をお送りします!
内容は無論、前回宇宙の藻屑と消えたあの人たちの話です!!
くまさん、裏科理緒初登場の回となる予定なので関係者の方々はお覚悟してください!!
そしてその次からは『戦争編』です!!
まだ話はなんも考えてませんが今後ともよろしく!!!

P.S
ちょっとしたレス
>HMR−28さん
あーHNのRってそっちのあーるだったのかあ!!

P.Sの二乗
最近、教習所の期限が迫り毎日早起きしてキャンセル待ちを続けている次第で…
ゆえに感想はもーしばらく出せませんダニ…すいません……

P.Sの三乗
ふう…投稿のペースも落ちてきてしまった、本当に免許とれるのか俺?

P.Sの四乗
お…緒方司令…(笑)

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164/