−遊撃宇宙戦艦セリオン・第伍話『狂気』− 投稿者: 紫炎
2237年…人が宇宙に進出を果たし、太陽系全土を行き来している時代
民間の来栖川グループによって生み出された独立戦闘型宇宙戦艦セリオン…
この艦は宇宙空間のなかで略奪や襲撃を仕掛ける悪党を撃滅するために造られた
戦艦である…
だがそのセリオン、いきなり最初の発進の際に宇宙海賊ToHeartの襲撃を受ける…
護衛艦隊は壊滅するもなんとか撃退し、そして最初の目的地、木星に向かう!
その後、木星圏内にたどり着いたセリオンはエルクゥを名乗る謎の存在に宇宙連合軍の
艦隊が壊滅させられているのを発見する…いくつかの謎を残し時は過ぎ…
そして一ヶ月後、セリオンは戦場にいた

ドオオオオン!!!
「バリア出力、34%ダウン!!!」
ここは木星圏…今いくつもの戦火が空を覆っていた…
「主砲『ブランニューハート』発射可能です!!!!」
戦争終結から5年…だがその痕はまだ各地にいくつも残っていた…
「よおし、敵の旗艦を中心に撃て」
宇宙にちらばり、無法を繰り返すアウト・ロー…戦争後、どさくさに紛れて闇に消えた
兵器たち…徒党を組んで略奪をする海賊……
「『ブランニューハート』発射ぁぁぁぁぁあああああ!!!!」

カッ…

ズッドォォォォォォオオオオオオオオオンンン!!!!!

「……め…命中、敵戦力12%まで低下!!!我が戦艦の勝利ですっ!!!」

そんな者たちを退治するために造られた組織…それが

−遊撃宇宙戦艦セリオン・第伍話『狂気』−


「ふう……終わったか、艦の被害は?」
「外部損傷はありません、ジェネレーター出力が8%落ちていますが航行に支障はないようです!」
「そうか、それじゃあ後は敵艦隊を捕縛し宇宙連合軍に引き渡すだけだな」
「はい艦長!!」
(……それにしても…)
宇宙戦艦セリオンが木星圏内に駐留してからもう一ヶ月が経とうとしていた…
(最近いやに戦闘が多いな…)
その一ヶ月の間にセリオンはすでに10回も戦闘に遭遇していた、三日に一回のペースで
ある…この数字は平和を取り戻した今の世の中から考えれば異様であった
(何者かが兵器を流出している気配があると本社はいっていたな…よし)
「綾香さん!」
「はい?」
来栖川綾香はその名字の通り、セリオンのスポンサー『来栖川グループ』の社長の娘である!
現在、彼女の姉は行方不明のため実質彼女がグループの後継者となる…
そんな彼女がなぜこの戦艦セリオンに乗っているかといえば、戦艦とはいえ民間の船である
この戦艦セリオンのいわば安全性の責任問題にある…つまり「自分の身内も乗せるから
あんたも文句いわずに乗ってくれ、もし死んでもこっちも身内を出したんだからフェアだろ?」
的なことである…無論、本人の希望もあるのだが…まあそういうわけなので当然、社の
情報には彼女が一番くわしいのである…
「この間の本社からきた兵器流通の件…まだ新しい情報はないの?」
「正式なルートからの情報はないわ、あれば貴方に届いてるはずでしょ」
「うん…まあ…ね」
そして綾香は少し考えるそぶりをして呟いた
「ただ…それらしい話なら1つ聞いたわ……」
「え…?」
「『電波推進委員会』って聞いたことある?」
…『電波推進委員会』…?…どこかで……
「今、地球圏内で流行り始めた新興宗教よ…教祖がえらく若いんで有名な…」
「ああ…週刊誌かなんかで見たような気がする!…って、まさかそこが?」
「あくまでも噂よ…ただ大量の寄付金がどこかに流れてるってのは確かみたい」
「…!?」
「それと…ちょっと艦長…」
「ん…?」
綾香はまわりを気にしてヒソヒソと矢島に話し掛けた
「(ボソボソ)…その教祖の幹部…あの月島さんの妹なのよ…」
「へ…!?」
「(ボソボソ)…太田さんも過去に教祖の幹部連と親友関係があったみたい…
『電波推進委員会』ができる前の話だけど…」
「それじゃあ…」
「まだ分からないけどね…一応艦長の耳に入れとこうと思って……」
「そっか…ありがとう、参考になった」
「あのーーー二人とも何話してるんですかあ?」
「えっああ…なんでもないのよ…ハハハハ…」
「ハア…そうですか」
オペレーターの桂木さんは少し不満気な顔をして視線をモニターに戻した
(『電波推進委員会』…月島さんに太田さん……いったいどういうことだろう?)


バチイイイイン!!!!!!

「ふう…」
「長瀬ちゃん?」
そこは白い部屋…中央には一つの玉座が…そしてそこには一人の少年がいた…
傍らには一人の少女が……
「やあ瑠璃子さん…」
「電波がはじけた音がしたの…」
「うん…ちょっとした遊びさ…ちょっとしたね」
少女と少年の瞳はともに壊れた輝きを宿していた…
「また来たよ…君のお兄さん……」
「そう…」
「追い返したけどね…だって瑠璃子さんは僕のものだから…」
「…………」
「それで瑠璃子さん?」
「なーに長瀬ちゃん」
「白い狩人『ホワイトアルバム』の様子は……?」
「うん、イギリスの支部が一つ…落とされたみたい」
「ふふ…無駄なことを……」
一瞬、少年の瞳に狂気が宿った
「すべては僕の手の中なのに…はは…はははは」
その白い部屋のすみには一冊のノートが無造作に投げ捨てられていた…
偶然開けたページにはこう書いてある…『世界征服』と…そしてそのページの大半に血の
ように赤い絵の具が塗りたくられていた…

ピッ…ウィイイイイイイイイイイイイン!!!!!!
「エンジン始動…行けるで…藤田君…マルチザード、完全復活や!!」
「浩之…」
「ああ…さあいくぞ!東鳩級強襲型宇宙戦艦HMX−12、マルチザード発進!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
そして今、大幅な修理と改修を加えたマルチザードが動き出そうとしていた

続く…

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どーも紫炎です!!!!
よーやくleafの雫、痕、ToHeart、WheteAlbumのすべての役回りが決まりました…
雫は『電波推進委員会』という新興宗教に、
痕はエルクゥを率いた人類の敵に、
ToHeartは宇宙海賊に、
WheteAlbumは黒き獣たちを狩る白き狩人たちに…
これらがセリオンと矢島を軸に暴れまわる予定です!!

しかし5話でようやくそろったか…W・Aはまだでてないけどね…
いったいいつ終わるんだろう?
作者自身疑問を抱きつつも次回に続く!!!
次回はアクシズさんと八塚崇乃さんが再登場する予定です!!
よろしくお願いしますお二人とも!!!

くまさん・・・セバスチャン、ほとんど男塾の塾長じゃないですか
宇宙なんて・・・(笑)
そーそー私のホームページもよろしく!!
新しく作りましたああああ!!!!

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5164